Digital_Dream!   作:睡眠タイム

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満を時しての投稿。
本当はさよひな回になる予定でしたが……話の構成に苦労しまくっている事もあって、急遽沙綾のメイン回になりました……。

因みに何故先に沙綾の完全体を書いたかと言うと、文化祭の話の後、ポピパの出番が暫くの間少なくなるからです……。


それと執筆中に、『It's_MyGO!!!!!』のキャラ達のパートナーデジモンを、個人的に少し考えてみました。
現状、私の中で考えている(はっきり&大雑把含めて)のは、


・燈

ルガモン

進化ルート

ルガモン→ルガルモン→ソルガルモン(ヘルガルモン)→フェンリルガモン


・愛音

パルモン(帰国子女繋がり)

進化ルート

パルモン→トゲモン→リリモン→バンチョーリリモン


・祥子

レナモン

進化ルート

レナモン→キュウビモン→タオモン→サクヤモン


と言う感じです。


若し『It's_MyGO!!!!!』のキャラ達のパートナーデジモンで、『このキャラはこのデジモンが似合いそう』と言うのがありましたら、活動報告の方に御自由にコメントを書いて下さい。


P.S. 前書きを書いていて考えたのですが、『It's_MyGO!!!!!』の本編を見ていると、MyGO!!!!!のキャラ達って、何となく『パートナーデジモンを暗黒進化させてしまいそうなのでは……?』と思ってしまうのは、私だけでしょうか?


第19話 進撃、発酵紅竜2020

 

 

「う……ううん……」

 

 

深夜。

 

 

自室のベッドで眠る沙綾は酷く魘されていた。

 

 

『ギャオオオーー!』

『ウワアアーー!』

『グラウモン!』

『ウワアア(キャアア)ー!!』

『父さん! 母さん! 純! 紗南!』

 

 

やがて爆発が収まる中、目の前の光景が沙綾の視界に飛び込んで来る。

 

 

『あ……あ……』

 

 

それは正に、『地獄』とも呼べる凄惨な物だった。

 

 

原型を留めない程に激しく焼かれた父の遺体。

 

 

上半身が消し飛んだ母の遺体。

 

 

五体バラバラの状態になったり、岩に押し潰され、潰れたトマトの様な状態になった弟と妹の遺体。

 

 

『父さん……母さん……純……紗南』

 

 

沙綾は虚ろな様子で、辺りを散策する。

 

 

『ギルモン……何処……?』

 

 

やがて見慣れた赤い手を見付け、沙綾は駆け寄る。

 

 

『ギルモン! 良かった……! 無事だったんだね……。 起きてよ、ギル……』

 

 

沙綾の言葉が途中で止まる。

 

 

確かギルモンは其処にいた。

 

 

右腕だけの状態(・・・・・・)として。

 

 

沙綾はその場に崩れ落ちる。

 

 

『アア……アアア……アアアアア……』

 

 

彼女の目から、今まで堪えていた涙が止め処無く溢れて来る。

 

 

『ウワアアアアアアアアアアーー!!!!!』

 

 

その瞬間、沙綾の悲痛な絶叫が響き渡った。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「ハッ!」

 

 

同時に沙綾の意識が覚醒する。

 

 

ベッドから上半身を起こした沙綾は、ふと部屋の時計を見る。

 

 

「まだ2時か……」

 

 

それと同時に喉の渇きを感じた沙綾はベッドから起き上がり、そのまま下のリビングの方へ足を進めた。

 

 

「ふぅ……」

 

 

リビングに付いた沙綾は、冷蔵庫から麦茶の入ったペットボトルを出して、中身をコップに入れてそれを1杯飲み、そのままペットボトルを冷蔵庫に戻した後、再びベッドに入ると一息付いた。

 

 

彼女の脳裏に浮かぶのは、先程見たあの悪夢。

 

 

今の沙綾にはリアリティが強く感じられて、唯の夢として片付けられ無かった。

 

 

ふと沙綾は数日前の事を思い出す。

 

 

沙綾が『ガールズバンドカーニバル』の一件を知ったのは休日明けの月曜日の事であった。

 

