Digital_Dream!   作:睡眠タイム

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久し振りのポピパ&満を持して残りの1人である沙綾のメイン回です。

因みに今作のテイマー達の関係はそれぞれ、


・初代テイマー組(Glitter*Green)
・2代目テイマー組(香澄、有咲、紗夜、日菜、ましろ)
・3代目テイマー組(沙綾、友希那、リサ、蘭、彩、こころ、美咲)


と言う感じになっています。

因みに主人公&リーダーのポジションは、


・初代テイマー組→ゆりさん
・2代目テイマー組→香澄(&この物語の主人公(これに関しては、今詳しく書くと長くなるので省略します))


と言う感じですが、3代目テイマー組に関しては、はっきり言えば特には決めていません(これに関しては、私が好きな特撮作品の1つである『ダイレンジャー』のコンセプトの1つである『全員が主人公』と言うのを意識して書いていた為です)。

それと作中の幼年期デジモンの台詞に関しては、書いていて楽しかったのもあって、作者の私のお遊び&小ネタ的な意味(?)も含めて、色々入れて見ました。
特に何かある訳ではありませんが、若し良かったら読む傍らや暇潰しに何のネタ(但し、一部の奴は少しアレンジしています)か当てて見て下さい(中には知らないネタもあるかもしれませんが、その時は申し訳御座いません)。


第14話 発酵恐竜2020

 

 

賑やかな雰囲気と明るい声が響き渡る。

 

 

「さぁ、しょーたいむだ!」

「ものがたりのけつまつはおれがきめる!」

「フハハ、返り討ちしてやろう!」

「ドルモン! 怪我させ無い様に気を付けてね!」

 

 

「しっぽ――!」

「それはわたしのおいなりさんだ」

「ちょっと待て!? そんな言葉何処で覚えたんだ!?」

「有咲……変態だ」

「誰が変態だーー!!」

「わーい!」

「まって~!」

「あ~っ! 其処は危ないから駄目だよ~!」

 

 

「あまーーい」

「ふふふっ……チョコレートが口に付いてるよ」

「沙綾ちゃん、とっても上手だね」

「この子達を見てると、紗南や純が小っちゃかった時の事を思い出しちゃってね……」

「皆御免ね……。 いきなりこんな事に巻き込んじゃって……」

「大丈夫ですよまりなさん。 皆可愛いから、誰も気に何かしてませんよ」

「元凶の1人のオメーが偉そうに言うな!」

 

 

『CIRCLE』の近くの広場の一角で、香澄達ポピパの面々は今、幼年期のデジモン達の御世話をしていた。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

事の発端は2時間前に遡る。

 

 

「こんにちはーー!!」

 

 

その日香澄達はバンド練習の為、『CIRCLE』を訪れていた。

 

 

「あ、皆……」

「? どうしたんですかまりなさん?」

「実はね……」

 

 

そしてまりなに案内されて、『CIRCLE』の一室に案内された香澄達が見たのは、赤や青、水玉模様や四角模様など様々な配色や模様が施されたデジタマだった。

 

 

「コレってデジタマじゃねーか……」

「「「デジタマ?」」」

「文字通りデジモンの卵の事だよ。 基本的にデジモンは皆、このデジタマから生まれて成長し、死んだらデジタマに戻ってまた生まれるんだ……」

 

 

ワームモンはデジタマの事を知らない沙綾達に簡単に説明をする。

 

 

「一体何があったんですか?」

「それがね……」

 

 

まりなの説明によると、彼女が『CIRCLE』の開店準備をしている際、ふと何かしらの気配を感じて空を見ると、空が割れ、其処からこのデジタマ達が落ちて来たのだと言う。

 

 

「私もこれだけのデジタマが現れた事もあって、もう大変だったの……」

「あ~、お疲れ様です……」

「あれ、そう言えば香澄とおたえは?」

「あ、あれ……」

 

 

りみが声の先に有咲達が視線を向ける。

 

 

 

 

「わ――っ! 見てみてドルモン! このデジタマ、星の模様が入っているよ!」

「そうだね。 よしよし、元気に生まれるんだよ」

「ウサギのデジモンのデジタマはこの中にあるかな?」

 

 

 

 

其処には香澄とドルモンとたえが、室内のデジタマを片っ端から触り始めていた。

 

 

 

 

「ちょっ……オメーら何やってんだ!」

「あっ……デジタマが」

 

 

そして数分後、『CIRCLE』の一室に大音量の泣き声が響き渡った。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「で、オメーら何か言う事はあるか?」

