「ちょっと待っていてくださいね!」
何もない空間から一メートル程ある銀色の鍵を取り出し、四角を作る。
「これで、よし!」
鍵を回す動作をしたと同時に、三人は移動していた。
歩いたでも走ったでもなく、そこに瞬間移動した。
「大丈夫ですか?」
「……えっ、あっはい、ありがとうございます」
「いえいえ!困った時はお互い様ですので!」
「ええと、それでお二人は──」
「ハックションッッッ」
くしゃみと同時に近くにいた半魚人数匹が爆風で吹き飛んだ。
「あぁ、すいません」
「もう気をつけてくださいよ〜、それ食らうと致命傷になりかねないんですから」
「く、くしゃみで爆発した、怖」
「今度から気をつけるんで、大丈夫っすよ」
金属バットを持ち直し、魚群を見る。
「んで、こいつらどうする?かなりの数いるけど」
「何人かに分けて倒しますか!」
「えっ、ボクらも?」
「当たり前ですよ!何楽になろうとしてるんですか!」
「オレら足手まといにならないか?」
「いや多い方がすぐ終わるんで」
「そうですわ!分担してお掃除と行きましょう!」
「いい判断ですね!」
(シノタロスがノリノリなんだけど……)
(あの子人助け大好きだからね、仕方ないね)
「んじゃ、先行ってるぞ」
そう言うと赤いライダーは魚群の中に突っ込んだ。
「あっ!我も行きますよー!」
追いかけるようにその禍々しい姿をしたライダーも走り出す。
「お前の知り合いだろ、誰だか知らねえのか」
「あんな物騒でSAN値減りそうな人知らないんだよなぁ、それにさ」
浜辺の方へと目を移した途端、爆発した。
数十匹の半魚人が見るも無惨な死体に成り果てていった。
「いかなくてもよさそう」
「オレらいらなさそうだな」
別の方に目を向けると鍵を振り回す、直後半魚人は見えないなにかに潰された。
「ちょっとー!サボってないで手伝ってくださいよー!」
「次から次へと魚どもがやってきて、キリがねえんだ!」
そんなこと言ってる間にもどんどん海から出てきており、おおよそ百体くらいの数になっていた
「はぁ、邪魔にならない程度に行きますかっ」
「でしたら!」
黄色のコインを取り出し、ドライバーに入れる。
〈パックーン!メイスフォーム!〉
煙が出て数秒後、出てきたのは狐の尻尾がついた可愛らいいメイスだった。
「おぉー!かわイッッッ……!?」
あまりの重さに、
「東雲さん?どうしました?」
「いや……なんでもない……」
根性で何とか持ち直す。
「あ、ニャル太郎さんはこちらを!」
尻尾を振るとニャル太郎の頭上から、いつものハンマーが降ってきた。
「うおっ!?」
それをものともせずに片手でキャッチする。
「えっ、なんで?」
「なにがだよ?先行ってんぞ」
頭を掻きながら、魚群の方へと進んだ。
「何あの怪力ゴリラ、片手で持つとか怖っ」
「東雲さんは持てないのですか?」
「はぁー!?持てるしー!?こんなの全然余裕だしー!?」
シノタロスを両手で抱えながら走り出す。
「行くぞー!オラー!」
「その気ですわー!」
何匹かの半魚人を
「助太刀に来ました!でも貴方強いから実はボクらいらないのでは?」
「そんなことないですよ!我の能力は隙が大きいんで、この人数は割と不利なんですよね!」
「そうなんだ、んじゃお背中守りますね!」
「ワタクシも守りますわ!」
「えっメイスが喋った!?」
「初めましてですの!」
「こ、こんにちは」
困惑しながらも、手を振って挨拶をしてくれた。
「よーし気合入れてい──」
ゴトリ、と世界が落下する。
「えっ」「あら!」
首筋に痛みが走った、背後にいた半魚人に首を切られたようだ。
「おーおー?なんてこった」
「なんてこったじゃないですよ!?頭取れてますよ!?」
「大丈夫ですよ、仕様なんで」
「仕様!?」
「背後から殺気ですわ!」
「おっ、けッッッ!!!」
そのままゴルフボールのように飛んでいった。