 

当事者であった香澄と彼女から話を聞いた有咲から、『完全体』の事を聞かされた沙綾が真っ先に心配したのは香澄の事だった。

 

 

嘗ての経験もあって大した怪我では無かったとは言え、それでも沙綾にとって、高校生になって最初の友達でもあり、同じポピパのメンバーである香澄の怪我は見過ごす事が出来ず、不安な気持ちを抱いてしまっていた。

 

 

更にその数日後には彼女の通う花女で完全体デジモンが出現し、犠牲者も出てしまった。

 

 

有咲も怪我をし、その事を語る有咲とワームモンの悲しみの混じった表情は、今も沙綾の脳裏に焼き付いている。

 

 

「ギルモン……」

 

 

沙綾は自身のディーアークを見て、パートナーの名前を小さく呟く。

 

 

夢で見た右腕だけの状態になったギルモンの姿が脳裏を過る。

 

 

 

 

(私……これから先、皆を守れていけるのかな?)

 

 

 

 

沙綾の内心の問い掛けはそのまま、小さく霧散していった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「さーや、疲れてるの?」

 

 

翌朝、何時も通り学校に登校し、午前中の授業を終えた後、昼休みの時間になったので、沙綾は他のポピパのメンバーと共に校内の庭で昼食を食べている最中、前述の言葉を香澄に投げ掛けられる。

 

 

「えっと……如何したの香澄?」

 

 

香澄の発言に沙綾は不思議そうな様子を見せる。

 

 

「だって今日の沙綾、少し難しそうな顔をしている事が多いんだもん」

「そんな風に見えてたの? 今日の私って……」

『僕も少し気になっていたよ』

「御免ね沙綾ちゃん……実は私も香澄ちゃんと同じ事思ってたの」

「若しかして……有咲とおたえも?」

「うん」

「あぁ……何時も違うなぁって言うのが、顔の様子からはっきりと伝わってきたぞ」

『うん。 僕も皆と同じだったんだ……』

 

 

沙綾の問い掛けに香澄達ポピパの面々もパートナーデジモン達も全員、同調する様子で返答する。

 

 

『さーや、何処か痛いの?』

「ううん……。 そう言う訳じゃないの……」

 

 

ディーアークの中のギルモンの問い掛けに、沙綾は空元気な状態であるが受け答えをする。

 

 

「さーやちゃん、無理しちゃだめだよ」

「さーや……有咲の玉子焼き、食べる?」

「いや、何で私の何だよ!?」

「りみ、おたえ、有咲……有り難う」

「さーや」

 

 

沙綾が香澄の方を向くと、香澄は普段と少し違う真剣な様子で見ており、沙綾はそんな香澄の様子に内心戸惑いつつも応じる。

 

 

「若し今さーやが言いたく無いのなら、無理には聞かないよ。 でもこれだけは覚えていて。 さーやは1人じゃないから」

「……香澄、有り難う」

 

 

その後は特に何事も無く学校生活を終えた沙綾は、そのまま自分の何時ものルーティンを過ごし、その日を終えたのだった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

翌日、沙綾はモヤモヤとした気持ちを抱えながら、歩いていた。

 

 

今日は有咲が家の用事でいなくて蔵が使用出来ず、実家のパン屋も両親が親戚への用事で弟と妹を連れて今日から3日程家を空けてしまっている為、こうして沙綾はドラムの練習の為に、『CIRCLE』に向かっていた。

 

 

「こんにちは。 今日は「ワアアア!」……な、何!?」

 

 

『CIRCLE』に到着した沙綾の耳に悲鳴が入ったので、慌て現場に向かう。

 

 

「大丈夫です……か……?」

 

 

現場に駆け付けた沙綾の言葉が途切れ途切れになる。

 

 

「ぷぷぷー」

「ぷぷぷー」

「ぷぷー」

「あわわわ~」

「さよこ~」

「やられた~」

「2人共大丈夫?」

 

 

