ダンジョンに陰陽師一派がいるのは間違っているだろうか   作:かぼちゃマスク

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ソード・オラトリアは描写がほぼできないと思って全カットします。
あとソード・オラトリアのネタバレあるのでご注意ください。

お気に入り100件ありがとうございます。


19 暗躍と決定

 ベルはリリルカと一緒に救護院から退院して、三日間安静にしていたがそれでも退院した日も休養に当てた。

 入院している際にはかなりの人達がベルのことを心配してお見舞いに来てくれた。またミノタウロスに襲われたことで、若干笑われたが。

 

 ベルとリリルカはヴェルフにいの一番に謝った。また装備をオシャカにしたのだ。『兎刃』も防具も全壊。使った武器で無事だったのはヴェルフが作っていない『鬼斬り包丁』だけ。

 ヴェルフはその謝罪を聞いてまた一から武器を作ることにした。特にベルの片手剣はミノタウロスの角を用いた新武器になる予定だ。

 

 今回の件がイレギュラーだとはいえ、毎回毎回ぶっ壊されるのは鍛治師として情けない。そういうことでへファイストスに頭を下げ、上級鍛治師の人々に頭を下げて技術を収集。新しい装備を作り始めていた。

 だが今回の件、ヴェルフは決して悪くない。上層でレベル四上位相当のイレギュラーが襲ってくる方がおかしいのだ。だというのに上級鍛治師にもなっていないヴェルフがそれに打ち克つ武具を作れたらそれこそ神々が驚く。

 

 彼の作る魔剣を除いて、だが。

 本拠に帰ったベルは、休む前にやることがあった。

 ステータスの更新だ。

 

「そろそろ神会(デナトゥス)も近いからね。ギルドにも報告しないといけないしステータスを更新しておこう」

 

「わかりました」

 

 ヘスティアは嫌な予感がしたが、それでも神会の前にしておこうと思っていた。レベル四相応の強化種ミノタウロスをたった二人で撃破という、訳のわからない偉業に聞いた時は失神してしまったが、先送りにできる問題でもないのでステータス更新をする。

 神の血を流して、ヘスティアが見たものとは。

 

「………………………………………………………………キュウ」

 

「か、神様ーーーーーー!?」

 

 自分の背中の上で気絶してしまったヘスティアを見て、ベルは急いで起き上がってヘスティアの介抱をする。

 何がどうして気絶してしまったのかわからないが、ベルにできることはとにかく呼びかけるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────

 

ベル・クラネル

Lv.2(ランクアップ可能)

力 :E422→SS1043

耐久:D547→SS1084

器用:D514→SS1098

敏捷:C618→SSS1236

魔力:E457→SSS1132

 

幸運:G→F

 

《魔法》

雷霆を(ケラウノス)

・付与魔法

・雷属性

・速攻魔法

・追加詠唱をすることで魔法変質

・詠唱文【天空より更に彼方へ、黄金の雨となり、聖獣たる御牛をも震わせ、最果ての宇宙(カナタ)へあなたの証を届けよう】

 ・【世界の果てに、刻憧の雷霆(グレェヴン・ケラウノス)

 ・変質魔法

 ・追加詠唱により広域攻撃魔法へ変質

【ファイアボルト】

・速攻魔法

・追加短文することで魔法変質

 ・【ファイアボルト・ジュピター】

 ・速度上昇

 ・【ファイアボルト・ウルス】

 ・威力上昇

 ・【ファイアボルト・ウェスタ】

 ・回復魔法

 

【】

《スキル》

万雷の喝采を(リアリス・フレーゼ)

・早熟する

・想いが続く限り効果永続

・想われれば想われるほど上昇率増加

英雄達の船(アルゴノゥト)

・能動的行動に対するチャージ実行権

・鼓舞されるほどに威力上昇

・共闘時、チャージ速度上昇

 

────

 

 

 

 

 

 

 世界記録保持者(レコードホルダー)、ぶっちぎりの更新確定。

 

 

 だが、悲しいかな。

 レベル一から僅か一月でレベル三になった超優良株が現れたことが霞むくらいの出来事がこの三日間であった。

 それはギルドに張り出されていたランクアップした者の名簿。

 

 

 

 

 

 

 

 フレイヤ・ファミリア。【女神の戦車】アレン・フローメル。

 

 

 

 レベル七。

 

