「そうだ!街に行かない?」
そうユウが言ったのは陛下が「あ、そいや今日視察あるんだった」と皇帝らしからぬ事を言って忙しく帰っていった後。
「街?」
「うん、街」
僕は流石に聞き返した。すぐにユウが答えたけど。
……-ちなみに一人称は考えても埒が明かないからひとまず確か一番最初に呟いたしいつもそうだった気がする〈僕〉にした。そんなことどうでもいいけど。
「まぁ行ってみれば分かるよ!」
と言うユウに僕はついて行くことにした。
それで行ってみた街は一言で言うと凄かった。
そもそも今いる所はイザナギ帝国の首都……と言うより帝都の〈ヤマト〉と言う所。
あの僕がいた部屋は外は海しか見えなかったから…立地的に。
だから高い建物や街中にあるテレビ…色々な物があった。
自分の記憶にはそんなものは無く…見た事もないのかもしれない。
そんな街の中を歩いているとふとユウが呟いた、
「そいやアリスって可愛いよね、ほら声とか」
「え…?」
少し嬉しかった事は置いといて今気づいたけども確かに声が女の子の声な気がする。
これは…それでも一人称は〈僕〉でいい気はするけど。
「で、でもユウだって可愛いよ!?」
考えながらそう返す。
正直言うとやってみたい一人称はあるけどやるのは恥ずかしいと言うかそんな感じだし…
そう考えてると突然ユウが手を引っ張る。
「あ、あそこ行こっ!」
向かっているのは何やら怪しげな紫の建物。
「ここに未来を当てる占い師居るんだって!」
でも人が沢山いる雰囲気はない。それなら賑わっていてもおかしくないと思うけど…
「でも人いなくない!?」
そうユウに言うと答えが返ってきた。
「当たりすぎて気味悪くなって来なくなったらしいよ」
いや怖いっ!?それほど!??
そうおどおどしてる間に着いてしまった占い師の所に…
占い師はやはり紫の布を被っていて顔も見えない。ただ分かるのは女性だろうという事だけ。
と、ユウと僕の事を見るなり立ち上がった。
「お主たち……一体!?」
「え?」
「えっ?」
ユウと僕は驚いた。占い師は早口で言う。
「そこの女は黒き龍が見える!そこの男は……あまりにも黒き糸が見える!いや待て…お主、この世界の者では無いな?」
「龍!?」
「えっなんで分かったんですか!?」
流石に驚いた。この占い師…本物!?
てか龍って!?えっユウ何者!?
「…まぁ座りなさい」
その言葉に我を取り戻した…二人は座る。
「……残念だが未来に待ち受ける事は言えぬ。その未来は…私の力を用いても見えぬ」
「つまり…とても大きいものが待ち構えていると?」
ユウが聞く。それに占い師はゆっくりと頷く。
「…かもしれぬ。未来が見えぬ者はお主たちが初めて、全く分からぬ。だがそうだな……小さな運命、将来の事なら分かるやもしれぬ。それと風水もだ」
そう言われたら少し気になる。正直どうでもいい事だけども今は一人称が分からないから何がおすすめなのか聞きたい。
「あの……占い師はおすすめの物とかも分かるんですよね?」
「所謂ラッキーナンバーや運勢が上がる物の事か。悪い事を行うのであれば占わんぞ」
「違うんです、一人称のおすすめを聞きたくて」
占い師は少し驚いた様子で見てきた。ユウは少し微笑んだ。
「…それを頼まれたのは初めてだ…全く今日は初めてが多いな」
そうつぶやき相手は何やら水晶玉を出してジーッと見た。
「……ふむ」
「…」
「…」
ユウと僕は固唾を呑んで見守っている。
静かに占い師は口を開いた。
「…どうやらその一人称は運勢には関与しない…つまり私が決めることでは無いが未来では自分の名前と僕を使い分けているようだ」
「そうなんですか…ありがとうございます」
結局何がいいか分からなかった。だけども未来の僕は自分の事を〈アリスは~〉とか言ってるのかな、そう思った。確かにやってみたい一人称だけども……というかこれ知って意味あるのかな?
と、ユウが言った。
「…つまり未来何をしているのかは分からないって事ですよね?」
「そうだ」
占い師が答える。
「でもそれが分かっただけでいいかなって思います…ありがとうございます」
「こちらこそ役に立てなくすまん」
占い師はいい人だ。ただ未来が見えるだけの普通の人なのかもしれない。
…僕も同じなのかもしれない。ただ力を持ってるだけの普通の人なのかも…
結局お金は支払わなかった。相手がいらないと言っていたから。
でも最後にこう呟いてた。「邪龍の子と世界を渡る魔術師の子」と。でも気のせいだったかもしれない。ユウはそれを聞いてないみたいだから。
そんなこんなしてると空が暗くなってきた。
そんなこんなと言うのは…たこ焼き食べたり本を立ち読みしたり…結構色んなことをした。
気づいたら街灯が光り始めた。夜に近づいてきたのかな。
「もうこんな時間なんだ……そろそろ帰ろっか、アリス」
「うん」
そうやって帰ってる途中、広場にたくさんの人が集まっているのを見た。
プラカード?らしきものも掲げていた。そこには『
「こっち来て!」
とユウは焦りつつ僕の腕を引っ張り隠れた。
何が起きているのか分からずただ困ってる僕にユウは言った。
「あいつら……簡単に言うと私たちを壊そうとしてる団体なんだよ…」
「えっ…」
「数ヶ月前、機械人形…つまり私たちリリン型に人の脳が使われていると発表されてから何故か<あいつらは人ではなく人の社会を壊すために現れた悪魔>って噂が流れてそれで……っ来た!」
ユウと僕は地面に伏せた。服が汚れる……
そして反対派は通り過ぎ……た、ギリギリ通り過ぎた。
「危なかった……」
とユウが呟いてる。そういえばあの人たち、何か武器を持ってたけど…というか隠れる必要あったのかな…
そう思い、聞いてみることにした。
「このまま隠れずに居たら見つかってた…?」
ユウは答える。
「うん…あいつらどこから手に入れたか分からないけどリリン型を識別する機械を持ってるんだよね、でも隠れてたら何故か見つからないけど」
つまり何か凄い物を持ってるってことらしい。
「でもまさかここにまで居るとは思わなかった…今まであいつらもここの警備システムは避けられなかったのに…これはやばいかも」
とまたユウが呟く。僕はどうすればいいか分からない。
「……結構やばいこと?」
「ものすっごく。」
僕が聞くと即答で答えられた…結構やばい事という実感はないけど…
ユウが言う。
「早く戻ろう、嫌な事が起きても怖いし」
嫌な事。
それを聞くと何か気分が悪くなる。何故か……
それこそ嫌な事かもしれない。
「わ、わかった…」
僕達は急いでそこから離れた。
もし見つかってたら…その結果は後でわかる事になった。
知りたくもなかった、結果を……
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