沙綾の目の前には、沢山の幼年期のデジモン達の泡攻撃を受けて、目を回してる香澄とドルモン、心配するまりなの姿が飛び込んで来た。

 

 

「……! 香澄!」

 

 

一瞬ポカンしてた沙綾だったが、直ぐに気を取り直し、慌てて香澄達の所に向かって行った。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「もう……吃驚しちゃったよ……」

「「御免なさい……」」

 

 

あの後、香澄とドルモンは沙綾にかなり心配されてしまい、幼年期のデジモン達がお昼寝の時間に入ったタイミングになって、こうしてお互いのパートナーを交えての会話をしていた。

 

 

沙綾は悩みながらも、意を決し香澄に自身が見た悪夢の事を話した。

 

 

「そっか……そんな事があったんだね……」

「……香澄とドルモンは……平気なの?」

「ん~?」

「デジモンと戦う事に対して……怖くは無いの?」

「『怖くない』って言えば、嘘になるかな……。 デジタルワールドを冒険してた時は、トラブルや危険な目に遭う事何て、殆ど日常茶飯事だったから……」

 

 

沙綾の問い掛けに対して、香澄はドルモンの方に視線を向けて語る。

 

 

「でもね……ドルモン達と出会って一緒に冒険してく内に、このデジタルワールドが『第2の故郷』って思える様になってきて……『元の世界に帰りたい』って気持ちが段々、『皆と過ごすこの世界を護りたい』って言う物に変わったんだ……」

「香澄……」

「勿論、今でも『怖い』って思う事はあるよ。 ……でも怖いからって、何もしないまま護れなくて失っちゃう事の方が……もっと辛いんだよ」

 

 

香澄とドルモンの脳裏に、デジタルワールドの冒険の中での戦いの記憶がまるで昨日の事の様に浮かんでくる。

 

 

「だから私とドルモンは闘うよ。 だって……冒険やバンドを通じて出会った皆の事が、とっても好きだから」

 

 

沙綾とギルモンの目には、香澄とドルモンの姿がとても大きく映っていた。

 

 

「……香澄とドルモンは強いね」

「……それは大きな間違いだよ」

「……僕達だって、最初から彼処までの強さを持っていた訳じゃない。 中には救えなかったデジモンだっているよ」

「沙綾。 私は有咲や紗夜さんや日菜さんみたいに頭が良い訳じゃないし、偉そうに上手な事は言えないけど……これだけは言うよ。 大切なのは『自分が如何したいのか』って事だよ」

「『自分が如何したいのか』……」

「覚えている? 去年の文化祭ライブの前に、沙綾の家に泊まった時の事」

 

 

沙綾自身、忘れる訳が無い。

 

 

沙綾にとってそれは、自身がポピパに加入する切っ掛けに関わる思い出なのだから。

 

 

「今更な告白になっちゃうけど……私ね、ポピパをやっている時に沙綾の過去の事を知った時、沙綾を誘う事に迷っちゃってたんだ……」

 

 

香澄からの意外な告白に、沙綾は目を見開く。

 

 

「でもね……。 有咲にその事を話した時、『お前は本当にそれで良いのか?』って真っ直ぐに言われて、そして自分なりに考えて、『私は沙綾と一緒にバンドをやりたい』って決めたの。 だから私は、こうやって一緒にポピパの活動をする未来を手に入れた」

 

 

沙綾は香澄の話をただ黙って聞いている。

 

 

「きっと沙綾にもあるはずだよ。 『自分なりの答え』が」

 

 

沙綾は香澄の言葉を聞いて思案する。

 

 

「香澄ちゃーん! 沙綾ちゃーん! ちょっと手伝ってー!」

「! 行こうさーや!」

「う、うん!」

 

 

香澄達は、まりなの下へ掛けていく。

 

 

(『自分なりの答え』……か)

 

 

沙綾は先程の香澄の言葉が、自身の内心で反響しているのを感じていた。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

翌日、沙綾はカメラを持って出掛けていた。

 

 

このカメラはつい最近になって始めた沙綾の趣味である。

 

 

その為、時々こうして時間を見付けては、街の色々散策しながら気に入った物や風景などを撮るのが、沙綾の日課となっていた。

 