「「「申し訳有りません……」」」

「あ、あーちゃん……抑えて抑えて……」

 

 

数分後。

 

 

有咲がドスを利かせた声で問い掛け、頭にたんこぶを作った香澄達は涙を浮かべて返事を返す。

 

 

「……ったく……さて、問題は……コイツらの方だな……」

「あわわわわ……」

「あはははは……」

 

 

 

 

「こんにちはー」「おっす」「おいっす」「こにゃにゃちわー」「にーはお」「ごはんー」「おなかすいたー」「ぴらふくいてー」「コレクッテモイイカナ」「おねえちゃんにまかせなさい」「ちのちゃんとられるー」「あそぼー」「ごろごろー」「まんまるー」「はなげしんけんおうぎ」「にっこにこにー」「らぶあろーしゅーと」「ぶっぶぶーですわ」「すやぴー」「ヒトリダケナンテエラベナイヨー」「きたえてますから」「わたしのせいだ」「こぶ~」「ばんかい」「あーにゃ、ぴーなっつすき」「はっぴーあらうんど」「ぴきぴーきー」「なんだばしゃー」「ことーしことーし」「まかんこうさっぽうー」「きえんざ―ん」「まるまるもりもり」「おっぱいきーんし」「てぃろふぃなーれ」「ねらいうつぜ」「だぶすたくそおやじ。 きみはでんじぐりーんとなって、べーだーいちぞくとたたかうのだ」「てんにかがやくいつつぼし」「ぶるーえんじぇるりさ」

 

 

 

 

有咲達は目の前にいるデジタマから孵化して無邪気にはしゃぐ沢山の幼年期デジモン達に視線を向けながら、揃って困った様子を浮かべるのだった。

 

 

そしてその後まりなと話し合った結果、今日は『CIRCLE』を臨時休業にし、ポピパの面々も練習を休んで、幼年期デジモン達の御世話をする事になったのだった。

 

 

 

 

「あ痛あああ――!!」

 

 

 

 

突如聞こえてきた悲鳴に、沙綾の意識が引き戻される。

 

 

「わ―――! ドルモ―――ン!」

 

 

悲鳴の方向を見ると、其処には全身が真っ赤な色をした四足型のデジモンに尻尾を噛み付かれて悲鳴を上げるドルモンと慌てる香澄の姿があった。

 

 

「あわわ……ど、どうしよう……」

「……りみ、この子をお願い!」

 

 

沙綾はりみに世話をしていた幼年期のデジモンの事を頼むと、直ぐに香澄達の方に向かって行った。

 

 

「コ――ラ――!」

「さーや! 御願い手伝って!」

「痛い!熱い!痛い!熱い!」

 

 

そして数分後、2人はドルモンの尻尾に噛み付いていた真っ赤なデジモンを何とか引き離したのだった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「駄目だよ……ドルモンの尻尾に噛み付いたり何かしちゃ……」

「は~い」

「ドルモン、大丈夫?」

「ギギモン怖いギギモン怖いギギモン怖いギギモン怖い……」

 

 

ドルモンは尻尾を噛まれた事がよっぽどトラウマになっているのか、その元凶であるギギモンへの恐怖心をまるで壊れたラジカセの如く繰り返していた。

 

 

「ごろごろ~」

 

 

沙綾は複雑な様子を浮かべる一方、ギギモンは呑気に沙綾の膝で転がっていた。

 

 

「もう……。 香澄、ドルモンの方は?」

「うん……ドルモン……さっきからずっとこんな調子なの……」

 

 

香澄は少し困った様子でドルモンを見ている。

 

 

「何か……本当にゴメンね」

「それにしても……そいつ沙綾に物凄く懐いているな……」

「うん! さーや、とってもおいしそうなにおいがするんだもん!」

 

 

ギギモンは嬉しそうに有咲の問い掛けに応える。

 

 

「分かる! 私も初めてさーやと会った時、『パンの匂いがする』って思ったんだもん!」

「ふふっ、懐かしい。 あの時は私も『変わった子』って思ってたなぁ」

 

 

香澄と沙綾は、懐かしさに思いを馳せながら出会った頃の事を語り合っていた。

 

 

「パン? さーやパンつくるの?」

「うん。 家がパン屋をやっているからね……」

「ギギモン、さーやのパン食べたい! 食べたい!」

「もう……じゃあ今度来た時に持って来てあげるからね」

「わーい!」

 

 

ギギモンは喜んだ様子で沙綾の膝の上でコロコロ転がった。

 

 

「さーや! かすみもさーやのパンたべたい!」

「香澄の奴、何やってんだ?」

「ギギモンの真似じゃないかな?」

 

