Digital_Dream!   作:睡眠タイム

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満を持してのパスパレ編です。

改めて見ると初めての長編なのもそうですが、此処まで書けた事に、自分も驚きです……。

彩さんのパートナーに関してですが、実はこの小説を書く際に、『あるデジモン』の存在を見た時、『この子、彩さんのイメージ似合うな』と思ったのが、彼女のパートナーデジモンが決まった理由でもあります(因みにそのデジモンも、かなり後に登場します)。

それと今回の話では、私自身が前からやりたいと思っていた事の1つをやった部分もあります。

そして、パスパレ((若しくはパスパレメンバー)のメイン回は、今回みたいなサブタイトルになりますので、その点を御理解下さい(因みに初期段階のサブタイトルは、『We're アイドル!!』と言う物でした)。


ドン10話 ねこかあいどる

 

 

時は少し戻り、友希那がテイマーになった日の夜の事。

 

 

「アアアアア―――!! もう何てBadな事なのよ――!!」

 

 

マンションの一室にチュチュのイライラした叫び声が響き渡る。

 

 

「折角Roseliaの連中共に報復する予定だったのに、肝心の目的も果たせずに返り討ち……おまけにあのミナト・ユキナまでテイマーになったですって……!?

本っ当にBad過ぎて叫びたくもなるわよーー!!」

「チュチュ様~!」

「チュチュ……気持ちは分かるけど、そんな大声出したって、現実は変わらないよ…」

「グググ…」

 

 

パレオと黒い長髪と長身が特徴の少女の言葉に、チュチュは反論出来ずに口を噛み締めていた。

 

 

「所でチュチュ。 お前ここ数日、作曲の傍ら何かしていた様だけど、一体何やってたんだよ?」

 

 

先程から黙って様子を見ていたますきが、思い出したかの様にチュチュに問い掛ける。

 

 

「…まぁ、丁度完成もしていた処だし、貴女達にも見せてあげるわ」

 

 

そう言ってチュチュは自身のノートパソコンを立ち上げ、3人に画面を見せた。

 

 

「キヒャヒャヒャ――!!」

 

 

其処に映っていたのは、頭部に無数の茸を生やしたナメクジを女性の様な感じにした見た目のデジモンがいた。

 

 

「何だよ…この茸と蛞蝓(なめくじ)をごっちゃにした奴は…」

「この子はモルスクモン。 私が創り出した『オリジナルデジモン』の第1号よ!」

「「「『オリジナルデジモン』?」」」

 

 

チュチュの『オリジナルデジモン』と言う発言に3人が疑問の声を上げる。

 

 

「Yes. 前々から私は考え、そして気付いたの……『Originality』が無いと言う事に!」

「チュチュ…ごめん、言っている事が全く分からないんだけど……」

「これまで私達が送り込んだ配下のデジモン達は、全員トヤマ・カスミ達5人の冒険者組からして見れば、今までデジタルワールドの冒険で出会った子達ばかりだし、尚且つミナト・ユキナやミタケ・ランなどついこの間テイマーになった子達は、冒険者組や各自所持しているこのデジヴァイスを通じて、此方のデジモン達のPersonal Dataを知る事が出来た……」

 

 

そう言ってチュチュは徐にポケットから、自身の所持するディーアークを取り出す。

 

 

「But、彼女達――特に『あの5人』も今までデジタルワールドで会った事の無いデジモンを登場させる何て、早々出来る訳が無い……。 ならこっちがそう言うデジモンを『作ってしまえばいい』……そう考えたの」

「成程……確かにそれは一理ありますね…」

 

 

チュチュの言葉に、パレオが納得した様子を見せる。

 

 

「元々デジモン達は、名前の如く様々なDataから生まれた生命体……。 だからこそ、私自身もプロデューサーとしての血が騒いでしまってね…。 息抜きの傍らで、実験を重ねた結果、こうして今その第1号を完成に成功したのよ」

 

 

チュチュは自信に満ちた様子で、モルスクモンをアピールしていた。

 

 

「何となくは分かったのですが……」

「何よ?」

「うん……どうしてその……こんなゲテ……個性的なデザインのデジモンなのかな?」

(レイヤ……お前今明らかに『ゲテモノ』って言おうとしたよな?)

