知られることのない話   作:まるイワ

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木属性はあまり育成が進んでいないので初投稿です。





4-12 カッコつけ

 

 

 

空気の震えは止んだ。草のしなりも無くなったし、土埃も晴れてく。砕けたチェーンの破片が、私の周りにいっぱい落ちてるのが見える。

 

 

(………)

 

 

とりあえずはあの女の子に、私が今出来る限りの、とびっきりの一撃をくれてやった。でも、果たしてどうなったのか。

 

年長さんと一緒になって攻撃もしたんだから、少しは良い感じにダメージ入ってくれててもいいんじゃないの?

 

って、思ったんだけどなぁ…。

 

 

「………」

 

「やっぱそうなるんかよ…!」

 

 

女の子は未だに、パイルの先端にのし掛かったまま。でも、それだけだ。

 

見上げて面を拝んでやれば、ジトーッとした目で私を見てる。どう見ても今しがた、馬鹿デカい衝撃波でブチ抜かれたやつがする顔じゃない。

 

流石に全く効いてないとは思いたくはないけど、何にせよまともなダメージなんて通ってねーわこれ。クソがよ…!

 

 

「えっと…どうする…!?」

 

「なんとかするしかねーの!」

 

 

年長さんが困惑してる。まさか、無傷で耐えられるなんて思ってなかったんだろうなぁ。

 

この人は初めて戦うから無理もないことだけど、メチャクチャなんだよこいつ。この女の子のご同類っぽい神社の怪物に至っちゃ、自己再生までしてやがった。

 

 

「しゃあねえ!年長さん、悪いけど引き剥がして…!」

 

「〜!!」

 

「!?なにっ…」

 

 

年長さんに手を貸してもらおうとしたら、女の子がムッとした顔で、パイルに力を加えだした。

 

嫌な音を立てて、パイルにヒビが入ってく。結構頑丈なはずのボディに、女の子の両手がめり込んだ。

 

魔女の攻撃でも傷つくこと無かったのに、こんな簡単に破損するってマジか…。

 

 

「っ!!」

 

「うぁ!」

 

「あぐっ…!」

 

 

少し呆気に取られた隙を突くみたいに、女の子が全身から魔力を放出する。それをモロに浴びせられて、私達は吹っ飛ばされた。

 

二人して地べたに転がされて、距離が開く。幾ら離れられたっつっても、こんなダメージ負いながらじゃ、あんまり意味無い。

 

 

「くっそ、いいとこ入った…!げぇっほ…」

 

「うっ……けほ」

 

 

ゲホゲホ言って片膝つく私達に、女の子がゆったり近付いてくる。舐めやがって…。もう勝負は着いたとでも思ってんのか。

 

あっちゅー間に一転攻勢された私達に出来ることは、料理されるのを大人しくまってることだけだとでも?

 

 

「ざっけんなっつーの…!」

 

 

認めてやるわけねーだろうが、そんなのを。

 

……つっても、これといって策だのなんだのがあるわけじゃないんだよなぁ…。パイルも壊されたし…。

 

あーもう、腹の立つ話だなぁオイ!

 

 

「えいっ!」

 

「!」

 

 

私の頭上をタイヤ二つが飛んで、女の子に激突。それでもやっぱり、あの子は微動だにしない。

 

 

「ね、ね」

 

「あによ」

 

 

年長さんが、自分のすぐ後ろに寄ってきたのを感じる。今のタイヤ、こうする隙をなんとか作る為だったのかな。

 

 

「何か、思いついた?」

 

「打開策?ねーよ」

 

 

ここで意地張ってる余裕は無い。素直に言わせてもらおうじゃないの。

 

 

「じゃあ、さ!」

 

「ん」

 

「コネクト!…しよ…?」

 

 

焦ったような声色で、そう提案される。

 

コネクト。

 

…コネクトォ!?

 

コネクトと来たかぁ〜……そうかい……。

 

 

「それよりも先にさ」

 

「…うん」

 

「アレ、どうにかした方がよくない?」

 

 

アレってのは要するに、今まさに目の前で女の子が振りかぶってる、タイヤのことだった。

 

 

「ダメージは入らないわ逆に利用されるわってどういうことよお前…」

 

「や、そんなこと言ってないで……あっ」

 

「あ」

 

 

言ってる間に、すっ飛んできて間近に迫るタイヤ。や、速くない?どんだけ力入れて投げたんだよ。

 

めっちゃ容赦しねえじゃんあいつっていうかそうじゃなくて!

