年長さんのイメージを活動報告に追加したので初投稿です。
「じゃあ皆さん、戦ってるってことですか?その、マギウスの翼って人達と」
「戦っているといいますか…目を付けられてはいるようですわね」
「ふうん…」
ソファに座るお子様に、あれこれ説明する先輩。
私はそれを、何をするんでもなく見てる。ジッと。ボケーっと。
「ウワサってのも、なんか危なそうです」
「何度かやり合いましたけど、未だ全容も知れませんからね」
「良からぬ人達なんですねー…。病院送りにしたらよかったかなぁ、あの5人」
「物騒!」
先輩が説明役なのは、教えんのが上手いから。だから任せた。
マギウス、ウワサ…。今まで経験したこと纏めて、相手に分かりやすいように整理して話す。私にゃあ出来ない。
せめて『がんばれー』って、応援でもしときますか。脳内で。
(しかし、まー…)
「この間追い回された時も、万引きかなんかに見せかけてやれば…」
「そんな陰湿なやり方あります!?」
「お店の中に引き込めばやりやすいですかね」
「なんてことを…」
(発言がなんか…)
穏やかじゃねーわ。そういや言ってたっけ。口が悪くなるって。
本人曰く、キレた時顕著になるらしい。けどこれ、絶対普段から片鱗は見せてるタイプだろ。
(クセのある小学生だこと)
大人しそうな見た目しといて、口のよくない怒りんぼ。
応援だけじゃ足りないか。労いも併せて送ろうか。当然、口には出さないけども。
「ね、ね。どうすんのアレ…」
「どうするったってなぁ、お前…」
マジ子が話しかけてくる。どうするってのは勿論、チビッ子のこと。
年長さんが迎えに行って、そんでここに来たのはいいけど、開口一番「世話になる」だもん。で、二言目には「家出」だろ?
「ヤバくない?」
「そりゃ、小学生が家出はな…」
「ね。昔のアタシみたい」
「ふーん?」
「姉ちゃんとケンカしちゃってさ。夕方になったらおなか空いて帰ったけど」
「それっぽい顛末なのがまた…」
つって、そんなもんだよな。意気込んで行っても、最後はなんのかんの帰るんだよ。子供の家出は。
私は…どうだったかな。したことはなかったはずだけど。家出って発想にも至らないっつーか。
不満の無い毎日。文句の無い生活。幸せだった、お母さんとの時間…。
………………。
「あの…。終わったよ、お掃除。二階の」
「ん…。あー、うん。どうも」
リビングに姿を見せた年長さんに、声をかけられた。考えごとなんてお終いにして、お返事。
「やってもらってアレだけど、いいのに。掃除とかさ」
「やりたいから…。私が」
「あんたの家でもないのに」
「うん。でも、お邪魔してるから。毎回」
そーですか。分かってたけど、譲らねーな。性分ってやつね。
「それで、どうなったの?あの子…」
「まだ説明中」
「終わりましてよ、今」
「あ、そう…」
なんのかんの話してる間に終わったらしい。チビッ子がソファに座ったまま、私達の方を見てくる。
「お話は大体わかりました。大変そーですね」
「大変…。まぁ、それなりに」
「私も目、付けられちゃったんでしょーか」
「あー」
特務隊のやつらボコしたもんな。やつらってか、白ローブ。恨まれてても、おかしかないか。
「なんか、怖いです。あんな人達がいっぱい居るとか」
「………」
怖…?えー……?
や、キレてたろ。全然怖がってなかったじゃん。怖がってる蹴りじゃなかった。あれは。
「うん、まぁ…。いいわ、それは」
「はあ」
「なんで家出ー?てか、なんでここ来たん」
あ、台詞取られた。…それこそいいか。別に。
「そりゃー、皆さんの連絡先しか知りませんし」
「でも、小学生…だし」
「いけません?」
「うーん…」
「それとも『お前は都会の寒空の下に放り出されて、惨めに震えていればいい』って言うんですか。子供に?そんなことあります?」
「……………」
年長さんが、黙って私を見てくる。チビッ子に言われ放題で、思うところがあったのか。
心なしかしょんぼりしてるよ。雰囲気が。
まぁ、うん……。ね。棘あるもんな。
「まぁ、その件は後で話すとして」
「そうなんですか」
「出来ませんわよ、素通りなんて。…それで、年長さん」
「ん…。なに?」
「少し、運転をお願いしたくて」
あれ。先輩、どっか出掛けんの?食材は昨日の買い出しのやつまだ残ってるし、必要ないよ?
それか、もしかしてパトロール?確かにこの頃、グリーフシードよく使うし、補充するのも大事だね。
「これから、この子のお宅に行ってきます。私と赤さんで」
「は?」
全然違った。待てって。どういうこってすかそれは。
「先輩は、まぁ分かるよ。なんで私もさ」
仮にチビッ子がこの家に居座るっても、責任者ってか、代表みたいなのは先輩だろ。私、要る?
