Digital_Dream!   作:睡眠タイム

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皆さん、明けましておめでとう御座います。
久し振り&新年最初の投稿です。


タイトルでお察しの方もいる通り、今回は花音さんのメイン回になります。


先に言っておきますが、私は花音さんの事は嫌いではありません(ここ重要です)。


ただ、今回の話はCP描写が少し強く描かれている上に、その関係で花音さん&みさかのん推しの方には少しきつい&花音さんのキャラに違和感に感じる点があるかもしれないのに加え、Lastの件は賛否両論になるかもしれません。


以上の事を理解した上で読んで下さい。


第13章 海月とペンギンと青い迷宮心(ラビリンスハート)

 

 

「ふぇぇ……」

 

 

ある日の事。

 

 

目的地の店に用事があって出掛けた花音は、予定よりも早く用事が住んでしまった事もあって辺りを散策するも、自身の癖である方向音痴によって道に迷っていた。

 

 

「あれ? 花音さん?」

 

 

声の方に振り向くと其処にいたのは、ましろとハックモンだった。

 

 

「ましろちゃん、ハックモン……」

「若しかして……道に迷ってしまったのか?」

「う……うん……そ、そうです……//」

 

 

ハックモンからの問い掛けに花音は、少し恥ずかしさと気まずさが混ざった表情で返答した。

 

 

「若し良ければ、私達と一緒に行動しませんか?」

「あ、有り難う……ましろちゃん」

 

 

花音はましろからの申し出を迷う事無く受け入れ、2人は共に行動し始めた。

 

 

(そう言えば……花音さんとこんな風に二人きりって初めてかも)

 

 

ましろ自身の花音に対する印象は、『ガールズバンドの先輩』と言う物である。

 

 

ましろの記憶する限り、花音とはそもそも所属するバンド、通っている学校や学年などあらゆる面が違っている事もあって、今まで交流をする事などあまりなかった為、逆に新鮮に感じられた。

 

 

「ましろ? どうかしたのか?」

 

 

ハックモンの呼び掛けに、ましろは我に返る。

 

 

「ううん、ごめんね。 少し考え事していたの」

「そうか……」

「ふふっ……ましろちゃんとハックモン、本当に仲良し何だね」

「はい。 彼とはデジタルワールドに行った時からの仲ですから……」

「あぁ……こうして人間界で再び一緒に過ごしていると……ましろのこんなに大きく成長した姿を見れて、私も嬉しく思うんだ」

 

 

ましろとハックモンの脳裏に、デジタルワールドの時の事が思い浮かばれる。

 

 

初めて会った時の事。

状況が分からず戸惑うましろを慰めた時の事。

初めて進化し、敵を倒した事。

初めて友達になったデジモン達の事。

その友達の死に泣いた時の事。

デーモンとの最後の戦いの時の事。

 

 

 

 

そして――別れた時の事。

 

 

 

 

「楽しい事や悲しい事、辛い事も沢山会ったけど……でもあの冒険があったからこそ……今の私達が在るんです。 私だけじゃない。 香澄さんや有咲さん、紗夜さんや日菜さんも……皆自分達のパートナーには、返しきれない程沢山の物を貰ったんです。 だから……例えどんな事があっても……ハックモン達を信じて味方でいようって、再会した日の夜に5人で誓い合ったんです」

(ましろちゃん……見た目に反して、芯が強いんだな)

 

 

花音はましろの言葉と姿勢から、彼女の内心に秘められた強い想いを感じ、息を呑んだ。

 

 

 

 

「うわあああ――!」

 

 

 

 

「! あっちだ!」

「行こうましろ!」

「ふえぇ!? 待って~!」

 

 

突然の悲鳴を聞いたましろとハックモンは駆け出し、花音も慌てて追い掛けた。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「止めて! 痛いよ!」

「コイツは面白ぇ! オラァ!」

 

 

ましろ達の目の前に飛び込んで来たのは、紫色のペンギンとそれを面白がって乱暴する長い耳と鋭い爪を持つ紫色の獣の姿だった。

 

 

「止めろ!」

 

 

其処へ両者の姿を見たましろとハックモンが割り込んで来る。

 

 

