甘雨とほのぼのするだけ   作:ゆき。。

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自分で言うのもあれですが、甘いです。キャラ崩壊注意。


幕間 初めて好きになった、人間のあなたへ

 

 

 

私は、長い歴史を生きてきました。岩王帝君と共に戦い、そして璃月という国が栄えていくのを七星の秘書として見守ってきました。

恋愛、というのも知識としては持っててもその感情については知らないままでした。あなたが私の前に現れる、あの日までは。

 

久々に留雲真君のもとへ赴き、稽古をつけてもらったあの日、真君の一言で私は焦ることになります。

「甘雨、そろそろ恋人のひとりやふたり見つけたらどうだ」

そんな一言、ほんの弟子を心配した一言が、何故か耳に残ってました。

街へ戻った私は、街並みをぼーっと眺めていました。

恋人。人間たちが恋をし合い、結ばれる幸せの証。私の知らない感情でした。何をしていいかも分からないし、誰がいいかも分からない。どうせ師匠の気まぐれな一言だ、と片付けるのは簡単でも、私の中の何かがそれを許しませんでした。

ふと、街中で買い物をするひとりの男性が目に入りました。とても優しい瞳をしていて、ああいう人はどんな人と恋人になるんだろうと、自然と目で追っていました。後に私が隣を歩くなんて、夢にも思わずに。

 

次の日も、また次の日も、あの男性は買い物をしていました。私は昼食を食べたり、休憩をするフリをしながら、自然と目で追っていました。素敵な恋人がいて、家庭を築いて。この街に溶け込んでいるあの男性が、眩しく見えました。

私は半仙という立場上、1歩引いた位置から人々を見守ってきました。部下が結婚し辞めていくことも、その部下の子供がまた私のもとで働くことも何度もありました。

そんな人々の営みを、あの男性と共に歩んでいきたいと、そう思うようになるのに時間はいりませんでした。

 

毎日毎日同じ場所で、あの男性が買い物する姿を見ていました。今日は調味料が多いなとか、お魚の気分なんだな、とか。でも毎回買う量は1人分で、恋人の存在を否定できて、嬉しい自分がいることに気づきました。

 

あの男性が、あなたが好きになっていました。店員と話す笑顔、真剣に野菜を見比べる表情。人間の表情なんて、山ほど見てきた私が目が離せなくなる、そんな魅力があなたにはありました。

 

あなたと、目が合ったことがありました。あなたはそのまま目を逸らし、立ち去りました。あの日の私は、少しだけ落ち込みました。

 

あなたが、私に会釈をしてくれたことがありました。私は驚いて硬い笑顔を返すことしかできませんでした。

 

あなたに、声をかけられました。甘雨さん、ですよね?毎日ここでお昼を?と。

あなたの声に惹かれてる自分がいました。

はい、そうですね。

としか返せない、そんな私に嫌気がさしました。

 

あなたが、私をデートに誘ってくれました。

あなたと一緒に初めて並んで歩いて、あなたという男性の温もりを知りました。

 

あなたが、私に告白してくれました。

デートの帰り道、ふと月を見上げたあなたが、月が綺麗だねと、そう言ってくれました。最初は本当に月の話をしていると思って、綺麗ですけどそれが何か?と少しお堅い返事をしてしまいました。あの日、私も気持ちを伝えようとして、頭が回っていなかったのかもしれません。

ですが、告白だと理解した私は、動揺を隠すためにあなたもそういうロマンチックなことを言うんですね、と返事をしました。長生きした年の功を見せたかったのかもしれません。

 

あなたに、一緒にいる時間が幸せだと言われました。デートの帰りにそんなこと言うのは、反則です。送ってくれてありがとうというあなたに向かって、私の方が強いですからなんてお姉さんぶってみたりもしました。

 

あなたに、初めて想いを伝えました。

月には、今なら手が届くと思います...。私にとってもずっと月は綺麗でしたから。

と。初めてあなたを見たあの日から、私にとってのお月様はずっとずっと綺麗なままでした。何も言わないあなたに向かって、恥ずかしくなった私は、少し照れながら返事を求めました。

 

あなたに、好きと言われました。

働く姿も、眠そうな姿も、食事をする姿も全部、好きだと言われました。

 

あなたと、恋人になりました。

隣を歩ける幸せに、恋というものを感じました。あなたのいる全てが好きになり、璃月のこともより好きになりました。

 

あなたといる日常が、普通になっていきました。

朝起きたらあなたがご飯を作っていて、街で見た真剣な表情で、私のために動いてくれる。これから何千年と生きていっても、この瞬間が1番輝いているなと、そう思いました。

 

あなたの隣に立つ私は、今までで1番笑えています。あなたを、愛しています。

眠るあなたの頭を撫でながら、私はそんなことを思い返していました。

 

 

 

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