宮女の探偵コンビ   作:アッシュクフォルダー

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第十七話 作家の悩み

六花はこの事件をひょっとすると、第三者の事件だと思ってたりして、

自殺じゃないなら、事故?

 

いや、遺書があるから、それは通常なら考えられないはずだが。

 

遺書は脅迫するなり、騙すなり書かせて、

だとすると、漫画の影響も見せかけのもの。

 

作為的出来過ぎ?近藤さんが感じた、違和感の正体はそれ…?

 

「初めまして。郷田司です」

 

漫画家の郷田先生が、白井仁奈たちの前に現れた。

 

「初めまして。白井仁奈です」

 

「初めまして、探偵の浅野六花です」

 

「遅れてすみません。郷田先生の担当の村上です。

ご依頼の件ですが、近藤さんが言っていた、違和感の正体です」

 

「少し待ってください」

 

「えっ?」

 

「近藤さんが何と言ったか、知りませんが…

俺は、もういいと思っています」

 

「えっ?」

 

「投げやりに聞こえるかもしれませんが、

どうせもう引退するから、探偵の依頼は本来必要なかった」

 

「先生!その話はまだ…!」

 

「皆さんには、申し訳ないと思っていますが、

でも、俺は責任を取らないといけないんですよ。

俺の漫画を読んだ読者が自殺未遂を起こした。

のうのうと、これから続けれるとは思えれない!」

 

(意思が強いお方ですね)

 

と、仁奈は思った。

 

(ただ、どうしてだろうか…苦渋の決断ではあるものの、

いっそ、楽になったという、雰囲気があるように見える…)

 

「郷田先生の作品の最新作を読みました。

最高ですね!漫画という媒体で、将来に向けた諦念という、

テーマに挑戦して、そして実際に成功している!

内容も、さることながら、そんな作者の姿勢を、

心から尊敬しています!子供から大人まで楽しめる内容です!」

 

「そ、それは…ありがとうございます…六花さん…」

 

六花が先生をベタ褒めした。

 

「あの続きが読めないなんて、残念です…

読者たちはガッカリするんでしょうね。

ショックを受けた読者の中で、間違いなく、死者は出ます。

その場合は、どう責任を取りますか?」

 

(言い方がヤバいわね…)

 

と、仁奈は思った。

 

「そ、それは…」

 

先生は悩んでいた。

 

「間違いなく、ありえる話です。

読者がすんなり受け入れてくれる訳が無い。

ただ、ご自身の影響力もがんがるべきですね」

 

「影響力を考えたら…か…

もっと、早く考えるべきでした。

俺自体、マンガや小説が好きで、作家になった。

そして、漫画を描き始めた。

読者に与える影響は間違いなく大きい。

これは、猛省するべき案件だ!」

 

「もし、私が先生の立場だったら、

仮の話になりますが、知ら無い振りはしません。

ちゃんと知って、そして、その体験を、

次回作にいかすべきです」

 

と、六花が論する。

 

「だから、先生。私と仁奈の話を聞いてください」

 

先生は私たちの話を聞いてくれるようだ。

 

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