このSSの今後の方針について、活動報告に書いておきましたので初投稿です。
6-1 講義のお誘い・特務流
マギウスの、そしてマギウスの翼の本拠地 ホテル・フェントホープ。特務隊の面々は、今日も今日とて、任務に勤しむ…
「あー、居た居た!みふゆさーん!」
「あら、えーと…。と…特務隊の」
「はい!特務隊です!」
「どうも…」
…わけでなく、今日は少し事情が違った。その為に彼女ら…というか、リーダーの白羽根は部下達を引き連れ、纏め役の梓みふゆを探していたのだから。
「あの、みふゆさん!」
「え、はい」
「講義なんです!私達!」
「え、なん…?ちょっと唐突で…」
「あちゃー…」
自分達、羽根にとっての恩人。かつ、拠り所にしている者も多いみふゆに迫る自分達の隊長の姿を、だいぶ呆れた目で見る黒羽根達。
順序立てて説明するということをしてほしいもんだと、溜息の一つでも吐きたい気分だった。
「ええと、順を追って説明していただいても…?」
「あ、はぁい!勿論!実はですね?」
「あー、隊長。隊長が出るまでもないっすよ。私らが代わりに」
「そう?悪いわね!」
『いえ…』と適当に返事をして、事の経緯を説明する黒羽根達。この人はどうもズレてるというか、そそっかしいというか。
とにかくそういう人だから、これ以上変な言動で相手を困らせても困る。そう思って、自分達で説明しようと前に出たのだ。
「…なるほど。では、その魔法少女のチームの方々に対して、真実を打ち明けようと…」
「そういうことみたいですけど…」
「平和的に解決しようとするのは素晴らしいと思います。ですが…」
「ええ…」
言われて、自分達のリーダーをチラと見る黒羽達。だが当の本人はその視線の意味を察することができず、ニコニコと笑って首を傾げるだけ。
今度こそ、溜息が出た。それも全員から。
「私らも、なんか急じゃないかって言いはしたんですけどね」
「真実を知って、解放の証を直に見ちゃえば、ウワサにちょっかい出して危険な目にも遭わない。あわよくば、こっち側に来てくれるかも。そういうことみたいです」
「そうですか。相手側のことも、考えてはいるんですね…うーん…」
みふゆは考える。彼女らが対立している、魔法少女達。話を聞く限りではマギウスにとって、なんら障害にはなり得ない。羽根達と同じ、弱い部類の魔法少女だと言えよう。
気が強い 威勢が良い子も居るようだが、そういう人こそ 実は精神的には脆かったりするもの。自分の古馴染のような、強い人には成れていない子かもしれない。
そんな少女達に真実を打ち明け、自らの行く末を思い知らせる。それは、果たして上手くいくのか…?相手の心を、壊してしまうことになりかねないか…?
(…なんて。ワタシが言えたことじゃあ、ありませんよね…)
そうだ。自分も今さっき、マギウス…アリナ・グレイと話して、古馴染の居るチームに、真実を知らせる。そう決めたばかりではないか。みふゆは少し、自己嫌悪に陥った。
「みふゆさん?」
「…あぁ、いえ。なんでも。しかし、貴女達も講義とは…。記憶ミュージアムが使えれば、話はより早かったんですけど」
「なんです、それ」
「他の部隊のやつらが話してるのを聞いたことあるわね!なんか、記憶に影響がどうのって」
「ええ。相手になにかを伝える。知ってもらうという点では、とても便利なうわさなんですよ」
はへぇ〜なんて特務隊の面々が関心してるところに、「ですが、間が悪かったです」と、話を続ける。
「実は、マギウスからの命がありまして。近いうち、そのうわさがある場所で講義を行う、と」
「へぇー、マギウスも講義を。偶然ですね!」
「ワタシとしては、貴女が講義という名目を出してきたことの方に偶然を感じますけどね…」
まぁ、それはいいとしてだ。そういうことなら、特務隊のお相手も、一緒に記憶ミュージアムへ放り込むという手もあるかもしれないが…。
「今回の講義は、相手が相手ですから…。皆さんもご存知ですよね。うわさの精力的な調査、排除を行っているチームが居るというのは」
「あー!なんでしたっけ?西のベテランが居るっていう…。えーと…むつみだかなんだか…?」
「ななみ。七海やちよですよ隊長」
「それよ!」
そう。みふゆが長きを共に過ごし、今は袂を分つことになってしまった、彼女。そして彼女を含めた、複数人で構成されたチーム。
