それはそうと、衣装最高すぎませんか?
日々が目まぐるしく過ぎ去り、今年も海灯祭の時期がやってきた。連日甘雨は忙しそうにあちらこちらへと駆け回り、自宅でもなにやら考え込むことが多くなっていた。
「甘雨、甘雨さーん?おーい」
返事がない。どうやら考え込んでいる間に寝てしまったようだ。
「毎日お疲れさま」
寝てる彼女に毛布をかけ、頭を軽く撫でる。
「ひゃん!?ミント、角、、うう...って、あれ、あなたでしたか」
頭を撫でるやすぐに飛び起きた甘雨に、慌てて声をかける。
「大丈夫?変な夢でも見た?」
「あ、いえ、、少し前のびっくりした記憶が蘇っただけで、大丈夫です。」
「ごめんね起こしちゃって、最近忙しそうだもんね」
甘雨の横に並んで座り、再び頭を撫でる。
「ふふ、ありがとうございます。でも大丈夫です、仕事のことではなくて、その...」
「あ、仕事は終わってるんだ...さすがだね。それで?」
恥ずかしそうに僕の方を見ながら言葉を続ける。
「海灯祭、私と一緒に回りませんか?もちろん凧揚げも。」
「もちろんだよ、でも大丈夫なの?蛍さんとか、申鶴さん、?とかは」
「はい、もう言ってあります。一緒に回りたい人がいるから、と。蛍さん、というよりパイモンさんからはお見通しだという表情をされましたけどね」
ジト目を向けてくるパイモンちゃんのことを想像してしまい、頬が緩む。
「何となく想像できるなぁ、まあそういうことなら、当日楽しみにしてるね。」
「はい!私も楽しみです。」
迎えた海灯祭当日。朝から甘雨は出かけてしまっているので僕一人で待ち合わせ場所へと向かう。そこには...
「あの...似合って、ますか?」
黒と青を基調としたドレスに身を包んだ甘雨が居た。
「えっと...それは...」
そのあまりにも美しい姿に言葉を失う。
「留雲真君から頂きました...」
「えと、すごく綺麗だ...。よく似合ってる」
「ふふ、少し恥ずかしいですけど、そう言って貰えて何よりです」
そう言って笑う甘雨の手を取り、並んで歩き始める。
「髪型もすごく似合ってるね、自分でやったの?」
「はい、たくさん練習しました...上手くできてるかまだ不安ですけど」
「まあ、上手くいってる状態を僕は分からないけど、とても可愛いとは思うよ。」
璃月の街中を歩きながらそんな会話をする。
時折人々の視線を感じる。見慣れない格好をしている甘雨へ向けられるものなのか、はたまた僕に対してなのかは分からないが、美しい彼女の隣を歩いているのが自分であることが少しだけ嫌になる。
「どうしました?」
少しだけ手を握る力が強くなってしまい、甘雨が心配してくる。
「少しだけ甘雨の隣を歩く自分が嫌になっただけだよ、大丈夫」
僕がそう言うと、彼女は立ち止まり、僕の方を見上げてこう言ってくる。
「あなたはとても素敵な人です。私の生活に楽しみと笑顔を沢山くれました。だから、心配しないでください。誰がなんと言おうと、あなたの事が大好きですから」
そんな彼女の言葉に、思わず照れくさくなり目を逸らしてしまう。
「ふふ、そういう可愛いところも好きですよ」
街中ということを忘れそうになるくらい、心臓の音がうるさい。
「ありがとう、これからもずっと甘雨のことを愛しています。」
「雰囲気も相まって恥ずかしいです...」
お互い顔を赤くしながら手を繋ぎ、再び街中を歩く。
先程までの不安は消え去り、幸福感で満たされていた。
「ねえ、甘雨。」
「なんでしょう?」
空に上がっている沢山の凧を見ながら僕はつぶやく。
「海灯祭を祝して。」
「はい、海灯祭を祝して。」
振り返った彼女の笑顔は、他でもない僕だけが見れる笑顔だった。
海灯祭、最高でした。角をこっそり触りたい。