ダンジョンに陰陽師一派がいるのは間違っているだろうか   作:かぼちゃマスク

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44 異端児との邂逅

 ベル達はヴィーヴルの少女に名前がないと不便だろうと、ウィーネと名付けた。名付けてからは彼女にこのオラリオの常識を教えて、逆にウィーネ達異端児のことも聞いてお互いのことを知ろうと努力した。

 そのおかげで、三日も経てば随分と打ち解けていた。特に女性陣はウィーネを子供のように接して信頼を勝ち取り、過保護なくらい面倒を見た。

 

 リリルカが「将来の予行演習だと思えば悪くありませんね」と呟きながらよく面倒を見ていた。女性陣とベルは結構ウィーネに懐かれたのだが、ヴェルフだけは闇派閥を壊滅させると聞いてベルに相応しい武器を作成するために鍛治部屋に籠っていた。

 その結果できた物が、今ベルに渡される。

 

「そら、ベル。『(ほむら)』と『紫電(しでん)』だ。どっちも深層のドラゴンの顎を使ってる。金属も全部深層の物だ。これなら付与魔法で剣が砕ける事はねえだろ。そんな会心の一品だ」

 

「双剣、なの?」

 

「手数があるっていうのは良いことだろ。あと『焔』の方はお前の炎魔法を蓄積できるようになっているはずだ。付与魔法は『紫電』の方で使ってくれ。そういう特性を付与してある」

 

 深層の素材をフル活用してヴェルフが今できる限りの事をして作り上げた物。第一等級武装として胸を張れる品だった。いくら使った素材が豪華だったとはいえ、これほどの品を『上級鍛治師』になって日が浅いヴェルフが作ったと聞けば全員驚くだろう。

 ベルが腰へ二本の直剣を挿すと、日替わりでたまたま来ていた吟が立ち上がった。

 

「ベル殿。一つ試し斬りといきましょうか」

 

「吟さん?手伝ってくれるんですか?」

 

「ええ。いつもの早朝訓練と同じですよ。ただもう日中ですからね。玉藻の前様、訓練場を作っていただけますか?」

 

「はーい。じゃあ皆さん、見学といきましょうか。ベルくんがどれだけ強いか、この辺りでしっかりと知っておくことも大事ですよ」

 

 玉藻の前が教会の前に大きな方陣を作って、その中を他の者が見えないように幻術を仕掛ける。そしてヘスティア・ファミリアが総出で二人の稽古を見ることとなった。

 

「ウチの団長がレベル六の【剣帝】と訓練をしてるのは知ってたけど、それでもレベルは二も違う……。それで勝負になるの?」

 

「ベルのステータス貯金はおかしいですから。ベルもれっきとしたレベル詐欺ですよ。実際のベルはレベルが一つ上だと思った方が良いです」

 

 ダフネの疑問にリリルカが答える。

 ヘスティアも『戦争遊戯』以降見てなかったなと椅子を持ってきて見学モードに入り、ウィーネは純粋にベルを応援していた。

 ベルが両手に剣を、吟も刀を抜く。

 

 玉藻の前の合図で、二人はぶつかった。

 その速度は確かにレベル六相応。だというのにベルはしっかりついていき、初めて両手で双剣を使っているのに吟へ果敢に攻めていた。

 

「【雷霆よ!】」

 

 早速『紫電』に付与魔法を加える。今までの武器のような、脆くなる感覚はなかった。そのことにベルは笑みを深めて更に速度を上げた。

 もう観客の中でベルの動きについていけるのは玉藻の前とウィーネだけになっていた。他の者は辛うじて剣閃を追える程度で、何がどうなっているのかわからない。

 これが第一級冒険者の戦闘領域なのかと呆れを通り越して笑えていた。

 

 そして自分達の団長が強いことを、純粋に喜んだ。

 それから一時間ほど続いた稽古は、吟が合格を伝えたことで終わりを迎える。

 吟が頬に裂傷を受けたことで負けを認めたのだ。

 レベル六に一撃を与えた事実でまたランクアップするんじゃないだろうかと、ヘスティアはブルリと身震いをさせる。

 

 オッタルをレベル七からレベル九に二段階ランクアップさせた実績を持っている吟だ。その予想は正しかった。

 その夜、ベルはレベル五にランクアップ。ステータスもまたお化けみたいになっていたのでヘスティアはさっさとランクアップさせた。新しく現れた発展アビリティは【魔防】。これについては当分公表しないことにした。

 

 吟に挑めばランクアップできると広めることを玉藻の前も拒否したのだ。

 次の日、ダンジョンに潜ることとした。

 異端児達の住まう秘密領域へ、リリルカを除いた総員で向かうこととなる。その代わりヘスティアとリリルカはウラノスに呼び出されて面会することとなった。

 

「……ヘスティア、やつれたか?」

 

「ああ、お祖父様。気にしないでくれ。ちょっと胃の調子が悪いだけなんだ。色々と厄介ごとを抱え込んでいてね……」

 