「彼女の滞在に同意するのなら、私と貴女、家に住む二人の納得が必要でしょ。だから二人でお話を聞くのです」
「ふうん…」
律儀だこと…。別にいいんだけどなぁ、私に聞かなくて。
いや、でもなぁ…。親御さんからしたら、娘と一緒に居る人間の素性が知れないってのは…。
んー……。顔合わせて、聞いとくべきか。家出の原因くらい。
「…わかった。行くよ」
「よろしい。年長さん、お願いします」
「あ、うん…」
話は纏まった。少し面倒だけど、仕方ない。お宅訪問と行きますか。
「じゃあ…マジ子ちゃん。ちょっと、行ってくる」
「はーい。アタシ、どうする?」
「その子とお留守番を。帰りは歩きますので、年長さんが戻ったら、引き続き三人で留守番。よろしい?」
「あ、いいの…?迎え、行かなくて…」
「ええ。あぁ、そう。台所にお茶菓子を仕舞ってます。お出しして」
「お、マジか。はいはーい」
先輩が指示を出したところで、立ち上がって玄関に向かう。
「マジ子さぁ」
「んー?」
「私らの分、残しとけ」
リビングを出る時にそれだけ言って、私達は家を出た。
チビッ子のやつの、どっか他人事な「いってらっしゃーい」を耳に挟みながら。
「ん〜……」
「……………」
「ん〜…んん?んんんん〜…!」
「……………」
「んぬぅ〜…!」
うんうん唸るマジ子ちゃん。小さい子は、それとは逆。とっても静かにしたままで、手をスラスラと動かしてる。
赤ちゃんと先輩ちゃん。二人を送って戻った私は、二人と一緒に留守番中。
最初はおやつ食べてくつろいでたけど、宿題があるからって、小さい子はプリントを取り出した。
『あっ!アタシもシュクダイ出されてんだったぁ。マジやっべー…』
マジ子ちゃんはそう言って私をチラッと見てきたけど、首を横に振ることしか出来なかった。
手伝ってあげたかったけど…。でもゴメン。先輩ちゃんに、必要以上の手出しは無用って言われてるから…。
やらなきゃダメだよって注意してから、嫌そうにプリントに向かうマジ子ちゃんを見守った。
お菓子を全部食べちゃわないように、赤ちゃん達の分を、別のお皿に分けながら。
「ぬあーん…!もーダメ!ゼンゼンわからーん!」
「あー…」
そうして二人が宿題始めて、少し経った頃。マジ子ちゃんがギブアップ。
頑張って問題と格闘してたけど、ちょっとダメだったみたい。
「…大丈夫?答え、ダメだけど、ヒントくらいなら…」
「マジぃ…?」
「ん、ん…」
わぁ…。すっごく疲れた顔…。聞いてはいたけど、ほんとに勉強苦手なんだね…。
宿題のプリントを見させてもらったけど、進捗は芳しくない。所々書き込んではあるけど、どれも途中で止まって、答えを出すとこまで行ってない。
「うん。私、分かるから。解けるように、ちょっと教える」
「マジかぁ〜…!ありがど〜、ねんちょーさーん!」
感謝までされちゃった…。直接答えを教えるとか、私が代わりに解くとかじゃないし、これくらいならいいよね…?
「でもさー、ちょっちきゅーけー!頭ボーンってなる!」
「え、でも…」
「いーの!ちょっとしたらちゃんとやるから!」
「うーん…」
「この子もさー、長いことシューチューして疲れてるって、多分!ね?」
マジ子ちゃんが、小さい子の方を見る。話しかけられた彼女も、顔を上げてマジ子ちゃんを見た。
「…私ですか」
「うん!ヘロヘロでしょ?」
「もう終わってますけど…」
「マジでぇ!?」
「はい、とっくに。貴女がうんうんうるさくしてる時にはもう」
「ちょっとだけヒドい!」
どうも、小さい子はとっくに宿題を終わらせて、スマホでなにかしているらしかった。
本人に断ってプリントを見せてもらったけど、ミスは見当たらなかった。成績は良好なのかもしれない。
「天才かよー。えーっと、リモコン、リモコン…」
「テレビ見るわテレビー」って、マジ子ちゃんがTVリモコンの電源ボタンを押す。このまま宿題のこと、忘れちゃわないといいけど。
「んーっと。なにやってっかなー」
ボタンを押して、番組を切り替えていく。音声が少しだけ聞こえては、違うものに次々変わる。
今やってるのはどれもイマイチなのか、マジ子ちゃんの反応は良くない。
「んー、あんまオモシロそーなのは…。あっ」
「ん…?」
その言葉と一緒に、マジ子ちゃんのリモコン操作が止まる。何だろうって、私もテレビ画面を見てみる。
「……これ」
「うわ、なつかしー。まだやってんだねー、これ」
懐かしい。私も、まずそう思った。
テレビに映っていたのは、アニメーション。オープニング曲と一緒に、番組タイトルが大きく表示されているところ。
「私が、子供の頃からやってる。これ…」
「あ、そーなん!?やー、見てたんだよねー。幼稚園の頃とかさー」
「うん…。うん」
マジ子ちゃんの言うことが、よく分かる。共感できるってこと。
小さい頃、見ていた。今、目の前で放送されてるアニメ番組は、まさにそう。まだ続いてたんだなぁって思ったのは、私も同じだった。
「なんかこれとかさ、キンヨーの夜のとか、見んのがアタりまえー!ってなってなかった?」
「うん…。土曜の夕方、日曜の朝と夜とかも…」
「ゲツヨーの夜とかもね!わかるぅ〜!」
そうそう。それで、大きくなる内に、そういうのも見なくなっていって…。
「やー…なんかフシギだねー。なんつーんだっけこれ。デストルドー?」
「ノスタルジー…!ノスタルジーね…?」
「それー!」
びっくりした。難しい言葉知ってるんだね…。いや、意味は分かってないのかな…?
