目的地を決めた僕達は〈理想郷〉という所へ向かい始めた。
行く前に店主はこう言っていた。
「周りには盗賊団が出るらしい」と。
その為僕やマークスは気を張り詰めている。
紅音さんは体が弱くいつも横になっているから守らないと、そんな気持ちもある。
マークスは運転しつつ横に今は古いAK-47を用意している。
AK-47は耐久性が高い、だから今の世界では大切な銃だ、そうマークスは言っていた。
一方の僕はと言うと同じくAK-47を持っている。守る為の力……
これは兄さんの形見でもある……
その時であった。右側を走っていた車から無線が届く。
『マークスさん!右側より車が来ます!距離はまだ遠いですがこちら側に来ます!』
ナルスさんの声だ。
それを聞きマークスは僕に言う。
「アリス!何時でも撃てる用意をしろ!」
「はい!」
弾倉を抜く……弾は満杯のようだ。もう一度AKに挿し、次にセレクターレバーを単発までスライドさせ安全装置を解除する。
ボルトレバーを引き……薬室に弾薬が装填された。引き金を引けば何時でも撃てる。
でも引き金に触らないように、しかし何時でも撃てるような体制で警戒する。
と、その時、銃声が響いた。
カンッ!と車のフレームに弾が当たる音がする。
すかさずマークスは車を止め、遮蔽物として身を隠しながら応戦する。
直ちに僕も紅音さんとひさめさんを車から降ろし、AKをセミオートで撃つ。フルオートだと当たらないから……。
他の人も応戦を始める。てかなんでこうなってるの一体!?
うめき声が、苦しむ声が……聞こえる。味方のものか、敵のものか分からない。他の人を見る隙もない。もし見たら……撃たれて死ぬ。
すると、敵の銃撃がやんだ。同時に車が離れていく。
どうやら勝ったようだ。
すかさずマークスが指示を出す。
「アリス!全員の生存確認だ!ひさめは傷ついた者の応急処置!テクナ!居るか!?」
僕は最初にテクナさんの生存を確認すべく別の車に向かった。
しかし──そこにあったのは無機物であった。
テクナさんとアカナさんの死体が……あった。
言いたくはない。しかしマークスさんに報告しなければ。
「マークスさん……テクナさんとアカナさんは……死んでいます…」
「…そうか」
あまり知らない人が死んでも少ししか悲しくならない。それでも仲間が死ぬのは嫌だ………
幸いにも残りの人は生きていた。唯一の救いと言える……そう思う。
マークスさんが残りの人を集め、弾薬とかを確認する。
その間僕は周りの索敵をしていた。丘があったから裏側に何か隠れてないか調べようとして丘を登ったその時、目の前に純白の巨大な建物が見えた。あれが……
「理想郷…」
僕たちが向かうところ。
それが、こんなにも近くにあった。
そう思ってる僕のところにマークスさんが来た。
「あれか……」
「あそこに行けば何か兄さんの手がかりがあるかもしれないから……」
僕の理想郷は……兄さんがいる所、そう思ってるから…
車は減ってしまったがもうすぐ理想郷に着く。
死んでしまった2人の分も行かなければならない……
しかし、残念ながら車の燃料が切れてしまった。僕たちは降りて進む。マークスさんが紅音さんを背負っている。
もうすぐ着く………とその時、純白の壁の穴が光った気がした。同時にマークスさんが、
「避けろ!」
と叫んだ。僕たちはすぐに横へスライドするように動く。無意識に動いた感じである。
次の瞬間、僕が元いた所の地面から煙が出る。これは……弾が地面に当たる時の感じだ!
そう。純白の壁の穴から銃弾が飛んできたのである。
僕は走った。ひさめさんを連れて。少数ずつに別れたからか攻撃が集中していない。しかしそれも時間の問題と分かった。
ナルスさんと雪さんが……撃たれた。まるで捕虜を銃で撃つかのように抵抗は出来なかった……
マークスさんと僕、紅音さんとひさめさんは近くにあった建物に逃げ込んだ。
幸いにもそのおかげで居場所が特定できなくなったのか、銃声がやんだ。
「クソっ!拠点防衛用のシステムかよ!!」
「拠点防衛用システム…?」
マークスさんがそう叫んだので思わず僕は聞いてしまった。
「世界が荒廃する寸前に開発された自立防衛システムの1種だ……敵を自動的に迎撃するって訳だ…本当に〈理想郷〉なのかよここは!!」
僕は隠れながら外の様子を見てみた。
そこには……人ならざるものが武器を持って向かってきていた。
数は5。
「なに……あれっ!?」
マークスさんは言った。
「…人外野郎か…まさか実在するとはな…だがここで死ぬわけにはいかないな、アリス、迎え撃つぞ」
「……分かった!」
死にたくない。
兄さんに会うまでは……死ねない!
僕はAKに弾を装填して、構えた。
戦い抜いて、生きてみせる。
そう決意して。
戦いが始まった。
今思えばこの戦いは短かったと言える……と思う。
僕とマークスさんは銃を撃ちまくった。たくさん…
でも、人外野郎に効果は無かった。
そしてその人外野郎は一瞬だけ持っていた銃を撃った。
瞬間、建物の壁が穴だらけになる。僕とマークスさんは伏せていたから無事だったけども…
そしてスピーカー?から、
『降伏せよ!降伏せよ!』
と声が聞こえた。
既に時間はない。マークスさんは言った。
「……ここで降伏すれば命だけは助かるかもな…アリスお前はどう思う」
「……」
言葉が出なかった。もし降伏して、その後中に兄さんが居たら……
そんな気持ちが抑えられない。
僕も、決意した。
「僕は降伏します……マークスさん達は逃げてください!」
「アリスお前!?」
でもこの決意は変えない。マークスさんが折れた。
「…分かった。すまないな……だが、いつか助けに行く…と言いたいが残念だが無理だろう…アリス。お前と出会えて幸せだったと思う。こう言うのも変とは思うが…無事を祈る」
「マークスさん達こそ」
僕は少し笑顔になった。
作戦は簡単だ。僕が注意をひきつけ、マークスさん達は逃げる。
それだけだ。
僕は敵の前に出て、言った。
「……降伏します」
人外が僕の体を確認する。
その間、マークスさんは逃げているのだろう。
「よし、降伏を認める。」
その瞬間、腕になにか刺された気がした。
同時に僕の意識は沈んで行った……。
書くの遅いので時間かかるかもね・・・