「異端児はそれほど負担だったか」

 

「いやあ?それよりは僕の団長とタマモの突拍子も無い未来視かな?異端児は正直、そういうこともあるだろうと思ってた。ボク達神話の存在は、心を持った怪物なんてよく知っている。ダンジョンのモンスターはあの頃の怪物よりも弱い存在かもしれないけど、それでも英雄譚を彩った怪物だって心はあったんだよ。……それでもこの長い間見付かっていなかったんだから珍しい存在なんだろうし、神々は欲しい、見たいとダンジョンに入るだろうね」

 

 ヘスティアはウラノスとそんな会話を繰り広げる。

 英雄譚の再現のために神々は異端児を調教してもおかしくはない。自慢の眷属と戦わせたり、自分の神話の再現をしたり。そんなことだって考える神もいるだろう。

 ただのモンスターではなく、心があるということがそれを拍車にかける。

 

 それからはヘスティアがウィーネと数日過ごして感じた所感をリリルカと共に話し始める。

 ウラノスはそれを興味深く聞き入れる。モンスターと人間が共存できるかどうか、新たな視点を得たいと期待して。

 

 

 ベル達が明、金蘭、吟と一緒にダンジョンへ潜っていく。レベル六が三人にレベル五が一人、レベル三がたくさんの進軍は、先日の小遠征よりもよっぽど速度が速かった。一番足の遅い春姫にベルが付与魔法をかけてまで進行速度を上げていた。

 その結果即日で二十階層についていた。明達が迷わず案内したことで、その未開拓領域にはすぐに着くことができた。

 秘密の入り口である石英の結晶を割り、現れた道へ滑り込む。

 そうして出た開けた場所には。

 

「「「同胞よ、ようこそ!!!」」」

 

 人語を話す多種多様な異端児がそこにはいた。全員が何かしらのコップやお皿を持ち、ベル達を囲む。

 宴の用意が出来上がっていた。

 

「さあさ、同胞よ。名を教えてくれ」

 

「ウィーネ。ウィーネだよ」

 

「そうか、ウィーネ!人間よ、ウィーネを保護してくれてありがとう!この数日とてもよくしていたと明っちから聞いてるぞ。お前達もオレっち達の仲間だ!」

 

 リザードマンがそう言ってウィーネを主賓である中央の席へ連れていく。明達も好き勝手に座って交流を始めていた。

 その様子に戸惑うヘスティア・ファミリア。

 

「えぇ〜……?」

 

「ベル君達も座るといい。彼らが宴をしてまで歓迎してくれるんだ。存分に楽しむように」

 

 ベル達も椅子に座り、様々なコップを受け取る。ここにある物はどれも人間が使うような物ばかりで、確かにモンスターの住処とは思えなかった。

 

「それじゃあ新たなる同胞と、人間の友人達に!乾杯!」

 

「「「乾杯!!!」」」

 

 宴が始まる。

 彼らは様々な情報交換をしたり、ベルがリーダーのリザードマン、リドと模擬戦をしたりなど、彼らはその日一日を丸々交流に費やした。

 自分はひとりぼっちじゃなかったのだと涙するウィーネの姿を見て、これで良かったのだと彼らは思うことができた。

 

────

 

ベル・クラネル

Lv.5

力 :I089

耐久:I065

器用:H112

敏捷:H134

魔力:H109

 

幸運 :C

耐異常:H

精癒 :I

魔防 :I

 

《魔法》

雷霆を(ケラウノス)

・付与魔法

・雷属性

・速攻魔法

・追加詠唱をすることで魔法変質

・詠唱文【天空より更に彼方へ、黄金の雨となり、聖獣たる御牛をも震わせ、最果ての宇宙(カナタ)へあなたの証を届けよう】

 ・【世界の果てに、刻憧の雷霆(グレェヴン・ケラウノス)

 ・変質魔法

 ・追加詠唱により広域攻撃魔法へ変質

【ファイアボルト】

・速攻魔法

・追加短文することで魔法変質

 ・【ファイアボルト・ジュピター】

 ・速度上昇

 ・地上で使用時威力上昇

 ・【ファイアボルト・ウルス】

 ・威力上昇

 ・暗闇で使用時更に威力上昇

 ・【ファイアボルト・ウェスタ】

 ・回復魔法

 ・対象者が家族の場合、回復量増加

 

【】

《スキル》

万雷の喝采を(リアリス・フレーゼ)

・早熟する

・想いが続く限り効果永続

・想われれば想われるほど上昇率増加

英雄達の船(アルゴノゥト)

・能動的行動に対するチャージ実行権

・鼓舞されるほどに威力上昇

・共闘時、チャージ速度上昇

雷帝の加護(ユピテル・ギフト)

・雷に対する絶対耐性(自身の魔法含む)

・雷に関する攻撃時、威力増加

・女性(特に家族関係に当たる者)への耐性低下

 

────

 

 

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