「何だテメェらは?」

「どうしてこんな酷い事をするの!?」

「これ以上乱暴を行うなら、私が相手をするぞ」

「五月蝿ぇ! このガジモン様に指図するってんなら、痛い目に味併せてやるぜ!」

 

 

そう言って紫色の獣――ガジモンはハックモンに襲い掛かる。

 

 

しかしハックモンはその攻撃を最低限の動きで交わす。

 

 

「何!?」

「フィフスラッシュ!」

「グアアアー!」

 

 

ハックモンの前足の爪による強烈な一撃を浴びたガジモンが吹っ飛ばされる。

 

 

「手加減はした。 まだやるのなら、お前が納得するまで何回でも相手をしてもいいぞ?」

「お……覚えてろ~!」

 

 

ガジモンは情け無い声を出して逃走して行った。

 

 

「ふぅ……」

「ハックモン、お疲れ様」

 

 

ましろがハックモンを労う。

 

 

「大丈夫?」

 

 

一方花音は紫色のペンギンに声を掛けて無事を確認するが、相手は警戒している為か怖がっている様子だった。

 

 

「大丈夫だよ……。 何もしないから、少し落ち着いてね?」

「……うん」

 

 

花音の言葉と姿勢を受け、紫色のペンギンは警戒心を解き、彼女が差し出した手を取って起き上がった。

 

 

「あ……有り難う……」

 

 

紫色のペンギンはお礼を述べた。

 

 

「花音さん!」

「ましろちゃん、ハックモン。 この子の方は特に大きな怪我とかは無いから、大丈夫だよ」

「そうですか……」

「本当に……助けてくれて有り難う……」

「気にしないでいいよ。 私は松原花音。 そしてこっちが、倉田ましろちゃんとハックモンだよ」

「宜しくね」

「ハックモンだ。 此方こそ宜しく頼む」

「ぼ、僕……ペンモンです……」

 

 

紫色のペンギン――ペンモンも自己紹介をする。

 

 

「ふふっ……宜しくね、ペンモン」

「う、うん……」

 

 

一方でましろは自身のディーアークでペンモンを調べる。

 

 

「ペンモン。 成長期。 鳥型。 ワクチン種。 必殺技は『無限ビンタ』」

「それでペンモン。 君はこれからどうする?」

「ボ、ボクは……」

 

 

ハックモンの問い掛けに、ペンモンはしどろもどろとした様子を見せた。

 

 

「あ、あの……若し良かったら……私の家で良いかな?」

「花音先輩?」

「こんな状態のこの子をこのまま此処に放置する何て、私には出来ないよ」

「そう言えばましろ。 今日は確か『CIRCLE』が休みではなかったか?」

 

 

ハックモンの言葉でましろはこの前、まりなから自身の用事の関係で『CIRCLE』が休みになるのを聞かされた事、そして今日がその日である事を思い出した。

 

 

「……分かりました。 花音先輩、御迷惑をかけて本当に済みません……」

「ううん。 これは私が決めた事だから、ましろちゃんが謝る事何て無いよ。 それじゃあ行こっか」

「うん……」

 

 

花音はペンモンを抱き締めるとそのまま自宅の方へと歩いて行き、ましろとハックモンも静かに見送った。

 

 

 

 

だが双方は全く気付いていなかった。

 

 

 

 

先程から自分達の様子を別方向から観察している存在がいた事に。

 

 

 

 

「……なる程。 あの強さなら『あの方』が『救世主』と評するのも納得ですね……」

 

 

観察している存在の正体である少女――パレオは自身の懐から小さな機械――黒いボディとパステルピンクの縁取りのディーアークを取り出し、先程の光景に対して一言呟く。

 

 

「では『先程の子』にアプローチを掛けましょうか」

 

 

そう言うとパレオは、こっそりとその場を離れたのだった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

翌日、花音はペンモンと共に近くの広場に来ていた。

 

 

「ふぇぇ……ごめんねペンモン……私が方向音痴なばっかりに迷惑を欠けちゃって……」

「そんな……。 花音といて迷惑何て……そんな事全然思って無いよ」

「……有り難うペンモン」

 

 

花音はペンモンの言葉を聞き、安心した様子を見せる。

 

 

「ボク……花音みたいな優しくて良い人間に会えて良かったんだ」

 