 

「あれは……りみ! 蘭! モカ!」

 

 

道中見知った相手達の姿を見付けた沙綾は、そのまま声を掛けて近付く。

 

 

「あっ、沙綾……」

「チョコォォ……」

「おおぉ……心の女神よおぉ……」

「りみとモカ……何かキャラ崩壊してない?」

 

 

モカの様子の違いが気になった沙綾は、蘭とアグモンに問い掛ける。

 

 

「2人共、沙綾の家のパンが食べられないショックで、昨日からずっとあんな状態なの……」

「あぁ……」

 

 

りみとモカが普段から『山吹ベーカリー』の常連客である事は、沙綾を始めとした山吹家の面々やガールズバンドのメンバー達には周知の事実である為、沙綾は実家のパンが食べられ無い事に落ち込む2人の様子に、半端申し訳無い気持ちの含んだ苦情を浮かべていた。

 

 

「パン~。 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン……」

「チョココロネチョココロネチョココロネチョココロネチョココロネチョココロネ……」

「2人共落ち着いてーー!」

『りみ! それチョココロネじゃねぇよ~!』

 

 

その後沙綾はギルモンや蘭達と協力して、何とかりみとモカを落ち着かせる為に、近くの広場で向かう事になった。

 

 

りみとモカの2人も、道中で沙綾と蘭が可能な限りの範囲で購入した大量のパンやチョココロネを食べる事によって、広場に着いた頃には、大分落ち着いた状態になっていた。

 

 

「有り難う沙綾ちゃ~ん」

「モカちゃん、復活~♪」

「いや、これ位対した事無いよ」

 

 

パンを頬張るりみとモカの姿に、沙綾は安堵の浮かべて見ている。

 

 

「モカ……アンタ本当は前世でパンだったんじゃ無い?」

「まさか……いや、有り得ない話でも無いかも」

 

 

蘭はパンを頬張るモカを見ながら一言呟き、沙綾も一瞬否定しそうになりつつも、モカの普段の様子を見て、ある程度の同意を示す。

 

 

その時ふと、沙綾は気付く。

 

 

(あぁ……そっか。 この日常が私にとっての居場所なんだ)

 

 

実家で焼いたパンを沢山の人に届ける事。

 

 

高校生活の傍ら、香澄達と共にポピパとして活動をする日々。

 

 

そして、ギルモンと一緒に過ごす時間。

 

 

1つ1つは小さい物だけど、自分にとってはどれも掛け替えの無い宝物。

 

 

(私、今過ごすこの時間がーーーーー1番楽しくて、大好き)

 

 

沙綾は内心でその想いを噛み締めながら、持っているカメラのレンズ越しから、りみ達を見ていた。

 

 

 

 

しかし次の瞬間、沙綾の表情が必死な物になる。

 

 

 

 

「危ない!」

 

 

 

 

2人の下に来る黄色いレーザーの存在に気付き、咄嗟に叫ぶ。

 

 

「アグモン!」

「応!」

 

 

咄嗟に駆け出した蘭とアグモンが2人を抱きしめて回避した事により、黄色いレーザーは先程までりみとモカがいた所に命中し、爆発した。

 

 

「りみ! モカ! 蘭! アグモン! 大丈夫!?」

「な、何とか……」

「蘭とアグモンが来たから、こっちも何とか……」

「アタシも大丈夫……」

「俺も生きてるよ……」

 

 

ギルモンをリアライズして駆け付けたの沙綾の呼び掛けに4名は無事を伝える。

 

 

安堵する沙綾と同時に、先程黄色いレーザーが飛んで来た方角から巨大な何かが現れる。

 

 

それは金色の角と紺色の体色の恐竜と見違えんばかりの巨大な体をしたカブトムシであった。

 

 

「ライノカブテリモン。 ハイブリッド体。 昆虫型。 ヴァリアブル。 必殺技は『コンデンサストーム』と『サンダーレーザー』……」

 

 

するとライノカブテリモンは、自身の巨大な角から超高圧電流を空に向けて放ち始める。

 

