球場私有地のマンホールには球団のマークが書かれていて、
盗難に遭うことが、あった。
あの日の夜。百田良太郎は、いつもの自主練で、
球場の周りをランニングしていた。
熱烈なファンによって、その日にマンホールが盗まれていることを知らず、
そして、ほぼ即死のダメージを負った。
事件が複雑化したのは、瀕死の彼を発見したのは、
警備員達だったことだ。
彼らには、それがベテラン選手の百田良太郎であることと、
救急車を呼ぼうとしたが、無駄であることを考えた。
そして、あのベテラン選手を、こういう風に死なせるわけにもいかない。
いかにも、物笑いにされそうな死に方が、
(名誉の死)を与えようとしたのではないか。
(不名誉な死)を正そうとしたのだ。
勝手な判断だった。どうかしていた。
なんで、こんなことをしてしまったのか?
「気持ちはわからないとは言えませんね…」
推理を終えて、疲れたのか、六花は、そのまま、眠りについた。
そして、私は事件の内容をレポートにまとめるのだった。
「この話を聞いたら、六花なら、どう思うのかしら?
あの時、聞いておけば、よかったな…」
野球選手の殺人の犯人は、警備員だと判明するのだった。
「不名誉から名誉…名誉から不名誉か…」
と、仁奈は思うのだった。
何が名誉で何が不名誉なのか、その基準のあいまいさが、
今回の事件で、改めて分かったのだった。
宮益坂女子学園にて
「仁奈ちゃん!この前も事件を解決したんだって!
すごーい!さっすが、名探偵!」
「そんなことないですよ。天馬さん。
事件というのは、滅多に起きませんから」
「でも、最近、起きてるようで無いような…?」
「そんな気もしますね」
「あっ!そろそろ、中間テストだよ!」
「六花に勉強の内容、教えないと!」
六花は一日で一度、見たものを覚えられるが、
その代わりに、寝るとリセットされる特殊な記憶力であり、
勉強する時は、ほぼ一夜漬けと言った状態である。
そのこともあってか、仁奈も六花も単位制に在籍している。
「今日は探偵の仕事はお休みです。
何故なら、テストですから」
「初めまして。浅野六花です。貴女のお名前は?」
「白井仁奈。貴女の相棒です」
「よろしくお願いします」
これが、日常的な流れである。
どんな事件でも一日で解決する代わりの代償ともいえるであろう。
「六花さん。貴女は宮益坂女子学園の高等部の生徒ですから、
テスト勉強をしましょう」
「わかりました。承知しました」
テスト勉強が始まった。
白井仁奈にとって、これは探偵業と同じほど、難しいことである。