 

元々デジモンワールドの小さな集落で過ごしてた事。

 

 

ある時目の前に、急に大きな黒い穴が現れ、気が付けば人間界にいた事。

 

 

最初に出会った人間はペンモンの姿を見て、『水族館から脱走したペンギン』と思って保健所に通報され、慌てて逃げ出した事。

 

 

そこからペンモンはポツポツと今まで自身に起きた出来事を話し出した。

 

 

「……とっても大変な目に遭ったんだね……」

「ボク……人間界ってとっても怖い所って思っていたの……。 でも花音やましろ、ハックモン達と出会って見たら……少しだけど『人間の事を信じてもいいかな』って思えたんだ……。 有り難う花音」

「そんな……私は別にそんな褒められ様子な人間じゃないよ……」

「花音……?」

 

 

花音の脳裏に、ふと数日前の会話が浮かび上がる。

 

 

 

“『美咲! こっちよ~!』”

“『早く早く!』”

“『うわ~ん! 置いてかないでよこころ~!』”

“『ちょ……ちょっと待ってよ! 2人共!』”

“『美咲ちゃん、大変そうだね……』”

“『えぇ……何だかこころが2人になった感じですね……この間だってこころと出掛けた先でデジモンに遭遇したんですけど……こころ、いきなり最初の時みたいに『そんな怖い顔をしないで、あなたも笑顔になりましょう♪』って歌ったりしてたら、相手のデジモンも一緒に歌ったり踊ったりし始めたんですよ……』”

 

 

花音自身、美咲が口ではそんな呆れた言い方をしつつも、その様子からは悪感情など全く感じて無いのが分かった。

 

 

(こころちゃんと美咲ちゃん、何だか楽しそう……)

 

 

元々ハロハピ結成時の頃から仲が良かったこころと美咲だったが、ここ最近はその距離がより一層と近くなっている様だと花音は思っていた。

 

 

(やっぱり『あの子達』と出会った事も大きかったのかな? それに……)

 

 

脳裏に浮かぶのは2人のパートナーの存在、そしてあの時の美咲の姿。

 

 

 

 

“「アンタを見ているとね……あたしの大切な子の事が頭に浮かぶんだ」”

“「無邪気で好奇心旺盛でいつも目をキラキラ輝かせていて……だけど人の事を良く見ていてね……。 特にあたしの事何か……ほぼ的確に言い当てていて、その度にドキッとしていた」”

“「…最初は無理矢理付き合わされて…はっきり言って内心迷惑って思っていたけど、一緒に過ごしていく内に…花音さんやはぐみや薫さん、他のガールズバンドの皆と出会って、当たり前の毎日が不思議と楽しいと思える様になって…その子に感謝しているんだ」”

“「それを聞いた時のその子の様子を見たら…あたしもその子の想いを一緒に叶えたいって、内心思ったんだ……」”

 

 

 

 

(美咲ちゃんはそこまでこころちゃんの事を……)

 

 

花音にとっての美咲の印象は、この一年で大きく変化していた。

 

 

最初の頃は自分を変える切っ掛けを与えてくれたこころの存在が大きく占めており、美咲に対しては『同じ学校兼バンドの後輩メンバー』と言う印象であったが、この1年間でハロハピの活動を始めた様々な形で一緒の時間を過ごす中で美咲の人柄や内面を知っていく内に、彼女の中で美咲の存在が大きな物となっていっていた。

 

 

だからこそあの言葉を聞いた時、花音は内心で敗北感を感じてしまった。

 

 

(私はどうやっても、美咲ちゃんの隣に立てないんだね……)

 

 

そして2人がパートナーデジモンを得た事が切っ掛けで、花音自身はこころと美咲との間に距離を感じる様になってしまっていた。

 

 

あの時花音がペンモンを自宅に保護したのも、ペンモンを放って置けなかった以外に、少しでもこころや美咲達に近付きたかったと言うのも少なからずあったのだった。

 

 

しかしペンモンと一緒に過ごしている内に気持ちが落ち着いてきた花音は自身の中の邪な思いに自覚すると、同時にペンモンを保護と言う形で利用してしまった事への罪悪感に苦しんでいた。

 

 

