ここに来て数日。
この体に慣れてきた気がする。
それでも最初の二日間ぐらいは泣いてたけど。
でもユウが言ってくれた。「死んでるなんて限らない、落ち着いたら探しに行こ」って。
嬉しかった。ただ、嬉しかった。
色んな事も知ったし少しだけ思い出した。
今いる国は〈イザナギ帝国〉、魔導科学というものが発達してる国。でも持っていたAK-47、あの銃よりこの世界の〈二八式小銃〉の方がどうやら脆いらしくてびっくりした。
そしてこの体は〈リリン型〉と呼ばれるアンドロイド…正確にはサイボーグで特に〈魔力砲〉と呼ばれる物は戦艦をも貫く!!ってユウが言ってた。ほんとかなぁ?話では第二世代のリリン型がこの体って言ってたけどよく分からない。
でも、つまり自分の体は兵器になった……そういう事だと思う。
そんな事をロキさんが手配してくれた官舎の一室で考えてるとベルがなった。なんだろうと思って扉を開けてみると立っていたのはユウだった。
「アリス……気分は大丈夫?」
そう聞かれたから自分も答える。
「うん…大丈夫」
するとユウは「良かった」と言い本題に入った。
「えっとね…これからについてルレアが話聞きたいって」
ルレアって誰だろと思って無意識に首を傾げてしまったからかユウが詳しく言いはじめた…。
「あっごめん誰かって言ってなかったね……ルレアはこの国の皇帝だよ。本名ルレア・レーゥスナ」
「……皇帝…?えっ皇帝?」
皇帝って国のトップっていうか神様的存在じゃ!?いやそれは天皇だった…それでも国で一番偉い人じゃないの!?
そう思って思わず驚いてしまった。
するとユウは衝撃的なことを言った。
「てか……隣にいるんだよね」
ユウの隣から黒い髪をひとつに束ね背中に垂らしていて目は暗い紅色の活発そうな女の人が出てきた…
「よっ!」
え、この人がまさか
「この人がルレアだよ」
「え!?」
ユウの言葉に思わずさらに驚いてしまった。その女の人が言う。
「イザナギ帝国皇帝、ルレア・レーゥスナだ、よろしく!」
「は、はいっ!!」
もちろん姿勢は正して返事をしてしまう。そりゃそうな訳で目の前にいきなり皇帝陛下が来たら誰でもそうなってしまう……そう思う。
しかし陛下は思いがけない事を言った。
「姿勢を正さなくてもいい……ただ話をしに来ただけだし、敬語じゃなくても大丈夫だ!てか敬語って必要?」
「さすがに必要だよ…」
ユウが突っ込んだ。でも突っ込めるのは凄いなぁと思ったけど。
とにかく返事をしなければと思い、
「わ、分かりましたっ!」
完全に敬語だが当然だと思う……だって敬語じゃなくてもいいって言ってたけど相手皇帝だからね!??
でもそう言ってくれたからか落ち着いた気持ちになれた。
ルレア陛下が部屋の中に入り早速言う。
「突然すまないな……早速だが本題に入らせてもらう…それは君の今の立ち位置についてだ」
「立ち位置……ですか?」
立ち位置…つまり今の状態ってことだと思う。陛下は話を続ける。
「現在だが君は臨時的に帝国軍特務隊の一員として仮だが登録されている。というのも君の体は兵器だからだ」
「…つまり」
「このままだと数日以内に正式に軍人となる、そういう事って訳だ。」
つまり……このままだと戦う事になるということ。
1人の軍人として、敵を殺す事に。
だけども同時にもしあの時自分に力があれば…とも思ってしまう。
なぜかは分からない。だけども兄さんの事は分かる。もしかすると力があれば兄さんを守れる…そう思っていたのかもしれない。
今は多分その力はあるんだと思う。
だけど………
そう思った時に陛下はあっさり言い放つ。
「ま、ここは私の国だ。もし君が嫌ならば民間人になる手配をする事が可能だ。データ…というより話によれば君は強制的に兵器に変えられた人という訳らしいからな」
民間人になる…つまり幸せな世界を掴めるのかな。
でも……
「…でも民間人になるのは逃げる事になる…」
「…逃げ?」
思わず呟いてしまった言葉に陛下は反応する。
「…確かにそうかもしれない。だが、それが逃げる事になるなら私は大罪人だ」
そう陛下は少し笑い言う。
「私はその民間人を戦いに巻き込んでしまっている。しかもその後軍人にさせてだ」
それを聞きユウはなぜか俯いた。
「…そう昔ではない事だが…とある姉妹が軍に連れ去られた。それを知った時には手遅れ、兵器に変えられていた」
「まさか………」
ルレアも苦虫を潰すように俯き言った。
「…ユウはその1人。挙句の果てには特殊部隊を結成させ戦いに投入させている。変えたのは私ではなくとも投入させているのは…私だ」
「でも…ルレアは悪くない!!」
ユウが叫ぶように言う。ルレアは苦虫を少なくして言った。
「それでも私が最高責任者だ…民間人の逃げ道を無くすのは国や人を守るための帝国軍の最大の汚点でしかない。それに比べれば君は…」
「違うんです!」
自分も叫んでしまう。
「この守る事ができる力を持っているのに……それを…使わず…」
「アリス君…」
ルレアが自分の方を見る。
「記憶が無くなってはいるけど…それでも兄さんの事と、兄さんを守れなかった事だけは覚えてるんです……だから力が欲しかった……けども兄さんは」
死んだんだ、そう言おうとする前にユウが言った。
「なら、まずは探すためにここに居ればいいんじゃないかな……見つかったらそのお兄さんと一緒に2人で住んでアリスは軍を抜ければいいだけだよ」
「でもそれじゃ…!」
居ていい理由にならないと思った。だけどもルレアが言った。
「大丈夫、ここで一番偉いのは私だよ。それに…もしも居ていい理由にならないと思うならそれは間違いだ」
心でも読んでるかのように陛下は言ってきた…
「君の力は大きい。だからこそ、この国を守って欲しい。そう思ってるんだ。本当ならずっと居て欲しいがそうもいかないとおもう。だが少しでも…力を貸してくれ」
陛下はなんと頭を下げた。
そして決心した。
兄さんを探し出すまで…ここにいようと。
「…ここに居ていいのなら…」
そう答えると陛下は頭を上げ言った。
「…ありがとう」
こうして私……アリスは新しい名前〈アリス・リリン〉としてここに生きていく…生きるって表現は正しいか分からないけども、ここに居ることにした。
多分…このイザナギ帝国に来れた事が救いだったのかもしれない。
なぜって聞かれても分からないけども…
でも、ここに居たらいつか兄さんを探しに行けると思う。
わがままで自己中で……思い込みかもしれないけど。
それでもアリスはここに居る…
カオスになる予感(語彙力無いことを示す)