なんか第四次聖杯戦争に神霊が来ちゃったんですが…。 作:イビルジョーカー
アヴェンジャーはオリジナルサーヴァントです。
とりあえず大体で『ああ、こんなキャラなんだ』って把握して
もらえれば上々です♪
では、どうぞ。
ここに語りを入れよう。
何を題とするか……それは神々が覇を競うイレギュラーな聖杯戦争で『復讐者』の
座たる『アヴェンジャー』として召喚し参戦した男の物語だ。
男は聖杯戦争の存在する世界とは、別の世界……すなわち並行時間軸の人間だった。
人間。そう、人間だ。
男は元を辿れば神などではなかった。男のいた世界を仮称として『Ⅹ世界』としよう。
Ⅹ世界には聖杯戦争のある世界……これも仮称として『型月世界』と呼ぼう。
『型月世界』と同じように『魔道の術』があった。
型月世界が『魔術』や『魔法』と呼ばれるそれを、Ⅹ世界では『魔介法式』と呼んで
いた。魔介法式を扱う者は『導師』と名乗り、彼らの多くは『世界からの解脱』と『
次元的至高の座』に到達することを目指していた。
『次元的至高の座』はⅩ世界の次元神と呼ばれる神々の王が創造したとされる、
異なる次元の座標に存在する『真理の図書館』。
無限の叡智と万象の可能性がそこに集約され、そこに至ることができれば『神王』と
なり自らが望む全てを手に出来るとされていた。
だからこそ導師たちは魔介法式の研究に勤しんだ。そして研究の為ならば一つの村を
滅ぼすことも、幾多の人命を食い潰すことさえ厭わなかった。
そんな導師たちの考えに否定的な導師たちがいた。
何が何でも……それこそ外道と非道に塗れたとしても尚、至高の座に至ろうとする
『至高派の導師』とあくまでも人道を重んじ魔介法式を一つの学問として研究する
『人道派の導師』。
二つの派閥は互いにギルドを作り、常に血で血を洗う抗争を繰り返していた。
そんな中である名門の導師の家系に生を成した者がいた。
名を『ティーチェ・クロス・アルバートス』
名門アルバートス家の当主として生まれたティーチェは凄まじいまでの才と運を
有していた。いくら凡人が天にも届かんほどの努力と成果を積み上げても、彼は
更にその上を行っていた。
そして、アルバートス家は二つの派閥に属することのない中立者だった。
人道を尊いと思い、それを踏み外さないよう歩みながら『至高の座』を目指す。
そんな家系だった。ティーチェの人生は幸福ばかりではないにせよ、やはり他に
比べれば恵まれていた方と言える。
素晴らしい人格と才能をもった両親。いつも笑顔を見せてくれる妹。自らの志に
共感してくれる良き友人たち。
まさしく彼の人生はそれだけでもう薔薇色に等しきものだった。
だがそれは無残に。残酷に。無慈悲に終わった。
ある日彼は人類が未だ到達し得なかった神の領域『至高の座』への到達に成功した。
そこから得られるのは無限の叡智と可能性、それらから生じる強大な力の数々。
こうして彼は、その世界の理を掴み取りし『神』となった。
だがそれを許さなかったのは『人道派』と『至高派』だった。
至高派の言い分は『崇高な志も持たない中立の愚かな家系が調子乗るな、座への到達を
可能にした研究成果を寄越せ』と極めて利己的で破綻したものだった。逆に『人道派』
の導師は一部の者が『座に到達した以上何をするか分からない、もし万が一この世界に
災厄が訪れた時を想定して排除するべき』と掲げ独断による実行を開始。
結果的にアルバートス家は滅んだ。彼らは利害一致から手を組み、まず彼の両親を殺害。
その身を文字通り八つ裂きにし、臓物を抉り、その晒し首をティーチェに見せつけた。
そして妹を彼の眼前で犯し無残に殺害。メイドも同様に殺し、最後は屋敷に火を放ち
ティーチェの全てを奪い去った。
そんな中でティーチェは呆然と、精神的なショックからその場に崩れるように座り込み
完全に戦意を消失。彼らの目的は半分以上成功した。
後は『神殺しの力』が宿った特殊な武器でティーチェを殺すだけ。
だが、それは『過ち』だった。ティーチェの流す涙は恐るべきことに『悲哀』ではなった。
なら何か? 自身の無力さから来る『悔しさ』? それともこんなことをした連中に対する
『憎悪』? ……どれも違う。あまりにかけ離れている。
『歓喜』。そう『歓喜』だ……彼は自分が正しく清い人間であるということを信じていた。
だが信じる中で疑問があった。
何故自分は『家族に対して愛情が強くあるにも関わらず、大切な家族を殺してみたい』と
断片的とは言え、考えてしまうのだろう?
