―浦の星のグラウンド―
鞠莉「練習場所にはここがベストね!」
「学校…」
千歌は鞠莉に集合場所兼練習場所を探すようお願いしていた。鞠莉はすぐにここにしようと言った。今日はどの部活も使っていないし、千歌の事情を知った鞠莉はどうせ部活申請するんだからと言うが…
果南「確かにここはベストだけど…大丈夫かなん?」
鞠莉「私たちが知っていて練習できそうな所はここしかないわけだし、使わせてもらいましょう?私たち、ここの生徒なんだし。」
果南「それで…いいか…。」
記憶喪失の女の子を連れてきている以上、わけのわからない場所に行くわけにはいかない。そうなればここしかないだろう。果南は納得した。
千歌「果南ちゃーん!」
果南「あ、千歌!」
千歌が到着した。そして千歌のとなりにもう一人いる。千歌や果南の幼馴染の…
曜「ヨーソロー!渡辺曜、ただいま到着であります!」
渡辺曜。千歌に誘われて中学卒業まで千歌とサッカーをしていた。千歌からすれば最もやってくれそうな人であるのだ。
曜「千歌ちゃんから話は聞いたよ。サッカー部を立ててまたサッカーするって!嬉しいなあ!また千歌ちゃんとサッカーが出来るなんて!…で、ここにいる人たちが部員?」
果南「いや、ちょっと違うかな…私は千歌とサッカーするって決めたけど、他の二人は…」
鞠莉「ちょっと!マリーを仲間はずれにするつもり!?ナンセンス!ブッブーよ!」
千歌「サッカー部に入ってくれるんですか!?」
鞠莉「オフコース!私もサッカー選手なのよ!イタリアに行った時もサッカーして、イタリアサッカーを身に付けてきたんだから!」
千歌「イ、イタリア…すごい!」
イタリアは強力なヨーロッパサッカーの一角。特にプロリーグは有名で、世界最高峰のリーグもイタリアに存在する。そのイタリアのサッカーを身につけた人が仲間に…!
果南「これは心強いね。問題は…」
果南は女の子の方を見た。
曜「果南ちゃん、その子は…?」
果南「砂浜に倒れていたんだ。自分の名前も思い出せないんだって。」
「…」
曜「曜ちゃんだよ。よろしく。」
曜は女の子にアプローチをかける。
「よ…よろしくお願いします…。」
曜「敬語じゃなくて大丈夫だよ。もっとフレンドリーに、曜ちゃんはトモダチ。こわくないよ。」
「うん…」
鞠莉「そうね。もっとフレンドリーな方が仲良く出来るわ。千歌、あなたもよ。」
千歌「えっ」
鞠莉「出会った時はともかく、ここまで来て敬語なんて堅苦しいわ。今から練習するときも、鞠莉さんじゃなくて、ちゃんとかあだ名とかで呼びなさい。」
千歌「鞠莉…ちゃん?」
鞠莉「グレイト!じゃあ、改めてよろしくね。千歌っち」
こうしてみんなでフレンドリーにすることにしたところで…練習を始めることにした。
曜「はい!果南ちゃん!」
果南「曜、ナイスパスだよ!」
曜「へっへーん、感覚は衰えてないからね!」
四人は基礎的なパス練習から始めた。これが出来ないようでは、いくら上手な選手でも勝つことなど出来ない。
果南「千歌!」
千歌「鞠莉ちゃん!」
パスに慣れてきた千歌は鞠莉にダイレクトパスを試みた。しかし…
「きゃっ」
千歌「あ…ごめん」
ボールは練習を見ていた女の子の方へ行ってしまった。
鞠莉「千歌っち、ダイレクトパスはあまりやらない方がいいわ。こんな感じに変な場所にいっちゃうし、全日本ジュニアユースの人たちもほとんどやっていないわよ」
千歌「ええ!やってないの!?結構難しいテクニックだったんだ…」
「ボール…」
千歌「あ、ありがとう。ん?」
千歌は女の子の表情が気になった。女の子はボールを見つめていた。
まるで、これが何か大事な“なにか”であるかのような表情で。
千歌「一緒にやる?」
「え…」
千歌「私、あなたとも一緒にサッカーやってみたいんだ。それに…感じるんだ。あなたとボールは、友達だったんじゃないかって」
「私とボールが、友達…」
曜「友達だったって、この子が以前サッカーをしていたってこと?」
千歌「そうかな…確証はないけどね」
ちょっと無理がある言い方かもしれない。だけど、決してこの子とサッカーをするための口実を作るために言ったわけじゃない。そんな表情だったんだ。サッカーボールと付き合っていたから、わかる。
そう考えていると…
「あなたたち、ここで何をしているのですか?」
後ろから話しかけられた。ここにいる5人の声ではない。
鞠莉「久しぶりね、ダイヤ。」
ダイヤ「鞠莉さん!?帰国していたのですか!?果南さんも一緒に…ここでは見ない人もいますね。ン?サッカーボールをもっているようですが」
鞠莉「今サッカーをしてたのよ。ね、千歌っち。」
ダイヤ「サッカー?鞠莉さんと果南さんがいるということは…まさか部を設立する気ですの?」
鞠莉「イエス!キャプテン千歌っちよ!」
千歌「きゃ、キャプテン千歌っち!?私がキャプテン!?」
ダイヤ「あら、あなたがキャプテンですの?」
ダイヤの目線が千歌の方に向く。焦った千歌だが…
千歌(いや!私がやるって言ったんだ…!ここにいるみんなも、これから勧誘する人も、私がキャプテンとして引っ張っていくぐらいの気持ちでいないと!)
