この私、桃子は、倉谷家の長女として、
ある年の、7月18日の夏の日差しが強い日に、生を受けた。
撫子は、倉谷家の次女として、
一年後の、6月12日の雨の日に、生を受けた。
撫子は生まれつき、極度の人見知りで、
いつも、いつも、姉である桃子が、
守り続けていた。
妹の撫子は、名門のお嬢様学校、
白雪学園の附属幼稚園に、入園した。
「おねえちゃん!」
「ん? どうしたんだい、撫子ー?」
「これ、あげるっ!」
クローバーで作られた、ぶかぶかの指輪。
石の填め込まれる部分に、
四つ葉が見事に咲き誇っていた。
撫子があちこちの指に填めている
それを、両親にも一つずつ差し出す。
「おおっ、上手に出来たね! 貰ってもいい?」
「うんっ!」
「あら、素敵ねぇ」
私の元へまっしぐら。
姉である私へ指輪を手渡すと、
皺だらけの手が撫子の頭を撫でる。
「撫子は優しい子だねぇ」
「えへへー」
「お姉ちゃん!だーいすきっ!!」
笑顔の咲き乱れる、穏やかな一日。
幼少期は、桃子と撫子は、違う幼稚園に
通園しながらも、仲良く遊んでいた。
イジメっ子や、男子が来ても、
姉である、私が例え強い相手でも、
勇敢に立ち向かった。
それは、高校生になった今でも、
一切変わらなかった。
よく考えたら、小学校も別々だった。
姉である、私は公立の小学校。
妹の撫子は、白雪学園 初等部だった。
イジメられていた、撫子を、慰めつつも、
イジメっ子である、連中を叩き潰した事もあった程。
そして、中学も違った。
私は公立の中学校。
妹は宮益坂女子学園 中等部に通っていた。
イジメこそ、なかったものの、
撫子の成績が、悪かったためか、
宮益坂女子学園に通うことになった。
親の方針があった影響もある上、
姉と妹、性格上の違いだろう。
社交的で勇敢な私とは違い、
妹は、人見知りで、弱い。
こんな、妹を守っていく、これからも、ずっと、
死んでも、私は妹を、守り続けると誓ったのは、
幼少期の時からだった。
そして、今現在。
私は都立神山高校。
妹の撫子は、宮益坂女子学園の高等部に通っている。
私は、高校は都立だけど、
中学まで共学の学校一本だったのに対し、
妹の学歴は、ハッキリ言って、凄まじいものだった。
だって、お嬢様学校だよ?
私学だよ?女子校だよ?
妹に対する学費、マジで、凄いんですけど…
「ねぇねぇ、お姉ちゃん」
「どうしたの?撫子」
「撫子チョップ、撫子……撫で…」
「チョップ?痛いよ…でも、嬉しい!」
「えっ?」
「だって、チョップしても、可愛いんだもん!
他の攻撃は嫌だけど!」
「じ、じゃあ…チョップ…えい!」
「ちょっと、痛いな…
あっ、じゃあ、そろそろ、寝ようか!」
「うんっ!お姉ちゃん!」
チュッ
「もーう!撫子ったら…」
「えへへ…おやすみなさい」
「おやすみ、撫子」
二人は、ギュッと抱きしめながら、一緒のベッドで寝るのだった。