12月24日、去年はサプライズという形で迎えたクリスマスだったが、今年は甘雨に予め言ってある。満面の笑みで美味しいお料理が食べられるんですね!楽しみです、と言われてしまったために普段よりたくさんの量を作ってしまったことはまぁ多分気付かれないだろう。
なんてことを考えてると、甘雨が帰宅したようだ。
「ただいま、戻りました」
玄関に出て甘雨を出迎える。
「雪、降ってたんだ。頭とか肩とかについてるよ」
そういうと僕は彼女についてる雪を軽く落とす。
「あ、ありがとうございます。ふふ、ちょっとくすぐったいです」
その発言通りくすぐったそうに身を捩る彼女のことが愛おしくなり、そのまま頭を撫でる。
「あの、、もう雪ついてないと思うんですが…」
「甘雨の髪、いつもよりしっとりしてるね。ずっと触っていたいかも」
「えっと、嬉しいんですけど…ここ玄関なので…その…」
指摘され、ここが玄関だったことを思い出す。
「ごめんごめん、うかうかしてると料理冷めちゃうね」
「せっかく楽しみにしてたんですから、もう…」
「「いただきます」」
そういうと僕たちはいつもより少し豪華な料理を食べ始める。
「わ、この炒め物美味しいです…これも美味しい」
右へ左へ視線を動かしながら美味しそうに食べる甘雨を見てこの姿を見られるのは自分だけなんだななんてことを感じる。
「あれ、私の方が清心多くないですか?いいんですか、頂いてしまって」
「もちろん、そのために多く盛り付けておいたからね、遠慮なく召し上がれ」
「ふふ、そういうさりげない気遣い、とても嬉しいです」
そんな話をしながら食べ進み、作りすぎてしまったなんて懸念も無くなるほどに綺麗に食べ切ってしまった。
「流石に食べ過ぎてしまいました…」
「それ何か記念の度に言ってない?」
「これは…あなたの料理が美味しすぎるのがいけないんです…普段もとても美味しいですけど、なんというか時間かけてるんだなっていう美味しさが…」
太ったらどうしましょう…なんて言ってるのを聞かなかったことにして一足先にコタツに入り込む。
「あ、ずるいです、私も入ります」
洗い物は私がやりますから、と言っていた甘雨が片付けを終え、僕の方にやってくる。
「隣、失礼しますね」
「え、隣?正面じゃなくて?」
「寒いので…同じ場所に入りたいなって思いまして…」
「そういうことなら喜んで。」
そういうと嬉しそうに入ってきて並んで座る。
「ちょっと狭くない?」
「足だけじゃなくて体も暖かいので全然問題ないです、ふふ」
ややあって、再び甘雨と喋り始める。
「そういえばもうすぐ海灯祭だけど、また忙しくなるのかな?」
「そうですね、年明けくらいから帰宅するのが遅くなりそうです」
以前よりは仕事量が減ったとはいえこの時期は仕方ないか、と自分を納得させる。
「ですから、夕飯は先に食べていただいて大丈夫ですよ?」
「んー、一緒に食べたいし、何より暖かいご飯食べてほしいから僕も時間をずらすよ」
「冷めてても美味しいですけど…そういうことなら毎日決まった時間に帰れるようにしますね、ありがとうございます」
なんて話をしていたが、ふと甘雨が聞いてくる。
「そういえばですけど、なんで今日は豪華な料理だったんですか?」
「あぁ、クリスマスだからね。まぁ一年お疲れ様会だと思ってくれれば」
「なるほど、お料理とても美味しかったです。いつもありがとうございます」
僕の方を見て微笑みながら彼女が言ってくる。
「いえいえこちらこそ、いつも一緒にいてくれてありがとう」
そう言って笑いながら雪降る聖夜を過ごすのだった。
急に真顔になった甘雨がふとつぶやく。
「そういえば、去年も聞いたと思うんですけど。クリスマスってなんですか?」
甘雨とコタツ入りたい。