クッッッソ久しぶりのほんへ更新になってしまったので初投稿です。
生まれた子供に罪はないんだって、そんなことくらい、私分かってた。や、まあ…親だって別に悪かないけどさ。お父さんも あの人も。
弟が生まれた後に、ベビーベッドでグースカこいてるのを見たことがあった。つって、何回か…それこそ、片手で数えられるくらいだけど。
「お父さんと、あの人の子供か」って。同じお腹の中から生まれちゃいないのに、血は繋がってるなんて。そんなの、なんか嫌だと思った。そういう子供のことを、私は弟だと思わなきゃいけないのかって。
それなら虐めてやることだってできたのに、私はそうしなかった。人畜無害そうな、透き通った目が私を見てたから…かは知らない。なんとなくだった。
ほっぺたを軽くつついてやった私の人差し指を握る弟の小さい手は、すごく暖かかった。
「はーいはいホラ!いつまでしょげてんのホラ!」
(こいつっ……)
魔法少女は、ソウルジェムを壊されれば死ぬ。私達の命…魂が、ちみっこい宝石なんかに詰め込まれちまったばっかりに。
そんな話をしといて羽根のやつら、それをなんてことないものみたいに。しょげてるってなんだオイ。尻叩いてるつもりなのかよ…!
「もういいですよ…。私たちみんなこれ以上、まともに話すとか聞くとか、そんなこと」
「チビちゃん…。うん…そう、だと思う」
見ろよ、なあ。チビも…年長さんだって、明らかに弱ってる。
しかもそれだけじゃなくて、なんか冷えてるんだよ、空気が。私達のチームだけが。冗談通じない、ガチなやつ。
ほんとさ。どうしてくれんだお前ら。
「なによ、凹んでんの?ダメよアンタら そんな。ちょっとこう、なんていうの?命の形が変わったくらいで!」
「いや、それはそもそも貴女達が…」
「ん?」
「…いえ、いいですわ…」
「? そう」
元はっつったら、ローブ共がこっちのメンタル追い詰めるようなやり方したのが悪いんじゃねえかよ。当の本人…つーか、白ローブはそんなことも分かってなさそうだけどな。そりゃ先輩も投げやりになる。
「なんにしてもね、まだ聞いてもらわなきゃならないわけ。なんせ本番よこっから」
「はぁ……?まだあるんかよ お前…」
「そりゃあそうでしょ!言うなればアンタねぇ、今までのはイントロなのよ。さわり、プロローグ、前置き、あらすじ、前座…。食材を切っただけってことでしょ!?あれ、違う?」
知るかよ…。
「とにかくね、本題はこっからなんだから。静聴しなさいってのよホラ!」
「…………」
「…でしたら、すぐにでも話していただけますか」
「まだ元気ないんだから。ま、いいわよ。じゃ、早速話すんだけど」
「………」
「…………んん」
…。
「んん〜。やぁ、こぉ〜れ……ッスゥ-.....やーでもなー」
………?んだよ…。
「どうすっかなぁやっぱこれ…あ、ねぇ。どう思うこれ」
「や、言って下さいよ。言わなきゃあんた、ねえ?」
「でもさ〜、どうやってこれ…。知ったらヤバくなるよなぁってさ」
…………………チッ
「え、なに。話さないんすか?なんすかさっきから」
「なんかこのバカタレが『いや〜迷っちゃって〜』みたいな」
「はぁ〜。んもぉほんとこの人さぁ〜」
「なによ、そんなアンタ…!誰だって躊躇うでしょこんな。つーかね、しれっとバカタレ呼ばわりして」
………………………ああもう!!
「ッ!!」
「おえええええい!?」
「なぁ!?あっぶね!!」
「赤さん…?」
また変身して、パイルから衝撃波をブチ込んでやる。今度こそ当てるつもりで撃ったのを避けられたけど、そんなことはどうでもよかった。
いいだろ別に。また腹立ってきたんだよ、こっちはな!
「言うのか、言わねーのか!あ!?」
「やーもう、やめなさいってもぉ!怪我するでしょ、私達がぁ!」
「知らねーわ!で!?言わねーのかって!」
「言うって!言うわよ、っとにもー…」
「やーよねー、キレる若者って」とかなんとか白いのはブー垂れるけど、無視だ無視。私が食ってかかれば話が進まなくなる。何か言いそうになるのを、なんとか抑えた。
「ま、実のところね。ちょっと酷いのが過ぎるわけなの、次の話は」
「え、ひどいん…?さっきのより?」
「そうよ。でも、マギウスの翼に居る奴らはみーんな知ってる。勿論、私たちだって。それが加入の条件ってのもあったし」
「そそ。メンバーシップオンリーってことっすよ。いや、なんかちょっと違う…?」
ローブ全員、得意げになってやがる。ムカつくんだよ。今の私には特に効果的だな、えぇ?
