病院の後、帰り際に…六花が言いだす。
「気になったことがあるんです」
「何か気になっているんですか?」
「どうして、愛美ちゃんが、飛び降りたのか…」
「その理由を、私と六花が調べていますよね」
「じゃなくて、どうして、このビルを選んだのか?
です」
「確かにあるのビルは他のビルより、高かった。
違う地域に行けば、もっと高いビルだってあったはず。
中等部も天井が高く、飛び降りて死のうとしたら、
十分な高さです」
「愛美ちゃんが、あのビルから飛び降りようと考えるなら、
自殺した理由と、ニアリーイコールである、可能性もあります。
だから、立ち返ろうと思います」
「はい」
「実は愛美ちゃんの部屋に軽く不法侵入しました!」
「六花!やめなさい!何をやっているのですか!」
と、仁奈に怒鳴られた。
「愛美ちゃんの部屋には、本棚が置いていませんでした。
どうも本は、捨てるようです。
参りましたね…これで、本当にやることがなくなりました…」
「困りましたね…」
何かあったはず…!あっ!あれは!
「誰かに突き落とされた、可能性は?
つまり、自殺では無く、殺人事件という可能性!」
「は?仁奈は探偵ですよね?推理作家でも目指したらどうですか?
その辺りは、他の誰かがやってくれますよ?」
(警察がやってくれるとは限りませんが…)
「気になったことがあります」
「なんですか?」
「六花の右の太ももに、何書かれていました」
「どうして、教えなかったんですか?」
「その見えますから…」
「女の子同士だから、大丈夫ですよ?ほら~!」
と、六花はスカートを自分でめくった。
「今日のショーツはピンクです」
「あっ!六花!はしたないですよ!
屋上だから、誰もいないですけど…
消しておきますね…」
(自殺じゃないとしたら?)
と、六花の右足の太ももには、そう書かれていた。
「く、くすぐったいです!」
「我慢しなさい」
と、仁奈は誰かが書いた落書きをシートで拭くのだった。
「誰が書いたのでしょうか?私は違います」
「私じゃないですよ?じゃあ、誰が…」
その後、ジャックの編集長の元へ…
「それで、自殺の動機がわかったんですか?」
「編集長さん。こんな風に考えたことはありませんか?
愛美ちゃんの飛び降りが、もし、自殺じゃなかったとしたら…?」
「浅野さんは、殺人事件だと思ってるのですか?」
「はい。私の考えていた通りです!」
「…」
「さすがは、一日で解決する、名探偵コンビ…」
「しかし、警察は、ちゃんと捜査していたんですか?
それとも、警察たちを欺くような、
狡猾な犯人が?」
「女子中学生を殺そうとしたのは…
正しくは、彼女を殺そうとしたのは、誰ですか?
と、問うべきですね。だって彼女が犯人ですから」
「それって、私を殺そうとして?」
仁奈は混乱していた。
「いえ、狙われたのは、仁奈じゃないです。
人違いです」
「じゃあ、誰を?」
「昔、同じ小学校だった、イジメの主犯格を殺そうとしたのです」
と、六花が写真を提示する。
「見た感じ、髪型は違いますが、
そっくりですね」
「彼女を殺そうとして、仁奈と、イジメっ子を間違えて、
殺そうとした」
「そういう事だったのか…」
「それと、勝手な分析も出来ますけどね」
「お願いします」
ある少女は、ある人物に殺意を持っていました。
それはもう、強い殺意です。
少女は、その人物の行動を、カメラやストーカー同然のように、
つけまといました。誰にも気が付かず。
少女は、イジメの主犯格を殺そうとした。
子どもらしい動機で。
「殺そうとしているなんて、思われたら、
自身が加害者になってしまう。だから、自殺にみかけての殺人だった。
真の動機を探られたくない為、こうした。
偽りの遺書を書いた、と」
「あの作家さんと、とばっちりでしたね」
「そうみたいだな。
それじゃ、郷田先生に会った時に、
事件の真相を伝えておきます」
「ありがとうございます」
六花は疲れたのか、ぐっすりと寝てしまった。
それも、仁奈の膝に…
「全く、六花ったら…!」
仁奈は少しムッとした。
こうして、一つの事件は解決した。