「んー。やっぱさー、こう、子供向けって感じだよねー」
「ん…?」
なんとなく、そのままアニメを見続ける。そしたら、マジ子ちゃんがそう言った。
「お話わかりやすくてさー、キャラも楽しそーにしてて」
「うん」
「でもこう、私らみたいなトシの子にはちっと物足りない…みたいな?」
「あー…」
成る程。うん、確かに。それはそうかもしれない。好きで見続けてる人も、何処かに居るかもしれないけど。
でも、それもある意味自然なことかもしれない。人間、変わるものだから。
心も体も大きくなって、そうする内に変わるんだね、色んなこと。ちっちゃな子達に向けたものから、抜け出して。
「そうでもないですよ」
異を唱える声がして、それを喋った人を見る。そこには私達と同じで、TVに目をやる女子小学生が。
てっきりまだ、スマホを眺めてるんだと思ってたけど。
「えー、なに。違うん?」
「内容こそ、子供向けなんですけどね。それでもキャラクターの生い立ちとか、重たい要素も意外とあったり」
「そーなんだ」
「劇場版だと戦…えっと、戦争してるシーンとかありますし。家燃えたりとか」
「え、マジ?それ、人 死んじゃうってこと…?」
「そこまではないですけど、ガチめなバトルシーンとかやりますよ。劇場作品なんで、作画もいいんです」
「へ〜…」
そうだったんだ。自分が小さい頃見てたアニメに、そんな実態が。見なくなって離れちゃうと、その分知らないことばっかりになるんだなぁ。
「すごいねー!もしかしてさ、詳しい?」
「…………別に」
「ほんとー?」
「ちょっと知ってるだけですから」
フイッと顔を逸らす、小さい子。表情こそムスッとした感じだけど、顔がちょっと赤いのを見逃さなかった。
あぁ、多分、詳しいんだなって。その反応は、詳しいやつだと思う。多分。
ちょっと意外だなって、思った。見た目も雰囲気も大人しそうで、勉強もできて。そういう趣味があるようには見えないから。偏見だね…。
「ね、ね!もっとイロイロ話して!聞きたい!」
「グイグイ来ますね…」
「ダメだった?」
「いや、そういうわけじゃ…。……じゃあ、まぁ、知ってる範囲で」
「うんうん!」
マジ子ちゃんの熱望に応えて、話し始める小さい子。
作品の内容、メインキャラクター、物語の舞台。そういうのを話す内に、ある種の熱が篭ってく、彼女の言葉。
放送話数、グッズ展開、原作漫画との差異…。
話がコアなものになる頃にはそれなりに打ち解けて、柔らかい顔を少しだけ見せてくれるようになってた。
「じゃあ、あの…。見ますか?劇場版…」
「見れんの?」
「つい最近、ラインナップに追加されて…」
「マジかー。えー、じゃ 皆で見よ!まだ時間あるし!」
そして気付けば、配信サービスで映画を見ることに。
……忘れてないよね?宿題のこと…。
それを言い出せないまま、立ち上がる。気付けば、お茶菓子と一緒に出した飲み物も空っぽ。
映画を見るって話なら、お供になるのが必要だもの。三つのグラスをトレイに乗せて、中身を注ぎにキッチンへ。
戻った頃にはアニメも終わって、TVは別の番組を映してた。
誰も見てない画面を消して、リモコンはテーブルに。急かすマジ子ちゃんの声に応えて、私もソファに腰掛ける。
小さい子を中心に寄り添って、午後の映画観賞と洒落込む私達だった。
「なにやってんだお前ら…」
「あー、お帰りー」
まだ映画の途中。「三人団子になって…」って呆れる赤ちゃんの、帰宅後 開口一番の一言を、私達は聞いた。
マジ子ちゃんはやっぱりっていうか、宿題のことは頭からすっぽ抜けていて。
先輩ちゃんから お小言ちくちくされながら、ひーこら言って問題解くのを、皆で見守ることになっちゃった。
なんか、ごめんね…?
マギレコ本編の出来事
・いろはの柊家探しの結果は芳しくなく、地図にはバツ印ばかり。そこに鶴乃から電話が来るが、要領を得ない彼女の発言に戸惑う。詳しく聞くと、とにかく中央の電波塔に来てと告げられた。