 

 

 

 フレイヤ・ファミリア。【猛者】オッタル。

 

 

 

 

 レベル八。

 

 

 

 

 

 都市最大派閥が一強に塗り変わった瞬間だった。

 

 

 

 そこはバベルの頂上。

 許された者しか立ち寄れない、女神の居城。

 その談話室とでも呼ぶべきか、客間と呼ぶべきか。とにかく歓談をするための部屋に三柱の神がいた。

 

 一神はこの頂上を統べる都市最大派閥の女神フレイヤ。もう一神は彼女の派閥と協力関係を結んでいる玉藻の前。もう一神はどうしてここにいるのかわからないといった顔で不貞腐れている玉藻の前の眷属ゴン。

 

 ゴンは明らかに嫌ですよアピールをして机の上で寝そべっているのだが、魅了が効かないことを楽しんでいるフレイヤが尻尾だったり顎だったりを撫でている。

 お茶を飲みながら、玉藻の前が話を切り出す。

 

「それでフレイヤちゃん。ロキにあげてた分の補填は十分だった?」

 

「ええ。まさか個神の依頼を二つ返事で受けてくれるだけじゃなくて眷属の手助けまでしてくれるなんて。でもいいの?ロキのところは【凶狼】だけでしょう?」

 

「大丈夫。今回の遠征で後二人くらいレベル六に上がるから」

 

「あらそうなの?でもレベル六が増えてもねえ……。確かにレベル六は数が揃ってきたでしょうけど、オッタルには敵わないわ」

 

 フレイヤも飲み物を飲みながら、そう自慢する。

 実際ロキ・ファミリアも全体のレベルが上がってきたが、数だけ揃っていても絶対の一には敵わない。

 それをお互い『大抗争』で認識したはずだが。それだけレベル七という壁は大きかったのだが、それを忘れてしまったのか。それともただ単に、レベル七へ至るために障壁に出逢っていないのか。

 

 今回フレイヤ・ファミリアでは二人目の到達者が現れ、彼に続くようにまた高みを目指す眷属()が増えると考えていた。

 何せアレンですら通過点に過ぎない絶対が産まれてしまったのだから。

 

「ダンジョン攻略に精を出すのもいいけどね。結局は強くならないと黒龍は倒せない。黒龍さえ倒しちゃえばダンジョン攻略なんて簡単に終わるから、まずは強くなるのが先決。そう考えるとフレイヤちゃんのところのやり方は間違ってないよ。蠱毒っぽいけど、結果が出せて非人道的じゃないなら良いと思う」

 

「あら?死人が出るほどの訓練が非人道的じゃないの?」

 

「ダンジョンに潜っても死ぬんだから、死者が出ることは何も理由にならないよ。人の心を保ったままならどんな手段でも良いと思う。競い合いならまだ平和的だよ。人体改造とか洗脳はしてないんだから。魅了も強引に使わなければ否定しないよ」

 

 それが玉藻の前の意見。

 本人が望まないことを強要すれば彼女も許さないが、それ以外は結構おおらかだ。だからこそ中庸の神である。

 だが非人道的だと感じたら容赦しない。そのラインさえ見極めれば玉藻の前はオラリオにとってこれ以上ない献身的な神の派閥になるだろう。

 

 もっとも彼女は中立の神。

 ダンジョンで片鱗が増え始めたために、そろそろ他派閥への干渉はやめようと考えていた頃合いだ。

 

「フレイヤちゃん。今回ロキ・ファミリアは深層の未到達階層を更新するけど、これ以降彼女達へのウチからの支援は差し止めするね。だから何かあったら頼って。オッタルくんやアレンくんっていう芽が出てきた以上、肩入れするならフレイヤちゃんになるから」

 

「ギルドにも言われているでしょうに、良いの?」

 

「わたしもハルくんも、戦う人じゃなく調停者。わたし達の手助けがなくなったくらいで更新できなかったらそこまでだよ。それじゃあ黒龍は倒せない」

 

「そうね……。ちなみに肩入れって、どこまでしてくれるの?」

 

「吟ちゃんと銀郎、それにクゥを貸し出しするよ?こっちの用事がなければいつでもOK」

 

「随分破格ね。今までのお願いについては?」

 

「それも継続。ベルくんもあり得ない速度の成長に、ゼウスの加護があるんだもの。……わたし達はね。早く黒龍を呪縛から解放したいの。けどわたし達じゃダメ。()()()()()()()()()()

