過去最高に更新が送れてしまったので初投稿です。
「やっぱり、育ってませんか?」
「なにが」
コントローラーの音が鳴る。カチャカチャ、ポチポチ、忙しなく。さっきからそう。
今日は休日。私とチビは少し前から、TVゲームに勤しんでた。勿論、なかよし作戦の一環で。
「カイワレですよ。昨日話した」
「あー」
一旦手を止めて、庭を見る。私達がえっさほいさ掘り返した土があって、そこにちょこんと生えてるものが、チビが言った、カイワレってやつ。
言われてみれば、確かにな。植えた時はもっと細くて、すぐ萎そうな感じだった気がする。
それが今じゃどうだ。葉っぱの色艶も良くて、白い部分も太くなってきたような。カイワレって、ああいうもんなのかぁ?
「ちょっと、手ぇ止めないでくださいよ」
「ポーズくらい押しとけって」
話振られたら、そりゃ見るだろって。軽く舌打ちしてやって、捻った首を元の位置に。一旦止まった手を動かして、またカチャカチャっと音が鳴りだす。
「やっぱ、なんかあるんですかね」
「なに、あの草が?」
「ええ。あ、そのアイテム取って下さい」
あ、終わってないのね、その話。チビとの会話を続けながら、指を動かす。
「気のせいじゃないと思うんですよね。あれを植えて、ちょっと経ってからですよ。なんかスッキリするようになったの」
「それも言ってたな、昨日」
「マジ子さんと年長さんにも聞いてみたら、そうだねって答えたって、先輩さん言ってましたよっ…と」
「つってもなー。じゃ、なんで私だけそうなってないのかっつーことの説明が…。あーもう、まーた敵に当たったよもう…」
なるほど。その感覚が気のせいじゃないってんなら、やっぱりあの植物的なもんは、ただもんじゃないってか。私だけなんか違うのは、まぁ置いておくとしても。
「でも、それっておかしいわけですよ」
「うん」
「元々は、マギウスの翼が持ってたものじゃないですか。この現象も、救済とかいうのに繋がってるとしたら」
「裏感じるよなぁ、なんかな」
チビが頷く。あいつらが新手のセラピストだってんなら、まだ「新しいね」くらいで済んだんだけどな。そんな上等なもんじゃねーわ、絶対。
「それなら、やっぱり詳細 知りたいですよ。今のとこ、害はないですけど」
「毎日毎日、すくすく育ってんの覗いて、様子見ってのも飽きたしな」
「いっそ調べに行きますか…って、ちょっと。体力1しかないじゃないですか!」
「そりゃお前、こんな攻撃激しかったら…!……あ」
私が一言愚痴った直後。コミカルな音が鳴ってから、目の前にある液晶画面に、バーンとデカく表示される、悲劇の8文字。
GAME OVER
どっか悲しい音楽と一緒に、グテーッとノビてるキャラクター。さっきまで、私が動かしてたやつだ。ボタンを押してスティック倒して、そりゃもうしきりに。
「なにやってんですか。残機0だったのにー」
「素人だってんだろお前よぉ」
それでもここまでやったんだ。しかも、話しながらだぞ。褒めてもらいたいくらいなんだよなぁ。
「むー……。で、どうします?続けますか?」
「んー………」
私の目の前でノビてるキャラクターを見て、軽く唸る。まだまだ時間に余裕はあるし、やろうと思えば、まぁやれるけど…。
「〜」
「…………」
隣をチラ見。そこにはシーが座ってて、私の側で、なんか手をわちゃわちゃ動かしてる。なにさそれ。…や、待てよ…。
「………」
「!」
「あー、やっぱり…」
使ってたコントローラーを、シーにそっと渡してみる。そしたらしきりに指を動かして、カチャカチャ、カチャカチャ、弄くりだす。
私の予想した通り。どうもこいつ、私と同じことをしてるみたい。なんだろう。興味でも湧いたとか?