 

だが香澄の必死のアピールは、ギギモンとのやり取りに集中する沙綾にはすっかり無視されてしまい、香澄は目に小さな涙を浮かべながら見ているのだった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「皆、今日は有り難う!」

「おいおたえ。 そろそろ帰……「嫌だ! ピョンモンを花園ランドに連れて行くって決めたもん!」子供かお前は!」

「……つ、疲れた……」

「ワームモン……お疲れ様」

「さーや! やくそくだよ! さーや!」

「分かっているよ、ギギモン」

「うぅ……さーや、何か冷たい……」

「よしよし香澄ちゃん」

「うわーん! りみりーーん!」

 

 

その後終了時間を迎えたポピパの面々はそれぞれ色んな反応を見せながら、『CIRCLE』を後にしたのだった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

その夜、沙綾は家の自室でギギモンとの約束の件について考えていた。

 

 

「さて……どんなパンにしようかな?」

 

 

ギギモンの性格的に『ベーカリー』の自家製パンなら種類は気にしない様子であるけど、食べ物を作る立場である以上、出来ればギギモンにただ『食べて貰う』だけでなく、『喜んで貰いたい』と言う思いが沙綾を突き動かす要因になっていると同時にどんなパンをプレゼントするか悩ませる要因にもなってしまっていた。

 

 

「ん? 待って……若しかしてこれならイケるかも。 ……よし、こうなったら『当たって砕けろ』だね」

 

 

やがてアイディアを思い付いた沙綾は即座に自身のノートにレシピ案を書き出していくのであった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「沙綾ちゃん、その袋は?」

「これ? これはギギモンへのプレゼント。 私なりに精一杯考えて作ったんだ」

「ほほう~。 袋越しからでも良い匂いが漂ってきますなぁ~」

「はわわ……」

 

 

それから数日が経って『CIRCLE』に向かう道中、りみの問い掛けに沙綾が答える。

 

 

今日は香澄と有咲が私用、たえがバイトと言う事もあって、沙綾とりみ、そして事情を聞いて興味を抱いて付いて来たモカとロックの4人のみで『CIRCLE』に行く事になったのだった。

 

 

「モカ……一応言っておくけど、これはモカの物じゃないから、食べよう何て考えないでね」

「いえす、あいあむ~」

 

 

漫才の様なやり取りをしながら数分後に、沙綾達は『CIRCLE』に辿り着いた。

 

 

「こんに……「さーや~!!」……キャ!」

 

 

『CIRCLE』に入って声を掛けようとした沙綾に『真っ赤な何か』がぶつかって来た。

 

 

「もう誰なの……」

 

 

視線を向けた沙綾の言葉が止まる。

 

 

「さーや~、会いたかったよ~」

 

 

彼女の目の前には、先程ぶつかって来た物の正体であると思われる真っ赤な体色の『恐竜の子供』と言う表現がしっくりくる様な生物がいた。

 

「……本物の」

「あ、あなた一体……」

「さーや、忘れちゃったの? 昨日膝枕してくれたりパンの事約束してくれたのに……」

 

 

赤い恐竜の語る言葉を聞いてピンときた沙綾は、恐る恐る問い掛ける。

 

 

「あなた若しかして……ギギモン?」

「うん! 今はギルモンだよ!」

 

 

ギルモンは沙綾の問い掛けに『正解』だと答える様に、嬉しそうに答える。

 

 

「大丈夫沙綾ちゃん!?」

 

 

其処へタイミング良くまりなが現れ、ギルモンも沙綾から離れる。

 

 

「まりなさん……」

「本当にごめんね……。 ギルモン、いきなり走っちゃダメだよ」

「ごめんなさい……」

「あのまりなさん……これって……」

 

 

沙綾に尋ねられてまりなが語り出した話によると、彼女が何時も通り『CIRCLE』に着いて早々、何やら黒い影が見えたので気になって見るとその正体がギルモンで、本人曰わく『朝起きたら今の姿になっていた』との事だった。

 

 

「本当に最初見た時は驚いたわよ……。」

「そ、そうですか……」

「? さーや、それ何」

「あっ、そっか。 今準備するね」

 

 

そう言って沙綾とギルモン達は、『CIRCLE』内の客席のテーブルに移動した。

 

 

「はい。 これはギルモンへのプレゼントだよ」

 

 

沙綾は持っていた紙袋を開け、中の物を取り出してギルモンに与えた。

 

 

「わあぁ……。 このパン、ギルモンの顔している……」

 

 

