知られることのない話   作:まるイワ

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マギレコが無事4周年を迎えたので初投稿です。


3-3 勉強NG

 

「ふんっ!!」

 

 

パイルの一撃をブチ当てると、魔女がよろけた。「乗算」は使ってなくても、これくらいは出来る。

 

 

「赤さん、退避!」

 

 

後ろから先輩の声が聞こえてきたから、後方に飛んでからしゃがむ。私の頭上をカンテラが通過して、魔女に当たって爆発を起こす。

 

 

「マジ子さん、詰めを!」

 

「おっしゃー!!」

 

 

カンテラと同じように、私の後ろからアタッシュケースが飛んでいく。それを追いかけるように、マジ子が魔女に向かって走っていった。

 

ケースが魔女の顔らしき部分にヒットして、ヤツは仰反った。痛みを感じてるのか、魔女はまるで、赤ちゃんが泣いているような鳴き声をあげる。当たって跳ね返ったアタッシュケースを、マジ子が空中に大きく飛んで掴んだ。

 

 

「これでどぉだぁ!!」

 

 

掴んだ武器を、落下しながら思いっきり振り下ろした。見てくれはどうあれ、魔力が込められた渾身の一撃を受けた魔女は、私達の連続攻撃に耐えられずに、その身体を破裂させるみたいに消滅した。

 

 

 

 

 

 

結界が消えて、変身を解く。グリーフシードもちゃんと落ちてた。

 

 

「いやー上手くいったね!アタシ達、れんけーバッチリじゃん!」

 

「そこまで強くはなかったのが幸いでしたわね。使い魔が成長して、魔女に成り立ての個体だったとかでしょうか…」

 

 

確かにすんなり倒せた。攻撃も問題無く当たって、魔女はダメージを受けて…。今まで戦った魔女の強さを考えると、先輩の予想は間違ってないのかな。でも…

 

 

「今回は楽に終わったけど、いつまでもこんなラッキー続かねえよなぁ絶対」

 

「ええ。空き時間が出来たら、また特訓しときましょうか」

 

「お?マジかぁ」

 

 

マジだよ。この街で戦って生き残っていくなら、もっと練度を高めていかなきゃいけない。マジ子のやつはバッチリなんて言ってたけど、私達の連携が高いレベルにあるとは思えないし。

 

 

(…まぁ、特訓つってもあれだけど…)

 

 

あの海浜公園での戦いを反省して、もっと息を合わせようってことで始めたのが、まさかのチーム全員での料理やお菓子作り。更にはゲーセンでのダンスゲームやら、街に繰り出してのカラオケやら…。

 

いやこれ、ただ単に遊んでるだけなんじゃ…。しかも、食い物作りに関しては結果が…。

 

 

「赤さん、今失礼なこと考えたでしょう」

 

「別に…」

 

「嘘おっしゃい、顔に出てましたわよ!何ですの。いいじゃありませんか、特訓ついでに遊んだり美味しいもの食べたりできて!」

 

 

遊んでるって自覚はあるのか…。いや、いいんだけどさ別に。なんならさっきの戦いは、動き自体はスムーズだったし、成果も少しは出てるのかもしんないよ。でもさ。

 

 

「ゲームとカラオケはまだいいよ。私に可愛い曲ばっか歌わせるのは腹立つけど。でも飯と菓子はなんか、こう…ダメだろあれは」

 

「確かに毎回、見た目は魔女に関する何かかと勘違いするような異様なブツが出来上がりますけど…」

 

「ほらぁ!」

 

 

分かってんじゃないか。素人なりに丁寧に作ってるつもりだろうに、本当になんであんなもんが出来るんだよ。

 

 

「何がほらぁですの!大丈夫ですわよ、まだ素人の域とはいえ、そこそこ回数をこなしてますわ。なら、少しくらい良くなって…」

 

「いやぁ、マジ不味かったよ毎回。ぶっちゃけ無理。材料無駄じゃね?」

 