「シー、やるか?続き…」
「〜?」
「そこは返してくるんだ…」
「?」
「や、なんでもない…」
聞いてみるけど、シーのやつは手を止めて、こっちにコントローラーを渡してきた。や、返せとは言ってないんだけど…。
それともあれか。単に私の動きを真似しただけか。ゲームがしたいとかじゃなくて。
「ま、いいや。チビ、とりあえず休憩。体も固まっちまったし」
「そうですか。じゃ」
私の返事を聞いて、チビがゲーム機に近寄る。電源ボタンをOFFにしたみたいで、TVは真っ黒い画面に戻った。
そのままTVの電源も落として、一旦ゲームはお終いにする。
「っあ″〜……疲れたー。どれ、なんか甘いもんでも…」
「〜」
「お、くれるん?あー」
「〜♪」
体を伸ばして、テーブルに用意しといたお菓子を取ろうとする。そしたらシーが嬉しそうに持ってきてくれて、せっかくだからそのまま口開けて、その中に放り込んでもらった。
「まーた二人でイチャイチャする…。私も居るんですけどー?」
「なに言ってんだお前。口に菓子入れてもらったくらいでさぁ」
「恋人っぽいですし、今の」
「は?なにが…」
…ん。や、待て。口開けて、そこに食いもん入れてもらう。
それってあれか。俗に言う、「はい、あーん」とかそういう系の…?語尾にハートかなんかついてそうな、あの「あーん」…?
「…………」
「まさか、意図してなかったとか?なら、恐れ入りますよ…」
「うるせーわアホ…」
どこに恐れる要素あんの。別に恋人だけの特権じゃねーから、「あーん」は。いつ何時、誰にでも開かれてるからね、「あーん」の門戸は。
「………ところで、ですよ」
「あ?」
「どうでした。その……触れて」
触れてって、そりゃあお前…。
「ここ何日かの話か。アニメだ、漫画だって…」
「ゲームもね。ええ。マジ子さんからのお願いで、色々見せて、読ませましたけど」
「…………」
ほんとにな。おかげでほんの少しだけ、そっちの世界に詳しくなった気がするわ。
「仲、深まったんですかね。私達…」
「………………」
こっちを見ないでクッキーを齧るチビに、聞かれる。深まったか、か。まぁ、そうなるのを目指した作戦なわけだし。
仲良くかぁ。仲良く…。んー…。それはさぁ、お前…。
「わかんねーよ、そんなの」
愛読書を貸してもらって、好きなアニメも見せてもらって。必要経費だからって、先輩が出してくれた金で、ゲーム機とソフトも、一緒に買いに行ったりしたけど。
そうして時間と話題を共有したところで、私が出した答えっつったら、まぁそんなもんだった。
「…そう、ですか……。分からない…」
「ん」
そう。分からない。分からなかった。
けどさ。
「夢中になる人が居るってのは、理解できた気がするわ」
「え……」
仲がどうとかは分からなくても、それだけは言える。実際に触れてきて、素直に感じたことだから。
現実じゃあ、まず ありえないことばっかり。何が起こるか分からなくて、「そんなわけねーじゃん!」ってツッコみたくなることもしばしばだけど。
「私もさ。見てて、おもしれーってなったりしたから。楽しかったり、じーんときたり。まぁ、色々?」
「………」
「そういう面白いもんがあるんじゃ、そりゃあ生まれるわけだよなって、思ったわけ。熱狂的なやつらがさ」
作り物ではあるけども、それは単なる物じゃなくて。なんてーのかな。
そこには別の世界、別の誰かの物語が確かにあって。種類も多くて、現実離れしたそれは、見た人の何かを動かしてくれることもある。凄いもんなんだと思うんだ。
要するに、素敵だなってこと。
「だから、その…。怒るよなって」
