仮面ライダーシング   作:放仮ご百物語

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どうも、約一年ぶりです放仮ごです。読みたいという方がいらっしゃったので久々に熱が再燃して書いてみました。

敵の全貌が明らかに。楽しんでいただけたら幸いです。


第3テンポゥ!戦闘員と暗闇の会議室!

 スポーツカーノイザーに轢き飛ばされてしまった俺は地面に叩きつけられる衝撃に備えて目を瞑る。しかしそれほど衝撃を感じない。見れば、いつの間にか移動してきたマシンシングラーに搭乗していた。こいつ、勝手に動けるのか。いや、今はありがたい。

 

 

「勝負だ車野郎!」

 

 

 バイクのエンジンを吹かしてアクセル全開、距離を取っていたスポーツカーノイザーに向かって突撃する。

 

 

「行くぞ!」

 

《ガッキ・ウェポン!2!マラカスショット!》

 

 

 左側面の一番下のスイッチを押しこみ、二回右側面を叩くとレコードリルからマラカスに持ち手と銃口が付いた拳銃「マラカスショット」が飛び出して右手で握り、左手でハンドルを握り突撃。

 

 

《フレー!フレー!》

 

 

 マラカスショットを振って振って振りまくり銃弾を装填すると本来マラカスの持ち手部分の先端にある銃口を向けてエネルギー弾を乱射。高速ですれ違いながらもダメージを与えて行き、すれ違う瞬間に急停車して後輪を浮かせ、回転してタイヤをスポーツカーノイザーのボディに当てて弾き飛ばす。軸がずれて電柱にぶつかり停車、人型に戻ったスポーツカーノイザーに対しこちらもマシンシングラーから降りて、マラカスショットを構える。

 

 

「こいつでとどめだ!」

 

《フレー!フレー!パワー・テンポゥ!》

 

 

 マラカスショットのグリップ底のボタンを押してリズミカルに振るって弾を装填。エネルギーを溜めて両手で構えて引き金を引こうとした、その時。金切声が聞こえてきて溜まらず耳を塞ぎながらも引き金を引いて光弾を放つ。

 

 

《ヘイ!コンモート・ブレイク!》

 

「させませんことよ!ノイズタッフ!La~!La~!Lala~!」

 

 

 するとガゼッドの甲高い金切声の様な歌声と共に、どす黒い紫色に可視化された衝撃波が発生。それに触れた辺り一帯の噴水や自動車など生活音が聞こえてくる場所から黒タイツの様な服に身を包み、色んな音符が描かれた四角いスピーカーの様な顔の槍を手にした怪人…戦闘員ノイズタッフが現れ、スポーツカーノイザーを守る壁となって光弾を受け止め爆散した。クソッ、セロ・ドゥエスだけじゃなくてあのマネージャー野郎もノイズタッフを出せるのか!

 

 

「邪魔をするな!」

 

《ガッキ・ウェポン!1!ソードランペット!》

 

《スピード・テンポゥ!》

 

《フレー!フレー!》

 

 

 さらに取りだしたソードランペットのマウスピース型のつまみを回して噴き出した炎の勢いを増すことで高速の斬り払いで斬り裂きながらマラカスショットで撃ち抜いて行き、ノイズタッフ達は爆散。しかし、ガゼッドとスポーツカーノイザーの姿は既になかった。

 

 

「逃がしたか……初めてだな、ノイザーを逃がすのは。ガゼッドとか言ったか…一筋縄ではいかなそうだ」

 

 

 騒ぎを聞き付けた野次馬が増えてきたのでマシンシングラーに乗ってその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。あれから探し回っていたが、見つからない。ノイザーは人間の姿にはなれないから、恐らく車に変形して姿を隠してるのだろうが真っ赤で派手なスポーツカーの姿は見えない。途中全然似てない事故車がレッカー車に引きずられて行ってたぐらいだ。どこにいったんだ?

