ピー!
翼「いくぞ!」パスっ!
ラブライバーズのボールで試合再開。ボールは龍也にまわる。
龍也「前半あと少しだ!ここで1点取るぞ!」
ここで1点を取った方が後半有利に戦える。そのために選手たちは力を振り絞って走る。
魔王「お前もあのキーパーと同じようにしてやろう!」
龍也「お前いい加減にしろよ?」
またしても龍也を潰しにかかる魔王。善子の姿で悪趣味なマネばかりする魔王にそろそろ龍也も我慢の限界が来かけている。
龍也(そうだ、ここはコイツの反応のカラクリを見破るか…)
試合開始時点からずっと猛威を振るっていた魔王の超反応。いくら人外でもここまでのことは困難。カラクリがあると踏んだ龍也は魔王と勝負してその謎に迫る。
魔王「おらァ!!」
龍也「おっとぉ!」
魔王は飛び蹴りに近いチャージを龍也に仕掛ける。龍也はそれを簡単にかわす。
魔王「クソ!涼しい顔でかわしやがって!もっと恐怖しろ!!」
龍也(雑だな。いくらラフプレーだからってあの反応を見せた奴がこんなプレーになるか?)
ラフプレーに全く恐怖しない龍也に苛立つ魔王。…思えば、ラフプレーの際に超反応が活かせていない。
龍也(本気で潰したそうなのにあの超反応が出ないという事は…ラフプレーの際にそれが使えないって事だな。必殺技?だがあれをマネしようとしても出来ない。…ということは特殊能力か?)
魔王のプレーを見て超反応に関して考察を深める。超反応の謎を解いて対策を打ち立てたい。出来ればこの前半でそれをこなしたいが…
魔王「お前達!この人間を潰せ!!」
ユリカ「了解した」
ガルシア「やってやるぞ!」
龍也「やべっ!」パスぅっ!!
怒った魔王が他の選手と共に龍也に襲いかかろうとする。囲まれたらさすがにボールを取られるので、ドライブパスでボールを逃がす。
ヤノサ「ナイスです!」
ヨシコ「逃がさないわよ」
ヤノサ「絶・スカイウォーク!!」
ヨシコがボールを奪いにかかるが、ヤノサは空中を歩くように飛んでかわす。
ガルシア(クソぉ…!おれじゃアイツらにどうしても敵わねえ…)
龍也やヤノサのプレーを見て、ガルシアは試合についていけないことに悩みを見せていた。デストラクチャーズの中では特に実力が低いようだ。
ガルシア(おれだって分かってる。サッカーでのおれのとりえといえばキック力だけ。足も遅いしドリブルもパスもトラップも苦手。ここの連中のプレーを見てあらためて気づいたが、おれにはサッカーは向いてない…)
ガルシア(だが、このまま何も出来ずおれ達と違って夢とかいうきれいごとだけでサッカーをやっている奴らに…ただで負けてやらんもんね!!)
ガルシア「さらばサッカー!」バッ!!
ガルシアはジャンプ。現在スカイウォークで空中にいるヤノサに向かって飛び掛かる。
ヤノサ「きた…!シュナイダーさん!」パスっ!
ガルシアが飛び掛かってきたため、シュナイダーにボールをまわすヤノサ。
ガシッ!
ガルシア「…!」
ヤノサ「え…?」
なんとガルシアはボールを手放したヤノサの両足を掴んでいた。
ヤノサ「は、放してください!」
ガルシア「やだね!」
ガルシアはヤノサの両足を離さず、それどころか振り下ろす。信じられないことに、ガルシアはヤノサを地面に叩きつける気だ!
ガルシア「短い間だったがさよならみんな!」
ヤノサ「いや…いや…!」
ドグシャアアアアァァァっ!!!
ヤノサ「あああああーーーッ!!!」
千歌「っ…!?ヤノサ…ちゃん…?」
サッカーグラウンドの上で響いてはいけない鈍い音と同時にヤノサの絶叫が聞こえた。断末魔のような彼女の声に千歌達チームメイトは何が起こったのか飲み込めないような顔をしている。
ヤノサ「あ…あ…あぁ…」
シュナイダー「ヤノサ!!…クソっ!」ドガァっ!