 

 

(避けらんねえ!?)

 

 

回避は間に合わない。せめて防御して、ダメージを落とさないと…!

 

 

「大丈夫」

 

 

腕で自分の身を庇おうとした瞬間に聞こえたその言葉と、手のひらに感じる体温。手を握られたんだ。

 

「大丈夫」に対しての「何が」を口にする暇も無しに、二つのタイヤは私達の居る場所に、その猛スピードを落とさないまま殺到。

 

 

 

…で、そのまま通り抜けてった。何故か。

 

 

 

「あ?」

 

 

や、なんで?直撃コースだったと思うんだけど…。

 

 

「自分の体、見て」

 

「体」

 

 

視線を下に向けて、自分自身を見る。

 

 

「え、待って。なにこれ…」

 

 

線。線だ。自分の体が、一本の線みたいになってる。どういうこっちゃ。

 

ちょっとだけパニクッちまって、全身をもっとよく確認しようとするけど、なんか体が上手く動かない。首すらまともに回せないんですけど…!?

 

 

「あ…ダメ。下手に動かない方が、いい…」

 

「え、そうなん…?」

 

「この状態で無理に動くと…その…」

 

「その…?」

 

「折れる」

 

「折れる!?」

 

「…のかな…?」

 

「聞かれてもさ…」

 

 

テキトーこいてんじゃないよ。つーか、何か知った風だな年長さん。じゃ、私が今こうなってんのはこの人の仕業ってこと?

 

 

「あ、大丈夫…。今、戻すから」

 

 

戻すって…。

 

 

「わ、戻っ…たぁっ…!」

 

 

一本線みたいになってた体が、いきなり元の姿を取り戻す。バランス崩して、地面に尻餅。痛ってえ、ケツが…!

 

 

「ゴメン。びっくり、したね…?」

 

「したよ。あぁ、本当にね」

 

 

年長さんが私の視界に入ってきて、手を差し出してくる。手を取って立ち上がる時に、悪態を吐いたのはご愛嬌。そういうことにしとけ。

 

 

「あれ、固有魔法。私の」

 

「へえ?」

 

「ん…。ぺたんこにするの。色んなもの」

 

「ぺたんこ…」

 

 

さしずめ「平面化」ってとこか。

 

成る程。さっきまでの私は、線になってたわけじゃない。縦に薄っぺらくなってたってわけか。

 

側面から見れば多分、平面になった横向きの私が見えてたはず。

 

 

「まぁ、なにさ。…助けられちまった。ありがと」

 

「ん…よかった」

 

 

とりあえず、年長さんに礼は言っておく。確かにビックリはさせられたけど、それはそれだから。

 

 

「じゃあ、このまましよっか」

 

「んあ?」

 

 

何の話?

 

次の瞬間、迸る魔力の光。私達の握られた手から発してるそれを見て、私はすぐ理解した。

 

自分と誰かの魔力が混ざって、一つになる感覚。これは…

 

 

「コネクトかぁ!?」

 

「ん。時間、ないから」

 

「そりゃお前、そうだろうけど…!」

 

 

年長さんの言う「時間」ってのが何を指してるのか、私には分かってた。

 

女の子が魔力を凝縮して、デカい塊にしてるのが見えてるから。

 

私達が何かしでかそうとしてるのを悟ったか。

 

でも。でもだよ。

 

 

「あの、今更言うのもアレだけど、私コネクトは…!」

 

「じゃあ、お願い…!」

 

「聞けってオイ!」

 

 

当然みたいに私が攻撃することになってる。や、年長さんは本来関係ない人なんだから、私がやるのが筋と言えばそうかもだけどさぁ!

 

 

「あーもー!!」

 

 

ギミックを作動させて、パイルを腕から外す。新しいのを生成すると、壊れた方は光になって消滅した。

 

女の子が、魔力塊をいつブッ放してくるか分からない。すぐにパイルを構えて、起動する。

 

 

ここまではいい。問題はここから。

 

 

最後まで伝えることは出来なかったけど、コネクトをするに当たって、私には問題があった。

 

 

(私、コネクト苦手なんだよおおお…!)