「とにかく、そういう隠れた情報を知りたいというなら、方法は幾つかあるわよね?」
「ある日、ある時、偶然知るか」
「その、自分も混ざってみるとか…。輪の中に、です」
「…………つまり?」
短く、端的に質問する先輩の、神妙な顔。本当は分かってんだな。やつらがなに言いたいのか。
それは、私だって同じなのかもな。当たり前だ。あのアホどもは難しいこと言ってんじゃない。
あー………ほんっとイライラする。想像しただけで。
「いっそ仲間になっちゃえば?って選択肢もあるのよ。そうすれば」
「もういい、喋んなお前」
「ちょっとなによ赤いの、遮らないの!こっちに来れば、私達の目指す解放のことだってちょっとは──」
もういいっつったろ。やめろ。
「や、気持ちは分かるわよ?私達、敵だもの。でもね?ショッキングなことなのよ ほんとに!」
「だからこそお互い歩み寄って、仲間意識を持てる関係になってから話すことでほら、ね?真実の痛みを柔らか〜くしてあげられるっていうか」
や、ウザいって。だからさ、やめ…
「まぁ、知っても大丈夫っちゃそうなんだけどね?どうにかなっちゃった時の対処も簡単になるに越したことはないし──」
…
「──っとぉ!」
…………。
「ヒー、危ない。こういうのって、天丼って言うのかしらね?」
「チッ」
今度こそ、私は撃った。奴らにパイルで、衝撃波を。ほんっっとにムカついて仕方ねえから、直撃コースで。
地面の塵が巻き上げられて、空気も押し除けて一直線にブチ込まれたそれは腹立つことに、奴らには届かなかった。
白ローブが反応して、武器の剣で衝撃波を叩っ斬ったからだ。
「当てられると思った?特務隊の、この私達に」
そう言って白ローブは衣装に纏わりついた埃を叩いて、余裕そうなツラをしやがる。知らねーよ、アホタレ共の肩書きなんてのは!
「つか、お前なんなんだよさっきから。人様を好き勝手振り回しやがって…」
「そうだよぉ…ソウルジェムのこととか、首…とかぁ…」
弱ったような声で呟くマジ子のやつに、チラッと目を向ける。こいつもいい迷惑だっつーのな。血なんて被せられて、汚えの。
で、お次には自分達の仲間になれって?コソコソ隠れて人様に被害ひっ被せるような奴らのかよ?ふざけんじゃねえって。
「カルト宗教の勧誘なら他所でやっとけ。私さ、いい加減我慢ならねーんだわ」
「ん?」
「こっちの知りてえことには答えない。お次は私らに人間から外れたって突き付けといて、終いには本題を話すから、お前らの側になれだぁ?」
ムカっ腹のままローブ共にパイルを突き付けて、私は続ける。ふざけんなコイツらって気持ちを込めて。
「整理の付かねーやつらにごちゃごちゃ撒くし立てりゃ、思い通りになってくれると思ったかよ。え?冗談じゃねえんだわ、オイ」
「なあに、その難癖。じゃ、どうするのよ?」
「決まってんだろ!」
さっきと同じ。当てる気でパイルを起動して、押し込む。ジェムが無事ならいいんだよなあ?
「ふんっ!」
けど、撃った衝撃波は当たらなかった。さっきと同じなのは、白ローブも同じ。攻撃を打ち消された。
「無駄だってば」
「………」
「で?今のが答えってわけ。ふーん?そういうことする?」
したけど?したからなんだよ、あ?
「気に食わねえんだよ、お前ら。いっぺん潰さなきゃ気が済まねえ」
「え、バカじゃないの?アンタ、チンピラ?」
何とでもどうぞ。お前らシバけるならなんだっていい。ワルだろうがゴロツキだろうが、今だけはな。
「はぁぁぁ〜…。ま、いいわ。その為の、このだだっ広い廃工場なんだし」
「あ?」
「敵として、今までやりあってきたんだもの。こうなった時のことは考えておかなくちゃあ。ねえ?」
「あっそ」
んだよ。じゃあ最初から殴り合えばよかった。何が講義だ、無駄な時間取らせやがって。
「でもいいの?本当にバトる方向で」
「日和んなチキン」
「アンタはよくても、他の奴らはどうなのよ。高みの見物してるってわけにもいかないじゃない」
「はぁ…?」
白ローブにそう聞かれた直後、衣装を後ろから軽く引っ張られる感覚をおぼえる。誰だよって振り返ると、俯いてるマジ子が視界に飛び込んできた。
「赤ちん…ダメ」
「なにが」
「ダメ。ダメだよ。だって…だっておかしいじゃん!」
だから、何がダメなんだって。分かるわけねえだろ、そんな首横に振ったってよ。
「もうダメだよ。アタシ達…アタシ、なんかもうパンパンだよ!いっぱいいっぱいってか…」
「とにかく、今日はもうダメだよ!カエろ?ね!?」
「はぁ?お前」
「赤さん!…私も賛成です、それは」
「なぁっ!」
マジ子だけじゃない。先輩までそんなこと言い出しやがった。止めんのかよ?何でだ!