真っ先に動いたのは同じドイツユースのシュナイダー。今持っているボールを外に出して試合を中断。そしてヤノサのもとに駆け寄った。
シュナイダー「大丈夫か!」
ヤノサ「う…うああ…」
シュナイダーが安否確認をするが、ヤノサは痛みにもだえ苦しむばかりで、答えることが出来ない。
果北「ヤノサちゃん!」
翼「くっ!安静にさせておかないと…!オレ達でフィールドの外に運ぶしかない…」
少なくとも分かるのは、ヤノサは試合続行可能な状態ではない。シュナイダーと果北が彼女を抱えてフィールドの外に出る。
ヤノサ「ひぐっ!…あああ…!」
果北「ヤノサちゃん…もう少しの辛抱だよ」
シュナイダー「ヤノサ…すまない。キミ達を守れなくて…」
フィールドの外に出る際も少し動くだけで激痛に苦しむヤノサ。シュナイダーはそんな彼女を見て悔しさと悲しみを覚えていた。
ヤノサ「シュナイダー…さん…あ……」
ヤノサは痛みに耐えきれず意識を手放す。がくりと顔を下げてしまう。
果北「ヤノサちゃん!?しっかりして!」
シュナイダー「意識を失ってるだけだ。ベンチのメンバーで応急処置をしてくれ…」
果北「分かった…私がやるよ」
病院に行ける状況ではないが、このケガで試合が終わるまでに何もしなかったらヤノサの選手生命にかかわる。果北もヤノサの看病のために下がることに。
果北「お兄ちゃん…交代お願い」
竜太「分かった…」
果北は竜太に、ヤノサは果南(松兄)に交代。シュナイダーは引き続き出場だ。
―観客席―
ガルシアの蛮行は応援している3人も見ていた。
メイ「アイツ!いくらなんでもあれはダメだろ!」
四季「最低…!」
渚「サッカーでもバスケでもどんなスポーツでも、あんなの許されねえよ!」
メイ「ふざけんな!!退場しろ!」
渚「こんな状況だからって認められると思うな!」
さすがの優しい彼らも怒り心頭。ガルシアを退場させるよう叫ぶ。
―フィールド―
龍也「テメエ!!ふざけんな!」
フィールドではやはりラブライバーズの選手がこのラフプレーに怒っていた。龍也がガルシアに掴みかかる勢いだ。
ガルシア「スマン…もちろんおれは退場する」
絵里「当たり前よ。あなたのやったことはレッドカードどころの話じゃないわ」
アスタ「さすがに最低限のルールは守らないとだな…向こうに俺たちのベンチがあるからそこに座ってろ」
審判がいない状況だが、本人もキャプテンのアスタも周りの退場勧告に合意。ガルシアは退場となった。
ガルシア「おれはこれで心おきなく…ルチャにいける」
ガルシア(フフフ…このブーイングにも今のうちに慣れとかないとな。どうせおれはルチャドールになってもルード(悪玉)…この顔と体じゃリンピオ(善玉)にはなれないもんな)
ラブライバーズの白い目と渚達の非難を受けながら退場するガルシア。彼はサッカーではなく悪役レスラーをやるようだ。
魔王「褒めてやるぞ人間。あの女の苦痛と絶望に歪んだ表情…!あの女の魂を喰らうのが楽しみだ!!」
龍也「なんだと…」
ガルシアのプレーにとんでもない感想を言う魔王。龍也もこの発言に怒りのボルテージが最高になる。
果南(松兄)「龍也!落ち着いて!」
龍也「っ!?果南…出場してたのか?」
果南(松兄)「ヤノサちゃんと交代する形でね…それより龍也!アイツと同じ奴に堕ちちゃダメだよ!」
龍也「果南…そうだな。そんなことしても何も解決しないしな…」
魔王に殴りかかりそうになった龍也だが、ヤノサと入れ替わりに出場した果南に止められて冷静になる。
アスタ「そろそろ試合に戻ってもいいか?もっとももう時間は残ってないがな…」
翼「分かった…みんな、ここは切り替えよう」
ガルシアも退場した上、手当てが必要なケガ人もいる以上この件をずっと引きずるわけにはいかない。ラブライバーズは試合に戻る判断をした。
果南(松兄)「それじゃ、いくよ!」パスっ!
ラブライバーズボールで試合再開。シュナイダーがボールを外に出したが、その前にガルシアの反則が行われたため、ヤノサと交代した果南がボールを蹴る。
ピッピー!!