「ナイスショットですわ!」
「いや、距離感掴みづらいね!あっ頭拾ってもらってもいいですか?」
「えっあっ、はい!」
ツッコミたい気持ちを抑え、三人は戦闘に集中した。
一方攻撃と爆風をかわしながら、赤いライダーの近くたどり着くニャル太郎。
「ようやくか……」
一息つき、声をかけようとした。
突然ノイズが走る。
「はいはい、今度はなんだ?」
周りには大漁の半魚人。
警戒をして、ただこちらを見ているだけ。
「?、何にも起こら──」
「ハーックション!!!」
視界が、爆ぜた。
再びノイズが走る。
「……あ?」
予知の内容が全く理解できず、立ち尽くす。
「ハーックション!!!」
しかしくしゃみと同時に体が勝手に動き、赤いライダーの近くまで飛び込んだ。
その瞬間、先ほどまで立っていた場所が爆発した。
「あぁ、すんません」
「あッッッぶね!死ぬかと思った!」
「くしゃみの爆発は制御できないんすよね、すみません」
「だ、大丈夫だ、不可抗力なんだろ」
「ええまぁ、前にやって味方巻き込んだことあるんで」
「なんか、大変なん──」
背後から殺意を感じ、ハンマーで叩き潰す。
「人が話してんの邪魔してんじゃねえぞ!!!たたきにすんぞ!!!」
「……そんな怒ります?あともうたたきになっちゃってるていうか」
「話の邪魔されたら嫌だろ」
「まあそうっす、ねッ!」
飛びかかってきた半魚人をバットで打ち返し、魚肉にする。
「さてと」
バットに付着した魚肉を落とし、周りを見る。
「んじゃオレはこっちのをやりますね」
「そしたらオレはこっちのをやる」
互いの背中を合わせ周りを見る、四十体程の敵に囲まれていた。
「ところでオレ達一人称かぶってますね」
「そうだな、いやそうだけど今じゃないだろ!?」
「ちょっと気になったんで、つい」
「あとでもいいだろそれは」
会話が終え、深呼吸をする。
風が吹き止むと、全員が同時に地面を踏み駆け出す。
浜辺に打撃音と爆破音が響き渡る。
「うははー!たーのしー!」
「ぶっ潰れなさい!ですわッ!」
「この状況で楽しめるってなんか逆にすごいですね!」
血飛沫と臓物が浜辺を飾る。
「誰だ殴ってきたやつ!!!てめえか!!!」
「今そっち爆破するぞ!」
「
「わかった!」
「あっちはあっちでコンビネーション抜群だー!」
無慈悲な殺戮が半魚人たちを襲う。
「なかなか減らないね〜!」
「数が多すぎるなこれ」
「ワタクシがガトリングになればまだなんとか……」
「ならんでいい、つってもどうすっか……」
「爆破で一掃します?」
「その手があったか、あぁでもこれ以上使いすぎると変身解除しちゃうな」
「我のもこれ以上空間歪めすぎると変身解けちゃうんでなんとも」
「詰んだな!どうすっか!」
「なんでそんな楽しそうなんです!?」
「こういう窮地に立たされると楽しくなるっていうかワクワクするっていうかぁ」
「ワタクシも燃えてきましたわ!」
「メイスが喋ってる……?」
「そのくだりはもうしましたよ」
「あぁ、そうっすか」
「んでどうすんだこの状況?」
「うーん、ん?」
ふと東雲は、巨大魚を見る。
耳を澄ましてみれば、何か鳴き声のような歌声を発していたことに気がつく。
「……ニャル太郎」
「あ?」
「サッカーしよ」
「……あぁはいはい、すまんこれちょっと持っててくれ」
赤いライダーにハンマーを渡す。
「え?あぁ、は、イッッッ!?」
あまりの重さに地面に落とす。
「こんな重いのやつ振り回してたんすか?」
「?、そんなに重いかこれ?」
「いや……なんでもない……」
「あ、そうしたらちょっとこれお願いします」
「は、はい、ンッッッ!?」
「きゃー!?」
落としそうになったのをなんとか持ち直す。
「えっちょっと!?この子?どうすればいいんですか!?」
「すぐ終わるんで、ええとこうして」
