秋、といえば真っ先に思い浮かぶのは食だと思う。
かくいう僕も食いしん坊な甘雨のおかげ?もあって真っ先に食を思い浮かべてしまう。そんな秋の一幕。
「甘雨は今日休みなんだっけ?」
残暑も落ち着きつつある初秋のある日。
「そうですね、蛍さんのスメール探索が予想以上に早く一息ついたらしいので、今日は何も予定がないですね」
いつもより遅い朝食を食べつつ、そんな他愛もない話をしていた。
「うーん、じゃぁ今日は何かしようか」
「何か、ですか?」
可愛らしく首を傾げる甘雨に見惚れつつ返事をする。
「例えば、一緒にお料理とかどう?」
「一緒に…料理、一緒に…とても良いと思います!」
目を爛々とさせながら顔をこちらに寄せるように返事をしてくる。
「可愛い...あ、いや、じゃぁ買い出しからだね」
「ふふっ、聞こえてますよ」
「そういえば甘雨って秋といえば真っ先に何を連想する?読書とか、芸術とかあるけど」
買い出しを終え、帰宅中に徐に甘雨に話しかける。
「うーん、職欲の秋、でしょうか」
僅かの間顎に手を当て可愛らしく考えた後に返事がくる
「それ、僕が思ってる“しょく”と違うよね?」
笑い半分で彼女の方を見る。
「まぁ、少し前までの私はそう答えたと思いますね」
「え、じゃあ今は?」
「それはもちろん、食べる方の“しょく”です!あなたの料理はどれも最高で…うっかり食べ過ぎてしまうこともしばしばあるので…」
彼女の発言に思った以上に照れてしまった僕は、そそくさと彼女の手を引っ張りながら璃月の街を歩くことしかできないのだった。
そんな僕は当然手を引っ張られて歩く甘雨の顔がうっすら紅潮しているのに気づくわけもなく、後日町の人に揶揄われたのはまた別の話。
勢いに任せに昼間の街で手を繋いで歩いてきたという事実を忘れたまま、帰宅後すぐに料理へと取り掛かる。作るのはもちろん清心を用いたオリジナルの四方平和だ。
「うぅ…この清心、とっても美味しそうです…」
「いや、それ盛り付けるやつだからね、甘雨。つまみ食いしちゃダメだよ」
「分かってますけど...美味しそう...です」
少しでも目を離すとつまみ食いをしそうな甘雨とともに調理を開始する。
「じゃぁ甘雨は人参を切ってくれる?」
「切り終わってます!」
ところが調理を始めた瞬間、彼女の高い秘書能力のなせる技なのか機敏に動く甘雨に対し、普段料理をしている僕が置いていかれそうになっていた。
「え、これ僕いらなくない?」
「何を言ってるんです?あなたがいないとこんなにしっかり動けませんよ、真横で料理しているところをたくさん見るためにすぐに作業を終わらせているんです」
「な、なるほど?」
今日何回目かわからない彼女の勢いに押し切られる形でとりあえず納得した僕は、普段調理している時より近くにいる愛しい人の存在に緊張しながらも調理を進めていた。
「痛っ」
ふわふわした気持ちで調理をしていたためか、蓮の実を切っているときにうっかり自分の指を切ってしまう。
「だ、大丈夫ですか!?すいません、私が近くで見ていたせいですよね…」
自分では大したことない傷だと思っていたところに、自分のせいで怪我をしてしまったと思ったのか、慌てた口調の甘雨が僕の手を掴んで傷をまじまじと見てくる。
「結構血が出てるじゃないですか…」
「大丈夫大丈夫、ちょっと消毒すれば治るよ」
「怪我した時は…えいっ」
突然、彼女が僕の指を咥えてくる。
「!?!?!?」
僕が声にならない声をあげているのを気にせずにさらに舌を這わせてくる。
「はいっ、これで消毒できましたよ」
得意げに言ってくる彼女に対し、疑問を口にする。
「それ、どこで身につけた知識?」
「留雲借風真君から聞きました!こうすると消毒になるって」
「あの鶴仙人…これ僕以外にやっちゃダメだからね?」
おばあちゃんの知恵袋じゃないんだから、と頭を抱えつつ調理に戻る。
「大丈夫ですよ、女性の場合は絆創膏を巻いて終わりですし、あなた以外の男性には触りたくもないので」
調理の手を止めゆっくりと彼女の方を見る。よかった、目のハイライトは消えてない。
「よし、完成」
紆余曲折ありつつ、無事に完成したオリジナル四方平和を食べ始める。
「ん、今日はいつもより美味しいな、やっぱり甘雨が手伝ってくれたから…」
「いつもより美味しいですね、それにうっすらあなたの血の味もしてなおさら…」
彼女の発言に咽せかける。
「冗談ですよ、冗談。ほら、水飲んで落ち着いてください」
結局彼女の揶揄いには勝てないな…と思いつつ食事を堪能するのだった。
完凸、成し遂げました
やっとガチャ禁から解放される...