僕たちが元いた所から移動して数分。あの人達と多分離れることが出来たと思う。ユウは、
「…だからこのままではこちらに危害が及びます!!」
と軍の輸送車の要請をしている。
なんで僕たちはあの人達に探されなきゃいけないのかな…そう僕は思った。
その時、なにか嫌な予感がした。違う、予感じゃない。視界の右下に表示されてた。
<敵性反応接近>と。
ユウが叫ぶ。
「隠れて!」
しかし間に合わなかった。目の前に出てきたのは…さっきの人達だ。ユウが僕の前に来た。
さっきの人達…いや、<敵>は言った。
「悪魔め……俺らが退治してやる!」
そして……銃を撃ってきた。でも幸いにもビクともしなかった。ユウも僕も、「キンッ」という音だけで弾は貫通しなかった。
「何故そこまでするんですか!?」
ユウが叫ぶ。
でも相手は言った。
「悪魔だからだよ」
次の瞬間、ユウが僕を持って飛んだ。
ユウの背中が白く光ってる気がする。その理由は既に僕の頭の中にあった。
でも……それは無意味だった。
相手がユウに弾を撃って当たった瞬間、その光は消えた。
急激に落ちていく。
「システム…停止!?」
それが僕が気絶する前に聞いた最後の言葉だった…
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「──た。我……悪魔を殺…事が出来…のだ」
意識が朦朧とする。目は覚めたけど……
辺りが暗い。どうやら…ベットの上らしい。ろうそくの火しか無いのかな。
さっきの人達だと思う奴らが話している。
と、僕が目覚めたのに気づいたのか1人が近づいてくる。
「目が覚めたか?」
何故か相手は少し笑顔を浮かべている。
僕は身構える。悪魔と呼ばれたのだから、何をしてきてもおかしくない。
しかし相手は言った。
「そんな固くならないでくれよ……俺たちは君を助けたんだからな…乱暴な手段を取ったとはいえ。というかアレは……」
「助けた…?」
そう言われ呟いてしまった。相手は続ける。
「…まぁ誤解をするのも当然だな。簡潔に言う。君ははめられたんだ。帝国が新しい悪魔、いやあの皇帝、ルレアがリリン型を求めて作られたのが君だ」
「えっ…?」
信じられなかった。あの笑顔が…嘘とは思えないから。
と、相手の後から声が聞こえる。
「やはりです。もう片方も同じです」
「だろうな」
その相手はもう一度僕の方を見る。
「いいか、撃った奴らははっきりいって目的を勘違いしてる奴だ、それは悪かった。本当の目的、それは作られた人間…つまり君たちみたいな人間の脳を使っていない奴らの生産を止め、そして人間の脳を使わせた皇帝の奴らを失脚させることにある」
その目に疑いは無い。本当なのかな…と思った。あの自分のせいだと責めていたルレアさんが黒幕なんて…
その時、残酷なことが起きた。
相手が、撃たれた。相手だけじゃない。その後ろにいた人も撃たれてる。
怖い、逃げたい。でも逃げられなかった。
僕の脚が撃たれた。痛みはない、けど……動けなくなった。
「…綺麗事を。そんなの考えてねーよ!ただ殺したいだけだっての!」
入ってきたのは…狂っていそうな奴。
「遊ぼーぜ、お嬢さん?いや違うか、男だもんな確か」
銃を乱射、僕に向かって撃ってくる。穴はあかないけど……怖い。
ふと頭に何かわからない光景が浮かんでくる。
荒野で……撃たれて……殺されて……
僕は動けなくなった。
涙がでる。機械でも出るんだ……と思う暇なんてない。何故か涙が……撃たれて、何も出来ずに殺される……!
