早朝に、グランドで倒れている、人物が発見された。
「これは…?」
「どうやら、転落死らしいけど、
ドームの真ん中で、倒れるなんて、
どう考えても不審ね…」
「あっ、どうも、糸川です。
階級は警部です」
私と六花は、糸川警部と一緒に、
現場を調べていた。
「転落死とはいえ、
どこから、倒れたんでしょうか…?」
「死体についてですが、
百田良太郎さん」
「有名な方なんですか?」
「なにせ、キャッツの野球選手で、
ベテランの選手で、ピッチャーだったからな」
「それじゃあ、練習中に心臓発作で倒れているわけじゃ…」
「当初は、そう考えていましたが…」
「どうも、転落死だったみたいです。
高所から落下して、全身を強く打って、
死亡したようなんです」
「高所って…どこから落ちたっていうんでしょうか…?」
「ですよね」
「全身打撲によるショック死…即死でした」
「自殺か他殺か、あるいは事故か、不明です。
遺書らしきものはなかったです」
六花は考える。
「それじゃあ…ピッチャープレートにつまずいて、
転んだ事故とか?」
「それは…あんまりな死に方…」
「遺体の発見時の服装などは?」
「えっと…いわゆる、ランニング用のジャージ姿でした。
グローブやボールは無かった」
「じゃあ、この説は却下」
(六花、真面目に考えていたの!?)
「理論上、一流の単距離ランナーが、
全力疾走して、固い壁にぶつかれば、
即死出来ると聞いています」
「その理屈で、野球選手なら、ボールを投げる勢いで、
転べばと…?」
「いえ、言いませんけどね。
ただ、犯人はそう見せかけようとした、可能性はあります」
「えっ?」
「まだわからないけど、
何らかの人の意図が絡んでいるように思うの」
「事故だった場合でも、故意が絡むことなんて、
あるんですか?」
「ありますよ。
どんな事故も、誰かが何かをした結果、
起こるものですからね」
「そういえば、この球場は使われていないのですか?」
「現在は、営業停止中です。
試合の予定は、全てキャンセルされています」
「一日でも早く、この球場を使用可能にするために、
仁奈さんと六花さんに依頼がいったのもあるかと…
いつまでも、マスコミに面白がられる訳にも、
いきませんからね」
「マスコミが、面白がっているんですか?」
「マスコミというよりは、ファンですね。
ピッチャーがマウンド上で死ぬ。
ちょっとした、お祭り騒ぎですよ」
「ゴール!」
「どうしたの?六花?」
「お祭り騒ぎに水を差すのは、気が引けますが、
これが、私たちの仕事ですからね」
「糸川警部」
「はい」
「日差しを遮るものが無いので、
ベンチで続きを話してもいいですか?」
こうして、三人はベンチに座った。
(遮るものが無い、空から転落したと推測出来るのか?
飛行機から落ちたって説も出ている位だ。冗談半分だが)