フォロワーファンタジー ー小豆味ー   作:ニャル太郎

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二人で一人

「……い……おいってば……」

 

真っ暗な空間で声が聞こえる。

 

「うっさい……今起きるから黙って……」

 

生意気にも口答えする人物がこの物語の主人公、東雲である。

 

「起きろ、いつまで寝てんだ」

 

「今日休みなんだからいいじゃん……」

 

「めんどくせえなぁ」と呟くと、思いっきり脇腹に蹴りを入れた。

 

「イッタァッッッ!!!!!!!」

 

約三メートルほど飛んでいった。

 

「やっと起きたか、ねぼすけ野郎」

 

「蹴らなくたっていいじゃん!って……」

 

あたりを見渡して見覚えのない場所にいることにようやく気づく。

 

「どこここ」

 

「知らね、起きたらこんなとこいた、お前なんか知らないのかよ」

 

「えっ、どちら様」

 

目の前にいる人物は白髪ツインテ赤目のつり目、クラシックメイド服に黒のショートブーツの女性。声は中性的。

 

さも知り合いかのように話しかけてきてめっちゃ怖い。

 

「は?どちら様って、お前寝ぼけてんのか」

 

「いやいや知らない知らない、あなたみたいなコスプレお姉さん知らない」

 

「あ゛?」

 

「ごめんなさい」

 

事実を述べただけなのに、と言おうとしたを我慢する。

 

こんなどっかのギャルゲかエロゲに出てきそうな友人はいないし、そもそもこんなやつ友達にしたくねえと思っていた。

 

「ええと、それで、どちら様なんでしょうか」

 

「……お前ほんとにわかんねえのか」

 

「心当たりがなさすぎてなんとも」

 

「あぁ、そう」

 

呆れた顔でどうしたものかとその人物は頭を掻いて、言った。

 

「お前だよ」

 

「……はい?」

 

どうしようこの人怖い、急にお前だよって言われても意味わからん。

 

変な人に絡まれたら基本逃げるのが一番なのだが多分逃してくれなさそうだしなんなら殺してきそうな勢いだ。

 

「あ、ええと、その」

 

「んだよ」とめんどくさそうに睨んできた。

 

「ドッペルゲンガーとかそういうのものですかね?」

 

「あーいやちげえな、なんつーか、んー」

 

どう伝えようかと考えてくれてる、案外優しい人なのかなと思ってた。

 

「お前だな、うん」

 

前言撤回、本当にやばいやつなのかもしれない。

 

「よし一度病院に行きましょう、記憶喪失とかそういうものだっ──」

 

その言葉は彼女の回し蹴りで遮られた。今度は四メートルくらい吹き飛んだ。

 

「イタァイ!?なんで!?」

 

「だぁーっ!もうそれで分かれよ!脳みそ空っぽかよ!」

 

「わかるわけないだろ!突然お前だよって言ってくる異常者どうすればいいんだよ!」

 

「誰が異常者だ!」

 

「事実を述べただけですが!」

 

喧嘩したところで物語(はなし)が進むわけではない、そんなことはわかっているがこの目の前の異常者をどうすればいいか東雲は必死に考えていた。

 

無論、思いついたらすぐ実行してるはずだけど。

 

「だから!お前なの!もう一人のお前!」

 

「確かに世界には似てる人が三人いると言いますがね!これには無理があるからな!」

 

「そうじゃねえんだよ!だから!」

 

もう一人の東雲?は頭を掻きむしった後、観念したようにつぶやいた。

 

「ニャル太郎」

 

その単語には聞き覚えがあった。

 

「……はい?」

 

なんでこいつがその単語知ってるんだ、頭がはてなでいっぱいになった。

 

「オレはニャル太郎なんだよ!お前のTwitterのアットマークの隣に書かれててお前の進歩具合を聞いてくるニャル太郎だよ!」

 

理解するのに数秒かかった、そして理解した直後。

 

「ええええええええええええ!?」

 

叫んだ。鳥たちがびびって逃げるくらい叫んだ。

 

「え、だって、お前いつも進歩聞いてくる嫌なやつなの!?」

 

「嫌なやつって言うな!お前がそうキャラ付けしてくるからこうなったんだよ!」

 

はぁ、とため息をついた。

 

東雲はどおりで好きな見た目なわけだと理解し悲しくなった。

 

「目が覚めたら知らねえ場所にいて、隣にお前がいたんだよ」

 

ニャル太郎がいうに自分達は俗にいう異世界転生をしたのではないか、その影響で東雲とニャル太郎が分裂したと説明した。あくまで仮説だが。

 

「で、起きないボクを蹴ったと」

 

「おう」

 

「おう、じゃないわ!痛かったんだからな!」

 

「起きないお前が悪い」

 

なんて女だ、と口に出しそうになったのをグッと抑えた。

 

「お前のことだからなんか知ってると思ったんだが、その様子じゃなんも知らなさそうだな」

 

「知るわけないだろ、いつものように寝て起きたらこんな知らない世界にいたんだからさ」

 

「そりゃそうか」

 

さてどうするかとニャル太郎は腕を組み、東雲はもうこいつにかかわったらめんどくさそうから離れるかと考え歩き始めた。

 

「ん、どこ行くんだよ」

 

「ついてくんな」

 

「やだよ、なんかあったらお前を生贄にしてオレは逃げるんだよ」

 

「最低なやつじゃん!尚更ついてくんな!」

 

「お前なんだからいいじゃん、どーせ行く当てなんてないからどっかほっつき歩いたらなんとかなるだろ」

 

その発言を聞いて、東雲は確信した。

 

考えることは同じか(やっぱりボクか)

 

どんな手を使っても離れなさそうだと諦めるしかなかった。

 

「なんとかなるといいなー」

 

「そうだな」

 

こうして二人の元の世界に戻る旅が始まった。

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