枕元で目覚まし時計の音が鳴り響いている。
その音と一緒に聞こえてくるのは階段を駆け上がってくる音。
「おーきろー!撫子ー!」
「んむ…んー…明るい…」
「あったりまえよ? 朝だよ朝! 遅刻するよ!」
「うーん… お姉ちゃん…?」
「そーだよ! ホラ、おきなさい!」
「お姉ちゃんが、キスしてくれたら起きる…」
「もーう!しょうがないんだから…」
桃子は撫子のホッペにキスをして、目を覚まさせた。
「ふわぁ…おはよう…お姉ちゃん…
えっと… 着替えたいんだけど…」
「あ、あぁ…! ごめんごめん!」
(やっぱり寝ぼけてる、撫子、可愛いな)
すると二階から、撫子が降りてくる。
「お姉ちゃん! 大好き!」
ギュッと、撫子は桃子にハグをした。
「あーはいはい…ご飯冷めるよ?」
「むー お姉ちゃん反応うすいよー」
「冷めちゃうよ?」
「…いただきます」
「美味しい?」
「美味しい!撫子、お姉ちゃんいないと何も出来ないやぁ」
「だめだよ ちゃんと、撫子だけで生活できるようにならないと」
「えーお姉ちゃん結婚しちゃうのー?」
「誰も結婚するとは言ってないでしょ!」
「えーだってー、撫子一人じゃぁ、生活できないもん!」
「なんとかするのよ」
「えー…お姉ちゃんが、いてくれないと…
撫子…泣いちゃう…」
「ごちそうさま、撫子も早く食べちゃってね」
「あ、お姉ちゃん早い!」
「ほら、待ってるから早く食べちゃいなさい」
「…よし じゃあ行こ!」
「うん」
家を出る。
私の幼馴染の日野森雫ちゃんも、アイドル活動で忙しいから、
あんまり、会えないからな…
それに…妹には特別な感情もあるし…
明るくて甘えん坊で、ちょっと我が儘だけど可愛いし…
そんな妹が妹としての存在で捉えられない…
いつもはお姉ちゃんっぽく振舞ってるけど、正直辛い。
こうして何日か過ぎた。
そんなある休日。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
「んー?どうかしたの?」
「今日暇だよね!」
「うん、特にはすることないかな?」
「撫子とデート…いかない?」
上目遣いで聞いてくる妹にキュンとしてしまう、
一つしか違わない、可愛い天使のような、妹、
それが、倉谷撫子だ。
「デ、デートって! 姉妹だよ?」
「いいじゃんいいじゃん! 姉妹デート ね? だめ…?」
「べ、別にいいけど どこに行きたいの?」
「んー お姉ちゃんとお散歩したいな」
「お散歩かー今日は天気もいいし、いこっか!」
「うん!」
こうして家の近くの公園を歩く。
「あのねーお姉ちゃん」
「んー?どうかしたの?撫子?」
「撫子、お姉ちゃんとずっと一緒にいれたらいいなって思うの」
「それは私も撫子とずっと一緒にいたいよ、
でもそれじゃダメなんだよ?」
「わかってる わかってるけど、お姉ちゃんいないの寂しいもん、
お姉ちゃんが死んじゃったら…撫子…」
「私だって、撫子いないと寂しいけど、
仕方ないことは仕方ないんだよ、死なないし、
撫子よりは、先に死なないから!」
「本当に?」
「本当にホントだよ!撫子…」
ギュッ…
「お姉ちゃん…お姉ちゃん…」
「撫子…ごめんね…」
「お姉ちゃん…寂しいよ…撫…子 どうしたらいいんだろう…」
「大丈夫… ずっと、一緒にいられるから ね?」
「うん… お姉ちゃんと、ずっと…」
しばらくそのまま妹の撫子を抱いていた
「うっく…う…うぅう…」
撫子が泣きながら顔を上げる。
「っく…お、ねえちゃん…? ぅ…」
「…ばか…」
「な、んで…? おねえちゃ…」
ガバッ
「私のばかっ… こんな可愛い妹…一人にできる訳ないでしょ…!!」
「お、ねえちゃ…ん? ひっく…」
「無理だよ…置いていけるわけないよ…
撫子を一人にできるわけ…ないじゃない…」
「おねえちゃん…ぅ…ううう… で、もぉ… うぅ…」
妹の額に涙が流れ落ちた。
「お姉ちゃん、撫子のこと大好きだからっ…
ただの妹として…見れないの…
お姉ちゃんは撫子が、一人の女の子として好きなの…!!」
「お、ねぇちゃ…ん…? ひぅ… ううぅううう…」
「だから…だから… この話も言い出せなくて…
撫子に悲しい思いさせたくなくて…
でも逆に気遣わせちゃって… ごめんね…っ」
「おねえちゃん…ッう… うぁああ…」
撫子は私にしがみつき泣いている
その姿が酷く愛しくて抱きしめる腕に力が入る。
「お、ねえちゃ… ひっく… くるしぃ…」
「あ… ごめん」
そっと、撫子を離して、一緒に手を繋いで帰るのだった。
姉妹同士だけど、別に問題ないと思うが…