 

 

魔法少女が集団で戦うことの多い神浜に置いて、非常に有効だって言われてるもの。他の魔法少女と魔力を合わせて、もっと強い力を発揮するやり方。

 

私はそれが、冗談みたいに下手くそだった。

 

でも今は、それを言い訳にしてる余裕は無いみたい。

 

 

「こうなりゃ自棄だ…!どうなっても文句言うなよ!」

 

 

やぶれかぶれ気味に、混ぜ合わせた魔力を全身に行き渡らせていく。私のものじゃない何かが、自分の中に広がってく感覚。

 

これだ。異物が、自分の奥底にまで染みてくようなこの感覚がどうしても受け入れられなくて、私のコネクトは上手く行った試しが無い。

 

 

(う〜……っ!このまま、パイルに…!)

 

 

それでも、今はやってみせるしかない。大丈夫だ。混ざり物があるからっつって、半分は私の魔力でもあるんだ。それなら、やれないことは…

 

 

(っ…!ダメ!)

 

 

無理矢理に受け入れたものを、強引に攻撃に転化しようとしたのがいけなかったのか。

 

パイルに魔力をありったけ流し込もうとしたところで堪えられなくなって、制御を手放しちまった。

 

 

「魔力がぁっ…!」

 

 

コネクトで強力になった魔力が、コントロールを失ったことで暴走を始める。

 

パイルのあちこちから勢いよく噴き出してきて、私を盛大に振り回した。

 

 

「わあああああああ!!」

 

「え!ちょっと!?」

 

 

上下に、左右に、前後に、フラフラ。ちょ、無理!無理ですこれぇ!!

 

 

(こんな状態で撃ち込んだら、どうなるかわかんねーぞ!?)

 

 

このまま攻撃に移らないで、魔力が散っていくのを待つって手もある。でもそれだと女の子の攻撃が…!

 

 

(くっそぉ…。ワンチャンこれ見て怯んだりしてくんねーかな…!)

 

 

チラッと女の子を見るも、あの子は構えを解いてない。顔も変わらず仏頂面で、動じてる様子は微塵もない。ダメですか、そうですか…。

 

 

「っ!」

 

「あ、ちょっとぉ!?」

 

 

しかもタイミング悪く、充分にチャージが終わったらしい魔力塊を発射してきやがった。やめてくんねーかなぁ!?

 

 

「うおおおおー!!来るんじゃねえええええ!!」

 

 

いたいけな少女である私の心からの叫びは非情にも無視されて、当たればすっげえ痛そうな魔力塊が、グングン迫ってくる。

 

なんかあったよな、ああいうの。そうだなぁ…確かマジ子に貸してもらった、デカゴンボールとかいう漫画で…

 

 

「馬鹿アアアアアアアアア!!」

 

 

それは、私をこんな状況に追い込んだ、女の子や年長さんに対しての訴えなのか。

 

はたまた、こんな時に漫画のことなんて考えて現実逃避に走った、自分への戒めなのか。

 

なんかもう色々と追い詰められてキャパオーバーしちまった私は、気付けばパイルを思っくそブチ込んでいた。

 

 

「ぶっへえええええええ!!」

 

 

年頃の女学生が発するものとは到底思えない、クッソ汚い叫び声。私だって嘘だと思いたかったわ、こんなん…。

 

でも、しゃーねえじゃん!ただでさえ暴走してた魔力を撃ち出したらこうなったんだって!

 

もうなんか吹き荒れてんの!顔面に台風 直で浴びてるみたいになってんだよ!目なんて碌に開けらんないって、こんなの…!

 

 

「どあああああああああ!!」

 

 

こんなもん打ち込まなきゃよかったって後悔したところで、デカい爆発が起きた。爆風を浴びた私は、後ろに大きくふっとばされる。

 

私の攻撃と、女の子の魔力塊。二つの魔力がぶつかって拮抗した結果が、今の爆発なのか。

 

 

「だっ…!っ…!うぇぇ…っ」

 

「あっ……大丈夫!?…じゃない、よね…」

 

 

地べたをバウンドしまくって、ようやく止まる。痛みと衝撃が辛いけど、少しは半狂乱になった頭が冷えた。

 

慌てて駆け寄って来たらしい年長さんの声を聞き流しながら、ヨロヨロ立ち上がる。

 

 

「あの…今のって…」

 

「私、すっげー苦手。コネクト」

 

「あっ……そう、なんだ…」

 

