ビデオを再生する風見。浦の星と三杉、新田はプレーを見る。
―地区予選 ふらの高校対鎌聖高校―
鎌聖高校のFWがパスワークで攻めにかかる。そして9番にパスがつながった。
9ばん『くらえ!』ドガァ!
聖良『ふっ…』がちぃ!
チャーリー『せいらちゃん
ゴールを まもった!』
聖良は9ばんのシュートをワンハンドキャッチ。
聖良『いきます…松山さん!』バッ!
善子「ちょ、ちょっと!キーパーだけで最前線にボールがいったわよ!?」
フレイ「ロングフィードってやつだね。ああやって好きなところにパスをまわせるから、ゲームメイクをしやすくなるんだ」
新田「というか松山、余裕そうだな。前まではああいう攻撃も必死に防いでいたぜ」
三杉「余裕そうじゃなくて、実際に余裕が出来ているんだ。後ろを強力なキーパーに守ってもらうことで、自分がディフェンスに死力を尽くす必要がなくなったからね」
善子「つまり強力なキーパーの味を覚えて、自身は弱体化したのね。クックック…これぞ禁断の味!」
ダイヤ「ブッブー!逆ですわ!余裕が出来た分、守備も攻撃も、キレが非常に良くなっているのです!」
風見「その通り。後のシーンでそれが確認できます」
松山『いくぞ!』ダっ!
松山はドリブルで攻めこむ。そして、パスを繋いでいく。
チャーリー『りあちゃん
ひくいボールに
うごきを あわせる!』
理亜『さあ、決めるわ!』
理亜は2回バク転して逆立ち。その状態で回転し始めた。
理亜『スピニングシュート!』クルクルクルクル…!
ドガァ!コマのように回った理亜の必殺ボレーが炸裂。
チャーリー『きまった! ゴ~~~ル!!』
6ばん『突破する!』
松山『今だ!小田!』
小田『もらった!』ズサー!
小田『ここだ!』ドガァ!
ふらので中学校からFWをしていた小田。彼はシュートを放って点を決めた。
その後も鎌聖の攻撃を聖良が防いだり、松山のゲームメイクでボールを奪ったりして、全く寄せ付けない。
チャーリー『りあちゃん
たかいボールに
うごきを あわせる!』
理亜『きめる!』ダっ!
理亜はヘディングシュートのためにジャンプ。しかし、回転しながら青いオーラを纏って飛んでいる。
理亜『バックトルネード!』ドガァ!
そしてかかと落とし!ボールは特殊なカーブがかかってゴールに向かう。
バシュン!ピッピ―!
松山『理亜!ラストもう1発だ!』パスっ!
理亜『フリーズショット!』ドガァ!
前をスケートリンクのごとく氷一面にして、地を這うシュートを放つ。氷でボールが滑って威力が上がり、滑り終わった後はボールがホップして勢いよくキーパーに向かう。
バシュン!
これもゴール。同時に試合終了し、ビデオはここで終わりである。
新田「本当だ。余裕が出来ているからかゲームメイクが冴えてるぜ」
千歌「キーパー1つでここまで変わるなんて…」
曜「千歌ちゃんだって、頼れるキーパーだよ」
ダイヤ「あの必殺シュートたちを千歌さんが止められれば、わたくしたちは攻撃に専念できますわ」
千歌「今の私に、止められるかな?」
三杉「松山のイーグルショットは、僕の技より使い込まれている。つまり、それだけ進化しているんだ。僕のシュートより威力が高いと思った方がいい」
三杉のドライブシュート・ハイパーオーバーヘッドは、高校生から使い始めた技。一方、松山のイーグルショットは中学3年生から使い始めた技だ。つまり、イーグルショットは相当進化している可能性が高い。
新田「それに、噂では松山は鹿角理亜との合体技を生み出しているらしい。えーと、オーバー…なんだっけ?」
善子「相当厄介ってことはわかったわ。それなら、私たちDFはディフェンス練習でシュートチャンスを少しでも減らせるようにする」
鞠莉「そしてマリーたちアタッカーは、鹿角聖良から点を取れるシュートを撃てるようにする!」
三杉「よし。僕たちも協力するよ」
ダイヤ「み、三杉さん!?よろしいのですか!?」
新田「ああ。試合して負けちまった相手は自然と応援したくなるタチでな。俺も三杉さんも」
