仁奈は改めて、事件の詳細を、六花に言った。
「なるほど、そういうことでしたか」
「そして、百田良太郎が落下したのは、
マウントで」
「いえ、そこが落下点とは、限りません」
あっ、そうだった!
記憶を失っているから、また同じ話を!
「ですが、死体は移動させたら、痕跡が残るし…」
「移動させたら…ですよね?
つまり、死体じゃなかったら、移動させても、
わからないのでは?」
「いや、それは違う話」
「えっ?」
「確か糸川警部の話によると、
百田さんがあの辺りから、落ちると仮定しましょう。
致命的なダメージは負いました、
(ほぼ即死)です。ですが、彼はまだ生きていた。
生きていたんです。這うようにして、
マウンドまで移動して、そこで、絶命された」
「確かに説明は付くけど、
金網に上る理由もわからない上に、
グラウンドやジャージに痕跡が残るはずだ」
「そうですね、じゃあ、誰かが運んできたのかな?」
マウンドで死にたい。という彼の想いをくみ取って、
少なくとも、マウンド上で転落死の説明は付く。
あくまで短距離なら。
「だとしても、私が落ちたと、天承される、
このバックネットでは、ないでしょうね」
「所説みたいに言われてもね…」
「こんな、か弱い私が落ちても、
ケガ一つありませんからね」
「そうね、彼の体重で、ここを登る自体は、
無理だと思う」
「なるほど。一応、他のフェンスも見てみましょう」
「ここの警備体制は、どのようになっていましたか?
夜中に忍び込むことは、可能でしょうか?」
「関係者以外立ち入り禁止でした。
この辺りは、治安が悪い所ですから」
「逆に言えば、関係者なら、立ち入ることが可能かと」
「ふむ…やはり、フェンスから落下した線は無いですね」
「球場の外という、可能性も否定できません。
まぁ、周辺に高層建築物は、無かったです。
名誉の死…も、気になるところです」
「このフレーズが、私には、
それが、この事件の肝で、ある気がして、
ならないんです」
「名誉の死…名誉の死…名誉の死…」
「念仏を唱えるつもり?」
「いえ、私、ちょっと走ってきます」
「ちょっと、り、六花!?」
数分後。
「仁奈!糸井警部!」
「はやっ!」
「ありがとうございます!
仁奈や警部のおかげで、事件の真相が推理できそうです!」
「えっ?」
「仁奈と一緒に探偵が出来て、良かったです!
仁奈と共に、探偵が出来て、とても、光栄です!」
「罪悪感が半端無い上、それを今、ここで言っちゃうの!?」
「じゃあ、百田良太郎さんは、どこから、落ちたんですか?」
「それじゃあ、説明します。
どこから、地面に落ちたのではなく、
どこの地面から落ちたのか、
を、問うべきです。例えば…」
六花が下に指を指した。
指を指したのは…マンホールだった。
「ここです」
「どうして、マンホール?」
「今から説明します」
「はい」
導き出した、事件の真相は!?