「甘雨、誕生日おめでとう」
布団に入って、ほぼ寝かけていた彼女に声をかける。
「ありがとう、ございます……ぷれぜんとは、ぎゅーでおねがいします……」
ほんのりあたたかい甘雨を抱きしめる。
彼女にとって数多い誕生日のうちの一日だけど──
記憶に残る日に、なってほしい。
「大好きだよ」
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「思ったんですけど、」
「うん?」
「あなた、よく私に“働きすぎ”って言いますけど……あなたこそ休んでますか?」
「んー、僕はこうやって甘雨が膝枕してくれたら回復するよ」
「あ、ありがとうございます……じゃなくて、もっと休んでください」
「だから膝枕を──」
「さっき聞きました」
──────────
「甘雨の好きな季節は?」
「うーん…やはり冬でしょうか。いや、夏も捨て難いですね…」
「全然真逆だね」
「冬はあなたとくっつけますし、夏は私が氷を出せば一緒に涼めそうです」
「ちなみにさ…」
「なんでしょう?」
「甘雨の作る氷って、食べれるの?」
「……10秒ほどで爆発しても良ければ。」
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「甘雨って苦手なものあるの?」
「お肉やお魚は“主義として”食べてないだけなので...うーん……あ、あなたの笑顔には弱いですね」
「それは僕も甘雨の笑顔には弱──じゃなくて」
「ありました、苦手なもの」
「なになに? 知りたい」
「あついおふろ」
「あついおふろ」
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最近、甘雨の返事する速度が尋常じゃない気がする
「甘雨」
「なんでしょう?」
要件言う前に返事してる。
それなら"かん"から始まる別のワードとか言ってみるか
「かんこう」
「旅行ですか?」
聞き分けてるのか...?
次は名前を呼ぶつもりで止めてみよう
「k「はい、甘雨です」
「いや怖い怖い」
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「おはようございます...ふぁ、最近朝は冷えますね」
「寝起きの甘雨、最高に可愛いよね」
「かわっ...!?....あ、えと、その、ありがとうございます.....」
「なんか褒めた時の反応が可愛いからもっと言いたくなる、好きだよ甘雨」
「わ、私も好き、、です」
「可愛いよ」
「も、もう!!」
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「あっ、ふふ。今日のあなたの寝癖、とっても可愛いです」
「えー、恥ずかしいな」
「大丈夫ですよ、直してあげます」
「こうして……こう……あれ? なかなか直りませんね……」
「甘雨? そろそろ諦めたら?」
「いえ、そういうわけには……よっ、ほっ、このっ……」
「はげちゃう!!」
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つん
「ひゃっ!? な、なんですかもう、急にほっぺ触られたらびっくりします」
「ごめんごめん、柔らかそうだからつい」
「むう...じゃああなたのほっぺも触ります」
つん
「んっ、思ったよりくすぐったいな。お返しだ」
「もう効きませんよ。膨らませてれば平気です」
「あの……ご注文を」
「」
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「ん、んーっ、手が届きません…」
「よっ」
甘雨の脇に手を入れ、そっと持ち上げる。
「ひゃっ!?!?」
「取れた?」
「取れましたけど...むう。それならあなたが取ってくれれば良いじゃないですか」
「ごめん、つい。軽そうだなぁと思って」
「……お詫びに抱っこしてください」
「お易い御用で」
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甘雨と並んで本を読んでいる...が
「甘雨?」
「なんでしょう?」
「距離近くない?」
「そうでしょうか...?」
本を半分ほどまで読み進めた頃
「甘雨?さっきより近いよね?」
肩が触れる、どころか僕に完全に寄りかかってる
「え、えーと...あなたが好きすぎて...無意識ですかね?」
「可愛い。」
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「あれ...?甘雨、なんでそんな所に」
「え、ええと...その...」
「やっぱり僕のじゃ満足できない?」
「いえ...そういう訳では...でも最近ちょっと色々あって...」
「そっか...」
「まあ...僕に内緒の夜食は程々にね、昔みたいにまん丸に━━」
「もう!!その話は忘れてください!」
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「じゃあ今日も、行ってきます」
「うん、気を付けてね。風邪とか引かないように暖かくしときなよ?」
「ふふ、ありがとうございます。
そういう優しいところ本当に大好きです。私の旦那様(小声)」
「ん?何か言った?」
「い、いえ!なにも」
「そう?旦那様とか聞こえたけど」