彼女がギルモンにプレゼントした物ーーーーそれは、ギルモンの顔そっくりに焼かれたパンであった。

 

 

「名付けて『ギルモンパン』! さぁ、食べて見て」

「うん!」

 

 

沙綾に促され、ギルモンは『ギルモンパン』を食べた。

 

 

「! 美味しい! さーや! ギルモンパン美味しいよ!」

「良かった~。 味とか特に何も言われなかったから、一応シンプルに甘めにしといたんだけど、そう言って貰えると作った甲斐があるよ」

 

 

沙綾はギルモンの喜ぶ姿を優しい眼差しで見付め、りみ達もそれを微笑ましい様子で見ていた。

 

 

 

 

ドゴオオオ--ン!!

 

 

 

 

「ヴオ゛オ゛オ゛オ゛--!!」

「ピャアアア--ン!!」

 

 

突然衝撃音と大きな叫び声と悲鳴が、『CIRCLE』に響く。

 

 

「ヒイィーー!!」

「今のは!?」

「きっと外であの子達に何かあったんだわ!」

 

 

異変に気付いたまりなが外に駆け出したのを見て、沙綾達も彼女の後を追って行った。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「ヴヴヴヴ……!」

「ピャアアアン!」

「ピィィィ……」

 

 

悲鳴の聞こえた現場に沙綾達が駆け付けると、其処には毒々しい程の紫色の肉体をしたライオンの様な見た目の獣人とそれに怯える幼年期デジモン達の姿があった。

 

 

「あれは……マッドレオモン!」

「マッドレオモン!?」

「かなり凶暴なデジモンよ! 皆逃げて!」

 

 

まりなは大声で呼び掛けるが、幼年期デジモン達は恐怖のあまりに動く事が出来ないでいた。

 

 

「ヴオ゛オ゛オ゛……」

 

 

やがてマッドレオモンは低い唸り声と共に、右腕を大きく振り上げようとした。

 

 

「「「「ピィイイイイイイ!!」」」」

 

 

幼年期デジモンは目を瞑る。

 

 

 

 

「ファイヤーボール!」

 

 

 

 

その時、マッドレオモンの顔に小さな火球が命中する。

 

 

「ヴヴゥ……?」

「今のって……」

 

 

マッドレオモンと沙綾達が火球が飛んで来た方向へ視線を向けると其処には鋭い視線でマッドレオモンを睨み付けるギルモンの姿があった。

 

 

「ギルモン……」

「ヴオ゛オ゛オ゛オ゛---!!」

「グルオオオオ---!」

 

 

そしてマッドレオモンとギルモンはそのまま戦闘を始める。

 

 

マッドレオモンの鋭い爪による攻撃を回避したギルモンは、逆に口から再び火球を吐き出してマッドレオモンに攻撃をする。

 

 

「ヴオ゛オ゛オ゛!」

「グウゥ……!」

 

 

火球はマッドレオモンの顔に当たるが、マッドレオモンはまるで平然とした様子で右腕に殴りかかり、直撃を受けたギルモンは大きく吹っ飛ばされた。

 

 

「グウゥ……グアッ!」

「ギルモン!」

 

 

するとマッドレオモンは右腕でギルモンの首を掴み上げ、そのままゆっくりと締め上げる。

 

 

「グッ……グウゥ」

「ど、どうしよう……!? このままギルモンが……!」

「……止めてぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

「!?」

 

 

りみ達が慌てる中、沙綾はマッドレオモンの方へ駆けて行く。

 

 

「止めてよ! ギルモンが苦しんでいるじゃない! それに此処にはまだ小さいデジモン達だっているんだよ! 如何してこんな酷い事が平気で出来るの!?」

「さ……さーや」

「ヴオ゛オ゛……!」

 

 

しかしマッドレオモンには目障りな存在に思ったのか、今度は空いた右腕の方を彼女に振り上げ様とした。

 

 

「沙綾ちゃん!」

「ギギ……ロックブレイカー!」

 

 

沙綾の危機を目にしたギルモンは、有りっ丈の力を強靭な前爪に込め、自身を拘束しているマッドレオモンの左腕の掌に強力な一撃を浴びせる。

 

 

「ヴオ゛ッ!?」

 

 

突然の不意打ちに苦痛な様子を見せたマッドレオモンは思わず左腕を離し、今度は右足でギルモンを思い切り蹴り飛ばした。

 

 

「ウワアァーー!」

「ギルモン!」

 

 

沙綾は慌ててギルモンの下に駆け寄った。

 

 

「大丈夫ギルモン!?」

「う……ううん」

 

 

