「そういえば甘雨、面白そうな遊びを耳にしたんだけど」
4月の忙しさも落ち着き、久々にのんびりした休日を過ごしていた僕が、街中でふと耳にした遊びを提案する。
「遊び、ですか?どのような?」
椅子に座って読み物をしていた甘雨が顔を上げて聞き返してくる。
「メガネ姿もやはり最高だな...ってそうじゃなかった、えっと"愛してるゲーム"ってやつなんだけど」
「あ、あいしてるげーむ...?なんですかその名前...」
甘雨が少し呆れたような顔で僕の方を見てくる。
「まあルールは簡単、2人で向かい合って"愛してる"って交互に言って照れたり笑ったりしたら負けっていう遊びなんだけど」
そんな説明を聞くや否や、訝しげな表情から一転立ち上がるような勢いで返事をしてくる。
「やります!さあ今すぐやりましょう!」
「い、いや甘雨、キャラ崩壊してるから、ね?」
声を張り上げた彼女に対し思わず後ずさってしまったが、どうやらお気に召したらしい。
「お、おほん。とにかく、早速やりましょう。」
向かい合って座りなおした僕たちは僕の先攻でゲーム、もとい戦いを開始した。
「では僕のターンから。んんっ...愛してる」
決まった。会心の愛してるが出た。我ながらいい愛してるだったと思う。
そんな会心の一撃をうけた甘雨は...
「...」
圧倒的無反応。完全にすんっとしていた。いや...頬が少し赤くなっている。可愛い。
だがこれではゲームは終了できない。続行だ
続いて甘雨のターン。
「では私の番ですね。絶対に勝って見せます。では...愛しています」
っっ...危ない。うっかり目を見開いて笑った後に彼女を抱きしめるところだった。手ごわい。さすがは甘雨だ。次は僕のターンだ
「次こそ決めてやる。いくぞ。甘雨、愛してる。」
先ほどの攻撃と負けず劣らずのいい愛してるが決まった。彼女の表情を見てみると...すこしニヤついてる。可愛い。でも普段の仕事場では絶対に見せないような表情をしている。僕だけの特権かもしれない。
おっと、そんなことを考えていると彼女の攻撃が始まる。
「なかなか手ごわいですね、では...私の番ですね。一番、愛しています」
一番...だと、多少ルールから逸脱してるかもしれないが...可愛いから許す。それにしてもあの恥ずかしそうな顔...とてもかわいいな。
「あの...ちょっと口元緩んでいません?」
彼女の可愛さをのんびりと考えていたが彼女の発言で現実に戻される。
「いやいや、ニヤついてないって、たぶん...」
「まぁいいです、多少は大目に見てあげます」
さて、気を取り直して僕のターンだ。先ほどは多少譲歩されたが...まぁここで勝てばいい。
「愛しているよ、甘雨」
今回のは会心ではなかった気がするが...彼女のほうを見ると真っ白で美しい肌が首元まで赤くなっていた。
「あれ、甘雨照れてない?顔すごく赤いけど」
「...て、照れてません!」
「さっきの譲歩はこれで無しだな...」
「仕方ないですね、次は私の番です。」
僕は油断していた、彼女の愛らしさと可愛さを。そして笑顔の破壊力を知らなかったのだ。
「愛しています。」
そのたった一言で負けを確信した。あんな笑顔に勝てるはずがない。そう、僕は彼女から目を逸らしてしまったのだ。頬が熱い。より一層惚れてしまった。
「僕の負けだ...あんな笑顔見せられたら勝てないよ...より一層好きになっちゃった」
「ふふっ、そうですか...えへへ...ありがとうございます」
そういって幼げに笑う彼女の笑顔もまた、僕を負かすには十分な破壊力だった。
スターレイルと資格の勉強で忙しかったです...