いつものように頭を外し、ニャル太郎に渡す。
「え、何をするつもりで」
「サッカーですけど、あっシノタロスいいですか?」
「えっ?はい、えっ?」
「サッ……カー……?」
こいつは何を言ってんだ、と困惑しながら二人を眺めていた。
「準備オーケー、ぶちかましちゃって」
「よし、んじゃちょっと歯ァ食いしばれ、よッッッ!」
持っていた頭を落とし、サッカーボールのように蹴る。
「「ええぇぇぇえええええ?!?!?!?!?!」」
蹴られた
痛みで怯んだのか歌声は聞こえなくなった。
東雲の頭はというと、当たった衝撃で真上に飛んでいった。
「チッ、死ななかったか」
「いや!?あの人死んでません!?」
「大丈夫大丈夫、あれじゃあ死なねえからあいつ」
「ホントだ、動いてる」
「あぁ、半魚人の方任せていいか?」
「我はいいですけど……」
「オレも別に……」
「うし、おい行くぞ頭ナシ」
身振り手振りで何かを訴えるように、頭のないライダーは連れて行かれた。
「はぁ、とりあえずこっち片付けちゃいますか」
「そうだな」
残された二人は、互いの背中を合わせる。
「合わせられます?」
「もちろん」
張り詰めた空気が二人を包む。
銀の鍵を握りしめ、敵に向ける。
〈全にして一、一にして全〉
金属バットを持ち、構える。
〈目標確認、爆破用意完了〉
その言葉に反応するように、敵が一斉に襲いかかる。
「我、次元を裂き、深淵から覗く者なりて」
「標準固定」
「門よ、閉じろ」
吐き捨てるように呟くと、
「──発動」
判決は死。彼らの生きた痕跡も残さず消し飛ばした。
「……ふぅ、なんとかなりましたね!」
「ほんとその必殺技の台詞、間近で聞くとSAN値無くなりそう」
「我らのドライバー、こうしないと発動してくれないのでちょっとめんどくさいんですよねぇ」
「だなぁ、それであの人ら大丈夫なのか?」
「どーでしょう?」
──視点を三人に移す。
「クッソ、海にいちゃあ手も足も出せねえな」
「でしたら青いコインを入れてください!」
「わかった」
〈パックーン!ウォーターバイクモード!〉
煙が立ち数秒後、現れたのは可愛らしい狐の水上バイクだった。
「さあお二方!乗ってくださいまし!」
「──、───────!」
何かを訴えるようにニャル太郎を小突く。
「あぁ?うるせえオレの後ろに乗れ、それかここで待つか?」
そう聞くと、諦めたように後ろに乗った。
「行きますわ!振り落とされないでくださいね!」
水上を駆け、巨大魚を追う。
「──!─!────!」
突然どこかを指差しながら肩を叩き始めた。
「んだよ!」
「──!──!」
「あぁ?」
指差した方向を見ると、『何か』が落ちてるのが見えた。
「……忘れてたッッッ!!!」
「何をですの?」
「こいつの頭ッッッ!!!」
「……はわー!?!?」
慌てて方向を変え、着水場所までシノタロスを発進させた。
「間に合えッ!」
「……ウオォォォオオオオ!!!!」
間一髪、水面にぶつかる前に頭をキャッチした。
「あー面白かった」
頭をつけ一安心する東雲。
「んなこと言って場合か!」
「ごめんごめん、それで大きなお魚さんは?」
「逃げようとしてますわ!」
「させるかよ!いくぞ!」
「了解ですわ!」
再びヤツを追いかける。
「どうする?またこの前みたいにボクら投げられる?」
「今度は一緒に
「それじゃあ、先回りするか!」
速度を上げ、距離を詰める。
目と目があう距離まで近づいた。
「ちゃ〜お〜!」と手を振る。
巨大魚は目を見開き、方向を変えた。
それが自身の生命を切る行動になろうとは思っていなかった。
「そっちに逃げるのは、好都合だ!」
スピードを上げ、追い詰める。
「遅いですわ!それでは生き残れませんわ!」
巨大魚を抜かし、正面に位置する。
「ここら辺でッッッ!」
突然、上に打ち上げられた。
「エェッ!?」
「ウオッ!?」