「も、文句言わないでよ! 初めての事だったし、これでも結構苦労したのよ!(言えない……失敗続きで、つい自棄を起こして適当に『キノコ』と『蛞蝓』のDataを組み込んだら、あっさり完成した何て……)」

 

 

チュチュは内心そう思いながら、何とかメンバー達を落ち着かせて話を再開する。

 

 

「と、ともかく、次はこの子を送り込むわよ!」

「ゲヒャ!」

「さぁ私のオリジナルデジモン。 存分に暴れ、この世界に私達RASの凄さを伝えてくるのよ!」

「ゲヒャヒャ――!」

 

 

「ねぇ……ますき」ボソ

「奇遇だなレイ……」ボソ

(正直、……今回のデジモンに対して、不安しか感じないんだけど……)

(とは言ってもなぁ……それにさっきのチュチュ……思いっ切り目が泳いでいたよな……)

 

 

最終的にレイヤとますきは、『今回は様子を見守る』と言う形で結論付けながら、モルスクモンとチュチュを見るのだった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「それじゃあ、休憩に入りま――す!」

 

 

とある某所。

 

 

其処には多くの人間が集まり、何かの作業をしていた。

 

 

「はぁ~…凄く緊張した~」

「あはは。 あたしは特に緊張しなかったなぁ~。 寧ろ今の時点で安定して撮影が進んでいる方が珍しいなぁって感じかな?」

「まぁ、パスパレが結成されてもう1年も経ちますし、今日の事だって、きっと皆さんの成長した結果の表れだと、ジブンは思います」

「日々精進。 これもブシドーの一貫です!」

「皆、この調子で後半の撮影も頑張りましょう」

「「「「うん(はーい)(はいッス)(ハイ)!」」」」

 

 

その作業のメインであるPastel*Palettesの面々は、上記の会話を交わしながら、休憩に入った。

 

 

この日パスパレの5人は、仕事の関係で少し遠くにある自然溢れる広場にやって来ており、今は前半部分の撮影が終わった所であった。

 

 

「うめ―――!」

「はい! 正に日本のソウルフードと呼ぶ程、お米は偉大だと思います!」

「あはは。 イヴちゃん、すっかりコロナモンと意気投合してて何だか「るんっ♪」ってするなぁ!」

「でも皆さんで一緒に食べる御飯って、何時も以上に美味しく感じられますから、ジブンも大好きですよ」

 

 

日菜の隣でコロナモンがお握りを頬張りながら叫び、それに同調するイヴを見た日菜とも楽しそうな様子で見ている。

 

 

「それにしても……私達がコロナモン……デジモン達と知り合ってもう1ヶ月が経つんだよね」

「そうね、彩ちゃん」

「それにしても千聖ちゃん、この間の『アレ』は結構大変だったね~」

「……えぇ。 今までの人生の中で、全精神力を使ったのは……あれが初めてよ」

 

 

日菜の言葉を聞いた千聖は、諦めと疲れが混ざり合った様な表情で回想した。

 

 

 

 

『ウヘヘ……。 ねぇねぇお姉ちゃん。 俺、この世界に来て偶々見掛けた時から、お姉さんのファンだったんだ…。 だから俺とデートしない?』

『イヤアアアアア――!!』

 

 

数日前、久し振りのオフの日だった事もあって、馴染みの場所である『羽沢珈琲店』へお茶をしに行く道中、千聖は自分に馴れ馴れしい様子の声が気になって振り返ると、ギョロ目と剥き出しの歯が特徴の蛞蝓の様なデジモン――ヌメモンが自分にナンパを仕掛けに来ており、千聖自身もヌメモンへの生理的な嫌悪感から、必死になって逃げたのである(尚、ヌメモンはその後、偶々散歩中の日菜とコロナモンの手で気絶させられ、最終的に『CiRCLE』の電脳空間に作られたデジモンの保護施設に送り届けられた)。

 

 

 

 

「そ……それはとんだ災難でしたね……」

「えぇ……デジモンって……あんな変なのもいるのね……」

「まぁ、ヌメモンは綺麗な女の子には、滅法弱いからなぁ~」

「……千聖、お家に帰る」

「早まっちゃ駄目だよ千聖ちゃん!?」

 

 

千聖の軽いキャラ崩壊を前に、彩は慌てた様子で引き止めた。

 

 

「安心して千聖ちゃん。 若し何か合ったら、あたしとコロナモンが何とかするから♪」

「日菜の言う通りだぜ千聖! 『太陽の貴公子』と言われた俺が、パスパレの事をカッコ良く守って見せるぜ!」

「……本当に?」

 

 

千聖がウルウルとした様子で日菜とコロナモンを見る。

 

 

