Digital_Dream!   作:睡眠タイム

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珍しい早めの投稿&何気に初の有咲のメイン回(単に私が書くのを忘れていたと言うのが1番の理由ですが……)。


因みに現状考えている今後の話の展開は、


・2代目テイマー組(完全体編)

・沙綾のメイン回

・文化祭編(アニメ2期7話~9話)


と言う形で書く予定です。


一応これは当初から決めていたのですが、場合によっては一部変更になるかもしれないので、その事を御理解の上で今後の話も宜しく御願い致します。


第17話 昆虫パーソナリティ2020

 

 

「そっか……等々『完全体』まで出やがったか……」

 

 

その日の夜。

 

 

有咲は香澄から、今日の『ガールズバンドカーニバル』での一件をスマホ越しで聞かされていた。

 

 

『紗夜さんと日菜さんとまりなさんには、ましろちゃんが連絡を入れて伝えたから……有咲とワームモンも気を付けて』

「分かった。 そっちも充分休めよ」

 

 

労いの言葉を掛け、有咲はスマホの通話を切った。

 

 

「あーちゃん……」

「あぁ……事態は深刻になってきたな……」

 

 

有咲は香澄からの通話を通して、事態の深刻さを感じとっていた。

 

 

「今までは成熟期やアーマー体だったから心配は無かったけど……これからの戦い、厳しくなって来るぞ」

「うん……そうだね……」

「完全体だけじゃねぇ。 最悪『究極体』までやって来たら……」

 

 

そう語る有咲とワームモンの脳内に最悪の光景が浮かぶ。

 

 

『ホハハハハハ!!』

『『『ウワアアアーー!!』』』

『『グアアアアーー!!』』

『『キャアアアーー!!』』

『『『『『『『(ギルモン)(ブイモン)(ララモン)(アグモン)(テイルモン)(パタモン)(ベアモン)!!』』』』』』』

『次は貴様らだ!!』

『『『『『『『キャアアアアアーー!!』』』』』』』

『ハアアア!!』

『『ウワアアア(キャアアア)ーー!!』』

『『ウワアアア(キャアアア)ーー!!』』

『『『『ウワアアア(キャアアア)ーー!!』』』』

『『『キャアアアーー!!』』』

『『『ウワアアア!!』』』

『『『『キャアアアーー!!』』』』

 

 

敵に容赦無く消されていく3代目テイマー達とそのパートナーデジモン、そしてたえやりみを初めとした他ガールズバンドのメンバー達。

 

 

「あーちゃん……」

「ワームモン……気ぃ引き締めるぞ」

「うん」

 

 

有咲の言葉に、ワームモンは短くも力強く頷く。

 

 

そしてその後は何事も無かったかの様に、2人は何時ものルーティンを過ごしたのだった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「ふああぁ~」

「市ヶ谷さん?」

「あっ、すみません燐子先輩……」

「いえ……お疲れ様です」

 

 

翌日、有咲は生徒会室にて午前中から花女の生徒会長である燐子の手伝いを行っていた。

 

 

有咲自身、デジモン関係に加え、ポピパや生徒会の一員としての活動等もあって、忙しい身でもあった。

 

 

「市ヶ谷さん、大丈夫ですか?」

「え?」

 

 

燐子の発言に、有咲は手を止める。

 

 

「いえ……先程から作業の傍らで少し思い悩んでるのが気になったので……」

「あぁ、すいません。 少しだけ考え事を……」

「いえ、全く気にしてはいませんよ。 市ヶ谷さんは決して、仕事に対しては手を抜かずにこなしている事は充分理解しているので……」

 

 

燐子は有咲の様子を咎める事は無く、受け入れる。

 

 

『あーちゃん、あの頃と比べると随分精神的に成長したね』

「そうか?」

『うん。 最初の頃は少し不安定な面があったから……』

「確かにあの時は、私も精神的に参っていたからなぁ……」

 

 

有咲とワームモンの脳裏に出会った頃の記憶が過る。

 