「私ね、少し前から気になっている子達がいてね……。 その子達との遠くなっちゃった距離を少しでも縮めたい為にあなたを利用したの。 だから……私は感謝なんてされる資格なんて無いの……」

 

 

花音は俯きながら、自身の胸中を吐露した。

 

 

「花音」

 

 

不意に知らない感触に気付き、花音に視線を向けると、自身に手を当て此方を見るペンモンの姿があった。

 

 

「そんな暗い顔をしないで。 ボクは利用された何て少しも思って何かいないよ」

「ペンモン……?」

「例え若しそうだったとしても、花音がボクを助けてくれた事に変わりは無いもん。 ……それに花音は自分から悪いって素直に認めてこうやって謝ったんだよね? そんな花音を悪い人だなんて、ボクは全く思わないもん!」

「……有り難う」

 

 

ペンモンの言葉に、花音は自身の中の閊えていた物が優しく落ちる様に感じていた。

 

 

 

 

「ブラストコフィン!」

 

 

 

 

その時突然叫び声が聞こえ、花音とペンモンの周りを衝撃と爆音が襲った。

 

 

「キャア――!」

「花音!」

「だ、大丈夫……」

 

 

花音は自身の無事をペンモンに伝え、何とか落ち着かせた。

 

 

 

 

「今のは態と外してやったんだ。 思い知ったか?」

 

 

 

 

煙が晴れ、唐突に聞こえた声の方を向くと、其処には此方を嘲笑の様子で見る一匹の狼がいた。

 

 

「フフフ……今度は直接当ててやるよ」

「デジモン!?」

「彼奴はファングモンだよ!」

 

 

花音とペンモンは警戒した様子を見せる。

 

 

「オイオイ……警戒してんのを承知で言わせてもらうが、俺はお前達とは初対面って訳でも無いんだがなぁ?」

「ボク達は君の事何て全く知らないよ!」

「はぁ~……この前虐めてやった奴の顔を忘れる何て、随分お気楽な頭してるとしか思えねえなぁ……」

 

 

花音はその言葉でハッと何かに気付いた様子を見せる。

 

 

「貴方若しかして……この間のカジモン?」

「漸く気付きやがったか……。 あの時は邪魔が入っちまったが、お前らをボコボコにしがてら貰った『この力』を試す事にしたって訳だ」

 

 

ファングモンはそう言って、一歩ずつ近付いて来る。

 

 

「ふ……ふぇぇ……」

「さ……下がって! 花音!」

 

 

ペンモンは花音の手から抜けて、彼女とファングモンの間に立つ。

 

 

「何だ? やるのか?」

「か……花音は……ボクが守る! ワアアアア!」

 

 

ペンモンは叫び声を上げながら、ファングモンに向かって行く。

 

 

「フンッ!」

「ふぎゃう……!」

 

 

しかしペンモンの懸命の抵抗は、ファングモンの右足の一振りで呆気なく振り払われてしまう。

 

 

「ま…まだまだだ――!」

「しつけーぞ!」

「あうっ……!」

 

 

尚も食らい付こうとするペンモンをファングモンは再度振り払う。

 

 

「どうしよう……このままじゃペンモンが……」

 

 

花音の心配した通り、相変わらず無傷のファングモンに対し、ペンモンの体はボロ雑巾の如く傷だらけになっており、最早立っているのがやっと言う状態だった。

 

 

「ううっ……まだ……ま……アウッ!」

 

 

ペンモンは再度立ち上がろうとするも直ぐに崩れ落ちてしまう。

 

 

「っ! ああもう! 正直面倒臭くなってきたぜ! そんなに死にてぇんなら、楽にしてやるよ!」

 

 

そう言ってファングモンは止めを刺そうと攻撃の態勢に移ろうとする。

 

 

 

 

コトッ……コロコロ

 

 

 

 

「? 何だ?」

「ふえぇ!」

 

 

不意に聞こえた音にファングモンは視線を向けると、其処にはペンモンを守ろうとして、花音が必死に石を投げていた。

 

 

しかし懸命な努力も虚しく、彼女の投げた石はファングモンに届く前に失速して緩やかに落ちて行くだけであった。

 

 