「ああ任せろ! 俺のこの『太陽の拳』の前には、どんな奴にも負けはしねぇし、あらゆる女のハートもイチコロにしちまうんだぜ~!」

「それで『太陽の貴公子』なのね……」

「あ―! その目全く信じてねぇな! 俺が本気で進化すればなぁ、どんな女も目ん玉ハートマークにしちまう程のカッコいい姿になるんだぞ~!」

((((コロナモンの本気の進化……))))

 

 

 

 

『ハッハッハ! さぁ子猫ちゃん達! この私が来たからには、『太陽の貴公子』の名に賭けて君達を守ってみせるよ!』

『『『『『キャー! コロナモン様!』』』』』

『ハッハッハッハッハッハ………!』

 

 

 

 

((((何だか物凄く『薫さん(薫)』の雰囲気を感じる……))))

 

 

彩達4人の脳裏に、薫の様な性格のコロナモンが浮かんでいた。

 

 

バキッ

 

 

「ひっ? な、何なの?」

「向こうの草むらから聞こえましたね……」

「もしや『不審者』ですか!?」

「取り敢えず見てこよーぜ!」

「アタシも行くよ、コロナモン!」

「ちょっと、日菜ちゃん!」

 

 

そして、コロナモンと日菜、慌てる彩を筆頭に全員で音のした方に近付いて行った。

 

 

「誰だ!?」

 

 

そう言って、コロナモンが草むらを勢いよく掻き分けると、其処には折れた小枝、その近くに金色の首輪を付けた白い獣が、傷だらけの状態で倒れていた。

 

「あれは……プロットモンだ!」

「えっ? だ、大丈夫?」

 

 

それを見た彩が真っ先に駆け寄り、無事の安否を確認する。

 

 

「うっ……」

「見た所、かなり弱っているみたいですね……」

「取り敢えず、ロケ用の車まで運んだ方がいいね」

「早く急ぎましょう!」

「コロナモン、何か感じる?」

「……いや……今の所、俺とプロットモン以外、特にデジモンの気配は感じられねぇ……」

「そっか……私達も行くよ」

 

 

日菜とコロナモンは、そのまま先に行った彩達の後を追って駆け出した。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「うっ……うん?」

「あっ、気が付いた?」

 

 

プロットモンが意識を取り戻した事に彩が気が付く。

 

 

「貴女は……?」

「そう言えば、まだ名前を言って無かったね。 私は丸山彩。 それに日菜ちゃんとコロナモン、千聖ちゃんに麻弥ちゃんにイヴちゃんだよ」

「此処は……何処なの?」

「此処は達が使っているロケ用のキャンピングカーの中で、貴女は近くの草むらの中で倒れていて、それを私達が見付けて此処まで運んで来たのよ」

 

 

千聖がプロットモンに、今までの状況を説明する。

 

 

「そうだったのね……。 助けてくれて有り難う」

 

 

そう言ってプロットモンは、キャンピングカーの扉の方へと向かおうとする。

 

 

「あ、駄目だよ! その体じゃあ……」

「助けてくれた事には感謝するわ。 ……でも、貴女達を危険に晒す訳にはいかないわ」

「でも……「ウオオオオ!」な、何!?」

 

 

彩が再度プロットモンに声を掛けようとした時、突然それを遮る様に叫び声が響き、彩達は直ぐにキャンピングカーの外へ出る。

 

 

「ウオオオオ!」

「ヘハハハハ!」

「ワーイ!」

 

 

パスパレの面々の前に広がっていたのは、異様な光景だった。

 

 

ある者は大声を上げながら他のスタッフと殴り合いをし、他の者も地面に座ってヘラヘラ笑っていたり寝転がっていたりと、現場は正に『阿鼻叫喚』とも言う有様だった。

 

 

「な……何なのこれ?」

「早く止めましょう!」

「止めて下さい皆さん!」

 

 

千聖はその光景を唖然と見ており、麻弥とイヴはスタッフ達を止めようと必死に動いていた。

 

 

「この様子……『アイツ』が等々此処まで来たのね……!」

「「「「『アイツ』?」」」」

「ゲヒャヒャヒャ!」

 

 

その時、不気味な声が響き渡ってきたので、彩と千聖、日菜とコロナモンが声の聞こえた方を向くと、其処にはこの騒ぎの元凶であるモルスクモンが姿を現した。

 

 

「あれってデジモン!?」

「あら~? まだ残っていたのね~。 アンタ達もアタシの力の餌食にしてあげるわ!」

「この状況……貴女の仕業ね!」

「御名答。 アタシはモルスクモン。 そう言う訳で……クレイジースポワシャワー!」

 