打ち上げられて衝撃なのか、いつの間にか人型になっていたシノタロス。
「ぶちかましましょう!」
「ガッテン!」「あぁ!」
レバーを右に引く。砂時計を右に回す。狐の口を閉じ、再び開ける。
標準を合わせ左足を発射させる。
全ての残像がヤツの脳天を貫く未来を
周りを煙で包む、姿を変えてるように思わせ惑わせる。
〈ディサセンブル!フィニーッシュ!〉
合体した衝撃とその重さで加速する。
〈フィーチャーサァート、フィニッシュ!〉
未来を決めた、ヤツの生命を絶つ。
〈ヒッサーツ!〉
煙を晴らし、その
「ウッ、オアアアアア!!!」
「シャラァアアアアア!!!」
「ぶっ潰れるがいいですわァァァ!」
直撃。ただそれだけでヤツの命の灯火は消える。
そして三人は着水する──はずだった。
「お?」「は?」「あら?」
気がつけば二人の元に戻っていた。
「ほ、ほんとはちゃめちゃすぎる……」
銀の鍵を空間の狭間にしまうとそのまま浜辺に倒れる。
「おー!ありがとうございまーす!」
「悪いな、何度も助けてもらって」
「ワ、ワタクシが不甲斐ないばっかりに……面目ないですわ……」
「そんなことないですよ、でも今回ばかりは流石に疲れた」
「お疲れー、帰ったら飯でも行きましょうや」
「だな、依頼達成したし、帰ろうぜ」
「そうだね」
〈ヤスメヨー〉
変身を解くと同時に血生臭い匂いが鼻につく。
「ビョッ!?こんな匂いするんだ」
〈バイバーイ〉
「くっさ!?鼻がもげる」
〈オッツカレー〉
「ひゃあ!?すごい匂いですわ!?」
「なんで解いちゃったの……」
「嗅いでみたかったので、つい」
「好奇心の塊すぎるだろ」
「それじゃあ移動しますか、あっこれ」
「ワタクシのハンマー!すみませんですの」とハンマーをしまう。
「いいんすよ、ほらいつまで寝てるんですか」
「うぅ、体重い」
「手伝いますわ!」
「助かります〜……」
「せいっ」とお姫様抱っこをする。
「おぉ!?こんな感じなんだ……」
「さあてと、どこに行きますの?」
「こっちに小屋あるんで、案内します」
「わかりましたわ〜!」
「ちょっ、すごい、これ意外と怖い!」
「元気だねぇ〜」
「そうだな」
赤いライダーに案内されるがまま、歩き始めた。
・ー・ー・
上空にて。
「相変わらずトンチキというか、“カレ”らしいというか」
その人物は安心したように呟く。
「さて、ピース集めに戻りますか」
タブレットを閉じ、寝っ転がった。
「エアロカレン、目的地はあそこね」
〈承知 移動を開始します〉
「安全運転でお願い」
〈当然 安全第一で迅速に移動します〉
上空に一体の鉄の竜。それに乗った人物はどこかに飛び去った。
・ー・ー・
しばらく歩き進めると古びた小屋にたどり着く。
「ここで降ろしてもらって大丈夫ですよ」
「わかりましたわ、お体の方大丈夫ですか?」
「だいぶ!」
シノタロスの前で元気そうに跳ねた。
「それはよかったですわ」
「あ、そろそろ解くか」
ドライバーに銀の鍵を差し込み、回すと同時に変身が解けた。
現れたのは男、ではなくサメとネズミを掛け合わせたようなを姿をした人外だった。
「あら、笑顔が素敵ですわ!」
「そうです?よく言われるんですよ〜!ってお二人ともどうしたんです?」
「いや、人が出てくるかと思ったらサメみたいなネズミみたいな人?そもそも人でいいのこの人?」
「オレに聞くな、てかお前の知り合いだろ心あたりねえのか」
「えっ、えぇ〜?」
顔を見る、サメとネズミで心当たりといえば。
「もしかして、ラットさん???」
「そうですよ!もう一発で気づいてくださいよ〜!」
ゴンッと鈍い音が響いた。
「……あ、あの」
「この度は大変失礼な態度と多大なるご迷惑をかけたこととなんだこの人外と思ったことを深く謝罪いたします、何とぞ食べないでください」
いつもの土下座。