「ブハハハ! コイツは傑作だわ! 攻撃がちっともこっちに届いてねぇ! これならチビ共の方がまだマシな攻撃が出来るぞ! お前もこんなヘッポコで青瓢箪な女が相方何てとことんダメなデジモンだなぁ~?」

 

 

ファングモンはペンモンに対し、嘲笑を浮かべながら侮蔑の言葉を吐き捨てる。

 

 

「ダメ! これ以上ペンモンを苛めないで~!」

 

 

しかし花音の投げた石は、先程と変わらずな状態であった。

 

 

「……其処まで痛い目に会いてぇんなら……その通りにしてやるよ!」

 

 

ファングモンは標的を花音に切り替え、口にエネルギーを溜め始めた。

 

 

「花音!」

「ブラストコフィン!」

 

 

ファングモンの口から衝撃波が放たれ、それを見てペンモンは全身の力を振り絞って花音の下へと駆け出した。

 

 

「止めろおおお―――!!」

 

 

すんでの所でペンモンは花音を押し出す。

 

 

「ウアッ……!」

 

 

押し飛ばされた花音の目に、自身を庇って衝撃波に貫かれたペンモンの姿が映った。

 

 

「ペンモン!」

 

 

駆け寄った花音はペンモンに必死に呼び掛ける。

 

 

「ペンモン! しっかりしてペンモン!」

「女ァ……! 心配しなくてもテメェも直ぐにソイツの後を追わせてやるよ!」

 

 

ファングモンはゆっくりと花音とペンモンの下へ近付いて行く。

 

 

 

 

「バーンフレイム!」

 

 

 

 

その時、横から大きな火球が飛んでいき、ファングモンは咄嗟に回避する。

 

 

「花音さ――ん!」

「ましろちゃん!」

 

 

其処へましろがバオハックモンと共に駆け付けて来る。

 

 

「大丈夫ですか?」

「私は大丈夫! でもペンモンが!」

 

 

花音は泣きながらペンモンの事を伝える。

 

 

「っ……こんなにボロボロになって……」

「チッ……前の時と言い、今回も良いタイミングで邪魔しやがって……」

「……言いたい事はそれだけ?」

 

 

一言だけ言ってましろは立ち上がり、ファングモンを見据えた。

 

 

「あなたは……そうやって自分が気に入らないと思った相手をただ傷付けて苦しませる事に対して……何とも思わないの?」

「ハハハ! 随分間抜けな事を聞くなぁ? アイツが嫌い! アイツが気に食わない! アイツより有利な立場に成りたい! 『戦い』ってモンはそうやって始まるんだろうが!?」

「……バオハックモン」

「……あぁ。 ペンモンの悲しみと悔しさ。 私達が代わって晴らしてやろう!」

「ほざけ!」

「バーンフレイム!」

 

 

ファングモンの衝撃波に対し、バオハックモンも口からの大きな火球を放って相殺し、両者の視界を白い煙が覆う。

 

 

「バオハックモン!」

 

 

ましろの声を受け、バオハックモンは静かに目を閉じる。

 

 

「馬鹿が! 噛み千切ってやるぜ!」

「それは……どうかな?」

 

 

次の瞬間、体に鋭利な物が刺さった様な音がなる。

 

 

「フフフフ……! ……? ウォッ……!?」

 

 

してやったと言う表情を浮かべたファングモンの顔が、急に苦しみに満ちた物に変わる。

 

 

「あっ……」

 

 

花音の口から小さな声が漏れる。

 

 

 

 

其処にはギリギリでファングモンの攻撃を躱し、そのボディに片方の鋭い爪によるカウンターを浴びせたバオハックモンの姿があった。

 

 

 

 

「ガァ……何だ……と!?」

「例え視界が悪くて目を瞑ったても、貴様の殺気と腐った性根の雰囲気が嫌でも感じられるからな……。 ……フィフクロス!!」

「グア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

 

 

其処から一気に力を込めた爪による斬撃で両断されたファングモンは、その身をデータの粒子に変えて消滅していった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「アラアラ~……せっかく『無駄遣いせぬよう励みなさい』って注意もした上で進化させてあげたのに残念ですね~……」

 

 

公園の上空。

 

 

2本の杖を所持し、白いドレスに纏った妖精の姿をした存在が、先程の様子を見ながら呟いた。

 

