「甘雨って"推し"って言う言葉知ってる?」
おもむろに甘雨に話しかける。
「推し...ですか?なにかをこう...ぐっ...と?」
「いや、それは"押し"ね。推しってのは...人とかをこう、めちゃくちゃ好きだー!ってなることなんだけど」
実はよくわかってない僕も曖昧な表現しか出来ない。
「え...それって愛とか好意とかと何が違うんです?」
「う...確かに。うーん...聞いた話だけど雲先生のファンの人が雲先生を推してるぜ!って言ってたし、そういうことを言うのかも?」
港にいたおっちゃん達から小耳に挟んだような話を彼女に話す。
「うーん...確かにそういう文化的なものを表現する方は素晴らしいと思いますけど...そういう感情を人に対して感じることはあまりないですね」
「まあそれもそうか、長いこと生きてれば文化って移り変わるし、見慣れたものになってしまうかもだしね」
ふーむ...たしかに感覚が違うのかなと思いつつ会話が途切れかける。
「あ!でもそういうことなら居ますよ、私の推し」
「え、本当?どんな人?」
推しが居ないという発言に納得していた僕は意表を突かれる。
「あなたです。」
「え?」
「あ な た です」
「いや聞こえてるし、それに僕は一般人なんだけど」
「料理中のあなたとか、真剣な表情で何かを考えるあなたとか、時々私の顔を見て恥ずかしそうにするあなたとか...全部めちゃくちゃ好きだー!ってなりますよ?」
突然の甘い発言に思わず目を逸らしてしまう。
「いや...そういうことじゃないと...思うんだけど」
「そうやって目を逸らしちゃうところとかも好きですよ」
「いや...だからあの...」
たじたじになる僕を見て更に火がついたのか、僕を褒め殺しにしようとしてくる。
「おかえりって私を迎えてくれるときも、おやすみって言ってくれるときも、全部好きですよ?」
さすがに恥ずかしくなった僕は話を切り上げようとする。
「あの...わかったから、その辺で...ね?」
「ダメ、です。この話を持ち出したのはあなたからなんですから。」
そう言ってさらに僕に抱きついてくる。
「んー...たまにはこうやって私から抱きついてすりすりするのもアリですね...」
彼女の甘い囁きと香りに包まれながら恥ずかしさよりも幸せが僕を包む。
「ふふ、"推し"って素晴らしいですね...ふふ」
楽しげに微笑む彼女を見て、まあこういうところが甘雨が僕の推しである所以なんだよな...なんて思いつつ、ほのぼのとした時間をすごしていくのだった。
11/04(いい推しの日)ってことで、滑り込み投稿。
誤字とかあるかもです。
追記─
50,000UA突破しました!皆様読んでくださりありがとうございます。今後ともネタ補充に四苦八苦しながらになりますが、よろしくお願いします。