「私達は揺さぶられています!チーム全体がこんな精神状態では、戦えない…。いつもの力なんて、出し切れると思って!?」
「私は平気だ!いつも通りだろ!」
「違う。と、思う…けど…」
「…そもそもあの白い人、なんで余裕そうにしてるんです?」
年長さんも、チビまでそんなこと言うのか。そんなの、どうせ白ローブが強がってるだけだ。
「仮にこのまま戦闘になった場合、こちらにはおチビさんが居る…。彼女一人いれば制圧は容易なのに」
「そんなもん分かってる!勝てるんだろ!?だったら、なんで止めんだって…!」
「それなのに、何故相手方は勝負に乗り気なんです?策があるとしか思えませんわ。それも、明確な戦力差を覆す程のもの」
「それは!」
「赤さん、分かって。相手が同じ人間である以上、魔女を相手にするより厄介な場合だってある。向こうの考えが分からない上、万全とは言い難くなってしまった現状では…」
「っ……………」
ああ、そうかよ。なるほど、そりゃそうだ。
正しいよな?先輩。チームを預かる、あんたの判断としちゃあ。そりゃもう理性的でいらっしゃるよ。流石だな。
「あ、そ。分かったよ」
「ほんと?赤ちん、分かってくれたん…?」
「あぁ」
「そっか。じゃあ…じゃ、皆で早く…!」
「帰れよ。お前らはな」
「え!?」
嘘だろみたいな声を出すマジ子を無視して、ローブの奴らに向き直る。そうだよ、こうすりゃいいんだ。
「なにしてんの赤ちん…?」
「戦うんだよ」
「でも、分かったって!」
「まぁな」
よーく分かったよ。どうあっても私の思い通りにはさせてくれないってことがな。だったら…
「チームじゃダメなら、一人でいいわ。私一人、個人的に戦う。文句はねえんだろ」
もう収まらねえんだよ。自分でも初めてなんだ、こんなにムカついたのは。
それを今ここで晴らすことが出来なきゃあ、私の気が済まねえんだ!!
「ちょ、待って下さい。というか、落ち着いて下さいな!」
「うるせえ」
「煩くても、なんでもいいんです!冷静に…」
「うるさいってんだろ!!」
いい加減鬱陶しくなって、怒鳴る。声がデカ過ぎたか知らないけど、先輩は顔を顰めるし、他の面子はビクついた。どうでもいいよ、そんなのは。
「一人でやるっつった!それでいいだろ…。個別行動だよ!しばらく好きにさせてもらう!」
「そんな!」
「帰れよ、腰抜けは!」
「無茶苦茶よ、貴女!」
そりゃよかったな。悪いけど、これ以上あんたらと話すことはない。なんて言われようが、私はもう知らねえ!
「………」
「話は終わりなの?」
「おお」
「可哀想よね、アンタのチームも。こんな聞かん坊の面倒見なきゃいけなくて」
「馬鹿リーダーのフォローやらされる、そっちの奴らもな」
言いながら、手持ちのグリーフシードを懐から取り出して、ジェムを浄化する。ブチのめすなら、万全でないといけないよなぁ?
「ちょ、隊長。ほんとにやるんですかぁ…?」
「なんかあの赤い人、やたらキレてますよさっきから…」
「大丈夫よ、あいつ一人でやる気みたいだし。…それに、わざわざここら一帯の人払いやってくれた人にも失礼でしょ!」
「めっちゃ頭下げてましたよね。そういう魔法持ってる羽根、何人か探し当てて」
「季節限定スイーツも奢ったわよ」
「ドヤ顔になることじゃないですよう…」
黒ローブが、白いのに不安そうに話しかけてる。人をチームのお荷物みたいに煽っといて、そっちも微妙に統率取れてねえじゃん。バカか?バカだったわ。
「…ま、とにかくね。講義再開と行きましょうか」
「予定は変更…座学じゃなくて、実践形式よ!」
そう言ってローブ共が武器を構えるのを見て、私も戦う態勢になる。もう御託は十分。こっからは死ぬ程分かりやすいやり方が出来るってわけだ。
いつでもパイルを起動できるように準備しながら、私は目の前の敵に向かって飛び出した。
(来るなら来なさい、
(魔力を使う機会があるなら、好都合。見せてやるわ、解放の証を!)
(グリーフシードなんていうのは、もう流行りじゃないんだってこともね!)
マギレコ本編の出来事
・探し人と再会した いろはだったが、当の灯花からは、自分のこと、ういのことは知らないと断言される。
落ち込む心をなんとか落ち着けた いろは は、鶴乃、フェリシア、さなと共に、ソウルジェムや魔女の正体等、魔法少女の真実を知ってしまうのだった。