「あの食べませんし、頭から血流しますけど」
「いつもの謝罪芸だ、今日の芸術点高いな」
「へーそうなん、えっ?」
「この前のは命乞いのようでしたわね」
「こっちもそうに見えなくないけどな」
「その、顔上げてください、てかいつもやってるんですかこれ」
「いやその、癖というか条件反射というか、命が惜しいというか」
「食べませんよ!?大丈夫ですからね!?」
「あぁ、こっちにも」と赤いライダーの方を見て頭を下げる。
「うちのニャル太郎がご迷惑をかけました、お許しください」
「おい」
「あぁ全然大丈夫でしたよ、ちょっと怖いなって思いましたけど」
「おいッ」
「冗談ですよ」
ドライバーについてるスイッチを押し、変身を解いた。
赤い鎧から出てきたのは、クロスホルダービキニを着た赤髪の少女だった。
「改めて、鯔副世塩です」
再び、鈍い音が響く。
「……あの、なんで?」
「すみません、その、なんか謝罪しなきゃいけない気がして、恐れ多いっていうか、あの命だけは」
「オレをなんだと思ってるんですか」
「なんか、いろんなもの書いてる方って認識です、はい」
「そうだけど、顔あげていいですよ」
「いや、なんか色々恥ずかしくて」
「なんすかこの人」
「こいつめんどくせえコミュ障なんだよ」
「めんどくさいってレベルじゃないでしょ」
「そのうち慣れる、おいこっちも自己紹介すんぞ」
「あっ、こんにちはというか初めまして、東雲の幻想屋です」
「オレはニャル太郎」
「シノタロスですわ!」
一瞬の静寂。
「東雲さんが二人!?」「ニャル太郎さんが二人!?」
「ややこしいですよね、すいません」
「いや、なぜ?」
「さぁな?転生したバグで分裂したんじゃねえかな」
「えっ、じゃあこの子は?」
「ワタクシは二人の同時変身の電磁波的なもので生まれたイマジンですわ!」
「……あー、はい!」
「なんか、すごいことになってますね」
「ええ、まあ、でもいい子なので」
「それは伝わってるんで大丈夫ですよ」
聞きたいのはそういうことじゃないと顔をする鯔副世塩。
「それで、いつからこっちに?」
東雲に代わって質問をするニャル太郎。
「あー我はそろそろ三ヶ月経つ感じですかね」
「オレは丁度二週間ってところかな」
「はぁ」
人によってタイムラグがあるのは分かっていたが、ここまで差があるとは。
「そういや、そのドライバーはどこで?」
「なんか転生してのんびり過ごしてたら急に黒スーツの男の人に渡されたんですよね、持ってたおかげであの半魚人達追っ払えたんでいいんですけど」
「オレも同じです、これ便利っすね」
「リチャードのやつ、ここにも足を運んでいたのか」
そもそもなんでここに転生者がいたことがわかったんだ?と思考を巡らせた。
「そういえば180ポイントさんには会いましたでしょうか?」
「えっポイントさん来てたんです!?」
「いますよ、エネミー食堂開いてます」
「まじすか!?やりましたよ塩さん!やっとお腹いっぱいなご飯食べれますね!」
「それはありがたい、魚とか飽きてたんで」
「おっ飯!?ご飯!?奢るよ!?」
「なんでそれで生き生きすんだお前、他人に課金すんのが趣味か?」
「お腹すいてたし!めっちゃ狩ったから儲けも多いはず!」
「そうだな、腹減ったわ」
「では剥ぎ取りをしてきますわ!」
「我も手伝いますよー!」
「ボクもー!」
三人はウッキウキの足取りで去っていった。
「じゃあ、今回の儲けの分配について話すか」
「賛成ー」
大量の素材と全員分の換金分、さらに昼飯代の計算の会議を行った。
思いのほか大量に狩れちゃったこととバカにならない昼飯代(※主に東雲とシノタロス)の計算を終え、無事町まで戻った一同。
このあとエネミー食堂で和気藹々と異世界転生トークをしながら一日を終えた。
ちなみにかなりあったドラゴンの肉が一日だけで半分なくなったことに180ポイントは恐怖した。