「………」
「お前だって、腹立ったよな。そんくらい好きになっちまったもの、やめろとかって言われたらさ」
「それは…」
「いくら親だからってそんな。なぁ?」
漫画やアニメ。そういうものは見ちゃいけないって。すぐにやめた方がいいって。そう娘に言っちまったって話を、チビの両親は聞かせてくれた。
事情を聞きに行った時の、私と先輩に。
「………けどさ、チビ。私、思うんだわ」
「………」
「お前の両親、やっぱなんかあるんじゃないかって」
だってあの時、あいつの両親は辛そうで、悲しそうだったんだ。自分は正しいことしたぞって思ってる人は、多分、あんな顔しない。
「理由がさ、あるんだって多分。だから、お互い腰据えてさ。話せば、絶対…!」
「赤い人」
「っ……」
出しゃばりだって、分かってる。それでも、あともう一回だけ説得しよう。
そう思って切り出してみたけど、チビにデカくてハッキリした声で名前を呼ばれて、制されちまう。
少し怒ってるみたいな声色。やっぱり、地雷だったかな…。
「……ふぅ…。大丈夫。分かってますから。そういうの。私」
「あぁ…そうなの?」
「はい」
気まずくなる私に、チビが言う。そうなんだ…。前は、反発して食ってかかってきたのに。ちょっと変わったか、こいつ。
「ずっと、考えてましたから。これから、どうしたらいいかって」
「そっか…。じゃあ お前、もしかして」
「その前に、です」
また遮る。なに。前になによ。
「ねぇ、赤い人」
「……おう」
「取り返したいって、思いません?」
…えーっと…?そう言われても。いまいち要領得ないのはだなぁ、お前…。
「っていうのは…?」
「あぁ、そうだ。そういえば、今日の晩はたこ焼きパーティーでしたよね?」
「え、あぁ…?え?…や、まぁ、ね。うん…」
え、待って。なになに。なによ。何でいきなり話飛んだの。混乱するからやめてくんない。
そりゃまぁ、確かにマジ子のリクエストで、今日はタコパをやるんだけども。
「土産話。酒の肴ってやつが、必要なんじゃあないですか。お酒は言葉のあやだとして」
「………えーっとぉー…」
「もー。ウワサを調べましょってことです。ゲームしてる時、言ったでしょ」
「えぇ〜…」
や、言ってた。言ってたけども。「いっそ調べに行きますか?」ってさ。それの何が、「取り返す」ってのに繋がるんだか…
「……あー」
「分かりました?」
「あぁ、うん。まぁ」
汚名を雪ぐ…とかってんじゃないけど。ミスを帳消しにしましょってワケね。今の私達、どっか沈んでるから。
主に、マジ子に怪我させた件で。
「罪滅ぼしなんだ?」
「マジ子さんは、そういうの 望まないでしょうけど」
「それは、まぁ」
「でも、私が納得しませんから。仮に、私の抱える問題が解決したって、このままじゃ。しこりが残っちゃいます」
なるほど。そりゃ、よくねーかもな。納得は優先されるべきだよ。納得いかないんなら、いくようにしなきゃ。そういうもんだ。
「どう調べるん?」
「とっ捕まえて聞きますよ。あの不審者ども」
「話すかね」
「ぶちのめして吐かせましょ」
うわー、乱暴。いいの?魔法少女が、そんな野蛮なやり方で。
「貴女も、溜まってるんじゃないですか。鬱憤とか。さっぱりさせるには丁度いいです」
………………まぁ、ね?
「八つ当たりって言わねー?それ」
「怪しい組織の一員懲らしめて、その企みを暴こうっていうんですよ?正義はこちらにありますよ」
「なにそれ」
思わず、ちょっと吹き出した。なんか逆に悪役っぽいよ、その台詞。
…まぁ、お似合いかもね。今の私達にはさ。なぁ?