こうして三杉・新田に協力してもらいつつ、練習に移る浦の星。目標は聖良から得点できる必殺シュート、ふらのの攻撃を阻止するチームプレーやタクティクスの開発だ。
鞠莉「さーて、確かこうやって、えーい!」
花丸「…」
ルビィ「花丸ちゃん、どうしたの?」
花丸「はっ!…ルビィちゃん」
ルビィ「花丸ちゃん、なんだか元気無さそうだったよ」
花丸「ルビィちゃん…マル、最近FWとして自信が持てないずら…」
ルビィ「え…」
花丸「鞠莉ちゃんはすごいずら、ドリブルもシュートも。それに引きかえオラは…とても強いシュートが撃てないし、ボールを持ってもすぐに取られてしまうし…」
ルビィ「それは、鞠莉ちゃんはイタリアでプレイしていたから、しょうがないよ」
花丸「イタリア…きっと鞠莉ちゃん、次の試合も厳しくマークされるよね?」
ルビィ「それは、そうだろうけど…」
花丸「だから、マルがすごいプレーが出来るようにならないと!もっと点を取れるようにならなきゃ…!」
ルビィ「花丸ちゃん!?」
花丸はどこかに行ってしまった。ルビィは一人考える。
ルビィ「花丸ちゃん、どうしちゃったんだろう…」
新田「あれはFWとして当然の話だぜ」
ルビィ「え?」
新田「わりい、盗み聞きしてた。まあ、何が言いたいかというと、あいつは今までにないGKの存在で危機感と、FWとしての劣等感を感じているんだ」
ルビィ「危機感と劣等感?」
新田「確か、現時点では小原鞠莉って人と比べると実力が劣っちまうんだろ?そいつが新しい技を使い始める、それは今のあいつじゃ鹿角聖良からは得点できないってことを意味するんだ」
新田「FWは…特にストライカーは、点を取れないことが一番つらいんだ」
ルビィ「…」
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ルビィ「確か、花丸ちゃんは日向小次郎選手に憧れていたんだよね」
花丸「うん!やっぱりあのシュートを撃つ姿はかっこいいずら!」
果南「花丸ちゃんはFWがいいね」
鞠莉「ええ。花丸、マリーと一緒に相手のゴールネットを破りまくるわよ!」
花丸「ネットを破れるかどうかはわからないけど…いっぱい点をとるずら!」
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ルビィ「花丸ちゃん…」
ルビィはポジション決めの時の事を思い出した。確かに、鞠莉と一緒にいっぱい点を取ると意気込んでいた。
新田「FWとしてアドバイスしたいが、アイツどこ行ったんだ?」
風見「花丸さんならここの近くの山に行きましたよ」
新田 ルビィ「や、山!?」
新田「選手の管理どうなってるんだよ!」
風見「安心してください。登山用で、他校の選手も特訓に利用している山です。噂によると最近、日向小次郎がその山に籠って特訓しているようですよ」
新田「ひゅ、日向だって!?」
―近くの山―
ここは先述の通り、選手が特訓に使用している。花丸もまた、そこで自分を鍛えていた。
花丸「はあ…ハァ」
デコボコとしたり傾斜があったりする山の道は、グラウンドに比べて体力を持っていかれやすい。しかし、だからこそ歩くだけでも筋トレと同じような特訓ができ、効率の良いフィジカルの強化が出来る。
花丸「えい!」ドガァ!
バゴッ!!山には健康な大木が何本も生えており、木々をかき分けてのドリブル練習や、これにシュートをぶつけることによるシュート練習も出来る。
花丸「まだ足りない…このままじゃ、マル、足手まといに…」
自分が点を決められず、ボールを取られたりして足手まといになる事を恐れている花丸。
ドガァン!!
花丸「!?」
木にシュートを撃ちつける音がした。しかし、花丸はシュートを撃っていない。
花丸「人が…いる?」
音のした方角に歩く花丸。誰かを見つけたようだ。
花丸「あ、あの人は」
「!?」
あちらも花丸に気付いた模様。体中ボロボロで、衣服も破けている。恐らく山籠もりしているのだろう。
花丸「日向…小次郎」
日向「…」
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