雨───
嫌われがちなこの天気だが、僕は雨が大好きだ。なぜなら...
「うーん...やっぱり雨の音を聞くのは好きですが...贅沢すぎる気がします。」
はにかみながら僕に話しかける最愛の彼女が家にいるからだ。
「雨の日は人の出入りも少ないし仕事も少ないんだろ?家でやればいいさ。」
庭先に腰かける彼女の横で同じ音を聞いていた僕がそう返す。
そぼ降る雨模様は朝から変わらぬまま、昼過ぎの今に至る。午前中は「お触り禁止!」ばりの仕事っぷりを見せていた彼女も、昼食後は雨の音を聞きながらのんびり過ごしていた。
「ふぁ...少し眠くなってきました...」
可愛らしい欠伸をこぼす彼女に僕は返事をする。
「僕の膝、使う?枕の方が気持ちいいかもだけど...」
「ありがとうございます...角に気をつけますね」
そう言いながら彼女は僕の膝の上に頭を乗せて横になる。雨足が強くならないか不安だが、昼寝程度なら大丈夫だろう。
数分後、眠そうな声の彼女が話しかけてくる。
「そういえば、稲妻が開国してからしばらく経って色々情報が入ってきましたけど、何か面白いことはありましたか?」
「そうだなぁ...八重堂の小説も最近よく見かけるようになったし、向こうの料理とかも見かけるようになったけど、現人神って呼ばれてる人のことが気になるかなぁ。神の目を持った人と何が違うんだろう、って。」
「珊瑚宮さん、ですか...。最近彼女は蛍さんと共に行動するようになってその縁で何度か会話をしたことがありますよ」
「へー、そうなんだ。どんな感じの方なの?」
そんな人も仲間にする蛍さんは凄いなぁと思いつつ彼女に問いかける。
「戦術にとても詳しい方で、軍師と呼ばれていましたね。...ってその人に興味があるんですか?」
起き上がってこっちを見てきた彼女の目は少しハイライトが消えていて、この話をしたことを少し後悔する。心無しか雨音も少し強まった気がする。
「い、いや...さっきも言ったけど、その人は神に近いのかなって疑問に思っただけで...」
雨の日の涼しさなのか、冷や汗なのか分からない悪寒を感じながら後ずさる僕に彼女はこう続ける。
「私に絶対ここに帰ってくるって言わせておきながら、他の方に興味を持ってしまうなんて...私はもう要らないんですか...?」
僕と知り合う前に見たような冷たい表情で迫ってくる彼女に申し訳なさを感じながら返事をする。
「ごめんな、少し気になっただけなんだ。でも甘雨が1番だから安心して。信じて貰えないかもだけど、本当だから。」
震える彼女のことを抱きしめつつ、背中をさする。
「私、最近仕事と蛍さんの手伝いで全然あなたと同じ時間を過ごすことが出来なくて...色々と不安だったんです。さっきの言葉で気持ちが溢れてしまって...ごめんなさい」
強く抱きしめ返してくる彼女に愛おしさを感じながら静かになった雨音に耳を傾ける。
どうやら彼女は僕の膝の上で僕に抱きつきながら眠りについてしまったようだ。
少し前の僕と同じような考え方をした彼女に嬉しさを覚えつつ、二度と他の女性の話は自分からしないようにしよう、と違うのであった。
珊瑚宮さま、引きました。最近めっちゃ使ってるのでそれに嫉妬して欲しいなって言うところから今作に至ります。共依存みたいなのすごく好きなんですよね...。