どうして自分は『誰かの死という終わりがこんなにも愛しく美しい』と感じるのだろう?
彼は生まれながらに破綻していた。それを薄々自覚しておきながらも彼はそれを否定して来た。
だが自身の家系の滅びを目にし、それを…自らの醜悪なる本性を否定することができなくなった。
彼は殺した。その場にいた人道派と至高派の導師全員を彼らが行った以上の惨く、残酷に。
彼らが用意した神殺しの武器は意味を成さず破壊され、絶対なる絶望に飲み込まれながら
死んでいった。
その光景はまさに地獄。その惨劇の地獄の中でティーチェはまるで産声を上げるかのように
声を高々にして哂う。
『僕はこんな畜生だったのかっ!』と叫び、近くにあった……『最愛だった』妹の頭を柔ら
かいトマトのように踏み潰した。
程なくして彼は自分が生まれ育った故郷とも呼ぶべきその世界を破壊し尽くした。
さながら旧約聖書のソドムとゴモラのように様々な悪徳と鬼畜を撒き散らし、ある時は圧倒的
武力をもって様々なものを無へと還し、またある時は人心を惑わし未曾有の恐慌時代を蜂起さ
せるなど。
多種多様な手段方法を用いて自らの心を満たしていった。
数千年にも及び破壊の限りをし尽くしたティーチェの世界は死んだ。生命の息吹を感じさせぬ
滅びの世界と化した。
彼は自らの滅んだ世界をゆっくり、ゆっくりと長い年月をかけて、さながら滅んだ文明に様々
な想像力から構築された可能性を見出す、考古学者のような心境で世界各地を巡礼していった。
やがてそれも終わり、後に残るのは途方も無い退屈さだった。
このまま滅んだ世界に長居は無用と判断した彼は、次元転移の術式を発動させ次々とあらゆる
世界に来訪しては、自分の世界と同じように多種多様の手練手管で破壊の限りを尽くし、世界
ごとに存在した『邪悪なる存在』を収集していった。
そして、彼は偶発的に聖杯の寄る辺によってこの『第四次聖杯戦争』が行われている時代の
『型月世界』へと召喚を果たしてしまったのだ。
「聖杯からの情報によれば、この世界にも『魔を操る術』があり、その術を行使できる者達は
『根源の渦』と呼ばれる世界の外側に存在する座標を最終目標としているのか………ははっ、
まるでかつての私の世界と同じだな」
そこは暗く、一切の光を通さない広大な空間。
その正体は冬木の下水道であり、そこには彼……ティーチェ・クロス・アルバートスの
マスターが腕によりを掛けて作り上げた『アート』の数々が綺麗に陳列していた。
「なぁなぁ、ティーチェの旦那っ! この『人間傘』の出来栄えどうよっ!」
「おお~。存外中々に良い仕上がりようじゃないか、龍之介」
ベージュ色の長ズボンに真っ黒で特に何もない薄い長袖Tシャツを着た、ラフな格好着で
ティーチェ・クロス・アルバートスは、マスターである龍之介が手掛けた出来たばかりの
彼のアート作品の一つに目を見張る。
それが『人間の子供を材料にしたもの』でなければ、デザイン性はもしかしたら普通より
良い方であったかもしれない。
しかし。人間として破綻してしまっている以上、そんなこと望むべくもないだろう。
まるで凍った滝のような青みがかった銀色の、少し癖毛雑じりのショートヘアーを弄りな
がら、ティーチェは今後の聖杯戦争について考える。
「(ガキどもの魂も喰えたことだし、そろそろ本格的に乗り出すとしようか)」
邪悪な笑みを浮かべながら、彼は『遠見の水晶』に映るセイバー陣営の拠点『アインツ
ベルン城』を眺めるのだった。
ここで一つ、アンケートを取りたいと思います。
内容は活動報告に書いてあるので、是非いい答えを頂けると非常に助かります。
次回はいよいよ、雁夜おじさんと阿修羅のターンですっ!