私は六花に道案内をした。
「それでは、道案内をお願いします」
「はい」
「道案内と言えば、遺書に書かれていた、
郷田先生の作品のタイトルでもありますね?」
「そうなのですね」
「チチェローネ。イタリア語で案内役という意味です。
作中では死神という、ニュアンスがあります」
「どんな話ですか?」
「午後にお話しします。
誰しも皆、一度は子どもだった時代があるはずです」
「どういう意味かしら?」
「純粋と言えば、聞こえはいいですが、
愚かで思考の足りない子ども時代は、皆、一度は経験している。
だから、悪いのは規制しないといけないって、
つい思ってしまうのかも知れませんね」
「身も蓋も無いですね」
「親としては、子どもに自分と同じ失敗をして欲しくないと、
思ってしまうのかも。
その気持ちを頭ごなしに否定するのは、大きな間違いです」
その後、私と六花は現場に到着した。
「ここが、現場ですね」
「私が歩いていたら、女子中学生がビルから転落しました。
それを私が、キャッチしました」
「それでは、屋上に行きましょう」
「わかりました」
屋上についた途端、六花が手すりから、乗り出そうとしていた!
「危ないですよ!六花!」
「ものは試しですよ?」
「何か新しく判明したんですか?」
屋上の安全な場所へ、六花が戻った。
「今のところ、発見と言えるのは、ありませんが、
一つ、ハッキリしたことは、
三井愛美ちゃんが、本当に死ぬつもりは無かったことです。
ここに立っていたら、わかりました。
7階建てのビルって、結構高いんですよ?
まず、助かりません。狂言自殺の線はまずなかろう…
これは、結構、重要かもしれません」
「最初から、誰かをクッションにするつもりがあったと?
助かる前提で、行った、自傷行為」
「無いでしょうね。助からない公算が大きいですよ?
実際、三井ちゃんも危篤状態ですから。
中学二年生の三井ちゃんが、そこまで思考が及ばなかった、
可能性があります。人をクッションにすれば、助かると思って、
クッションになった方が、どうなるか、一切想像せず、
遊びの気分で飛んでいたかもしれませんね」
「そうですね」
「でも、隣のビルなら、助かるかもしれません。
だから…」
「ちょっと、六花!?」
「じゃあ、いい時間ですし、参りましょうか」
「えっ?どういうことなんです?」
六花が飛び降りようとしたが、仁奈が辛うじて止めるのだった。
「危ないですよ!死ぬところだったじゃないですか?」
「ご、ごめんなさい…」
「全く…」
事件の解決まで、まだまだ続く。