 

「それはダメね。今ですら手に負えないのに」

 

 玉藻の前の言葉を疑わず、フレイヤはため息をつくだけ。

 オッタルをランクアップさせた実績から、黒龍討伐をタマモノマエ・ファミリアでやることが一番早い話のはず。

 だが、それをしたがらないからオッタル達を鍛えているのだとすれば、辻褄が合う。

 だからフレイヤは彼女と親交を深めて、真相を知ろうとする。

 

「本当に他に手段はないの?」

 

「うーん。一つだけあるよ?でも彼女も乗り気じゃないし、本当に最終手段だから」

 

「一応聞かせて頂戴?」

 

「とある吸血鬼がいてね?半分人間なんだけど。彼女ならどれだけ強くなった黒龍でも倒せるよ。その代わり世界が終わっちゃうけどね?」

 

「あら……。それはダメね」

 

「でしょ?だから()()()()()()()を倒せる戦力が欲しいの。ゼウスでもヘラでも失敗したからそれ以上の戦力。千年かけてダメだったなら、もうわたし達が介入するしかないかなって」

 

 それが玉藻の前がオラリオに来た理由。ゼウスとヘラならやってくれると期待していた。実際ベヒーモスとリヴァイアサンまでは倒せた。

 だが黒龍で全滅した。

 あの二柱でできなかったのなら、最高神とその妻でできなかったのなら。

 極東の最高神の分け御霊たる玉藻の前が頑張るしかない。

 あいにく戦力だけならあった。そして人を見る眼も。

 

「それでロキじゃなく私を選んだのね?」

 

「うん。都市最大派閥でゼウスとヘラを追い出したから、どっちに芽があるかわからなかった。星見も完璧じゃないし、ちょっとしたことで未来は変わる。ベルくんの魔法なんてその最たる例。あんな付与魔法も広範囲殲滅魔法も回復魔法も覚える予定はなかったんだから。

 この五年、どこに芽があるかどんな有望株がいるかずっと観察してた。探索系に限らず、商業系も鍛治系も、何もかも。闇派閥だって使えそうなら使おうと思ってたし、実際『大抗争』はエレボスのこと見逃したりもしたよ」

 

「必要なことだと割り切ったのね。ザルドやアルフィアのように」

 

「そう。あの敗北からランクアップした子は多い。人間の悪意も強いけど、黒龍はレベルが違う。あの程度の困難を乗り切れなかったら、未来はないから」

 

 未来がないとは言うが、それは人類の未来がないだけ。

 神々は最悪天界に避難すれば良いだけ。地上にモンスターが闊歩しても、ただモンスターの時代が来ただけの話。

 それに人間同士で足を引っ張り合う様を見たくなかったという理由もある。

 

 エレボスの台本くらい覆せなかったら、意図して起こした悪意も弾き返せなかったら、人類はそこまでだとタマモノマエ・ファミリアは結論を出した。

 『大抗争』がエレボスの勝利だったら、どんな犠牲が出ても黒龍を倒そうと。

 だが結果はエレボスの予想通り。だから彼女達は支援をすることにした。

 

「それで絞った結果が私達?」

 

「鍛治系、医療系は見所のあるファミリアもある。あとは個人で何人か。それ以外だとフレイヤちゃん一択だったよ。フレイヤちゃん、【凶狼】くん引き抜かない?」

 

「惹かれないわね。【剣姫】は良いの?」

 

「あの子はロキのところの環境じゃないと弱くなるから。相性がどうしてもあるもの」

 

「残念ね。……『あの子』は引き抜いちゃダメ?」

 

「ヘラに報復されると思うよ?ゼウスの孫だし、ヘラの眷属の子だから」

 

「……さすがヘラね。いつまでも私達の目の上のたんこぶだわ」

 

 フレイヤは玉藻の前の忠告で無理な引き抜きは諦める。

 ベルがフレイヤに惚れて派閥替えをしてくれれば、自分の意思だったら問題ないと考えて諦め切れていないが。

 その思考はこの場にいた神二柱に読まれている。だが、何も言わない。

 

「うん。まあこんなところかな?今話したこと、他のファミリアには一切話してないよ」

 

「信用してもらえたみたいね。これからも利用させてもらうわ」

 