 

そして放たれた超高圧電流はそのまま、ライノカブテリモンと沙綾達のいる辺り一帯を包み込み、巨大なドームの様な物を精製する。

 

 

「と、閉じ込められちゃった……」

 

 

りみがショックな様子で呟く。

 

 

「蘭!」

 

 

沙綾の言葉に蘭は頷く。

 

 

「ギルモン(アグモン)!」

「うん(あぁ)!」

 

 

 

 

――EVOLUTION

 

 

 

 

「「ギルモン(アグモン)進化!!」」

 

 

 

 

ギルモンとアグモンは、光と共に一斉に進化する。

 

 

「ブイドラモン!」

「ジオグレイモン!」

 

 

進化した2体は、ライノカブテリモンへと向かって行く。

 

 

「プラズマブレイド!」

「ホーンインパルス!」

 

 

それぞれ両肘のブレイドと巨大な角による一撃を浴びせるが、ライノカブテリモンは平然とした様子である。

 

 

するとライノカブテリモンは、角を豪快に振り回して2体を投げ飛ばすと、体内に蓄積した全電気量を一気に解放し、稲妻の嵐を発生させた。

 

 

「「ウワアアアアアアーー!!」」

 

 

稲妻の嵐に巻き込まれた2体は、そのまま地面に墜落する。

 

 

「「グラウモン(ジオグレイモン)!」」

 

 

そしてライノカブテリモンは角に集めた全電気量によるレーザーの如く放った。

 

 

「「グワアアアアーー!」」

 

 

そして煙が晴れると、其処にはグラウモンとダメージを受けて退化したアグモンの姿があった。

 

 

「アグモン! しっかりして、アグモン!」

「すまねぇ……蘭」

 

 

するとライノカブテリモンはそのまま少しずつ此方へ突進して来た。

 

 

「エキゾーストフレイム!」

 

 

グラウモンは爆音と共に強力な火炎を吐き出すも、直撃を受けたにも関わらず、ライノカブテリモンは尚も此方に近付いてくる。

 

 

「クッ……!」

 

 

グラウモンは咄嗟にライノカブテリモンを押さえつけるが、相手の強力な力を前に徐々に押され始める。

 

 

「フンギギギギギ……!」

 

 

しかしグラウモンも沙綾達を守ろうと、自身の力を必死に込め続ける。

 

 

「グラウモン……」

 

 

沙綾は不安そうにグラウモンを見つめている。

 

 

『大切なのは『自分が如何したいのか』って事だよ』

(そうだ……弱気なっちゃ駄目。 此処でグラウモンを信じてあげなきゃ、りみ達を守れないし、何よりグラウモンの想いを裏切っちゃう!)

 

 

沙綾の脳裏に昨日の香澄の台詞が過り、それによって沙綾は気を持ち直し、自身のディーアークを両手で握り締めながら強く願う。

 

 

(グラウモン……。 貴方の痛みや苦しみ、私にも背負わせて!)

 

 

「ウオオオオオオオーー!!」

「グラウモーーーーン!!」

 

 

沙綾とグラウモンの叫び声がリンクし合った。

 

 

 

 

――MATRIX EVOLUTION――

 

 

 

 

その文字が沙綾のディーアークの画面に表示され、同時にディーアークが光を放ち、その輝きに呼応してグラウモンも光に包まれる。

 

 

 

 

「グラウモン超進化!」

 

 

 

 

光に包まれたグラウモンの姿が変化していく。

 

 

 

 

体はより大きく巨大化し、上半身は超金属『クロンデジゾイド』でメタル化されていく。

 

 

両腕は鋭い刃の付いた金属製の物となり、両胸には砲門、両肩には2基のバーニアが備わり、背部の部分から帯の様な金属、『アサルトバランサー』が伸びる。

 

 

やがて光が収まると、其処には鋼の鎧を纏った赤き機械龍の姿が現れた。

 

 

 

 

「メガログラウモン!」

 

 

 

 