「行ってきます!」
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「なんか...今日は逆に距離遠くない?」
「そ...そうですかね?」
「いつもより1人分くらい遠い気がする」
「気のせい、だと思いますよ?」
「なんか目が泳いでない?」
「そ、そんなことないです!」
甘雨の目の前に近づく。
「ぁ、え...近......えと、好きすぎて全然見れなくて...」
「かわいすぎ」
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「あれ、何を読んでるんですか?」
「ちょっと面白そうな歴史書があったから気になってね」
「なるほど、見せてもらっても?」
「ん、どうぞ」
「ふむふむ...あっ、私に関する記述もありますね...あれ、でもこれは確か...」
「どうしたの?」
「いや、ここの部分間違ってるなぁと」
「生きる歴史書だ」
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「毎日のルーティンて何かある?」
「働くこと...でしょうか」
「んー、そうじゃなくてね、これをやると落ち着くなとか、これをやると上手くいくなとかそういう日課?ぽいやつ」
「働くこと...でしょうか?」
「えーっと、例えば僕なら起きたら深呼吸してる、みたいな」
「働くこと...ですかね」
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僕と暮らし始めてからの甘雨にしては珍しく自宅に仕事を持ち帰ってきた。すごく忙しそう
「甘雨?もう4時間も机と向かい合ってるけど、そろそろ休憩したら?」
「...そうですね、ではお言葉に甘えて」
「...僕の近くまで来たのはいいけど結局仕事してる」
「あなたのそばが、一番の癒しなので」
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「はい、お茶淹れてきましたよ」
「ありがとう」
「いえいえ、私も飲もうと思ってたので」
「ところでさ、同じ茶葉のはずなのに甘雨の淹れるお茶の方が美味しいんだけど、何かコツとかあるの?」
「何千年も...繰り返せば良いと思います」
「ちょっと厳しいな...」
「ふふ、じゃあ私が淹れますね」
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甘雨は、無自覚な子だ。
「甘雨の瞳って、すっごく綺麗だよね」
「ど、どうしたんですか突然」
「ふと思っただけ。ずっと眺めたくなるんだよね」
「そう、ですか」
「嫌だったなら謝る」
「いえ、あなたの瞳の方が─」
そう言って、抱き寄せられる。
「ずっと綺麗ですよ」
僕を惚れさせに来る。
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「ただいま、です。」
「おかえり、甘雨」
「あ、そうそう。これ、買ってきましたよ」
「あー、今日買ってきちゃった...ありがとう次の分買わなくて済むから助かるよ」
「すみません気を使わせて...」
「いやいや、」
「あ、でも、私の買ったものの方が大きいです、私の勝ちですね」
「可愛い。」
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「...あれ?甘雨、寝てる?」
(zzz...)
うーん、寝てそうだな...ご飯の時間なんだけど
「甘雨?ご飯できたよ」
とりあえず揺する
「ん...ふぁ.....あ、あなたの匂いがします...へへ....ぎゅーします...」
「あの、寝ぼけてる?」
「ふぇ?...ゆめ、、じゃない??」
「現実だよ」
「わ、忘れて...」
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「甘雨、今の距離でその声は反則だと思うんだけど」
「え、えと...でもちょっと恥ずかしいというか...」
「今の、もう1回言って欲しいな」
「う、うぅ...い、言いますよ...
だいすきですよ、旦那様♡」
いつもより高い、けど震えた声が僕の脳に響き渡る
「ご家族様割引適応いたしますねー」
「」
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今日の甘雨は忙しそうだ。
自宅に持ち帰った仕事を延々とこなしている
...少し寂しいかも、なんて言葉にはできない。甘雨は璃月にとって必要な存在だからだ。
先に寝よう。そう思いリビングを出る。
「あの、すぐに行きますね。寝る時は一緒がいいので」
どうやら彼女は、なんでもお見通しのようだ。
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「めりーくりすます、です」
「甘雨、メリークリスマス」
「プレゼントは...わ、わたし...です」
「へえ?僕に何をしてくれるんだろう」
「ふふ、もちろんキスですよ」
そういうと甘雨は僕の顔を両手で挟み、その柔らかい唇を─
夢か...まあ確かにあそこまで積極的な...ん?唇が湿ってる気が...
甘雨の誕生日から毎日続けて結構な文字数になってしまっていた。
メリークリスマス