千歌「はい!私がキャプテンです!」
ダイヤ「そうですか…では千歌さん、あなたはどこを目指してサッカーをするのですか」
鞠莉「そういえば聞いてなかったわね。」
果南「私も。千歌、どんな目標でも私は一緒に進んでいくつもりだよ!」
千歌「私は…大空翼選手をはじめとした全日本ジュニアユースのメンバーの活躍を見てサッカーをしようと決めました。私も翼さんのようにフィールドで輝きたい…!」
ダイヤ「全日本ジュニアユース…」
千歌「私の目標は、優勝。翼さんのように…全国大会で優勝することです!」
ダイヤ「全国大会で優勝ですか…」
曜「千歌ちゃん…!」
曜は千歌の決意に感動していた。自分を誘ってくれた幼馴染の決意はその時と同じときめきを感じる。
ダイヤ「ブッブーですわ!」
千歌 曜 果南 鞠莉「な、なにィ!」
果南「ちょっとダイヤ!いくらなんでもひどすぎるよ!人の目標をブッブーだなんて!」
ダイヤ「わたくしは意地悪でそんなことを言っているのではありません!あなたたち、今年の全国大会がどのようなものになるかご存知なのですか!?」
鞠莉「今年の全国大会?なにかあるの?」
ダイヤ「まさか今までのように女子だけのサッカーとお思いになっているのではないのですか?今年は女子サッカーのレベルが上がっているという訳で男女混合の大会が行われることになりました。」
鞠莉「イタリアでも行われていたわ。ドントウォーリーよ。」
千歌「鞠莉さんの言う通りです!例え全日本ジュニアユースのメンバーが来ても…」
ダイヤ「そうは行きませんわ!千歌さん、ここは何県ですか?」
千歌「えーと…静岡県沼津市内浦です!」
ダイヤ「そう!ここは静岡県!これが何を意味するのか分かるのですか!?」
千歌「え…意味?」
果南「そうか!あの高校と!」
曜「千歌ちゃん!南葛!」
千歌「南葛…!ということはあの翼さんと…」
ダイヤ「戦うと思っているのですか?」
千歌「え?違うの?」
ダイヤ「出直してきなさぁぁぁい!」
ダイヤ「翼さんはブラジルのサンパウロにいるのです!全日本ジュニアユースに憧れておきながら!」
果南「ダイヤ、落ち着きなよ」
鞠莉「そうよ!私も知らなかったんだから。それに女の子が怖がってるわよ?」
「………!」
女の子はダイヤが怖くて何も言えなかった。
ダイヤ「ハッ!も、申し訳ありません!大丈夫、怖くないですわ。」
ダイヤは女の子に怖くないことをアピールした。
ダイヤ「とにかく!部を立てるのならまずはわたくしの言うことを聞いてもらいます!今から指定するグラウンドに行きなさい!」
千歌達は別のグラウンドにいた。ダイヤがそこで待っておくように言ったのだが…
ダイヤ「お待たせしました!」
ダイヤは男性を4人連れてきた。
果南「ダイヤ、この人達は?」
ダイヤ「地元のサッカー選手ですわ!今からサッカーバトルをしてもらいます!」
千歌「4人でサッカー?」
ダイヤ「サッカーバトルです!」
千歌「???」
ダイヤ「サッカーバトルをご存知ないようですね。これは4人で出来る簡易的なサッカーで、今のあなたたちでも出来るものです。」
ダイヤ「あなたたちの目標が優勝ということは分かりました。ですが生半可な決意ではそれは叶いません。サッカーをしているなら本来女性が男性に対して不利だということは分かっているでしょう?」
ダイヤ「女子サッカーのレベルが上がったといってもあなたたちのレベルが上がるわけではありません。弱ければ強い者にのまれるのです…!あなたたちの決意が本物なら…まずはこの方々とどれ程の勝負が出来るかみせてもらいます!」
果南「ダイヤ…」
千歌「…分かりました」
千歌「どんな選手が来ても絶対に折れない!フィールドで輝くためにも!」
鞠莉「グレイト!さすがキャプテンね!そうと決まったら早くはじめましょう!」
曜「私も準備は万端!」
サッカーバトルが始まる…!
活動報告を見て欲しいです!大事なお知らせが…!
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