 

そしてモルスクモンは頭部から大量の紫色の飽子を放ち、麻弥とイヴに浴びせる。

 

 

「「ワアアァ(キャアア)!!」」

「麻弥ちゃん! イヴちゃん!」

 

 

紫色の飽子を浴びた麻弥とイヴは暫くすると、彩達の方に近付いて来た。

 

 

「麻弥ちゃん……? イヴちゃん……?」

 

 

彩が2人に恐る恐る声を掛ける。

 

 

「! 危ない!」

「ブシドー!」

「わっ!」

 

 

何かに気が付いたプロットモンが叫ぶと同時に、イヴが手に持っていた木の棒を叫び声と共に振り上げ、彩は間一髪で避けた。

 

 

「フヘヘヘヘヘ……」

「ブシブシブシ……」

 

 

目の前の2人はまるで壊れたラジカセの如く同じ言葉を繰り返し呟きながら、不気味な様子で近付いて来た。

 

 

「麻弥ちゃん!? イヴちゃん!? 一体どうしちゃったの!?」

「お、おお……2人共、物凄ぇ表情をしてやがる……。 まるで仮○ライ○ーの怪人みてーだ……」

「う~ん……あれって絶対、アイドルがファンに見せちゃ駄目な奴だね」

「日菜ちゃんもコロナモンも呑気な事を言ってる場合じゃ無いでしょ!」

 

 

千聖が思わず日菜とコロナモンの様子に対し、ツッコミを入れる。

 

 

「フヘヘ――――!!」

「ブシド――――!!」

 

 

そして麻弥とイヴの2人が、彩とプロットモンに襲いかかった。

 

 

「わーっ!」

 

 

彩は咄嗟にプロットモンを抱き締め、その儘逃げ出した。

 

 

「フヘヘヘヘヘ……」

「ブシブシブシ……」

「待った――!」

 

 

彩達の後を追おうとする麻弥とイヴを日菜が両手を広げて足止めした。

 

 

「フヘヘ―――!!」

「ブシド――――!!」

「2人には悪いけど、此処で足止めさせてもらうよ!」

 

 

麻弥とイヴは標的を日菜に変えて再度襲い掛かるが、日菜は最低限の動きで2人の攻撃を躱す。

 

 

「ゲヒャヒャヒャ! それじゃあ、アタシはあの子達を追うわ!」

 

 

モルスクモンはそう言って麻弥とイヴにその場を任せ、彩とプロットモンを追った。

 

 

「日菜ちゃん! あのデジモンが!」

「コロナモン!」

「任せろ!」

 

 

日菜の指示を受けて、コロナモンもモルスクモンの後を追って行った。

 

 

「……さて、彩ちゃん達の事を考えて、速攻で何とかしないとね!」

 

 

コロナモンの姿が茂みの奥へと消えていくのを見届けた日菜は、再び麻弥とイヴを如何にかするべく行動するのだった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……」

「待ちなさ――い!」

 

 

あれから彩はプロットモンを抱き締めて、モルスクモンから逃げていた。

 

 

「あっ……!」

 

 

だが等々疲れによって、足が縺れて転んでしまう。

 

 

「あ痛たた……あ、御免ねプロットモン。 大丈夫だった?」

「それはこっちの台詞よ!」

 

 

プロットモンが彩の言葉に思わず声を上げる。

 

 

「サディスティックディソリューション!!」

 

 

するとモルスクモンが、頭部に生やした茸からカラフルな配色の液体を放射して来た。

 

 

それに気付いた彩とプロットモンは何とか回避する。

 

 

「わっ!」

 

 

しかし回避の際に、液体の僅かな一滴が彩の衣装の袖の部分に掛かり、そこに穴が開く。

 

 

「フフフ……。 気を付けないとヨーグルトになっちゃうわよ」

 

 

モルスクモンは、嘲笑の意を込めた忠告を彩達に放った。

 

 

「パピーハウリング!」

 

 

プロットモンは口から超高音の鳴き声を放った。

 

 

「ハッ!」

 

 

しかしモルスクモンはその攻撃を、全く意に介さない様子で振り払い、更に片腕をゴムの様に伸ばしてプロットモンに巻き付け、そのまま締め上げた。

 

 

「ウウウ……!」

「プロットモン!」

「アハハ! このまま絞め殺してあげるわ!」

 

 

モルスクモンはプロットモンが苦しむ姿を見て、上機嫌な様子を浮かべている。

 