 

 

「…なあカナデ。スタジオノイズって会社なのか?」

 

「え、なんで?カケル」

 

 

 一時帰宅して、業務を終えての晩御飯を食べているときにそう尋ねると、つけものを美味しそうに食べていたカナデが呆けた顔を浮かべる。分かってない顔だなこれ。

 

 

「いや、セロ・ドゥエスは自称「スカウトマン」今回出たガゼッド・ブーデは自称「マネージャー」だった。スタジオノイズって名前からしても音楽スタジオじゃないのか?」

 

「………ごめん。私、覚えてないんだ」

 

 

 もぐもぐと白飯を箸でつまんで口に含みゴクンと飲み込んでからそう呟くカナデ。こいつと出会った時の事を思い出す。

 

 

「人と心の音楽をスタジオノイズの魔の手から守るために力を貸してくれ…俺と出会った時にそう訴えてたな。俺は半信半疑ながらも実際に人間がノイザーに変えられるのを目の当たりにして戦うことにした」

 

「うん、そうだね」

 

「でも俺はお前のことをなんにも知らない。記憶喪失だっていうから気にしてなかったが……これを持って逃げてきたなら、なんか覚えていることあるんじゃないか?」

 

 

 レコードライバーを机の上に出しながらそう言うとカナデは困った笑みを浮かべて茶碗を置いた。

 

 

「ううん……私、いつの間にか路地裏にこのレコードライバーとマシンシングラー、いくつかのレコードリルを手にした状態で逃走していて、なにがなんだかわからないまま追手から逃げて……君と出会ったんだ」

 

「嫌な音の音源を身に行っただけなんだけどな、お前を護れてよかったよ。…だけど、心当たりないのか?」

 

「うん……ただ、社長がどうのこうの……」

 

「社長?」

 

 

 ってことはやっぱり会社なのかスタジオノイズ。スマホを取り出して検索する。さすがに出なかった。しかしまあ、もしもあれ(ノイザー)がスカウト活動だというなら……最悪な会社だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻。大手音楽プロダクション【U‐ZION(ユー・シオン)】が所有する高層ビルの会議室にて、暗闇の部屋を壁一面に設置された大画面が照らし、それに映る人物に報告する人間達がいた。

 

 

「社長。今月の売り上げは目標金額の20パーセント増しとなります」

 

「社長。大手レコード会社「レギオン」の社長から取引の件についてお話があるそうです」

 

「社長。研究員たちからレコードリル量産体制になるまであと二週間ほどの時間が欲しいとのことです」

 

「社長。ただいま「スカウトマン」セロ・ドゥエスと「マネージャー」ガゼッド・ブーデ様がお戻りになりました」

 

 

 最初はただの業務報告。途中からおかしくなってきた報告を大画面に向けて行っているのは、女物のスーツを身に纏った巻き髪が特徴の美女四人。一人は金髪の巻き髪をサイドテールにした美女「ディー」。一人は赤い巻き髪をポニーテールにした少女「アイ」。一人は銀髪をツインテールにした美女「アール」。そして最後の一人は腰までかかる黒髪のロングヘアーの纏まってる先端を巻き髪にしている少女「ルル」。彼女たち四人は各部署の統括をしている「社長」直属の秘書たちであった。

 

 

「ただいま戻りました、ボス」

 

「ワタクシも戻りましたわ、社長様」

 

 

 そこに扉を開いてやってきたのは、大柄で無精ひげで白のTシャツジーパンにサングラスのスキンヘッドの大男と、ぴっちぴちの女物スーツを身に着けたスタイル抜群の黒い茶髪の美女。しかし扉が閉まるとその姿がぶれる様にして異形の怪人、セロ・ドゥエスとガゼッド・ブーデへと変貌、ミーティングテーブルの席に、お互いを見合うように着く。

 

 

「あら。セロ・ドゥエス様、浮かない顔ですが首尾はいかがでしたの?」

 

「ふん、また仮面ライダーシングの野郎にしてやられたよ。適当に目を付けた奴じゃ駄目だな、瞬殺だ。時間稼ぎさせてその間に増やそうと思ったが駄目だ」

 

「そんな脳筋な貴方様とは違い、ワタクシ仕事を果たして見せましたわ。シング様も出しぬきましたの」

 

「ああ?なんだと?!」

 

 