幸い命に別状は無い事を知って、沙綾は少し安心する。

 

 

 

 

「ヴヴヴ……!」

 

 

 

 

振り返ると、マッドレオモンが先程よりも殺気立った様子で此方を見ているのが見えた。

 

 

「さーや、逃げて。 ギルモン……戦わないと」

「待って! アイツにはギルモンの攻撃が全く効かなかったんだよ! それに……若しもギルモンに何かあったら……」

 

 

沙綾の脳裏に過ったのは、中学時代の苦い記憶。

 

 

嘗て所属していたバンドのファーストライブの日に母親が倒れてしまい、結局彼女はライブに出られなくなってしまった。

 

 

彼女の目には今のギルモンの姿が、あの時の自分の母の姿と重なって見えていた。

 

 

「さーや……有り難う。 でもギルモン逃げるの出来ない。 さーやの悲しい気持ち分かるよ。 ……でもこのまま逃げたら、今度はさーや達が傷付いちゃう。 ギルモンそんなの嫌だ。 だからギルモン戦う。 さーやや皆を守る為に」

「ギルモン……」

 

 

ギルモンの言葉に沙綾は目を見開いた様子を見せる。

 

 

「ヴヴヴ……!」

「ギルル……!」

 

 

そして沙綾は意を決した様子でギルモンの隣に立つ。

 

 

「だったら……私にも手伝わせて」

「さーや?」

「まだ知り合って短いけれど、私もギルモンともっと一緒にいたい! だから……ギルモンの隣に居させて!」

「……うん!」

「ヴオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ーー!!」

 

 

それと同時に、マッドレオモンが沙綾とギルモンに向かって飛びかかって行った。

 

 

 

 

「「「「沙綾((ちゃん))(先輩!)」」」」

 

 

 

 

その時双方の間に眩い光が現れ、マッドレオモンは思わず両腕で目を覆って、動きを止める。

 

 

「これって……」

 

 

沙綾が目の前の光を掴むと、光はクロムイエローの縁取りのディーアークへと変わった。

 

 

「あれって香澄ちゃん達が持っていたのと同じ……」

「そ、それじゃあ……」

「パートナー成立……だね」

「きっと、沙綾ちゃんの想いがデジヴァイスと言う形で具現化したのね……」

 

 

その様子を見たりみ達はそれぞれ言葉を零す。

 

 

「沙綾……」

「ギルモン……」

 

 

沙綾はギルモンに対して視線を向け、一拍置いて語り掛ける。

 

 

「私は……香澄みたいにカリスマ的な物を持っている訳でも無いし、有咲並に頭が良い訳でも無い。

……2人や他の人と比べたら、まだまだ遠く及ばない所はあるけど……貴方を大切に思う気持ちは誰にも負けないつもりだよ。 こんな私を信じてくれる?」

「ギルモン……難しい事良く分からない。 でも……沙綾と一緒にいたい!」

 

 

沙綾の問い掛けに、ギルモンは自身の真っ直ぐな想いをぶつける。

 

 

 

 

「ヴオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!」

 

 

 

 

沙綾とギルモンは視線をマッドレオモンの方へ向ける。

 

 

「マッドレオモン。 成熟期。 アンデッド型。 ウィルス種類。 必殺技

は『獣王堕拳』と『腐毒爪』……」

 

 

沙綾は自身のディーアークでマッドレオモンの情報を調べて読み上げた。

 

 

「ヴオ゛オ゛!!」

「行こう! ギルモン!」

「うん!」

 

 

 

 

――EVOLUTION

 

 

 

 

ディーアークから放たれた光が、ギルモンを包み込んだ。

 

 

「ギルモン進化!」

 

 

光に包まれたギルモンの姿が変わっていく。

 

 

赤い体はより一層と大きくなり、両肘には鋭い刃が生えてくる。

 

 

「グラウモン!!」

 

 

やがて光が収まってくると、其処には頭部に二本の角を生やした全身真っ赤な恐竜の姿があった。

 

 

「これが……ギルモンの進化……」

「ヴオ゛オ゛オ゛ーー!!」

 

 

グラウモンの姿を見たマッドレオモンは叫び声と共に襲い掛かり、グラウモンの方もそれを全力で受け止めた。

 

 

「グルルルルル……!」

「グオ゛オ゛オ゛オ゛……!」

 

 

両者の拮抗は尚も続き、沙綾やりみ達もそれを固唾を飲んで見ている。

 

 

 

 

「負けないで! グラウモン!」

 

 

 

 

沙綾の必死の想いが込められた叫び声が辺りに響く。

 