 

 

 

「プチプロミネンス!」

 

 

 

 

その時モルスクモンの背後から真っ赤に燃えた丸い物が現れ、そのまま体当たりを炸裂させた。

 

 

「ガハッ…!」

 

 

力が緩んだ隙を付いてプロットモンも、モルスクモンの腕から脱出した。

 

 

「大丈夫か!?」

「コロナモン!」

「日菜に言われて、俺だけ先にこっちに向かう様に言われて来たんだよ]

「フフフ……パートナーを置いて来て、態々こっちに来るなんて……愚策としか思えないわね……」

「日菜はこの程度で苦労する程軟じゃねーよ。 俺は自分でも頭良くねーって自覚してっから、『馬鹿』呼ばわりされても構わねぇ。 でもなぁ、日菜の事を悪く言うのだけは許さねえぞ!」

 

 

コロナモンは、啖呵を切って返した。

 

 

「ほざくんじゃないわよ!」

 

 

モルスクモンは、再度自身の片腕を伸ばしてくるも、コロナモンとプロットモンは、その攻撃を交わす。

 

 

「コロナックル!」

 

 

コロナモンは炎を纏った自身の拳で殴りかかろうとする。

 

 

「甘い!」

「グハッ!」

 

 

しかしモルスクモンは、右のもう片方の腕を伸ばしてコロナモンを弾き返した。

 

 

「パピーハウリング!」

「だから無駄って言ってるでしょ!」

 

 

其処へプロットモンが再度超高音の鳴き声を放つも、モルスクモンはまた振り払う。

 

 

「くぅ……」

 

 

するとプロットモンは足から崩れる様に倒れる。

 

 

ある程度回復したとは言え、それでもまだ治った訳では無く、逆に此処まで堪えられた事の方が奇跡だったのだ。

 

 

それを好機と見たモルスクモンは、先程コロナモンを弾き飛ばした右腕を伸ばして、プロットモンを彩のいる所に弾き飛ばした。

 

 

「アアア!」

「プロットモン!」

 

 

彩はプロットモンに駆け寄る。

 

 

「彩……貴女だけでも逃げて……」

「えっ?」

「私は大丈夫……それに無関係な貴女をこれ以上巻き込む訳には……」

「ウフフ……嬲り殺しにしてあげるわ……」

 

 

モルスクモンは再び片腕を鞭の様に伸ばし、プロットモンは目を瞑った。

 

 

 

 

「キャアアアア!」

 

 

 

 

その時悲鳴が響き渡る。

 

 

プロットモンは自身に何の痛みが無い事を疑問に抱いて目を開き、茫然とした。

 

 

「ううう……」

 

 

其処にいたのは、苦痛に表情を浮かべる彩の姿だった。

 

 

それて同時に、先程の悲鳴が彩が自分を庇ってモルスクモンの攻撃を受けた事による物だと悟った。

 

 

「どうして……」

「アハハ……そっちがその気なら、先ずはアンタから始末してあげるわ!」

 

 

それを見たモルスクモンは、今度はもう片方の腕を伸ばして、今度は左右順番に連続に振り回して攻撃をするも、彩は痛みを堪えてプロットモンを庇い、背中越しにその攻撃を受け続けた。

 

 

「何をやっているの……? 止めて! そんな事をしたら貴女が死んでしまうわ!」

「……出来る訳無いよ」

「どうして……?」

「私は……皆に夢を与える様なアイドルになりたい。

若し今此処で貴女を見捨てて逃げたら……一生後悔するし、夢だって叶えられない。

……目の前の傷付いている相手を見捨てて……自分だけ助かろうする何て……そんなの私には出来る訳無いよ!!」

「彩……」

 

 

プロットモンは彩の言葉とその姿勢に衝撃を受けた様子を見せた。

 

 

「感動的な話ね~! だけど……今から死ぬ貴女が語ったってそんなの無意味なのよ!」

 

 

そしてモルスクモンの『トドメの一撃』とも言える攻撃が降り降ろされそうになり、彩とプロットモンは目を瞑った。

 

 

その時、双方の間を割る様に眩い光が現れた。

 

 

「な、何!? キヒャアアア!!」

 

 

眩い光の前にモルスクモンはそのまま吹っ飛ばされる。

 

 

「彩! その光を掴め!」

 

 

コロナモンの声を聞いた彩が言われるままに目の前の光を掴むと、彼女の手にはチェリーピンクの縁取りのディーアークがあった。

 