 煽りに煽るガゼッド・ブーデに、机を叩いて立ち上がるセロ・ドゥエス。しかし怯むことなくガゼッド・ブーデは続ける。

 

 

「いいですか、いくらノイザーを倒せるシング様といえど、数には勝てませんの。ノイズタッフを活用したのですわ」

 

「ノイズタッフだと?あんなものに頼っては本当にいい音など取れる訳がないだろう!」

 

「そんなんだから貴方は脳筋なのです。何事も工夫次第ですわ。そして、傷を受けたので今は隠れて療養中ですが、潜伏能力も戦闘力もトップクラスの歌手(ノイザー)ができましたの!社長様!褒めてくださいまし!」

 

 

 そう舞うように主張しながら、机と一体化している画面の、スポーツカーノイザーが映っている端末から詳細データを「社長」の端末に送るガゼッド・ブーデ。大画面の奥でそれを確認した、机に座っている人影が口を開くと、ノイズの走った声が聞こえてきた。

 

 

《「…いいノイザーだ。これが完全体になれば質のいい音が奏られるだろう。だがわかっているな?成長するためには出向かねばならぬ、邪魔が入るぞ?」》

 

「私とノイズタッフで必ず守って見せますわ!」

 

《「期待しておく。セロ・ドゥエス、お前は一度頭を冷やせ。ついでだ、「これ」の補佐を頼む」》

 

 

 「社長」がそう言うと、秘書の一人である「ルル」がセロ・ドゥエスに歩み寄る。セロ・ドゥエスはその小さな肢体を見下ろして溜め息を吐いた。

 

 

「現場の俺がですかこいつのお守りですか?…テックエンジニアのあいつにやらせときゃいいでしょうよ」

 

《「奴には別の仕事を頼んでいる。最近、「それ」の再生数が伸び悩んでいるから力を貸してやってくれ」》

 

「…よろしくお願いします、セロ・ドゥエス様」

 

「…はあ。わかりましたよ」

 

 

 そう言って「ルル」を引き連れて会議室を出て行くセロ・ドゥエスを見送り、ガゼッド・ブーデは勝ち誇ったように顔を笑みに歪める。

 

 

「ではワタクシもノイザーの元に。ワタクシは必ず、社長様の期待に応えて見せますわ!」

 

 

 そう言って会議室を出て行き、いつの間にか秘書たちも消えた会議室で、映像が映りっぱなしの「社長」は天を仰ぐ。

 

 

《「…お前がなにしようと何も変わらんさ」》

 

 

 それは誰に向けた物だったのか。それを最後に「社長」は映像を消し、会議室は暗闇に包まれた。




簡単な言葉遊びが好きだったりします。

・マラカスショット
右側面を二回叩くことで出現するガッキウェポン。シャカシャカと振りまくることで≪フレー!フレー!≫という音と共にエネルギー弾を装填、無尽蔵に撃ちまくれる。
グリップ底のボタンを押してリズミカルに振るって弾を装填することで「パワー・テンポゥ!」を発動、チャージして高威力のエネルギー弾を発射できる。レコードリルを装填できるくぼみがある。

・ノイズタッフ
幹部たちが甲高い金切声の様な歌声と共にどす黒い紫色に可視化された衝撃波を放つことで、それに触れた噴水や自動車など「生活音」が変化する、黒タイツの様な服に身を包み、色んな音符が描かれた四角いスピーカーの様な顔の槍を手にした怪人。いわゆる戦闘員。数がとんでもない。

U‐ZION(ユー・シオン)
高層ビルまるまるひとつを所有しているほどの大企業で大手音楽プロダクション。その実態は「スタジオノイズ」の隠れ蓑。音楽関連の事業に節操なく手を出している。

・「社長」
スタジオノイズ及びU‐ZIONの社長。逆光で顔が見えない映像から、ノイズの混じった声で指示をするなど徹底して正体を隠している。

・ディー、アイ、アール
「社長」の秘書たち。側近ではあるが幹部より格下。どこか機械的。

・ルル
「社長」の秘書の一人。なにか活動しているらしく再生数に伸び悩んでいるらしい。


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