木々の葉が赤くなり、そして散り始める頃になると僕の頭を悩ませる問題が生まれる。甘雨の誕生日プレゼントを何にするかということだ。
面と向かっては言えないが、既に何千回もの誕生日を迎えた彼女にとってはもしかすると些細な1日かもしれない。しかし僕にとっていえば、大切な愛する人がこの世に生まれたと言うだけで、価値のある日なので祝う以外の選択は無いのである。
感情としてはその気になっているが、渡すものとなれば話は別で...
「うーん、どうしたものか」
「どうしました?」
うっかり口からこぼれてしまったらしいその言葉を耳にした甘雨が少しだけ首を傾げながらこちらを見てくる。可愛い
「いや、ちょっとね」
誤魔化すように彼女のふわふわな髪を撫でながら、再び思考の海に潜ろうとする。
「何でも仰ってくださいね、こんな私ですけど顔は広いので」
七星の秘書様ならそりゃそうだと思いながら、悩みに対し誤魔化す自分に少し罪悪感を覚える。
「ところで、その、、」
「ん?どうした?」
「あたま、そろそろ撫でるのやめて頂いても?恥ずかしいので...」
「ごめんごめん、気持ちよくてつい」
髪の触り心地が良すぎて触っていることをすっかり忘れてしまっていた。
そんなやり取り中に甘雨に渡すプレゼントのイメージは何となく浮かび上がったので少し恥ずかしそうにしていた彼女の頭から手を離す。
「まぁでも...撫でられるの嫌いじゃないので、またお願いしますね」
なんてことを言ってくれる。可愛い。
彼女の誕生日に渡すものは、指輪にしようと決めた。何となく重い男だと思われそうな上に戦闘中には邪魔かもしれないが、本音をいえば冒険の手伝いをせず、戦わずにずっとそばにいて欲しい僕としては目を瞑って欲しいところでもある。とはいえエゴの押しつけになりそうなので念の為に首飾りにできるようにリングホルダーも用意しよう。
「それで、タンザナイトかブルージルコンっていう宝石を探してるんだけど」
伝手と言えばもちろん各国を渡り歩く蛍さんしかいないということで、甘雨に内緒で宝石を探してもらうことに。
「わかった、任せて」
知らないうちにナタにまで踏み入れていたとの事で、宝石の手配は大丈夫だろう。
それはそうと、、
「ははーん、甘雨に内緒で指輪用の宝石を探すとか、そういう事か」
と顎に手を当てにやけながらこちらを見ている白くて浮いてるやつ、パイモンちゃんに苦笑いをうかべる。
「とても素敵だと思う。あのひと、冒険中あなたの話しかしないもん。よっぽど愛されてるんだね」
と蛍さんまでにやけながらこちらを見てきたので分が悪いと思い会話を早々に切りあげる。とはいえ愛されてる話を聞くと嬉しくなるのも事実。
「と、とにかく、宝石の件よろしくね。もちろん報酬は弾ませてもらうから」
璃月に来たんだしついでに美味いもんたべてこーぜ!と楽しそうに歩いていく2人を見送りながらひとまずの安心である。
迎えた誕生日当日。滞りなく蛍さんから宝石を受け取り、その宝石を持ち込み加工屋に頼んでいた指輪も受け取ったので準備はバッチリである。
朝食の後甘雨にそのまま座っててもらい、指輪を部屋から持ってくる。もちろんケースに入れて。
「お誕生日おめでとう、甘雨。これからの1年、いや永遠に僕と共に居てくれますか」
少々プロポーズくさくなってしまったが後の祭り。思ったより恥ずかしい。
「え、あ、えと、私その、あの」
プレゼントは期待しててもここまでとは思っていなかったのか、甘雨が口元を両手で覆いながら、感極まったように震えている。
「こ、こんな私で良ければ、喜んで」
完全にプロポーズの返事になっているが、目に少しの涙を浮かべながら指輪を受け取ってくれる。
「サイズはこっそりと測らせてもらったよ。あと、もし邪魔だと思ったらこれでネックレスにでも...」
と言ってる途中で食い気味に
「邪魔なんてとんでもないです!何があっても、どんなときも肌身離さずつけてます、私が貴方のものという証ですから」
と少し重めの愛が垣間見える返事を貰ったが、無事に受け取ってくれたのでよしとしよう。
「ところで、これなんて言う宝石なんですか?」
ソファに座った僕の膝の上に座り、背中を預けてくる甘雨のお腹あたりに手を置き温もりを感じていると、指輪を見ながらうっとりしていた甘雨が聞いてくる。
「これはね、ブルージルコンって宝石だよ。甘雨の髪色にそっくりな色だからこれしかない!と思って」
「とても素敵な色です、本当に」
「ところで、、それ手袋の上からだとキツくない?」
勝手に仕事中や普段の格好の時は首飾りとしてつけてくれると思い込んでいた指輪だが、指輪として黒手袋の上からつけていた。
「ええまあ、少し無理やりな気もしますけど、指輪は左手ですし、何より少しキツいくらいの方が絶対に無くさないので」
「なら良いけど、、僕としても見える形で指輪が着いてるのは嬉しいしね」
そのまま甘雨は、僕に体重を預けながら少しだけ見上げて来る。少し角が刺さりそう。
「長い時間生きてきて、こんなに幸せな日が来るなんて思いもしませんでした。ずっと、ずーっと大好きです」
仕事中は冷静な表情で業務をこなす彼女の周りの人からすれば見たこともないであろう満面の笑みを浮かべながら僕に囁いてくる。
「僕も、これからもずっと大好きだよ」
少し姿勢を前に倒し、彼女に口付けをする。
この後甘雨が少しだけ仕事に遅れることを2人はまだ知らない───
12月の誕生石ということで、石言葉が「冷静」でイメージが合致するタンザナイトか、色合い重視で身につけているとその身を守ってくれるとされるブルージルコンで迷いましたが、作中だと蛍と一緒に冒険に出ているので安全祈願も込めてのブルージルコンになっています。テイワットに同じ名前の宝石があるかはさておき。海灯祭から10ヶ月も空いてしまいましたが、今後も低頻度で投稿はしていくと思います、甘雨への愛は尽きないので。
以下自分語りです
つい先日、知人から一番くじA賞の甘雨タペストリーを甘雨推しの僕に譲るという連絡を受けて、ついに入手しました甘雨タペストリー。でかいのでクローゼットのドアにかけてますが常に見守られている、、、!もう同棲ですこれは。持つべきものは違う推しの知人、、!それはそうとアニメイトの白ワンピ甘雨可愛くない?なにあれ、ゲーム内衣装は黒いのに白も似合うとか最高かよ。
読んで頂きありがとうございました。