 

「これは日菜ちゃんの物と同じ物……」

「キヒャアアア――!!」

 

 

奇声の方を向くと、モルスクモンが此方を睨み付けていた。

 

 

「彩!」

 

 

プロットモンの声を聞き、彩は頷いた。

 

 

 

 

――EVOLUTION

 

 

 

 

彩のディーアークの画面にそう表示されると、ディーアークが眩い光を放ち、プロットモンを包み込んだ。

 

 

「プロットモン進化!」

 

 

光に包まれたプロットモンは二足歩行になり、尻尾が長く伸び始め、そして光が収まると其処には尻尾に金色のリングを付けた一匹の猫がいた。

 

 

「テイルモン!」

「これが……プロットモンの進化した姿……」

 

 

彩はその様子を見て、ポツリと呟く。

 

 

「進化したからって、調子に乗るんじゃないわよ!!

サディスティックディソリューション!!」

 

 

モルスクモンは頭部に生やした茸からカラフルな配色の液体を再度放射したが、テイルモンは身軽な動きで回避した。

 

 

「チッ……素早しっこいわね」

「ネコパンチ!」

 

 

テイルモンがモルスクモンに対して自身の拳による一撃を放つも、モルスクモンは両腕をクロスして受け止めた。

 

 

「良い一撃ね……」

「クッ……」

「……でも悲しいけどパワー不足なのよね~!!」

「ウワァ!!」

 

 

モルスクモンは両腕に力を込め、テイルモンを逆に押し返した。

 

 

「テイルモン!!」

「さて……今度こそアンタ達を仲良くヨーグルトにしてあげるわ……」

 

 

モルスクモンはゆっくりと此方に近付いて来る。

 

 

「サディスティック……「ファイラボム!」ゲヒャア!?」

 

 

その時横から現れた火炎弾によって、モルスクモンは大きく吹っ飛ばされた。

 

 

「お待たせ2人共!!」

 

 

彩とテイルモンが火炎弾の放たれた方向を向くと、其処には日菜とファイラモンの姿があった。

 

 

「日菜ちゃん! ファイラモン!」

「助かったわ……有り難う」

 

 

安堵の様子を浮かべたテイルモンは、そのまま崩れ落ちた。

 

 

「テイルモン!」

「大丈夫。 少し力が抜けちゃっただけよ……」

「良く此処まで頑張ったね。 彩ちゃんを守ってくれて有り難う」

「此処から先は俺達に任せてくれ」

 

 

日菜とファイラモンが視線を向けた先には、先程吹っ飛ばされたモルスクモンが起き上がる様子があった。

 

 

「クソオオ……! アンタ達良くもやってくれたわね……!」

「モルスクモン! 此処から先は私達のステージだよ!」

「お前が馬鹿にした俺と日菜の絆と力、見せてやるぜ!」

「ほざきなさい!」

 

 

モルスクモンは再度、頭部に生やした茸からカラフルな配色の液体を放射して来た。

 

 

「ファイラモン!」

「あぁ! ファイラボム!」

 

 

ファイラモンは火炎弾を放って相殺し、それによって煙が辺り一面に広がる。

 

 

「クッ……何処にいるの?」

「ファイラモン!」

 

 

モルスクモンは上を向くと其処には全身に炎を纏い、此方に急降下するファイラモンの姿があった。

 

 

「なっ!?」

「フレイムダイブ!」

「ゲヒャアアア!!」

 

 

ファイラモンの攻撃でモルスクモンは再び吹き飛ばされる。

 

 

「つ……強い……」

 

 

その様子を見た彩はポツリと呟く。

 

 

「見たか! これがテメーの馬鹿にした日菜と俺の力だ!」

「……キヒャアア……おのれええええ――!!」

 

 

憎悪の籠もった叫び声を挙げながら、モルスクモンは此方に向かって突撃して来る。

 

 

「ファイラモン!」

「あぁ! 一気に決めるぜ!」

 

 

ファイラモンは自身の前足に炎を纏って駆け出す。

 

 

「ファイラクロー!!」

 

 

そしてそのまま炎を纏った前足でモルスクモンの胴体を引き裂きながら、胴体を貫いた。

 

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

 

 

胴体を貫かれ、中心部に風穴を空けたモルスクモンはそのまま全身を炎で燃やされながらデータの粒子と化して消滅していった。

 

 

「うっ……」

「彩ちゃん!?」

 

 

そして安心感によって彩も全身の力が抜けてしまい、そのまま倒れた。

 