 

「グ……オオオオ--!!」

「ヴゥ!? ヴオ゛オ゛!!」

 

 

沙綾の声を聞いたグラウモンは更に力を込め、そのままマッドレオモンを押し返した。

 

 

「グウゥ……! グオ゛オ゛オ゛!!」

 

 

怒り狂ったマッドレオモンは、力を込めた右腕から獅子の顔の形をした『気』を放つ。

 

 

「おお……ライオンが出て来たね~」

「いけない! マッドレオモンの必殺技、『獣王堕拳』だわ!」

「こ、このままじゃ沙綾先輩達が……」

「沙綾ちゃん! グラウモン!」

 

 

りみ達が慌てる中、沙綾とグラウモンは慌てず静かな佇まいで、此方に向かって来る『獣王堕拳』を見付める。

 

 

「グラウモン……」

 

 

沙綾は視線をグラウモンに向ける。

 

 

グラウモンも視線を沙綾に向けて、静かに頷く。

 

 

「……分かった。 私はグラウモンを信じるよ」

 

 

そして視線を再び『獣王堕拳』の方に向け、口の中にエネルギーを溜めていく。

 

 

 

 

「行っけ--!!」

 

 

 

 

沙綾の叫び声を合図に、グラウモンは溜めていたエネルギーを強力な火炎に変えて、爆音と共に吐き出した。

 

 

「エキゾーストフレイム!!」

 

 

グラウモンの吐き出した火炎はそのまま『獣王堕拳』と衝突するも、直ぐに押し返して、そのままマッドレオモンの方へと一直線に向かって行った。

 

 

「ヴオッ!? ヴオ゛オ゛オ゛オ゛----!!」

 

 

驚愕で動きが止まったマッドレオモンはそのまま火炎の直撃を受け、苦痛の叫び声と共にデータの粒子となって消えていった。

 

 

マッドレオモンが完全に消滅したのを見届けると同時に、グラウモンもギルモンの姿へ退化し、そのまま座り込んだ。

 

 

「ギルモン! 大丈夫?」

 

 

沙綾はギルモンの下へ駆け寄り、ギルモンの無事を確かめる。

 

 

「沙綾……」

「何処か痛いの?」

「……減った」

「へ?」

「お腹……減った……」

「は……ははは」

 

 

ギルモンの言葉に沙綾は肩の力が抜け、苦笑いを浮かべていた。

 

 

「沙綾ちゃん!」

 

 

其処へりみ達が駆け寄って来る。

 

 

「大丈夫!?」

「うん。 私もギルモンも何とか平気だよ」

「もうっ! 心配したんだらね!」

「御免ねりみりん……」

 

 

そう言って沙綾は、泣いてるりみを慰める。

 

 

「沙綾ちゃん……」

「まりなさん。 あの子達は?」

「大丈夫。 皆無事よ」

「良かったぁ……」

 

 

沙綾は幼年期デジモン達の無事を聞き、安堵の息を零す。

 

 

 

 

その後沙綾達はまりなと共に、幼年期デジモン達のケアを行うのであった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「皆ーー! 今日のライブ、本当に有り難う!」

 

 

数日後、香澄の声と共に観客達の歓声が『CIRCLE』の会場内に湧き上がる。

 

 

「有っ咲~!」

「だーっ! 一々抱きつくんじゃねーー!!」

「有咲……ツンデレ?」

「誰が『ツンデレ』だーー!!」

 

 

控え室に戻って来て早々、香澄が有咲に抱き付き、有咲はそれを全力で拒否しようとする傍らでたえの言葉にツッコミを入れている。

 

 

「今日のライブ、とても大成功だったね。 沙綾ちゃん」

「うん。 そうだね」

『さーや! さーや!』

「ギルモン、良い子にしてた?」

『うん。 ギルモン、ちゃんと待ってたし、さーやもドラム凄かったよ!」

「ふふ……有り難う。ギルモン」

 

 

沙綾はデジヴァイスの中のギルモンに優しく語り掛ける。

 

 

「沙綾ちゃん、何だかギルモンのお母さんみたいだね……」

「ええっ? そ、そうかな?」

「確かに……雰囲気的にそう見えるかも」

 

 

有咲のデジヴァイスの中にいるワームモンも思い当たる部分があったのか、りみの発言に同意の姿勢を見せる。

 

 

「それなら私も……さーやママ~!」

「ひゃあ!?」

 

 

其処へ香澄が沙綾に抱き付いて来る。

 

 