「んな!マジ子さんまで!」

 

 

普段は大体笑顔なマジ子が、真顔でド直球ストレート。ほら見ろ、それくらい酷いんだってば。

 

 

「そもそも!三人で作ってますのよ。なにを私だけに責任があるかのように言うんですの、貴女達!」

 

「私は何も変なことしてないよ。あんたが変にアレンジ加えようとするのが悪いんだろ」

 

「アタシ、前のお菓子作りで、先輩が材料の量めっちゃ増やして作ろうとしてたの見たよ」

 

 

決まりだな。食い物系特訓の失敗は先輩のせい。お陰で私もマジ子も、随分な体験をしたもんだ。これは責任の一つでも取ってもらわにゃあ…

 

 

「知ってますわよ、赤さん。貴女が毎回味見した後、勝手に調味料をあれこれ追加してること」

 

 

……………。

 

 

「マジ子さんも、買ってきた材料をつまみ食いしたり、火の調整サボって漫画読んだりしてますわよね?」

 

「…………マジかぁ」

 

 

痛いところを突かれてしまった。バレてないと思ってても、やっぱそうはいかないってことなのか…。

 

 

「あ、そうだ。アタシ最近さぁ、下着を」

 

「話題逸らすの雑ですわよ。見なさい、私だけじゃないでしょう。チーム全体の責任ですわよこれは」

 

「………わかった。悪かったよ」

 

「よろしい」

 

 

観念して謝る。ていうか、私達は水名区まで足運んでまで何を言い合ってんだか…。本来は別の用事で来たのに。

 

 

「てかさー、本とか動画とかちゃんと見てんのに、なんでお手本通りにならないんかな。もしかして先輩も赤ちんも、アタシと同じでバカなんかな」

 

「それはないから」

 

 

そうだ。水名に行きたいって言ったのは、本来こいつだ。このバカの発言が発端だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

少し前の時間、私達は某飲食店に集まっていた。先日 参京で飯を食った時に、マジ子の成績を察して愕然とした先輩の発案だった。今からでも何とかしようってことらしい。

 

店員さん達には申し訳なく思いつつも、席に着いて、教科書やノートを広げる。マジ子のことは先輩に任せて、私は私で勉強を始めることにした。

 

 

「えー、前に習ったやつは…戊辰戦争とかだったかな…」

 

 

歴史の教科書をパラパラ捲る。私だって魔法少女の前に一人の学生なんだから、本分を全うしてもバチは当たらない。その内テストだってあるんだし。

 

 

(そんな成績良いわけじゃねーけど)

 

 

内心ボヤきながら、まずは復習と思って、教科書とノートとの睨めっこを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「ねー、もう疲れたー。アタシ マジ破裂しそう…」

 

「貴女の奇天烈な頭脳に私も参ってきてますけど、もう少しだけ続けましょうよ。ね?」

 

「えぇー…」

 

 

勉強を始めてからしばらく経ったところで、マジ子からギブアップ宣言。途中で色々摘みながら頑張ってたけど、もう無理らしい。

 

 

「ほら、次ですわよ。いいですか?この問題は、たすき掛けを使って」

 

「タスキガケってなにー…?リレーのアンカーとかのアレ?」

 

「あ、そこから…」

 

 

予想できてはいたけど、マジ子のやつに勉強を教えるのは中々に厳しそう。頑張れ先輩。私は中学生だから、高校生の勉強なんて手伝えないんだ。

 

 

「では、因数分解などは…」

 

「なにそれー…バラしてなんかあんの…?」

 

「いえ、ですからね?そういうやり方というものが」

 

「あーっ!もういいってマジで!わかんな過ぎて脳みそパーンってなるよもー!」

 

 

ついに爆発した。流石にこいつも人間だし、我慢の限界ってのはあったみたいだ。

 

 

「先輩、今日はここらでいいんじゃない?」

 

「ですが」

 