 

香澄達2代目テイマー組の5人の最初の関係は、苦労の連続だった。

 

 

いきなり見知らぬデジタルワールドに飛ばされてしまった挙げ句、世界を救う様に言われてしまった事もあり、戸惑いを隠せなかった。

 

 

有咲は5人の中では戸惑いが大きかった内の1人であり、それも相まってワームモンの関係も、最初はぎこちない物だった。

 

 

そんな彼等の関係を変えたのは、とある一件だった。

 

 

冒険の最中のある時、敵の策略によって2人の中に亀裂が入ってしまった事があった。

 

 

『これがあーちゃんの本当の気持ちなの!?』

『……何だよ。 何とかしなくちゃいけないならしょうがねぇじゃねぇか!!』

『!?』

『大体どいつもこいつも私の気持ちを知らずに勝手何だよ! いきなりこんな訳も分からない所に連れてこられた挙げ句に『世界を救え』何て無茶苦茶な事言われて、おまけに何の考えも無く『何とかなるよ!』何て言いやがって! そんな感じで上手くいったら、最初から苦労何てしねーんだよ!』

 

 

ワームモン自身、今でもあの時の有咲の様子はハッキリと覚えている。

 

 

同時に有咲と『形だけの関係』しか作れなかった自身を悔やんだ。

 

 

だからお互いに真正面からぶつかって、最終的に理解し合った。

 

 

それ以降2人の関係は、少しずつ変わっていった。

 

 

ワームモンが知らない事を有咲が教えたり、有咲が困った時はワームモンがフォローをする。

 

 

こうして『形だけの関係』の2人は、何時しか『本当の意味で支え合う関係』へと変わっていった。

 

 

『あのお祖母ちゃん、如何して僕の事を簡単に受け入れてくれたの?』

 

 

以前、ワームモンは有咲の祖母の万実に自身をすんなり受け入れてくれた理由を聞いた事がある。

 

 

『そうだねぇ……。 強いてあげるなら、『有咲の様子』だね』

『『様子』?』

『小学生の頃、あの子が泣きながら帰って来た事があってね、訪ねたら『大切な子とお別れした』って言ってたの。 失礼な言い方になっちゃうけど、有咲はあんまり友達がいない子だったから、あそこまで悲しむ辺り、よほど大切な友達なんだって思ったの』

 

 

万実はその時の事を懐かしむ様で語った。

 

 

『そしてあの子が貴方を私に紹介した時、最初は驚いたけど、貴方の事に付いて真剣な様子で語る有咲の姿と『あーちゃんを怒らないで下さい!』って必死な貴方を見たら、とても『悪い子』だなんて思えなかったわ』

『お祖母ちゃん……』

『ワームモン。 有咲とこれからも仲良くしてね』

『はい』

 

 

ワームモンは万実の言葉に優しく返答した。

 

 

意識をふと現実に戻すと、燐子が穏やかな様子で見ている。

 

 

「あっ、先輩! さっきから度々すいません……」

「市ヶ谷さんとワームモン、本当にお互い大切に支え合っているなって……」

「と、取り敢えずこの書類、急いで整理しますね!」

「御願いしますね」

 

 

そう言って、慌てて書類を整理する有咲とフォローするワームモンのやり取りを燐子は見て思う。

 

 

(あの2人……何だか私とあこちゃんに似てるなぁ……)

 

 

燐子はそう思いつつ、作業を再開するのであった。

 

 

「これで良し……市ヶ谷さん、今は此処までにしましょう……」

「そうですね。 もう他の生徒達も来そうですし……」

 

 

それから30分後、区切りの良い所で書類の整理を終了させた有咲と燐子は、少しだけ休憩を取る事にした。

 

 

「ふぅ……」

『あーちゃん、お疲れ様』

 

 

一息付く有咲と労うワームモンの姿を、優しく見守る燐子。

 

 

静かな一時が生徒会室に流れていた。

 

 

 

 

「キャアアアアアーー!」

 