「はぁーあ……。おっけ。乗ったわ」
「じゃ、行きますか?」
「おう」
そうと決まりゃあ、善は急げ。休憩時間を切り上げて、三人みんなで玄関へ。お出かけタイムといきますか。
「シーさん、当てになりますか?」
「また居なくなると思うけどなぁ」
「間ぁ悪いですよね。ワケ分かんない人ですよ。人じゃないけど」
「多分それ本人も気にしてるから。やめてやって」
「〜」
「あーよしよし…ショボくれんなって…」
チビと話して、シーをあやして、靴を履く。ドアを開けて、外に出た。
「案外、シーさんがなんか関わってたりして」
「あー?」
「赤い人だけスッキリしないの」
「まさかー」
「ベッタリですもん」
「理由になってねーんだよ」
家の鍵を閉めるのも忘れて、そのまま小走りで敷地を抜け出す。そんで家から離れるにつれ、走る速度は上がっていった。
そうして街に繰り出してく私達は、多分、悪い顔をしてたと思う。
案の定、気付けばシーは消えていた。
「ただいまー!……って。あれー?二人とも居なくない?」
「入れ違いに、なっちゃった…?」
「出掛けたということですか。もー。置き手紙の一つもなければ、鍵も閉めないで!」
「まー、なんかあればレンラクくるっしょ!それよりもー…」
「?それ、なに…?」
「トチューでひろったのー!なんか、似てるなーって!」
「似てるって…」
「ニワにうえてるやつ!カイワレ?だっけ。それに!」
「またいつの間にそんな…。まぁ、確かに似ていますけれど…」
「でっしょー!ニワにポツンってしてるからさ。きっと、これでサミしくないよ!」
「えっと、植えるの?それ…」
「ん!そんでさー。二人が帰ってきたトキに、サプラーイズ!って感じにすんだー!」
マギウスの翼との接触を目的に、外に出てきた私達。差し当たっては、前にチビと会った場所の辺りに行ってみることにしたんだけど。
「ようやく…!よーーーッッッやく会えたわねぇー!このアンポンタンどもー!!」
まさかの、いきなり大当たり。しかもご丁寧に、特務隊の白いやつじゃん。このやかましい話し方は。
「って、んん!?よく見たらなによ!二人しか居ないじゃない!他のはどーしたのよ!」
「買い物」
「そう!休日だものね!不思議じゃないわ!」
その休日に、お前はそんな怪しいカッコして何してるわけ。もっと有意義な時間の使い方とかなかったんか。
「そういうオメーはどうしたよ。そっちも取り巻き居ねーじゃん」
「今日は返せって言わないんですか?あの植物、もう庭に植えちゃってるんですけど」
「ちょ、いっぺんに喋らないで!そこまで器用に出来てないから!」
そりゃあ悪うござんした。で?どーなの。そこんとこ。
「今日は訳あって一人よ!人手が足りないからって、うちのメンバー持ってくなんて…まったく、特務隊をなんだと思ってるのかしら!」
「ふーん」
「あ、でも終わり次第、こっちに合流することになってるからね。そこは安心なのよ!」
へー。つーことはなにか。こっちがモタついてたら、その内数で負けちまう、と。てかそれ、話してよかったの?
「それで?えーと、なんだったかしらね…」
「あの植物の」
「そうそう!それよ!あれから大変だったのよ!?私!」
「はぁ…」
曰く、他の隊の奴らにチクられて、上から怒られた。曰く、反省も兼ねて数日間、炊事をやらされた。曰く、教官から折檻された。曰く。曰く。かくかくしかじか…。
「でもね!いいのよ!もうそんなことは!あの苗も、取り返そうとは思わないっ!」
「あれ。いいんですね」
「ええ!思い付いたから。それよりも、もっと野蛮で、もっといいこと!手っ取り早いやり方をね!」
そう言って、懐からなんか取り出す白ローブ。なんだアレ…?四角くて、緑色で…。
「見なさい!これはねー!秘密兵器なの!私がエゲツない程頭を下げて、マギウスからお借りしてきたものなのよ!」
「組織のトップが直々に…?」
「あぁ。だとしたら…」
ウワサか、それと同じくらい厄介なもんの可能性が高いか…!
「貸してくれって頼む時、マギウスはなんて言ったと思う?代わりにカレー奢れって、そう言ったのよ!」
「その情報いる?」
「なによ!私も付き合って同じの食べたのよ!?チキベジよ、チキベジ!美味しかったわ!」
「あ、はい。よかったですね…」
どうでもいいだろ、カレーの話は。なんでいきなり上司とココイチ行った話始めたの?