彼女らに散々損失を出されている自分達にとっては、今回決まった講義は、それを一気に解決するチャンスとなり得るのだ。
だからどんなに小さく些細なものだとしても、イレギュラーになりかねない要素は排除しておくべき。みふゆはそう考える。で、あれば…。
「…分かりました。特務隊の講義の件、ワタシはやってみていいと思います」
「本当ですか?やった!」
「ですが!くれぐれも慎重に。相手を無闇に刺激せず、双方落ち着いて、穏便に話を進められるよう配慮しながら…」
「分かってますって!特務隊ですから!んもーバッチリ!」
(本当でしょうか…)
この子達…というよりも、この白羽根の子。元気が良いのも、仲間への思いやりを持っているのもよろしいのだが、どうも猪突猛進な感じがするというか、いつでも勢いが良過ぎるのが 少し問題。
みふゆが特務隊の講義に関して懸念を感じているのは、そういう部分もあった。また、なにかやらかさないだろうか、と。先日も、アリナから借りた魔女を倒されたと聞いたのだし。
もっとも アレは貸した本人曰く捕獲したはいいが、どう頑張っても自分の気に入るアートにはなれそうにないゴミだから適当に処分するつもりだった、弱い個体だそうだが。
「さ!お許しも頂いたことだし。いくわよ!アンタ達!」
「ちょ、隊長!」
「じゃあ みふゆさん!アタシ達、失礼しますねー!」
「あ、はい…」
自分達の発案を後押しされ やる気になった白羽根と、それに慌てて付いていく部下の黒羽根達。特務隊とは名ばかりの問題児達を見送りつつ、みふゆは切に願った。
(どうか何事もなく、平穏に…。平穏無事に終わりますように…)
「さーて、忙しくなるわねー!」
「ほんとにやるんですかぁ…?」
「たりまえでしょ!何の為に、あの時 魔力反応追ったと思ってんのよ!」
「めちゃくちゃ探し歩いたじゃないですか…」
「ほんっっとに、か細い魔力の残滓でしたもん…」
「めっちゃ神経使ったー」
「でも、その甲斐あって見つかったじゃない!奴らの根城!」
「そうですけどぉ」
先日、お邪魔虫達の一員と、何処かの廃ビルで一悶着あった時のことを話しながら、拠点の中をズンズン進む一行。
聞こえる言葉の大半はメンバーからの愚痴ではあるが、リーダーの白羽根にとってはいつものこと。慣れたものだった。
「で?アンタ!」
「え、私?…ですか」
「そ!頼んどいたわよね?招待状!」
「あー、あれですか…。それはまぁ、はい」
「ん!よろしい!」
招待状というか、まぁお手紙というか。とにかく、そういったものを、あの魔法少女達が集まる家に送っておいた。頑張って、住所や郵便番号も調べて。
なんか、お金持ちが住む家みたいな感じだったし、皆と話す時みたいな気軽さがあっちゃいけないかなぁ…なんて思って、畏まった文章を、彼女は頑張って書いてみたりもしたのだ。
…非常に慣れない書き方にとんでもなく苦労して完成させた甲斐あって、なんか変な感じになってしまったのは、ご愛嬌。
「ふふふぅーん…。いよいよ…いよいよだわ。とうとう決着をつける時が来たのよねぇー!私達と、あのアホたれ共の、長きに渡る因縁に!」
「言うほど長いすかね?」
「いや全然」
「遭遇したのも、数える程だしねー」
「言葉のあやよ!いいのよ実際の時間は!会えない時間で育まれたものだってあるでしょ!」
恋人か、夫婦かよ…。内心ツッコミぶっ込んで、それでもリーダーに付いて行く。それが彼女ら、特務隊。はみ出し者の、寄せ集め。
「さ、時間がないわ!具体的なプランを詰めていくわよ!」
『えー………』
「美味しいスイーツの食べられるお店で、ゆっくりと…ね!」
『隊長ぉー!!』
頑張る女の子達の、次の戦いが、今 始動した。
「あ、もちろん割り勘ね」
『クソヤロォー!!』
上手く行くかは、遥か空の彼方から見守る、彼女にだって知らないことだ。
マギレコ本編の出来事
・自分達と対立するチームみかづき荘への対処を話し合う、みふゆとアリナ。マギウス達は自分達のことを理解してもらおうということで、みかづき荘の面々に対し、「講義」を開くということで一致したらしい。真実を知った上で敵対する やちよだけはどうにかしろと言うアリナに対し、やちよのことをよく知るみふゆは、ちゃんと策を用意していた。