「なんか失敗すんの。毎回」

 

「………」

 

 

年長さんに、端的に説明する。ほんと、なんでなんだろうなぁ…。年長さんとマジ子でやる分には問題ないのにさ…。

 

 

「だから、やんない。私は」

 

「……ごめん、なさい…」

 

「いいって。あんた悪くないし」

 

 

年長さんが言ってた通り、さっきは時間が無かったし。事前にコネクトのことを話しておかなかった、私も悪いんだから。

 

 

「でさ、ちょっと質問なんだけど」

 

「え…あ、うん。なに…?」

 

 

爆煙を裂いて、あの女の子が飛び出してくるのが見える。あの激しい爆発を浴びたのは同じなのに、随分綺麗な身なりだこと…。

 

 

「あの子自体を平べったくするとかは…」

 

「……自分以外の人間とか、大きいものは、ちょっと…。魔力、使い過ぎちゃう」

 

「そう…」

 

「自分と繋がってたら、楽だけど…。そしたら、ぺたんこ。私も…」

 

 

申し訳なさそうに、首を横に振る。そっかぁ…。それじゃあ無理だな。ま、そう上手くは行かないってことか。

 

 

「じゃ、これ」

 

「わっ……なに?」

 

「それ、預ける」

 

 

一旦変身を解除して、年長さんに自分のスマホを渡す。困惑したような雰囲気。それはそうだよね。

 

 

「車でさ、迎えに行ってくんない?あの二人のこと」

 

「え……」

 

「連絡先、交換してないでしょ」

 

「そう、だけど…!」

 

「あいつらもこっちに向かってるだろうしさ。連絡取り合いながらだったら、合流もすぐだよ」

 

「でも、一人になっちゃったら!」

 

 

私の言ってることは理解できても、納得は出来ないみたい。あの女の子も近付いて来てるし、早いとこOKしてもらいたいんだけど。

 

でも、当たり前か…。ここまで二人で戦っても押されっぱなしだったのに、自分からサシでやるような状況作りに行くなんて、まぁ自殺行為だもんな。

 

 

「…その辺は大丈夫なんだなぁ、これが」

 

「大丈夫、って」

 

「戦ってる内にさー。気付いたことあんだよね、私」

 

「それは」

 

「教えない。あれよ。秘策ってやつ?」

 

「…」

 

「あいつ、なにかと私に執着してるっぽいしさ。だからこそやりやすい作戦っつーか」

 

「………」

 

「とにかくさ、それがありゃ、私一人でもなんとかなるかもしんないわけよ」

 

「…………」

 

「だから、ね。行って」

 

「………………」

 

 

喋る私を、無言で見つめてくる年長さん。心なしか、眉間に皺が寄ってるようにも見える。

 

 

「……………」

 

「……………」

 

「………絶対、戻ってくるからっ。二人、連れて」

 

 

私のスマホを仕舞って、年長さんが車を生成する。

 

女の子の草を踏み締める音が、はっきり聞こえるようになってきた。近い。

 

 

「絶対…絶対、連れてくるから。だから、耐えて…!」

 

「………」

 

「無事でいて…!絶対。絶対、だよ…!死んじゃ…!」

 

「死なない。死なないから。行けって」

 

「……………っ!」

 

 

大袈裟だなーなんて思いながら、運転席に飛び乗る年長さんを眺める。

 

そのまますぐにエンジンをかけて、車が発進する。

 

スピードを出して草原をあっという間に駆けていくのを見送りながら、また魔法少女の姿に変身した。

 

 

「………」

 

「……よぉ。おまたせ」

 

 

振り返れば、あの謎の女の子。心境の変化でもあったのか知らないけど、不機嫌そうだった顔が、少し穏やかになってるように感じた。

 

 

「…なぁ」

 

「………」

 

 

さて、年長さんには秘策だのなんだの宣ったわけだけども。

 

 

「わかんねーヤツだよなぁ。あんたもさ」

 

「……?」

 

 

無いんだよなー…そんなもん…。

 

ああでも言わなきゃ、私のお願い聞いてくれないかもって思ったから。

 

戦ってて分かったことがあるってのは、まぁ嘘ではないんだけども。

 

 

「攻撃はしてくるけどさ。あんた、なんていうか…敵意?みたいなのが無いっつーか…」

 

「………」

 

 

年長さん、見てたなぁ。私のこと。ジーッと。

 