「今日始めたばっかだろ?一気に詰め込むこともないって」

 

 

マジ子を助けるわけじゃないけど、勉強会のお開きを提案してみる。私もそろそろこの辺にしときたいと思ってたところだし、丁度いい。

 

 

「…それもそうですわね。私、少し性急だったかもしれませんわ」

 

「じゃー…ベンキョー終わり?」

 

「ええ、店員さん達にも迷惑でしょうし。すみませんマジ子さん。慣れないことをさせて」

 

「っ…だはぁぁぁ〜…!つかれた…」

 

 

消耗したのがよくわかる声を出しながら、テーブルにベチャッと突っ伏したマジ子。私も、勉強道具を片付ける。

 

 

「お疲れさん」

 

「ほんとだよ…。これ以上ベンキョーするって言われたら、先輩の家マジで全部水にしてやろうかと思った…」

 

「サラッと恐ろしいこと言うのやめてもらっていいです?」

 

 

そこまでするんかい。どんだけ勉強嫌いなんだこいつは。

 

 

「はぁ…。それで、この後どうします?今日は解散しますか?」

 

「まぁ、それでも全然」

 

「はいはい!じゃ、水名区!水名いこ水名!」

 

 

今まで萎れてたクセに、マジ子がガバッと顔と手を上げて主張してきた。まさに水を得た魚。

 

 

「水名!ねぇ水名!ゴーしよ、ゴー。水名ゴー!ゴー水名!」

 

「いやうるっさいなもう!分かったっつーの」

 

 

すっかり元のマジ子だ。喧しくて、元気で、馬鹿で。ちょっと安心し……いや、やっぱうるさいわ。

 

 

「あの、何故そこまで水名に?」

 

「んふふー…そりゃーもちろん、うわさだよ!」

 

「うわさぁ?」

 

 

それってあれか。この間の絶叫ロールみたいな…。でも、どうせまた碌に覚えてないんだろ?

 

 

「あー、その顔。赤ちんどうせ、アタシがバカだから聞いた話覚えてないって思ってるんでしょ〜」

 

 

やたらニヤニヤしながら聞いてくる。なんだよ。そりゃそう思うだろ。

 

 

「ブブゥー!残念でしたぁー!今回はちゃんとメモ取ってたから忘れてませぇ〜ん☆」

 

 

両手の人差し指をバツの字みたいに交差させながらそう言う。ムカつく。まぁ、話を忘れても大丈夫なようにしといたのは偉いよ。進歩してる。よくやったな。

 

でも、それはそれとして今の「ブブゥー!以下略」は気に入らなかったから、後日覚えとけよお前。

 

 

「メモですか。素晴らしいですわ、マジ子さん。貴女の珍妙な頭脳に、そのような知恵が備わっていただなんて!」

 

「あれ、アタシ ディスられてね?ま、いいや!じゃー発表しまっす!聞いたうわさの内容はー…」

 

 

この後私達は、マジ子からうわさの内容を聞いてから水名区に向かった。聞いてから思ったけど、やっぱあの絶叫ロールって、本当は全然違う名前のうわさだったんじゃねえかな…。

 

まぁそれは置いといて、そのうわさの内容ってのが、こんな感じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アラもう聞いた? 誰から聞いた?

口寄せ神社のそのウワサ

 

家族?恋人?赤の他人?

心の底からアイタイのなら

こちらの神様にお任せを!

 

絵馬にその人の名前を書いて

行儀良くちゃーんとお参りすれば

アイタイ人に逢わせてくれる

 

だけどだけどもゴヨージン!

幸せすぎて帰れないって

水名区の人の間ではもっぱらのウワサ

 

キャーコワイ!

 





マギレコ本編の出来事

・いろはが鶴乃と一緒に、水名で神社のうわさを調べ始める。鶴乃は神社を片っ端から巡り、いろは は水名区に伝わる昔話を調べることに。いろはのデジタル音痴っぷりが炸裂。
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