 

「……まぁ、所詮はチンピラデジモン。 期待何てしてなかったんですけど」

 

 

その時ふと自身のスマホが着信音を鳴らしているのに気付く。

 

 

この姿でスマホを弄る姿は些かシュールに見えるが、そんな事を気にせず妖精は右手に所持してた杖を消し、スマホを手に取る。

 

 

「もしもし……あっ、ハイ。 ……了解しました~♪ ……さて、今日は特売日ですから急ぎませんと!」

 

 

会話を終えた妖精は、自身の今日の目的と仕える『主』からの急な用事を果たす為、急いでその場から去って行った。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「ペンモン……死なないでペンモン……」

「か……花音……」

 

 

花音は泣きながらペンモンに呼び掛け、ペンモンは朧気な様子で彼女に見る。

 

 

一方でましろとハックモンは悲しそうな様子で2人を黙ったまま見守っている。

 

 

2人はこの時点で、ペンモンの命が尽きようとしているのに気付いていた。

 

 

そしてそれを示す様にペンモンの体は少しずつデータの粒子へと変わっていっていた。

 

 

「泣かないで花音……花音は笑顔の方が似合っているから……」

「でも……!」

「ましろとハックモン……2人は……花音、そしてボクの想いを守ってくれた……本当に有り難う」

「ペンモン……」

 

 

ましろとハックモンはただペンモンの言葉を聞く。

 

 

「花音……ごめんね。 花音のライブを見る……約束……守れなく……なっちゃった……」

「そんな事気にしないで! 私待っているよ! ペンモンの事、何時までも待っているから!」

「あ……り……が……とう」

「嫌ぁ……嫌だよペンモン……!」

 

 

その言葉を最後に、ペンモンはデータの粒子となって消えていき、花音も堪えきれず、その場に泣き崩れた。

 

 

「ペンモン……ペンモン……」

「……! ましろ!」

 

 

ハックモンが何か気付いて声を上げる。

 

 

するとペンモンのデータの粒子が集まって淡い光を放ち、やがて光が収まると其処には白い水玉模様の入った青紫色の卵が現れた。

 

 

「これ……」

「デジタマです、花音さん」

「ペンモンは……デジタマからまたやり直すんだ」

「ペンモン……」

 

 

ましろとハックモンの言葉を聞き、花音は優しくペンモンのデジタマを温もりを感じる様に優しく抱き締める。

 

 

その姿をましろとハックモンは、優しく見守っていた。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「ペンモン、今日はとっても良い天気だね」

 

 

数日後。

 

 

公園のベンチにペンモンのデジタマを抱えた花音の姿があった。

 

 

あの後、ペンモンの卵はましろとハックモンとまりなの3人で話し合い、花音に一任すると言う結論になった(因みにその際、一緒にいる事を考慮して花音のスマホを少し改良し、ましろ達のディーアークにもある格納機能を付けた)。

 

 

「あっ……」

 

 

青空を見る花音の目に1つの雲が映る。

 

 

他の雲と比べ、少しだけ小さいその雲は何処かペンモンの姿にそっくりだと花音には思えた。

 

 

(ペンモン……私は頑張るよ。 『ハロー、ハッピーワールド!』の一員として……。 世界中に笑顔を届ける為に……)

 

 

花音はペンモンのデジタマに視線を向ける。

 

 

(あなたに逢えるのはまだ少し先かもしれないけど……その時が来たら、ハロハピの音楽を聴かせてあげるからね)

 

 

心中で語りながら、花音はペンモンのデジタマを優しく撫でる。

 

 

 

 

『うん。 約束だよ花音!』

 

 

 

 

その時花音は自身の耳に、ペンモンの声が聞こえた様に感じていた。




此処まで有り難う御座います。

因みにペンモンのデジタマの件は当初は入れる予定は無かったのですが、


・『花音さんが余りにも報われなさ過ぎる』
・『仮に生存させたとしてもパートナーデジモンを付けるバンドリキャラが既に決まってるのに、これ以上増やすのは扱いに困る上に、言った本人(私)が約束を破っている点から見ても、如何な物か』


