知られることのない話   作:まるイワ

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ここからまた赤さん視点なので初投稿です。


1-4 追いかけて、追い詰めて

 

 

 

 

魔女を追いかけて、ついに何処かの路地裏に追い詰めた。何処だよここ。中央区あたり…?いや、それは何でもいい。いいんだけどさ…

 

 

「あ"ぁ……!はぁ…はぁ…!」

 

「うげぇぇ…何、で!こんな…疲れなきゃならねんだ…!」

 

 

魔女が速過ぎた。最初こそ割と近くに居た筈なのに、もの凄い勢いで離された。先輩の見立てだと、手負いの可能性が高いらしい。だとすりゃ、生き死にかかってんだもん。そこを追ってきた奴らが居るなら、全力で逃げるよな…。

 

 

「はぁ…ようやくちょっと落ち着きましたわ。また逃げられちゃ堪りません。ちゃちゃっと退治しましょ」

 

「あいよ…」

 

 

返事して、変身して、結界へと侵入する。結界に描かれていた紋章のようなものを見て、「何処かで見たような…」って先輩が呟いてた。

 

 

 

 

結界の中に降り立って、すぐに魔女の元に向かう。今回の結界は中々にファンシーというか、少女趣味というか。そんな感想も程々に、向かってくる使い魔を蹴散らして進む。

 

 

「この前の魔女の結界と違って、使い魔の数は多くはありません!適当に相手するくらいでもよろしいですわ!」

 

「そんなに魔力も使えないし…なっと!」

 

 

飛びかかってきた、紙で出来たような使い魔に、魔力を込めたゲンコツをくれてやる。私のパイルは、威力はあっても使い勝手が悪くて、こういう時には殴る蹴るに頼らざるを得ない。使うタイミングが大事だ。

 

 

(でも今日は今んとこ上手くやれてる。こういう時の先輩、頼りになるよなぁ)

 

 

先輩が司令塔として、ある程度方針を決めながら戦うのが私達のやり方。つっても、作戦や連携がピッタリハマったことなんて、片手で数えられる程度だったけど。割と長いこと一緒に戦ってるのに、肝心なところでダメになる。

 

それはきっとお互いに、相手を理解してないから。普段上っ面だけは仲良く出来てても、本当に深い部分では、相手を突っぱねちまってるからだと思う。相手に踏み込ませなかったり、自分から遠慮とか躊躇とかして退いたり…。

 

そう考えると私、先輩のこと、何も知らないんだな…。

 

 

「あのさー!先輩!」

 

「はい!」

 

 

追ってくる使い魔に向けて、先輩が放ったカンテラが爆発する音を聴きながら、話しかける。

 

 

「これよく考えたらマズくねえ?」

 

「えっ」

 

「魔女が手負いかもってことはさー、戦って追い詰めてた奴らが居たかもってこったろ?そいつらからしたら私ら…」

 

「あっ…。だ、大丈夫ですわよ!だいぶ追いかけましたけど、私達の他に、何かを追っているように見える魔法少女なんて、影も形も無かったじゃありませんの!」

 

「でも居るかもしんないだろ。魔女倒して結界出て、そこで偶然鉢合わせとかしたらさぁ…腹いせで、とか…」

 

「ていうか今そんな話いたしますぅ!?」

 

 

自分の頭に過った考えから目を背けて、代わりに適当な話題を出しちまったけど、先輩には刺さったらしい。その辺のこと、ちゃんと考えてたんだろうなぁ…必死に走ってたら忘れたってだけで。

 

 

 

 

 

 

使い魔を程々に倒しながら走り続けて、結界の最深部らしい場所へと到達した。魔女の姿もよく見える。

 

 

「居ますわね」

 

「ボロボロだな。先輩の予想、大当たりってことかね」

 

 

やはり既にダメージを受けているらしい。兎みたいに見えるその魔女は、立派な長い耳がヘタれてて、肌は薄汚れて、着こなした服やリボンは破れたり解れたり…。見てて可哀想なくらいだ。体育座りしながら泣いてるし…

 

そんな魔女の周りを、鳥のような使い魔が何体か囲んで、ちょっかいをかけている。道中でも度々倒したけど、何なんだあれ。ホベーだのミャンだの、よく分からん言葉を喋るしさ。この兎みたいな魔女の手下ってわけでもなさそうだけど。

 

 

「いや、今はどうでもいいか…」

 

「赤さん、魔女は動く様子を見せません。私の攻撃で、魔女の逃げ場を無くしましょう」

 

「その後は」

 

「出し惜しみして逃げられるのは避けたいですから、連携にて一気に仕留めるのが一番かと」

 

「わかった。じゃあそれね」

 

「追い詰められているのです。パニックになって反撃してくるということも…」

 

「そん時ゃそん時よ」

 

 

要するにその場合のことはノープラン。でもあれこれ想定し始めたら終わらないだろ。いいんだよこれで。

 

 

「…分かりました。ではっ!」

 

 

先輩が懐からカンテラを何個か取り出して、魔女に向かって投げる。やがて魔女の周囲で爆発して、飛び散る魔力の光で、魔女が見えなくなった。

 

 

「うし!」

 

 

今の攻撃で、奴は不意を突かれたはずだ。その隙を狙って、一気に接近する。ただ、問題はさっき話してた反撃のこと。カンテラ爆弾で倒せてるんなら、それはそれで良いんだけど…。

 

そんな風に思ってる時に限って、危険ってのはやってくる。魔力の残滓を切り裂いて、魔女の耳が、私の顔に向かって伸びてきた。

 

 

「ぬぐっ!」

 

 

咄嗟に顔を逸らす。頭に軽く擦れはしたものの、直撃は避けられた。後方に飛んで距離を離そうとしたけど、その場でケツから倒れ込んじまった。よっぽど攻撃の勢いが強かったらしい。

 

 

「!」

 

 

煙のように漂う残滓が散って、魔女が姿を現す。両腕をしきりに動かして、かなり慌ててるように見える。そんな中で私の姿を発見したもんだから、更に動きが忙しなくなる。無理もないけどさ。

 

でも現状ピンチなのは私の方。こんなになるまで追い詰められてるなら、次はヤケになって暴れ回るなんてことも…!

 

そう思った次の瞬間には、私のすぐ近くまで、魔女の両耳が伸ばされていた。

 

 





マギレコ本編の出来事

・いろはが結界内でかえでと出会う。二人で結界から撤退した。
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