手足が動かない。
ただ、顔は恐怖を写すだけ…
「機械のくせに怖がっちゃってさぁ!!」
相手は撃つのをやめない。
ついに……外が壊れた。
中に弾が入ってきて暴れるのがよく分かる。
お腹に…弾が入ってくる。
痛みがないのがなおさら怖い。画面に赤文字で浮かび上がってくる。
<機体異常 システム異常>と。
このままだと殺される……
「そのまま壊れちゃえよ!!」
僕は多分目を見開いて恐怖のあまり笑っていたのかもしれない。
でも、そんな地獄は終わった。
「壊れるのはお前だよ?」
相手は倒れた……ユウの攻撃、腕の中にある機関銃で。
「ごめん、巻き込んじゃって」
「ユ……ウ…………っ!!」
でも足が動かない。あの攻撃でやられてるから…
するとユウは僕を抱き抱えた。
「もう大丈夫だよ…」
僕は強くユウを抱き締め返した。
怖かった…辛かった……そのその気持ちで思わず強くなった。
と、あの相手に撃たれた人が「ううっ…」と呟きながら動く。すかさずユウは僕を背中に背負い武装の格納ドア?を解放して落ちないようにしてくれた。そして相手に近づき応急処置を施す。
「…ユウ、と言ったか…………?」
しっかりとした声だった。でもユウは言った。
「喋らないで。傷を塞がないと血が出ます」
相手は頷き落ち着いて処置を受けていた。
「…これで暫くは大丈夫です。でも弾を摘出しなければなりません………同行してくれますか?」
相手は答えた。
「…ああ。部下が暴走したのも俺の責任だ、罰は受ける」
「まず治療受けてくださいね……」
と言っていると僕を撃った人が起き上がろうとしていた。すぐさまユウが撃つ……前に処置を受けた人が目にも止まらない速さで相手の腕を撃った。
「貴様…自分の欲に負けたか」
「お前には分からねーよ!!ってかもう手遅れだしなぁ!」
「何…?」
狂ってる奴は言った。
「お前の夢は俺が果たしたんだよ!!俺がてめぇらを撃ったことをアンドロイドがしたことにしてなぁ!!」
「貴様!!」
もう1発撃つ。
「俺の願いは違う……あくまでも正しい情報で失脚させること、それが願いだ!だが貴様は違う!それはただ民衆を操る事に他ならない!」
「お前も同じだってーの!」
狂った奴はまだ撃とうとする。その時、ユウは相手のお腹に機関銃を連射した。僕のされたことを……そのまま返した。
「ぐうぅ…!?」
ユウは言った。
「確かにどっちとも民衆を操ることには変わりない……」
処置を受けた人は驚きユウを見る。ユウはその人を見て、
「あなたはある意味では正しいのかも知れません…人間の脳を使うなんて非人道的、そんな事私が1番感じてますよ。でも……その為に私たちは撃たれた。狂った思想に置き換えられて」
そう言われうつむく。しかしユウは強い声で狂った奴を見て言った。
「だけど1番狂ってるのは貴方です!!」
「狂ってなぜ悪い!!?」
ユウが頭を撃とうとする。その時、外から何かが投げ込まれた。
あれは…石?
外から怒声が聞こえる。
「機械が人に逆らうな!!」
「人殺しの機械が!!」
「お前らはただの兵器だろうが!自分の意思を持つな!!」
「っ…!!」
ユウは苦虫を噛み潰したような顔をした。
そして、ある一言を言われたことで状況は変わることになった。変えてしまった。
「お前らなんて死んで当然だ!てめぇらに兄弟がいたら悲しむだろうなぁ!!」
僕の頭で何かが弾けた音がした。僕は……飛んだ。後になってそれがホバー走行というものであった事を知った。
使い方を知らなかったけど……この時、無意識に使った。
両腕に内蔵されていた機関銃が、封印を解かれた。
「アリスっ!?」
ユウが驚き止めようとする。でも僕は止まらない。ついに外に集まっていた人達の前に出る。
石が投げられる、物が投げられる。
でも僕はその時は頭にきていて何も感じなかった。
人達に銃口を向ける。
ユウが止めようとする。
ダダダダダダッ。
18発、一瞬の間に撃った。
それ以上はユウの制止で撃てなかった。
その18発は、的確に相手へ撃たれた。
死亡者14名、重傷者3名、軽傷者18名。
僕が撃った弾は…無意識に出力を落とした<模擬弾>モードになっていたから相手は軽傷、軽いやけど程度で済んだ。
逮捕者38名。
その中にはあの治療をして生きのびた人もいる。
でもこれで僕は気づいた。
僕を受け入れてくれる人は、限りなく少ない事に……
アリスが黒くなっていってる気がするのは私だけだろうか?