 

「日菜! 2人の様子は!?」

「大丈夫。 気を失っているだけだよ」

「そっか……。 しっかし無茶したもんだぜ。 あの時アイツの攻撃を直接体で受ける何て……」

「でも私も彩ちゃんと同じ立場だったら、同じ事をしていたと思う。 ……だから彩ちゃんの気持ち、とっても分かるもん」

(日菜も充分『良い意味』で変わったな……。 最初の頃のお前が懐かしく思えてくるぜ)

「さて……千聖ちゃん達も心配しているし、そろそろ戻ろっか!」

「あぁ、そうだな!」

 

 

日菜の言葉を受けたファイラモンは2人と1匹を自身の背中に乗せ、千聖達のいる場所へと戻って行った。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「ふぅ……」

「彩、お疲れ様」

 

 

数日後。

 

 

事務所でパスパレメンバー達とレッスンをしていた彩は休憩時間になった事もあって一息付き、ディーアークの中のテイルモンはそんな彼女に労いの言葉を掛ける。

 

 

「私はアイドルの事は素人だから上手く言えないけど……今日のレッスンでの動き、とても良かったと思うわ」

「はい。 ジブンも彩さんの今日のレッスンでの動きは、目を見張る物を感じました」

「えへへ……有り難うテイルモン、麻弥ちゃん」

 

 

彩はディーアークの中のテイルモンと麻弥に感謝の言葉を述べる。

 

 

「彩ちゃん。 何か雰囲気が変わったわね」

「そうかな?」

「ハイ! ワタシも雰囲気が少し変わった様に思えます」

「そう言われても特にピンとこないかなぁ……。 あ、でも」

「どうかしたの?」

 

 

千聖が彩の言葉に疑問の声を挙げる。

 

 

「私ね、テイルモンと出会って『皆に夢を与える様なアイドルになりたい』って言う自分の目標に付いて改めて考えて決めたの。

『私の活動を通じて、人やデジモンさん達に『この世界は誰もが自由で優しい世界何だよ』って思える夢を与えるアイドルになりたい」

 

 

彩は自身の中に抱いた想いを語った。

 

 

「……人やデジモン達に『この世界は誰もが自由で優しい世界だ』って思える夢を与える、か」

「えっ……と? 変かな?」

「そんな事無いわ。 とっても良い夢よ」

「うん! 言葉の1つ1つに彩ちゃんの想いが込められてる感じが、『るんっ』てする!」

「俺も彩の夢に賛成だぜ!」

「テイルモン……日菜ちゃん……コロナモン……」

 

 

彩は3名の言葉に目を潤ませた。

 

 

「何だかジブン……とっても感動しました」

「はい。 ワタシもアヤさんの夢を全力で応援したいです!」

「私自身、自分の今までの芸能活動の事もあって、否定的で冷めた目線で生きてきたけど、今の彩ちゃんの言葉を聞いていたら、不思議と『そんな夢を皆に知ってほしい』って思えてくるわ」

 

 

千聖達3人も彩の言葉から、彼女の成長を感じていた。

 

 

「……それじゃあ、そろそろ練習を再開しよっか!」

「「「「うん(ええ)(はいッス)(ハイ)!!」」」」

 

 

彩の言葉で、パスパレの面々は練習を再開した。

 

 

因みに練習の様子を偶々見た事務所のマネージャーは、『この時の彼女達の見せた笑顔は、まるで億単位の価値がある宝石が唯の石ころに思えてしまう程の輝きを感じる』と内心思ったそうだった。




パスパレ編を読んで頂き、有り難う御座います。

お気付きの方もいると思いますが、今回登場したモルスクモンは私自身が考えたオリジナルデジモンで御座います。

実は私は元々、様々な二時創作を書く傍ら、『仮面ライダー』のオリジナル怪人やオリジナルデジモンを考えていたりしており、この作品を書く際に、『オリジナルデジモン出しても有りかな』と思い、今回登場させました。

勿論、モルスクモン以外のオリジナルデジモンも若しかしたら登場する可能性があるかもしれません(?)ので、その点を御理解下さい。


それでは何時も通りのデジモン解説(尚、今回は少し長いです)。
それと名前の隣にイメージCVが書いてあるデジモンは、『この作品での私が考えるイメージCV』と言う意味です。


プロットモン イメージCV:楠木ともりさん(代表作『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』優木せつ菜、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-』巴珠緒、『プロジェクトセカイ』宵崎奏、『プリマドール』鴉羽)