「これが……グラウモンの完全体……」

「メガログラウモン。 完全体。 サイボーグ型デジモン。 ウィルス種。 必殺技は両腕の『ペンデュラムブレイド』で敵を切り裂く『ダブルエッジ』と両胸の砲門から放つ『アトミックブラスター』……」

 

 

沙綾達はメガログラウモンを見ながら、各々の反応を見せる。

 

 

「ウオオオオオオーー!」

 

 

メガログラウモンの叫びに呼応する様に両肩の2基のバーニアから火が噴き、そのままライノカブテリモンを押し返して行く。

 

 

「……!」

 

 

ライノカブテリモンは驚きの様子を見せながら押し返され、自身の作り出した超高圧電流のドームを突き抜けて行った。

 

 

そして態勢をライノカブテリモンは、そのままメガログラウモンに向かって突進して行き、メガログラウモンも迎え撃つ。

 

 

激しいぶつかり合いの中で、ライノカブテリモンの巨大な角の一撃が、メガログラウモンのボディに刺さる。

 

 

「クッ……!」

 

 

メガログラウモンの表情が歪む。

 

 

「ウッ……!」

 

 

同時に沙綾も僅かに体勢を崩す。

 

 

「グウゥ……!」

「ウウゥ……!」

 

 

更にライノカブテリモンは角から電撃を放ち、直撃を受けたメガログラウモンは苦痛の声を漏らし、沙綾の体にも痛みと痺れが襲う。

 

 

(これが完全体の力……! 香澄達はこんな痛みを受けながら、戦っていたんだ……!)

 

 

沙綾は心中でその力の大きさに驚きながらも、必死に耐える。

 

 

「沙綾ちゃん……」

 

 

沙綾の様子を、りみが心配な様子で蘭達と共に見ている。

 

 

(私は……ううん、私達は……絶対に守ってみせる!!)

 

 

沙綾はダメージを受けても尚も諦めず耐え、そして行動に出た。

 

 

「行っけーー!」

 

 

沙綾の叫び声を聞いたメガログラウモンは、目を力強く見開く。

 

 

そしてライノカブテリモンの角の一撃が、再び迫ろうとする。

 

 

「ダブルエッジ!」

 

 

しかしメガログラウモンは、両腕の『ペンデュラムブレイド』で、迫り来るライノカブテリモンの角を力強く切り裂いた。

 

 

「ーーーー!!」

 

 

自慢の角を両断されたライノカブテリモンは、苦痛の表情を浮かべる。

 

 

「ウワアアアーー!」

 

 

更にその隙を付いて、メガログラウモンは背部の部分から伸びる『アサルトバランサー』を伸ばし、ライノカブテリモンのがら空きのボディに連続で貫き刺して行く。

 

 

「ーー! ーー! ーー!」

 

 

やがて暫くすると、其処には最早限界の様子を見せるライノカブテリモンの姿がいた。

 

 

「メガログラウモン!」

「一気に決めるぞ……!」

 

 

そしてメガログラウモンの両胸の砲門に紅い光が集まって行く。

 

 

 

 

「「アトミック……ブラスター!!」」

 

 

 

 

沙綾とメガログラウモンの叫び声と同時に、両胸の砲門から真紅の光線が放たれる。

 

 

「ーーーー!!!!」

 

 

直撃を受けたライノカブテリモンは、驚愕の様子を浮かべながら、そのままデータの粒子と化して消滅したのだった。

 

 

ライノカブテリモンの完全な消滅を確認すると、メガログラウモンは退化してギギモンの姿と化す。

 

 

「ギギモーーン!!」

 

 

沙綾は自身の痛みなど気にも止めず、ギギモンに駆け寄って抱き締めた。

 

 

「さーや……ギギモン、みんなまもった……」

「うん……! そうだよ……! 有り難うギギモン……!」

「さーや……だいじょうぶ? ギギモン、ちゃんとここにいるから……」

 

 

ギギモンの言葉を余所に、沙綾はギギモンを抱きながら終始泣いていたのだった。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「そっか……。 ギルモンも完全体に進化したんだね」

 

 

後日の花女の中庭。

 