 

 

 

突如、空気を切り裂く様な悲鳴が響き渡る。

 

 

「今の声……家庭科の夏木先生……!」

『あーちゃん!』

「市ヶ谷さん!」

 

 

有咲は頷いてワームモンをリアライズさせると、直ぐに悲鳴の方向へ向かって行き、燐子も慌ててその後を追いかけた。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

有咲とワームモンが現場に駆け付けると、其処にいたのは花女の用務員である玉城と言う男性であった。

 

 

先程悲鳴を上げた夏木先生は避難したのか、既に姿が無かった。

 

 

 

「玉城さん!」

「市ヶ谷さん、逃げなさい! 此処は……グワアァ!」

 

 

その時、有咲とワームモンの目の前で玉城は斬撃に切り裂かれ、次の瞬間、その場所には五体バラバラになった彼の無惨な死体が転がった。

 

 

「玉城さん……!」

 

 

有咲は悲痛な様子を浮かべる。

 

 

有咲自身、彼とは其処まで交流は深くは無かったが、彼が学校の皆から慕われる程、人柄の良い人物だった事は知っていたので、突然の死には悔やむ想いがあった。

 

 

「市ヶ谷さん!」

「燐子先輩、来るな!」

 

 

すると突然燐子の方へ目掛けて、複数の鋭い斬撃の刃が飛んでくる。

 

 

「ヒッ……」

 

 

咄嗟の事に燐子は動けず、思わず目を瞑る。

 

 

 

 

「ムーンシューター!!」

 

 

 

 

その時、無数の光弾が複数の斬撃の刃を相殺した。

 

 

暫くして何とも無い事に気付いて燐子が目を開ける。

 

 

「大丈夫か燐子?」

「スティングモン……有り難う御座います」

 

 

燐子は自身を助けた正体であるスティングモンに、御礼を述べた。

 

 

「来るぞスティングモン!」

 

 

有咲の呼び掛けと同時に黒い影が現れて襲い掛かり、スティングモンも両手のパイルを伸ばして応戦し、やがて暫く激突した後、相手は距離を取る為に一旦下がった。

 

 

やがて相手の正体が明らかになり、燐子は呟く。

 

 

「デジモン……?」

 

 

それは全身を桃色の体毛に覆われ、額に菱形の模様と両手が鋭い鎌になっている鼬の様な見た目のデジモンであった。

 

 

「アイツは……」

 

 

有咲は自身のディーアークで、相手の情報を調べる。

 

 

「キュウキモン。 完全体。 妖獣型。 ウィルス種。 必殺技は『ブレイドツイスター』と『三連星』……よりにもよって完全体かよ……!」

 

 

有咲は自身が恐れていた事が現実になった事への理不尽さに、悪態を吐く。

 

 

「キキャアアーー!!」

 

 

キュウキモンは今度は有咲に狙いを定め、彼女の方へと襲い掛かって行った。

 

 

「クッ!」

 

 

スティングモンは急ぎ有咲の元へ戻り、キュウキモンの鎌に自身のパイルを伸ばして応戦する。

 

 

「有咲には指一本触れさせはしない……!」

「キキキキ……!」

 

 

両者の拮抗は続く。

 

 

 

 

「カースオブクィーン!!」

 

 

 

 

その時、突如キュウキモンに目掛けて赤い光線が飛び、気付いたスティングモンは回避し、光線はキュウキモンに命中する。

 

 

「キキャ!!」

「今のは……「有咲ちゃーん!!」彩先輩!」

 

 

声の方を向くと、其処にはネフェルティモンとその背に乗った彩の姿があり、彩はネフェルティモンから降りて直ぐに有咲達の下に駆け寄り、ネフェルティモンは加勢に入った。

 

 

「大丈夫!?」

「私と燐子先輩は何とか……。 でも……」

 

 

有咲の視線の方向に彩とネフェルティモンが目を向けると、彩は驚きの余り腰を抜かしてしまう。

 

 