「香~澄~!」

「だって、沙綾はポピパの一員だから、『ポピパのお母さん』って事だもん!」

「あのなぁ……」

「はいはい。 香澄、お疲れ様」

 

 

沙綾はそう言って香澄の頭を優しく撫でる。

 

 

『あ~、ズルい! ギルモンも~!』

 

 

すると沙綾のディーアークからギルモンが勝手に飛び出して来て、沙綾に抱き付く。

 

 

「ちょっ……ちょっと2人共……お、重い……」

「オイィ--! お前ら沙綾からさっさと離れろ--!」

「有咲……お父さんだ……」

「誰が『お父さん』だーー!!」

 

 

有咲のツッコミが控え室内に響いた。

 

 

 

 

(ギルモン……私は戦うよ。 あなたと一緒に大切な人達を守る為に)

 

 

 

 

沙綾は優しさと決意の籠もった視線を香澄と共に抱き付くギルモンに向けながら、内心で語り掛けた。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「それじゃあ、私はこれで。 お疲れ様でした」

 

 

レイヤは今回のライブでサポートしたバンドの面々に労いの言葉を掛けて、スタジオを後にする。

 

 

「ふぅ……」

 

 

暫く歩いて1人になったタイミングで緊張が解け、一息を吐く。

 

 

「ん……?」

 

 

ふとレイヤの視線が一点に集中する。

 

 

その先にあった建物は、以前レイヤも訪れた事があるライブハウス。

 

 

其処から出て来たのは、ライブを終えたPoppin'Partyの面々。

 

 

レイヤの視線は、その中の1人に向けられていた。

 

 

「花ちゃん……」

 

 

メンバーの中で一際目立つ背の高い黒い長髪の少女。

 

 

レイヤにとって彼女--花園たえは、今の彼女を形作る切欠となった存在。

 

 

「やっと……『あの時の約束』を果たせる時が来た……」

 

 

そしてレイヤはジーンズのポケットに手を入れ、其処から自身の所持している物--黒いボディとヴェネチアンレッドの縁取りのディーアークを取り出して見つめる。

 

 

 

 

「待っててね……花ちゃん」

 

 

 

 

そう小さく呟くと、レイヤはこっそりその場を去って行く。

 

 

その時、彼女の影がほんの一瞬だけ、翼の生えた異形の物と化す。

 

 

 

 

それを見ていたのは、夜空に輝く満月と小さな星々だけだった。




と言う訳で、沙綾のパートナーデジモンはギルモンでした。
実は沙綾のギルモンの進化に関しては、データ種版のグラウモンにしようかと考えてた事があったのは、此処だけの裏話です……。


さて次回の話ですが、実は今、以下の2つの話を執筆中です。


・香澄メイン(&初の完全体登場回)
・通常回


個人的には香澄メインの話を投稿しようと考えているのですが、悲しい事に現状此方が5%、逆に通常回の方が20%進んでいると言う状態で、場合によっては完成した方から先に投稿する予定になるかもしれませんので、その点御理解御願い致します。


では、今回も登場したデジモンの紹介です。
尚、紹介するデジモンの内の2体は本編には登場しませんが、関係性的な立ち位置の意味合いを込めて紹介しておきます(一応分かり易いように、(※)マークが付いています)。




ギルモン イメージCV:野沢雅子さん(代表作『ドラゴンボール』シリーズ(孫悟空、孫悟飯、孫悟天)、『銀河鉄道999』(星野鉄郎)、『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズ(鬼太郎(初代&2代目)、目玉おやじ(2代目))

レベル:成長期
タイプ:爬虫類型
属性:ウィルス

今作における沙綾のパートナーであるまだ幼さを残す恐竜のような姿のデジモン。
成長期ではあるが、デジモン本来が持っている“戦う種”としてのポテンシャルは非常に高く、肉食獣のような凶暴性を秘めている。
腹部に描かれたマークは“デジタルハザード”と呼ばれ、コンピュータデータに対して多大なる被害を及ぼす可能性があるものに刻印されるが、この能力も平和的に利用さえすればデジタルワールドの守護者たる存在となりえると言われている。
得意技は強靭な前爪で岩石をも破壊する『ロックブレイカー』、必殺技は強力な火炎弾を吐き出す『ファイアーボール』。


ジャリモン(※)

レベル:幼年期Ⅰ
タイプ:スライム型

個体数が少なく、非常に希少なデジモン。
竜系のデジモンの幼年期は絶対的に数が少なく、そのほとんどが成長する前に捕獲や死滅してしまうと言われており、見た目では分からないが、口の中にはびっしりと細かい牙が生えており、力強い竜系のデジモンに成長することを予見させる。
非力ではあるが、自分より体の大きなものに向かっていく性質をもっており、そのことが生存率の低さの理由にもなっている。
体内が常に高温で『熱気を帯びた泡』で攻撃する。