レベル:成長期
タイプ:哺乳類型
属性:ワクチン

今作における彩のパートナーデジモンで、垂れ耳が特徴的な神聖系デジモンの子供。まだ幼いため、その神聖的な力を発揮することができず、自らの使命にも気づいていない為、性質的には不安定で、善にも悪にもなりえてしまう。
しかし、神聖系デジモンとして生まれたプロットモンはいつの日か「ウィルスバスターズ」としての使命に目覚める時が来るだろう。
また、プロットモンはデジモン研究者達により生み出された試験的なデジモンであり、人間の身近にいるペットを模倣して作られたため、現実の動物に近い姿をしている。
必殺技の『パピーハウリング』は超高音の鳴き声で、敵を金縛りにしてしまう。


テイルモン

レベル:成熟期
タイプ:聖獣型
属性:ワクチン

プロットモンが進化した姿。
好奇心がとっても旺盛でイタズラ好き。体は小さいが貴重な神聖系のデジモンであり、見た目にそぐわない実力を持っていて、神聖系の証であるホーリーリングを尻尾につけているが、このホーリーリングが外れてしまうと、パワーダウンしてしまい本来の力を発揮できなくなる。
身を守るために、サーベルレオモンのデータをコピーした長い爪をつけている。
必殺技は長い爪を使って相手を攻撃する『ネコパンチ』と、鋭い眼光で敵を操る『キャッツ・アイ』。この眼光を受けた者は、自分自身を攻撃してしまう。


ヌメモン

レベル:成熟期
タイプ:軟体型
属性:ウィルス

ナメクジのような体を持った軟体型デジモン。
暗くてジメジメした環境を好み、攻撃力も知性も無い。どんなデジモンも育て方を間違えるとヌメモンになってしまうが、実は隠された秘密があるらしい・・・。外敵から身を守るため、自分のウ〇チを投げつける『ウ〇チ投げ』と言う最低の攻撃をする。


モルスクモン イメージCV:相良茉優さん(代表作『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』中須かすみ、『プラオレ!〜PRIDE OF ORANGE〜』水沢彩佳、『てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!』清鶴かな)

世代:成熟期
属性:ウィルス
種族:軟体型
得意技:ソフトプレッシャー・クレイジースポワシャワー
必殺技:サディスティックディソリューション
モチーフ:ナメクジ、キノコ、アイドル

今作オリジナルデジモン。
作中がチュチュが失敗続きで、つい自棄を起こして適当に『キノコ』と『蛞蝓』のDataを組み込んだら、あっさり完成したと言う設定だが、本来はマッシュモンが軟体動物のデータを取り込んだ事によって進化したデジモンである。
小さな隙間さえあればどんな所にも侵入できる軟体を持ち、性格もマッシュモンの時以上に陰険な物と化している。
女性っぽい見た目になった理由に関しては今の所不明だが、一説には軟体動物のデータが何かしらの影響を与えたのではないかと言う考えが有力視されている。
得意技は、自身の軟体をゴムの様に伸ばして相手を締め付ける『ソフトプレッシャー』と、頭部の茸から相手の精神を狂わせる紫色の飽子を放つ『クレイジースポワシャワー』。
必殺技は、頭部に生やした茸からカラフルな配色の液体を放射して相手を溶かしてしまう『サディスティックディソリューション』。

余談
名前の由来は、英語で軟体動物を意味する『Mollusk(モルスク)』から。
尚、初期設定では『ゲルマッシュモン』と言う名前の完全体デジモンになる予定だった(作中での『パワー不足』発言は、この初期設定の名残りである)。


因みにこのモルスクモンは、裏(&デザイン)モチーフである特撮作品の敵キャラをモチーフにしています。
若し御時間がありましたら、何のキャラがモチーフなのか当てて見て下さい(一つだけヒントを上げると、仮面ライダーの敵怪人です)。


それでは、之にて失礼致します。

以前言及した『バンドリの7バンドのイメージをデジモンに例えたら?』と言うネタで、私が考えた『各バンド×バンドのイメージデジモン』の組み合わせで、あなたが一番ピッタリ合っていると思った組み合わせはどれですか?

  • ポピパ×ガンマモン
  • ポピパ×ブイモン
  • Roselia×ララモン
  • アフグロ×アグモン(セイバーズ版)
  • パスパレ×プロットモン
  • ハロハピ×ベアモン
  • RAS×インプモン
  • モニカ×モルフォモン
  • モニカ×ハックモン
  • 寧ろ全部合っている。
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