 

現在昼休みと言う事もあって、ポピパの面々は昼食を食べている最中であった。

 

 

「うん。 香澄の御陰だよ」

「へっ?」

 

 

沙綾の突然の御礼に、香澄がキョトンとした様子を見せる。

 

 

「あの香澄の言葉が無かったら、私……絶対に折れちゃってた。 だから、有り難う」

 

 

香澄と彼女のディーアークの中にいるドルモンは、優しく微笑み返した。

 

 

「……それにしても」

 

 

チラッと2人は視線を向ける。

 

 

「うまうまだよ~!」

 

 

其処には普段より倍の量のチョココロネを食すりみの姿があった。

 

 

「りみりん、何だかとっても御機嫌だね」

「3日ぶりに、家のチョココロネを食べられたんだからね」

「しかも、その所為か何時もよりもチョココロネの量が多いな……」

『このままだと、体がチョココロネになっちゃうんじゃ無い……?』

 

 

ワームモンの言葉に、香澄達はその様子を想像する。

 

 

『御免ね……。 私、体がチョココロネになっちゃって、もう演奏が無理だから、ポピパを辞めるね』

 

 

香澄は顔を青ざめさせると、『りみり~~ん!!』と叫んでりみに抱き付く。

 

 

「ひゃあ!? か、香澄ちゃん……?」

「例えりみりんがチョココロネになっちゃっても、りみりんはポピパのベースだからね。 だから、早まっちゃ駄目だからね~!」

「えっ……と、取り敢えず落ち着いて……」

 

 

沙綾は苦笑しつつ、見守る。

 

 

(あぁ……皆と過ごすのは、本当に楽しくてーー大好き)

 

 

「さーや~! りみりんが! りみりんが~!」

「ほ~ら、落ち着いた落ち着いた」

「沙綾……お母さんだな」

「沙綾ママ~」

「キャア、おたえも落ち着いて~!」

 

 

ポピパの5人の穏やかで長閑な様子を、他の生徒も優しく見守っていた。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

無数の星が瞬く夜。

 

 

レイヤは1人、夜の帰路を歩いている。

 

 

「もしもし其処の御姉さ~ん?」

 

 

そんな彼女の目の前に現れたのは、茶髪の嫌みな感じのレイヤより少し年上の男を筆頭とした如何にも柄の悪い風貌の3人組の若者だった。

 

 

「何か用かな?」

「へっへっへ……実はアタシら、ちょーっと困った事になっていて……」

「俺等にちょっと金を恵んでくれよ~?」

 

 

茶髪の男の右側の黄色いメッシュを入れた派手な服装の女と左側の短髪の図体のデカい男が、下衆な視線を此方に向けていた。

 

 

「悪いけど、アンタ達に渡す金はこれっぽっちも無いわ。 さっさと消えて」

「そ~言わずにさぁ~、そんなに怒ると綺麗な顔が台無しだよ~♪」

「じゃあさ、金は良いから一発ヤラセてくれよ! 御姉さん、結構スタイル良いしさ!」

 

 

茶髪とデカい短髪の言葉の台詞を無視して、レイヤは改めて言い放つ。

 

 

 

 

「失せろ。 アンタみたいな屑共に渡す物は1つも無い」

 

 

 

 

呆気に取られる3人を無視して、レイヤは立ち去る。

 

 

「……舐めんじゃねぇぞ糞アマァァー!」

「その代わり」

 

 

次の瞬間、無数の何かが貫く音が鳴る。

 

 

 

 

「アンタ達には、これをあげる」

 

 

 

 

そう言ったレイヤの目の前にはーーーー突然空から現れた無数の剣に貫かれた3人の若者達の姿だった。

 

 

 

 

レイヤは、異形の物となった自身の右腕とその手に握られた剣を一瞥して見る。

 

 

『フン……品行の欠片も無い奴らな事だ』

 

 

レイヤの持つディーアークの画面に映る影が、侮蔑の言葉を投げる。

 

 

その瞬間、3人の若者達の全身が灰となって、一斉に地面に崩れ落ちた。

 

 

レイヤは3人の若者達が完全に灰化したのを確認すると、手っ取り早く自宅に戻る為に、己の姿を異形へと変え、夜空に飛び立つ。

 

 

(花ちゃん……若し今の私のこの姿を見たら、如何思うかな? 花ちゃんと一緒に慣れるなら、私、どんな事だってする覚悟は出来てるんだよ……!)