「ヒッ……あれって……」

「用務員の玉城さんです……。 私達の目の前で……」

 

 

彩は見知った相手の死体を前にショックを受けていた。

 

 

「ウワアアーーッ!」

 

 

衝撃音と声の方を振り向くと、其処にはキュウキモンに倒され、退化したテイルモンの姿があった。

 

 

「テイルモン!」

「彩……ご免なさい……」

「キキャキャキャキャ!!」

 

 

キュウキモンは不気味な声を挙げながら、嘲笑の意を込めた笑い声を挙げた。

 

 

彩とテイルモンと燐子はその笑い声から、破壊と殺戮を楽しむキュウキモンの悪意の気持ちをひしひしと感じ取っていた。

 

 

 

 

「……ってんだよ……」

 

 

 

 

「市ヶ谷さん……?」

 

 

 

 

「何笑ってんだよ!!!!」

 

 

 

 

有咲の大きな怒声が響く。

 

 

彩と燐子はかなり驚いていた。

 

 

2人の知る限り、有咲は確かに大声を出す事はあったが、それは主に周りの言動に対してのツッコミの意味合いによる物が殆どであった。

 

 

だが、今の有咲の姿からは何時ものツッコミの時とは違って、文字通り『本気の怒り』を感じていた。

 

 

「有咲……」

「スティングモン。 私はアイツを絶対に許さない。 だから……力を貸してくれ」

「あぁ。 俺達の力、アイツに見せ付けてやろう」

 

 

スティングモンは静かに頷き、キュウキモンを見る。

 

 

 

 

――MATRIX EVOLUTION――

 

 

 

 

その文字が有咲のディーアークの画面に表示され、同時にDアークが光を放ち、その輝きに呼応してスティングモンも光に包まれた。

 

 

「スティングモン超進化!」

 

 

光に包まれたスティングモンの姿が変化していく。

 

 

全身がプリズムの様な鎧に包まれ、同時に鋭い槍が現れ、それを右手て掴む。

 

 

やがて光が収まると其処には虹色の輝きを放つ昆虫型デジモンの姿があった。

 

 

 

 

「ジュエルビーモン!」

 

 

 

 

「スティングモンが……更に進化しました……」

「ジュエルビーモン。 完全体。 昆虫型デジモン。 ワクチン種。 必殺技は『スパイクバスター』」

 

 

燐子は初めて見る完全体の姿に呆然としており、彩は自身のディーアークでジュエルビーモンの情報を調べる。

 

 

「ジュエルビーモン!」

「キキャアア!」

 

 

有咲の呼び掛けにジュエルビーモンはキュウキモンに仕掛け、一方のキュウキモンも額の菱形模様から青い光線を放つも、ジュエルビーモンは鋭い槍を両手で持ち、そのまま鎗裁きでそれを弾き、そこから強力な突きをキュウキモンに炸裂させ、相手は吹っ飛ばされる。

 

 

「キキャア!」

 

 

そしてジュエルビーモンは、ゆっくりとキュウキモンの下へ進んで行く。

 

 

「キイイィ……キャアアアーー!!」

 

 

キュウキモンはジュエルビーモンの周りを回り始める。

 

 

するとジュエルビーモンを中心に竜巻が起こり始め、徐々に大きな物となっていく。

 

 

そして竜巻の中心にいるジュエルビーモンに無数の真空刃が襲い掛かるも、ジュエルビーモンは落ち着いた様子のまま、全身に身に纏った鎧で防御する。

 

 

「っ!」

 

 

同時に有咲の制服にも少しずつ切り傷が出来始める。

 

 

「え!?」

 

 

その瞬間を見た燐子が声を上げる。

 

 

「大丈夫です燐子先輩……くっ……パートナーを完全体まで進化させると……ッ……テイマーとデジモンは……ぐっ……一心同体に近くなるんです……くうっ……」

 

 

有咲はダメージを受けながら説明を続ける。

 

 

「市ヶ谷さん……」

 

 

燐子はそんな有咲の姿を心配そうな様子で見付める。

 

 

(ジュエルビーモン……耐えてくれよ……!)