「ま、それはいいとしてね。これがなんの為にあるかと言ったら…」
「あ?」
「こうする為よっ!アンタ達をねー!!」
「!?なにっ…」
白ローブが、持ってた緑の何かを放る。不意打ち気味に投げられたそれは、眩しく光ったかと思ったら、私らを取り込むみたいに広がっていって…
「んだ、これ…」
「結界、ですか…?でも、こんなの」
ああ。見たことないやつだ。魔女のもんでも、ウワサのもんでもない。この魔力の感じ、むしろ魔法少女の…。
「!」
「赤い人!」
「分かってる。居るな」
ちっと困惑してるところに、慣れ親しんだ、いつもの反応。魔女のもんでもない結界に、どうして居るかは知らねーけど。
「けど、こりゃあ…」
「すごい魔力と、穢れですね…。うー…」
怖気を感じて、体が軽く震えてくる。
こんな感覚、今まで片手で数える程度にしか経験したことがない。嫌な汗が、伝った気がした。
反応がある方を見れば、地面から盛り上がってくるみたいにして、魔女が姿を現した。黒くてデカい、手みたいなやつ。白い手も、周りに何本か。
「さぁ、どうよ!驚いてもらえたのかしらね!」
結界内でもよく通る声を響かせて、白ローブが現れる。魔女に背中を見せてるってのに、特に焦った様子もない。
「これが、秘密兵器ってわけ?」
「えぇ、そうよ!邪魔してくれるアンタ達のこと、ベシッとブチのめしてやる為のね!」
「ふうん…」
なるほど、確かに。すごい力を感じる魔女だ。言うだけのことはあるかもな。
「自分でやっても勝てないから、魔女に頼ろうってんだな。腰抜けなのかよ、翼ってのは」
「なんとでも言ったらいいじゃない。そんな苦い顔して言っても、説得力なんてないのよねー」
「チッ……」
舌打ち。しっかりバレちまってやんの。だってお前、思わないじゃん。あんなヤバそうなのが来るなんて。
「……さーて?おしゃべりも、このくらいにしましょうか」
何か合図するみたいに、白ローブが片手を挙げる。
「っ!魔女が!」
そしたらそれに反応したのか、魔女のやつが動き出す。杭みたいなのを持った白い手を、こっちに向かって振りかぶる。
「魔法少女。そして魔女…。交わらないはずの二つの力が、アンタ達を、今!蹂躙するのよ!精々覚悟することねー!!」
魔女に続いて、白ローブも戦闘態勢。いつか見せた剣を出して、こっちに向けて構えてきた。
「マギウスが丹精込めて育て上げた、とびっきり強い魔女の、その一体!存分に恐れ、慄きなさい!やっちゃって!!」
その言葉と、白ローブが手を振り下ろしたのを合図にして、魔女が攻撃を繰り出してくる。私達は変身して、対応出来るように身構えた。
…うん。身構えたんだけど。
「ぐええええええええええ!?」
肝心の魔女の攻撃が、私達まで届かなかった。
ていうか、私らじゃなくて、思っくそ白ローブを狙った攻撃だったっていう。
無防備なところに強烈な一撃を叩き込まれて、その衝撃で、奴さんは吹っ飛んでいく。
地面に叩きつけられて、それっきり動き出すことはなかった。気絶でもしたんだろ。多分。
「えぇぇぇ…」
「まぁ、そうなるかなって、ちょっと思いはしましたけど…」
自身満々な態度をしてるもんだから、てっきり魔女を制御化にでも置いていて、使役でもしてるのかと思ってたけど、そんなこたぁなかったみたい。
え、じゃあなんであの白いの、命令下してますみたいなポーズしてたの…?めっちゃドヤってたのが、クッソ哀れに思えてきたんだけど…。
「まぁ、いいんじゃないですか…。二対一になりました。よかったですね。有利ですよ」
「言うほど有利なのかなぁ、これは…」
体感的には不利って感じなんだけど…。あの魔女、魔法少女4〜5人分くらい強いんじゃねーの?
「つっても、逃げ場もねえしなぁ」
「そうですよ。出口の場所も分かりませんし」
しょうがないから、覚悟を決める。
まったく、あの白女。自分はさっさとノされちまって、厄介なもんは私達に押し付けやがって。
「…ま、いいやな」
「ちょうどいいです。ここらでひとつ、成果を確かめるとしましょう」
「それと、鬱憤晴らしもね」
相手は強い。無事じゃあいられないかもしれない。この前以上に、怪我もするかも。
でも、チャンスなんだ。
なかよし作戦の成果を示す。
私とチビの負い目を無くす。
マギウスの翼を捕まえて、ウワサの情報を吐かせる。
そして、チビが納得する為に。
それら全部、解決する。ここで、あの魔女を倒せれば。
そうして、抱えた憂いが全部なくなれば、今夜のたこ焼きパーティーだって、きっと悪くはなくなるから。
だったら、負けない。ここがいわゆる、正念場だ。
チビと二人。武器を構えて、魔女を見る。
広い視界の、その真正面に、捉えていた。
マギレコ本編の出来事
・第一部 第5章六話 終了後〜第5章七話 開始前