と言う理由から、悩んだ末にギリギリグレーゾーンと言う形になる様に纏めた感じです。


また今回の話は、


・『パートナーデジモンがいないバンドリキャラを主人公にしたデジモンとの交流回』
・読んでいる人達に、『パートナーデジモンを付けるバンドリキャラが既に決まっているのは承知だけど、作中の描写を見てると『もうこれパートナー関係成立でも良いと思う』』と思わせる事。


を意識して書きました(その反面、戦闘シーンが消化試合的な物になってしまいましたが……)。


『パートナーデジモンがいないバンドリキャラを主人公にしたデジモンとの交流回』は今後も通常回(ガルパ風に言うならイベントストーリー)的な形で書いていく予定を考えているので、その事も御理解御願い致します。


それでは今回も登場したデジモンの解説になります。




・ガジモン


レベル:成長期
タイプ:哺乳類型
属性:ウィルス


鋭くて大きな爪を生やしている哺乳類型デジモン。
哺乳類型では珍しく2足歩行をするタイプで、恐らく前足を腕のように使用するうちに前足の爪が進化し、2足歩行をするようになったと思われる。
前足の爪は攻撃する際にも非常に有利だが、意外にも穴掘りに向いており、いつも落とし穴を掘っては、他のデジモンが穴に落ちるのを楽しんでいるイジワルな性格である。
必殺技はガス状の毒息を吐き出す『パラライズブレス』。


・ファングモン


レベル:成熟期
タイプ:魔獣型
属性:データ


森の奥深くに住み、迷い込んだものを餌食にする不気味な狼ような姿をした魔獣型デジモン。
数々の童話に登場する悪しき狼のデータがデジモン化したとも言われ、一度狙いを付けた獲物は決して逃すことなく、時には親しい者の姿にまで化けて近づくことがある。
犬狼系デジモンの中では異端の存在であり、ガルルモンが光の存在であるとすれば、ファングモンは闇の存在であると言われている。
得意技は鋭い身のこなしで、敵から武器やアイテムを盗み取る『スナイプスティール』。
必殺技は破壊の衝撃波『ブラストコフィン』。


・ペンモン イメージCV:小原好美さん(代表作『スター☆トゥインクルプリキュア』羽衣ララ/キュアミルキー、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』藤原千花、『まちカドまぞく』吉田優子/シャミ子)


レベル:成長期
タイプ:鳥型
属性:ワクチン


南極基地のコンピューターから発見された、ペンギンに似た鳥型デジモン。
氷に覆われた地域で生息するため、暑さに弱いのが欠点だが、人懐こい性格で後ろについてはピョコピョコと歩く。
また羽は退化しており、飛ぶことが出来ず歩く速度も遅いが、腹ばいになって氷の上を滑ることで時速60km以上のスピードで移動できる上に、水の中でも小さな羽を利用して器用に泳ぐこともできる。
必殺技の『無限ビンタ』は相手に気づかれないように近づいて両手でホッペタを猛烈な勢いで叩く技だ。


因みに若し花音さんのパートナーになった場合の進化ルートは、


ペンモン→オルカモン→テティスモン→マリンエンジェモン


と言うある意味ツッコミ所満載な感じの物になる予定でした。


当初は、


ペンモン→ルカモン→マーメイモン→マリンエンジェモン


と言う風に考えてましたが、ルカモンとマーメイモンに関しては、


・『活躍の場が水中戦に制限されてしまう』
・『無理に話の中に水中戦を入れると、逆に『露骨すぎる』と思われてしまう&違和感を感じるかもしれない』


と言う理由で、『水陸両方で活躍できる水棲生物モチーフのデジモン』と言う条件を元に選びました(最もテティスモンに関しては、花音さんのパートナーデジモンの候補にジェリーモンを考えていた名残りと言うのもありますが)。


それでは、之にて失礼致します。

若しもあなたがデジモンで、バンドリキャラのパートナーデジモンになるとしたら、どのバンドのメンバーのパートナーデジモンになりたいですか?

  • Poppin'Party
  • Roselia
  • Afterglow
  • Pastel*Palettes
  • ハロー、ハッピーワールド!
  • RAISE_A_SUILEN
  • Morfonica
  • 思い切って、まりなさん(月島まりな)
  • いっその事、あっちゃん(戸山明日香)。
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