 

 

真空刃の攻撃は尚も続くも、ジュエルビーモンは全身の鎧で防御する。

 

 

(まだだ……)

 

 

ジュエルビーモンは『その時』が来るのを静かに待つ。

 

 

「キキャアアアーー!」

 

 

やがて何時までも倒れないジュエルビーモンに業を煮やしたキュウキモンが、直接切り裂こうと右手の鎌を振り下ろし、それがジュエルビーモンの左肩に命中する。

 

 

キュウキモンは手応えを確信し、そのまま切り裂こうとしたその時、ジュエルビーモンが左手でキュウキモンの右腕をガッシリと掴んだ。

 

 

「キッ!?」

「この瞬間を待っていた……!」

 

 

そしてジュエルビーモンは、右手に持った槍でキュウキモンを思い切り貫いた。

 

 

「キキャアアアーー!?」

 

 

突然の激痛に、キュウキモンは大きな悲鳴を上げて苦しむ。

 

 

「行けええぇーー!」

 

 

有咲の叫びを聞き、ジュエルビーモンは右手に力を集中させ、そのまま槍を振るった。

 

 

「スパイク……バスター!!」

 

 

次の瞬間、槍からの衝撃波がキュウキモンを縦真っ二つに両断した。

 

 

「キ……キャ……」

 

 

そのままキュウキモンは小さく短い悲鳴を上げると、そのままデータの粒子となって消滅していった。

 

 

やがてジュエルビーモンも、元のワームモンの姿へと戻る。

 

 

「あーちゃん……」

「ワームモン……お疲れ様」

「うん……」

 

 

ワームモンは静かに返答する。

 

 

敵は確かに倒した。

 

 

しかしだからと言って、亡くなった玉城が生き返る訳では無い。

 

 

不意に何かが当たる。

 

 

「雨……」

 

 

彩が気付くと同時に雨が降り出す。

 

 

「市ヶ谷さ……」

 

 

燐子は声を掛けようとして止まる。

 

 

 

 

何故なら、先程戦闘があった場所を見る有咲の表情が悲痛な様子である事に気付いたから。

 

 

 

 

雨がより一層と強くなり、有咲とワームモンの体を濡らす。

 

 

燐子達にはそれがまるで、泣こうとするのを堪えようとする有咲とワームモンの代わりに空が2人の分も涙を流している様に映った。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「そう……キュウキモンがDefeatedされたのね……」

 

 

自身の住むマンションの一室にて、チュチュは先程、フェレスモンからの報告を聞いていた。

 

 

『その割には、あまりショックな感じを抱いて無いねぇ?』

「えぇ。 漸く『究極体』の件に解決の目処が付きそうになった上に、『予想外の戦力』が見付かったからね」

「ああ……確かに『彼女』の抱えている闇は、僕も中々興味深かったからね。 でもこれで『ギター』が2人(・・)も入る事になるけど、良いのかい?」

「その点に関しても、手を抜かずに全力で当たるわ。 まぁ……駄目だった方に関しても、『此方の方の戦力』として、RASに利用させて貰う予定よ」

 

 

そう語るチュチュを見ながらも、『もう1人の存在』は隣の巨大なカプセルの中にいる存在にも視線を向け、内心語る。

 

 

(どんな光も何時かは闇に呑まれて消えていく。 僕の本当の目的(・・・・)の成就の為に、君の力も適任者と共に大いに利用させて貰うよ)

 

 

激しさを増した雨音だけが、2人の会話と心情を感じ取っていた。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「玉城さん。 御久し振りです」

 

 

数日後、有咲と燐子の2人はキュウキモンによって殺害された玉城の墓を訪れていた。

 

 

「玉城さん。 何時も学校の皆さんのより良い生活の為に身を尽くしてくれて、本当に有り難う御座いました」

 

 