 

 

幼馴染に対しての強い決意を胸に秘め、レイヤは自宅へ向けて、夜空の中を飛び進んで行くのであった。




毎度の事ながら、此処まで読んでくれて有り難う御座います。

少しネタバレ(?)しますと、今作のRASの面々のキャラモチーフの大元の参考は、私の好きな特撮作品の1つである『超獣戦隊ライブマン』に登場する『武装頭脳軍ボルト』だったりしています(最もそれ以外にも参考にしたキャラがいるのですが……)。
因みに、ビアス様役の中田譲治さんは、私の好きな声優さんの1人でもあります。

上記の事もあって、本作のレイヤさんのキャラは一言で言えば、『一見本家バンドリ同様に見えるけど、実はかなりヤバい方向に歪みが掛かっている』と言う認識である事を御理解御願い致します。
因みに作中でのレイヤさんのやった殺害方法のモチーフは、『555』の『使徒再生』です。


それとアフグロファンの皆さん、久々の登場なのに蘭を噛ませ役にしてしまい、本当に申し訳ありません……。
沙綾以外の3代目テイマー組(友希那、リサ、蘭、彩、こころ、美咲)の完全体進化の話は、文化祭編(アニメ2期7話~9話)以降になってしまいます……。


それでは最後に、今回登場したデジモンの紹介です。




メガログラウモン


レベル:完全体
タイプ:サイボーグ型
属性:ウィルス


沙綾のギルモンが進化した「巨大なグラウモン」の名前を持つ、サイボーグ型の完全体デジモン。
その名の通り体は大きく巨大化しており、上半身は超金属“クロンデジゾイド”でメタル化されている。
肩に付いている2基のバーニアで飛行することもでき、対空・対地攻撃の両方が可能であり、有り余るパワーで暴走するのを抑えるために、顎の部分にクツワのような拘束具を着けている。
また背部の部分から帯のように伸びる「アサルトバランサー」は伸縮自在で、敵を貫き刺すこともできる。得意技は両腕の「ペンデュラムブレイド」で敵を切り裂く『ダブルエッジ』。
必殺技は両胸の砲門から原子レベルで敵を破壊する『アトミックブラスター』。




ライノカブテリモン


レベル:ハイブリッド体
タイプ:昆虫型
属性:ヴァリアブル


伝説の十闘士の力の全てを受け継ぎ、未知の能力を得ることで伝説を超えた雷の能力を持つデジモン。
恐竜型と見違えんばかりの巨大な体と重甲殻を持ち、超高圧電流で特殊な磁場を発生させる能力を持ち、その巨大な角を使って自在に操ることが出来る。
突進系の技が得意であるが、実際は敵に触れることなく、その特殊な磁場で敵を突き飛ばしている。
必殺技は角を豪快に振り回して体内に蓄積した全電気量を一気に開放し、敵を稲妻の嵐で巻き込む『コンデンサストーム』と、角に集めた全電気量をレーザーの如く放つ『サンダーレーザー』。


余談

モチーフはカブトムシの一種である『サイカブト』。
何気に本作では初登場のハイブリッド体である。
因みにこのデジモンは、元々作者が今作で登場させたいデジモンの一体だったりします。
尚、ハイブリッド体のデジモンを登場させる際には、『今までアニメや漫画などで、全く登場した事が無い奴』と言う条件を、自ら課しました。




それでは之にて、失礼致します。

あなたがバンドリのボーカル組の中で好きなキャラは、誰ですか?

  • 戸山香澄
  • 湊友希那
  • 美竹蘭
  • 丸山彩
  • 弦巻こころ
  • 和奏レイ(レイヤ)
  • 倉田ましろ
  • 高松燈
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