「事前連絡よろしくね。あ、そういえば二人のランクアップ、理由は何にしたの?」

 

「ベヒーモス亜種の討伐。ベヒーモスのドロップアイテムを喰らったモンスターはあなた達が倒したんでしょう?それを理由にさせてもらったわ」

 

「ああ、アレ。うん、わかった。実際に倒したのは例の吸血鬼だけどね」

 

「……一人で?」

 

「うん。黒龍だって倒せるから、ベヒーモスの亜種なんて片手間だと思うよ?」

 

「その吸血鬼の情報頂戴。絶対手出ししないから」

 

 フレイヤの懇願に玉藻の前は了承。

 できうる限りの情報と人相書きを渡して、フレイヤはその女吸血鬼と接触しないよう眷属にお触れを出した。

 黒龍も倒せる相手に喧嘩を売るなど、莫迦のすることだからだ。

 

 そしてこの日から少しして。

 フレイヤ・ファミリアではいつもの眷属内での決闘に加えてタマモノマエ・ファミリアの面々と戦うことが追加された。

 彼らに嬉々として突っ込んでいくオッタルとアレンを見て、他の者も負けじと突っ込む。

 

 そしてまさしく最強派閥の名に恥じぬように、毎月のようにランクアップ報告が来てギルドは大慌てになる。

 それはもう少し、先の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ディオニソス。久しぶり」

 

「ん?ああ。玉藻の前か。久しいね。何か用かな?」

 

「うん。オラリオをただの趣味で破壊しようとするあなたは邪魔だから、天界で大人しくしていてね?折角英雄達が頑張って作った今の世の中を壊されるのは、見守っていたわたし達からしても腹が立つもの」

 

「は?」

 

 その日。オラリオで一柱の神が天界に送還された。

 原因不明の事態にギルドが調査して、ディオニソスが送還されたのだと判明。

 だが誰がやったのか判明しなかったところで、最近巷を騒がせている食人花の魔石がディオニソスの部屋から大量に発見され、しかも部屋が荒らされた形跡も見付かった。

 

 食人花の調査のしすぎで闇派閥に狙われたのだろうとギルドは判断を下した。そして全ファミリアへ最近の闇派閥の動きが活発になっているために警戒令を発令。

 何せ直近だけで【怪物祭】の妨害。赤毛のミノタウロスを上層へ放つ。神ディオニソスの送還などが起きているのだ。闇派閥が動いているとしたら活発すぎる。

 

 

 

 もっとも。その全てで暗躍しているのは闇派閥ではなくタマモノマエ・ファミリアだ。

 

 

 

 このギルドの対応で闇派閥は大きな動きができなくなる。調査の手は伸びる、都市の破壊者として協力者だったエニュオの脱落。汚れた精霊の分身の沈静化。食人花が落とす虹色の魔石の調査。

 下手に動けば全て終わると、闇に潜ることとなる。

 

「記憶の書き換えなんて面倒なことをさせて。そこまでしてフィルヴィス(彼女)を助けたかったのか?ミク」

 

「彼女ってほら。賀茂静香さんに似てるなって思って。……ハルがどう見てたのか、知ってるつもりだよ。今度こそって、機会を伺ってたのも。魔石の切除も上手くいったから、彼女が怪人だったっていう証拠を持ってるのはペニアさんだけ」

 

「その神ペニアだってことなかれ主義だ。面倒ごとから解放されて清々してるだろう。……なら良いのか?」

 

「良いの良いの。暗躍しつつ正義の味方もするのがわたし達っぽいでしょ?ふふ、調停者だけど自分の想いを隠せない辺り、ハルは変わってないね」

 

「そうそう変われるわけがないだろ。……一柱消して一人救ったのなら、天秤の釣り合いも取れてるか」

 

「そうだね。それにしてもお酒って本当に怖いよ。自分も騙せちゃうなんて。飲んで楽しむくらいがちょうど良いのに」

 

「……久しぶりに飲もうか」

 

「賛成です。色々と区切りがついて安心しちゃった」

 




途中で現れた吸血鬼と人間のハーフは「オンモフ」に出てくるぶっちぎりのチートキャラです。

多分名前だけで本編には出さない予定です。

ただめちゃくちゃヤバいキャラがいるというだけ知っていていただければ。

明と玉藻の前でも瞬殺されるレベルです。
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