燐子はそう言って、持ってきた花束を彼の眠る墓に供え、有咲はその様子を静かに見守る。

 

 

その時、有咲のディーアークからワームモンが現れ、有咲と一緒に墓前に行く。

 

「玉城さん。 私は貴方とは殆ど交流がなかったけど、花女の皆の為に貢献してくれて、有り難う御座いました」

「初めまして玉城さん。 僕、ワームモンと言います。 あーちゃんが御世話になりました。 僕は殆ど交流は無かったけど、それでもあーちゃんや燐子さんの話を聞いて、貴方が学校の皆から親しまれているのかが、良く分かりました。 本当に有り難う御座いました」

 

 

そう言って有咲とワームモンは、共に静かに黙祷をする。

 

 

数分後、黙祷を終えた有咲達は静かにその場を後にした。

 

 

「あの……市ヶ谷さん、ワームモン」

「燐子先輩?」

『如何したの?』

 

 

燐子の呼び掛けに有咲は足を止めた。

 

 

「私自身、対してお役に立てないですけど……2人だけで抱え様としないで下さい」

「燐子先輩……有り難う御座います」

 

 

有咲は静かに礼を返す。

 

 

 

 

5月の日差しだけが、彼女達のやり取りを空から見付めていた。




ここまで読んでくれて有難う御座います。

今回有咲は実質初のメイン回と言う事で、何時も以上に動いて貰っただけで無く、ワームモンとの関係も少しだけ掘り下げて書く事も意識しました。

そして作中でのチュチュ様と黒幕的な存在が語った以下の言葉。


・『究極体』の件の解決の目処
・『予想外の戦力』と称された『彼女』
・『此方の方の戦力』として、RASに利用する
・巨大なカプセルの中にいる存在


これらの要素は、後々『デジタルワールド編』に関わって来ます(最も、読んでいて中にはある程度予想が付いている方もいると思いますが)。

それでは最後に、今回登場したデジモンの紹介です。




ジュエルビーモン


レベル:完全体
タイプ:昆虫型
属性:ワクチン


有咲のワームモンが進化した完全体デジモン。
玉虫のような虹色の輝きを放つ昆虫型デジモンで、見る角度で色がかわるプリズムのようなヨロイは頑丈なだけでなく敵の目をくらませる効果もある。
格闘のエキスパートで、美しい戦いを好む。
必殺技は、右手に持つ槍を光の速さで振るい、衝撃波を起こす『スパイクバスター』。


キュウキモン


レベル:完全体
タイプ:妖獣型
属性:ウィルス


伝説上の妖怪“鎌鼬”のような姿をした妖獣型デジモン。
体中の体毛が鋭い刃で周りのものを見境なく切り裂き、まさに凶器の様な剣獣だ。スピードも速く、つむじ風が起きたと同時に体中を切り裂かれてしまう。
必殺技は、敵を中心に竜巻を起こし、真空の刃で切り刻む『ブレイドツイスター』と、額から菱形の印を撃つ『三連星』。
名前の由来は、四凶(中国神話に登場する悪神)の1体である窮奇(きゅうき、チョンチー)。
これは窮奇が「風神」と見なされていた事や、かつての日本の知識人が「中国にいるものは日本にもいる」と言う考えから窮奇と鎌鼬が同一視された事からだと推測される。


裏話


因みに今作のキュウキモンのキャラのモデルは、『ウルトラマンレオ』のツルク星人を参考にしました。
尚、今回作中で登場した(&言及された)ゲストキャラの用務員である玉城さんと家庭科の夏木先生の出番は、今回限りです。


それでは之にて、失礼致します。

あなたが3代目テイマー組の中で、『主人公はこのペア』と言うのを選ぶならどのペアですか?

  • 山吹沙綾&ギルモン
  • 湊友希那&ブイモン
  • 今井リサ×ララモン
  • 美竹蘭×アグモン(セイバーズ版)
  • 丸山彩×テイルモン
  • 弦巻こころ×パタモン
  • 奥沢美咲×ベアモン
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