しかしアスタの言う通りもう時間は残っていなかった。シュートに入る前に前半終了。同点で後半を迎えることになった…
―HALF TIME―
シュナイダー「クソっ!!」ドンっ!
シュナイダーは珍しく地団太を踏んでいた。
竜太(自分の国の大事なスタジアムを壊された上に、チームメイトまでケガさせられてしまったんだ…オレだって、そんなことになったら本当に悔しくてたまらない)
ワンダバ「彼女は果北がここに移動しておいたキャラバンに運んである。ヘルナンデスがケガした時点でアルノ博士に連絡している。3人は先に私たちの時代の未来に送ってもらうことにした」
シュナイダー「そうか…ということは治療もしてもらえるのか?」
ワンダバ「もちろんだ。だからそこは安心して後半に臨んでくれ!」
シュナイダー「分かった…本当にありがとう」
ヤノサとヘルナンデスは竜太達の世界の未来に送ってもらって治療してもらうようだ。アルノ博士もタイムジャンプが出来るのが幸いだ。
日向「ま、それでもアイツらがやったことを許すわけにはいかねえな」
絵里「ケガさせた挙句あの短髪の善子の発言はさすがに私も許せないわね」
翼「オレもだよ。でも、みんな冷静になるんだ!相手が許せないからこそ、オレ達はフェアプレーで勝とう!」
天馬「あの人たちのプレーに、サッカーは泣いていると思うんです。だから、オレ達はサッカーが喜ぶ勝ち方をしましょう!」
怒りに満ちかけているチームを翼と天馬が説得する。どんなに卑劣な相手で痛い目にあわせたくても、自分達まで同じことはしたくない。
せつ菜「天馬くんの言う通りですね…!私達はラブライバーズとして、恥ずかしくないサッカーをしましょう!」
シュナイダー「そうだな。…それで、後半はどう戦う?」
ワンダバ「この大監督としては、後半でエースを一気につぎ込みたいところだ!」
龍也「だな。…と言ってもこのチームエース揃いだしな…」
日向「オレを出してくれないか。国木田や津島の姿で悪さしまくるあいつらを、これ以上好きにさせておくわけにはいかねぇ!」
龍也「日向なら攻撃力も上げられるし、ラフプレーにも強く出られるからな…じゃあ花丸さんの姿した方相手は頼む」
日向「おう!」
天馬「オレもお願いします!アスタやフランに…いや、ここにいるみんなに、サッカーがどんな戦いか教えたいんです!」
翼「天馬くんなら教えられる気がするよ…一緒にサッカーを見せよう!」
天馬「はい!」
ラブライバーズは後半戦に向けて選手交代。千歌を日向、せつ菜を天馬、絵里を果南に交代することに。
ワンダバ「みんな!相手の卑怯なプレーに気をつけろ!」
龍也「もちろんだ。あいつら前半から潰したがってるからな…」
日向「それにこれは公式戦じゃねえ。交代したヤツもまた出場するかもしれねえから準備しとけよ!」
千歌「はい!」
後半戦に向けての調整はこれで終わり。選手たちはフィールドに再び赴く。
―フォーメーション―
GK 竜平
DF 栗松 ヘンク イシガシ
OMF レヴィン ユリカ ヨシコ
FW フラエル アスタ 魔王
FW 日向 シュナイダー 龍也
OMF 天馬 翼 竜太
DMF 果南(松兄)
DF 果南 聖良(松兄) 彼方
GK 円堂
フラン「…」
天馬「フラン!」
天馬達がフィールドに出ると、フランが何故か目の前に立っていた。
フラン「お前達、何故サッカーを…戦いを続ける!これだけ悲しみを見せてもまだ分からないのか!」
翼「確かに悲しくなることをいっぱいされた。でもだからこそ、オレ達はオレ達のサッカーでそれに勝つんだ!」
フラン「なぜ闘争心が争いを生むと分からない…!だったら!」グワンっ!!
フランは両腕を前に掲げて年能力を発動した。すると選手たちの目の前が暗くなる。
日向「なんだ!?」
翼「フラン!これはどういうつもりだい!?」
フラン「お前たちに見せてやる…!戦いが生む悲しみと憎しみを!!」
フランがそう言うと、真っ暗な視界に映像が流れてきた。
天馬「っ!?…あれは…フラン?」