ギギモン

レベル:幼年期Ⅱ
タイプ:レッサー型

ギルモンの幼年期デジモン。
身体的特徴はトコモンに酷似しており、口の中にも強力な牙が生え揃っている。
しかし、哺乳類系に進化するトコモンとは違い、竜系に進化するギギモンは性格も荒く、小型ながら獰猛であり、見た目に騙されて反撃を受ける大型のデジモンも少なくない。
必殺技は相手に噛み付く『ホットバイト』。
体温が熱く、噛まれたところが火傷すると言われている。


グラウモン

レベル:成熟期
タイプ:魔竜型
属性:ウィルス

「深紅の魔竜」と呼ばれている魔竜型デジモン。
ギルモンの頃にあった幼さは消え、より野性的で凶暴なデジモンへと進化をしている。
また、ウィルス種のデジモンではあるが、テイマーの育て方次第では忠実に従うので、正義のために戦うこともある。
グラウモンの咆哮は大地を揺るがすほどの威力を持っており、戦いの前には攻撃的な唸り声をあげ敵を威嚇する。
得意技は両肘のブレイドにプラズマを発生させ敵を攻撃する『プラズマブレイド』、必殺技は爆音と共に強力な火炎を吐き出す『エキゾーストフレイム』。


ピョンモン

レベル:幼年期Ⅰ
タイプ:スライム型

大きな1つの耳とフサフサな体毛に覆われている幼年期デジモン。
生まれた時から恥ずかしがり屋で、目を見つめるとすぐに顔を伏せてしまう。
しかし懐っこさも持ち、気になるデジモンには体をすりすりして積極的にスキンシップをとる様子も見られている。
ちょっかいを出してくる相手は嫌い、大きな耳でひっぱたく『イヤンタ』で成長期デジモンも吹っ飛ばす威力がある。
同じく、耳に響くような大きな音を出すモノを嫌い、耳を伏せて去っていく。


マッドレオモン

レベル:成熟期(クロスウォーズ)
タイプ:アンデッド型
属性:ウィルス

知能を失い闘争本能を高めた狂戦士。
もともとは獅子型のデジモンだったが改造に改造を重ね、その過程で意識は消失し、命ぜられるままに目の前に立つ者を倒す操り人形となってしまった。
本能のままに行動し考えるということをしないため、罠や仕掛けがあってもお構いなしに突撃してしまう猛進を見せる。
基本的には高パワーであるが、殴る・蹴るといった原始的な攻撃ばかりでパターンは少ない。
ただ、その鋭い爪には猛毒が含まれており、あらゆるものを腐らせてしまうので注意が必要である。
唯一、必殺技らしいといえば獅子の顔の形をした『気』を放つ「獣王堕拳」で、放たれた獅子の顔の気は立ち塞がるものを食いちぎりながら飛んでゆく。


マッドレオモン:アームドモード(※)

レベル:成熟期(クロスウォーズ)
タイプ:アンデッド型
属性:ウィルス

チェンソーとさらなる改造を施したマッドレオモンの『凶器乱舞形態』。
度重なる改造とアンバランスなチェーンソーにより、激しい痛みが常に全身を走り回り、マッドレオモンを暴れさせ、痛みのせいでじっとしていることができないため、目に映るものすべてを敵と認識し攻撃する。
まるで腕を振り払ってチェーンソーを外そうとしているかのようにも見える「The Lion Sleeps Tonight(ライオンは今夜眠っている)」は、生物無生物を問わず切り刻む。
ライオンが「眠むるのは」空腹が満たされた時、すなわち敵を捕食した時。ライオンが眠るためにも敵は倒されなければならない。
破壊衝動が表層化した「Lion Heart(ライオンハート)」は、大地に暴走するチェーンソーを突き立て、地割れを引き起こし敵を飲み込む。引き裂かれ砕かれた大地の様はマッドレオモンアームドの心の現れそのものである。




それでは、之にて失礼致します。

あなたが3代目テイマー組の中で、『主人公はこのペア』と言うのを選ぶならどのペアですか?

  • 山吹沙綾&ギルモン
  • 湊友希那&ブイモン
  • 今井リサ×ララモン
  • 美竹蘭×アグモン(セイバーズ版)
  • 丸山彩×テイルモン
  • 弦巻こころ×パタモン
  • 奥沢美咲×ベアモン
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