甘雨の誕生日から数日経った休日のある日。
「そういえば昨日蛍さんから『渡しそびれた誕生日プレゼントを渡したいから明日の昼頃に家に行く』っていう伝言をもらったので、後ほど来ると思います」
「あれ、蛍さんからまだ受け取ってなかったんだ。相談に行った時に渡すものは決めてあるみたいなこと言ってたのに」
休日ののんびりした昼をこたつの中で過ごす。
ふと、気になったことを甘雨に質問する。
「ところで、なんで家の中でもマフラー巻いてるの?」
「それはもちろん、あなたからのプレゼントを蛍さんに自慢したいからです!」
前に乗り出してきそうな勢いで返事をしてくる彼女に苦笑いで返す。
「流石にマフラー巻いてこたつに入ってたら暑くない?」
「大丈夫ですよ、職場の方でもずっと巻いてますし」
どうやら肌身離さずつけているらしい彼女に作ってよかったなと嬉しくなる。
「おーい!甘雨ー!!」
玄関の方からパイモンちゃんの声が聞こえてくる。どうやらきたみたいだ。
「蛍さん、パイモンちゃん、こんにちは。寒いだろうから上がって上がって」
二人を玄関で出迎え、リビングまで案内する。
「ちょっと待って」
蛍さんに突然呼び止められる。
「これ、特別なスイートフラワーを集めてきた。甘雨さんにお菓子を作ってあげて。私は甘雨さんにプレゼント渡してくるから」
袋に入った大量のスイートフラワーを手渡される
「おぉ、こんなにたくさんわざわざありがとう。おやつの時間に間に合うように作ろうかな…ってもうリビング行ってるし。」
家に材料あったかなと思いつつ、後を追うようにリビングへ入る。
「甘雨さん、遅れちゃったけど、誕生日おめでとう。」「これ、オイラたちからのプレゼントだ!」
こたつで丸くなってる甘雨に蛍さんがプレゼントを渡す。
そのシーンを見届けた後、ケーキを作るためにキッチンへ入っていく。
蛍さんから受け取ったスイートフラワーでお菓子作りに取り掛かる。リビングの方から甘雨の恥ずかしそうな声が聞こえてくる。
小一時間後、ちょうど盛り付け終わった頃に甘雨と話し終わったらしい2人が家を後にする。次の冒険の話でもしてたのだろうか。
「あれ、何作ってるんですか?もしかして蛍さんが言ってたスイートフラワーの、、」
キッチンを覗き込んだ甘雨に返事をする。
「流石甘雨、その通りだよ。ちょうど完成したからおやつを食べよう」
「わぁ…!今お茶を用意しますね!」
いそいそとお茶の準備をした彼女と共にリビングへ向かう。
「さぁ、食べようか。我ながら美味しそうにできたんじゃないかな」
「とってもいい香りです…いただきます」
幸せそうに食べる彼女を見ながら僕も食べ始める。
「すごい、無糖なのにちゃんと甘い味がする。蛍さんよくこんなの見つけてきたな」
「結構苦労したらしいですよ。さっき話してくれました。んん〜…おいしいです」
甘雨が食べながら器用に返事をしてくる。
「そうそう、聞いてください!私の誕生日の夜、蛍さんがプレゼントを渡しに家まで来てたらしいんです。それで…その」
急に口ごもる彼女に対し嫌な予感を抱く。
「…たんです」
「ん?もう一回言って?」
「だから!!見られてたんです!!私たちがこたつの中でいちゃいちゃしてたのが!!」
顔を真っ赤にして声を張り上げる彼女に対し僕も顔が熱くなる。
「え、本当に?さっきの蛍さん妙によそよそしいなと思ったら、、なるほど。若干気まずかったのかな」
「謝ってくれたから別にいいんですけど、、見られたのが恥ずかしいです…」
思い出してさらに恥ずかしくなったのか、彼女のお菓子を食べる手が早くなる。
「それでなんか申し訳なくなってスイートフラワーを探してきてくれたらしいんですけど、、」
「あぁ、なるほどね。蛍さんから玄関で急に手渡されてびっくりしたよ」
「おかげでこんなに甘くておいしいお菓子が食べれたのは嬉しいですけど、、うぅ…」
恥ずかしそうな彼女に対し、別の話題を持ち込むことにする。
「自分で言うのもアレだけど、マフラーのことはなんか言ってた?」
「とても似合ってるって言ってくれました!パイモンちゃんはなかなかやるな…って可愛らしく言ってましたよ」
「それはよかった!まぁ、実際めちゃくちゃ似合ってるし可愛いからね」
「もう、すぐ褒めてくれるのは嬉しいですが、恥ずかしいのでほどほどにしてください…」
そういうとお菓子の最後の一口を口に放り込む。
「ごちそうさまでした。蛍さんには後日改めてお礼を言っておきますね。」
「よろしくね。あ、後このスイートフラワーたまにでいいから手に入れたいってことを伝えて置いてほしいな」
手に入る機会が増えれば甘雨に振る舞えるレパートリーが増えるしね、と心の中で呟きつつ、休日のほのぼのとした時間が過ぎていくのだった。
推しの誕生日は祝日にしません?