バレてたね、ありゃ。嘘吐いてること。

 

 

「私達を倒そう、殺そうって感じじゃなくて。拗ねてるとか、駄々捏ねてるとか、そんなようなやつ」

 

「………」

 

「まぁ、その…。ただの勘なんだけどさ…」

 

 

それでも最後には車を出して行ってくれたってことは、信じてもらえたってことでいいのかな…。

 

 

「しかも、この前の神社では助けてくれるんだもん。…ほんと……わかんない」

 

「………」

 

 

もしそうなら、私に今出来ることは、一つだけ。

 

 

「…わかんないけど、さ。私、そういうのに呑まれたくないって思うし……」

 

 

凌いで、生き残る。そうすれば、年長さんが二人を連れて来てくれる。

 

それを待って、足掻いてみる。

 

 

「だから、さ。やるよ。私」

 

「………?」

 

「あんたと戦う。」

 

 

深呼吸して、腹を決める。本日三つ目のパイルを生成して、構えた。

 

 

 

「勝負!!」

 

 

 

パイルに魔力を流して、女の子に仕掛ける。

 

ここまでくれば多分、後もう少し。堪えてみせるんだ。必ず…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………それで。なにやってるんですの、貴女」

 

「うわ〜、赤ちんやらしいんだぁ」

 

「るっせ、バカ…」

 

「〜♪」

 

「ええ……」

 

 

 

はい、負けました。

 

 

 

あの後、気合も充分に女の子と戦った私だけど、結果は惨敗。

 

劣る実力に、疲れた体と、消耗した魔力。

 

そんなんでほぼ無傷の相手に太刀打ちできるわけもなく、そりゃあもうあっさり蹴散らされて終了。

 

 

抵抗する力の残ってなかった私は、女の子に押し倒されるわ、馬乗りになられるわ…。

 

挙句の果てには抱きしめられるし、何度もキスされるし…。

 

情けない話、気を良くしたらしい女の子に、されるがままになってるしかなかった。

 

 

「大学生さんの話じゃ、秘策があるとかなんとか言ってたって聞きましたけど?」

 

「今イチャイチャしてるのがそれなん?」

 

「違う、と思う……」

 

「…………」

 

 

めっちゃ恥ずかしい。年長さんはちゃんと二人を連れて来てくれたのに、私はこんな…。

 

なんかさぁ、すっげえ小物臭え感じしないか自分。あーもう、今すぐ自室に帰ってベッドで枕抱えながらジタバタしたい…!

 

 

「あのー、とりあえず動けないんで。ちょ、助けてもらっていいすか…」

 

「えー」

 

「別にいいんじゃありませんの?そちらの方も幸せそうですし」

 

「えと、そういう幸せも…ある…かも?」

 

「おめーらよぉ!!」

 

 

他人事だと思いやがってこいつら!

 

てか、年長さんはともかく、先輩とマジ子は曲がりなりにもチームメイトじゃないんかよ!?

 

 

「〜♡」

 

「アーッ!あ、ちょ!舐めた!こいつ首筋舐めた!ちょ、やめ…!」

 

「まぁ、情熱的」

 

「言ってねーでなんとかさ…!ひやぁぁ!吸ってる、吸ってる!キスマーク付けてるってこいつ!ちょ、マジで助けて…!」

 

 

 

 

 

駆け付けてくれた仲間達に、とんでもない痴態を晒す私。

 

我ながら情けなさ過ぎて、もうすぐ沈んで行こうとしてる夕陽と空模様が、やけに目に染みた。

 

 

 

 

 

生きるか死ぬかの、文字通り死闘を演じてみせるはずだったのになぁ…。

 

どうしてこんな間抜けな空気になったんだ……。

 

 

 

 

 





マギレコ本編の出来事

・残り時間20分。ウワサ本体を目指して水路を進む いろは、フェリシア、杏子の3人。結界が展開され、進路が合っていることに安堵したのも束の間。次々と不幸が襲いかかり、更にはミザリーオウルのウワサまで姿を現した。


・制限時間、残り1分。自分の攻撃がミザリーリュトンに通じず、焦るフェリシア。もうどうしていいのか分からず、全力でリュトンをいろは達の方へとかっ飛ばす。いろは はフェリシアと杏子に、「そいつを貫け!」「もう時間がねえ。一発勝負だ!」と、後を任された。

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