黄泉がえりの権利を掛けて、異世界の決闘者−終わった遊戯王GXへ 作:SOD
可愛く生まれ変わればもう空気男なんて呼ばれない!!
……………はず。
クロノス「ママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママ
マンマ・ミーアーー!!!!???」
デュエルアカデミア校長室から、外部に余裕で漏れ出る程の驚愕の声が上がった。
鮫島「これは……なんと言うことだ…」
大地「お……お久しぶりです。鮫島校長。クロノス教諭。
三沢大地です。」
二人の教師は、かつて学園の生徒だった三沢大地を覚えている。
特に、クロノス・デ・メディチはラーイエローでありながらオベリスクブルーに匹敵する実力と知能を持った三沢を、高く評価していた一人だ。
それ故に。
クロノス「なななななな何故シニョール三沢が、可憐なお嬢さんになっているノーネ!??誰かオセーテー??!」
翔護「…………。」
自然な動作で目を逸らしたのは、その場に同席していた鳴海翔護。
ヒカリ「説明しなくていーんですか?翔護さん」
その背後に身を隠すように立ちながら、翔護の背をつつく彩華ヒカリ。
閻魔「………まさか、本編キャラまで女性化させるとは…予想外過ぎでついていけませんねえ………」
三沢のカラダが作り変えられる現場を目撃してはいたものの、上半身の割とあらゆる部位が捻れていて顔の判別が利かなかったゆえに、本編登場キャラの三沢大地に気付かなかった代紋閻魔は、頭を抱えている。
大地「その……オレも気が付いたらこんな姿になっていたので、何故こうなったのか分からないんです。」
クロノス「なるほどナノーネ。
シニョール翔護、説明して貰えるのデショーネ?」
じろりと翔護を睨むクロノス。
翔護「………あー。まあ、なんだ。
……人助けの結果?」
クロノス「人助けの結果でシニョール三沢が、どうして美少女になっているんテスーノ?当然、納得のいく理由が有るんデショーネ?
アナタは既に一度、彩華光に同じことをしているノーネ。
これ以上生徒の人生を狂わせていくつもりナラ……このクロノス・デ・メディチ。アナタを放っては置かないノーネ!!事と次第によっては即刻退学もあるノーネ!!」
翔護「あ、いやー…退学は今は困るんすよねー……参ったな……」
ありのままに説明すればいいだろうに、何故か翔護は言葉に詰まり、頭を掻いている。
その様子にクロノスが更に一言言おうと口を開いた瞬間……
クロノス「説明出来ないと言うのな--」
ヒカリ「--あーもう!!
何でそんなに一回一回言葉に詰まるんですか!!ヒカリに講義をしてた饒舌はどこに行ったんです!隠し事なんてないんだから、説明すればいいだけでしょう!?しっかりしてくださいよ!」
閻魔「うぇっ!??」
クロノス「マンマミーア!??」
それまで大人しかったヒカリが突然ツッコミを入れたことで、周囲の人間。特にヒカリが翔護に人生を狂わされたことを知っているクロノスと、さっきまでの会話で改善され始めてきた関係性を知らない閻魔は、目を丸くしてヒカリの方に振り向いた。
クロノス(さ、彩華ヒカリ……いつの間に鳴海翔護にそんな強気な発言が出来るほど元気になっていたノーネ!?)
閻魔(ひ…ヒカリさん!??あなた昨日までそんな強気な感じじゃなかったですよね!?何が起きたんですか!?)
翔護「んなこと言ったってよー…説明が難しいんだよ……」(`3‘)
ヒカリ「だからって、他に何か言えるわけじゃないんだからきちんと説明しなきゃダメです!
やってること自体はある意味人殺しみたいなものなんですよ!? 本当に退学になったらどうするんですか!!」( `д´)
翔護「じゃあお前が説明してみろよー……昨夜の突拍子もない状況をよー……」
ヒカリ「………はぁ。
もう。分かりました。
クロノス教諭、実は昨夜ヒカリ達は、正体不明の敵に襲われたんですっ」
クロノス「お、襲われ…?あ、アナタが鳴海翔護を庇うと言うのナーラ、瞬時に嘘と切り捨てるわけには行きませんケレード。
しかし、このデュエルアカデミアは断崖絶壁の絶海の孤島ナノーネ。
いったい誰に襲われたと言うノーネ?」
ヒカリ「それは、ヒカリ達にも分かりませんでした。
ただ、襲撃時にそちらの三沢大地さんは、異世界から来たとしか表現しようのない、謎の空間から現れたんです」
クロノス「謎の……空間……っっ!!」
鮫島「異世界…ですか。
三沢くん。そもそも君は、一体いつデュエルアカデミアに?」
大地「すみません。それが、オレも全然分からないんです。
覚えているのは、オレがまだ精霊界に居たはずだったことと、その時、何者かに襲われたことだけなんです……」
クロノス「…………確かに三沢大地は、我々が精霊界から帰還したあの日、タニヤと残ると言って、そのまま姿を表さなかったーノ。
あの時二度に渡って異世界への入り口が我が学園に開いていた以上、二度あることは三度あるとも言えるかもしれないノーネ」
翔護(精霊界から帰還…?あのオカッパ、精霊界に行ったことがあったのか。)
ヒカリ「ヒカリは、三沢さんとデュエルして…負けました。
でも、その時の三沢さんは、恐らく、送り込んできた敵の干渉を受けて、上半身が首の上までグルグルに捻れる重症を負っていたんです。
少なくとも、現代医学では間違いなく致命傷だと一目で言えるほどでした。」
翔護「よくあんな突拍子もないことを順序立てて説明できるなコイツ……」
ポコッ!
説明中もよほど自分の格好を見られたくないのか、翔護の背に隠れたままのヒカリが、翔護の背中……背格好の関係上腰の位置を殴る。
きっと全然痛くない。むしろ僅かにヒカリが痛そうにしている。
閻魔「ヒカリさんが翔護さんを殴った!??」
ヒカリ「っつ〜!
……もう!!茶化さないで!!説明するのやめちゃいますよ!?退学がいいですか!?」
翔護「あ、はい。すんません。退学は困るッス…」
閻魔「うわぁ……あの翔護さんが大人しく言うこと聞いてる……
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」
ヒカリ「……えっと、クロノス教諭も、鮫島師範もご存知の通り、ヒカリはここにいる鳴海翔護の不思議なチカラで、イタズラに女性に変えられています。
その方法は医学的、あるいは物理的、質量保存の法則などの常識で図れるものではありません。
けど、今回に限って言えば、そのチカラを用いたからこそ、死に体だった三沢さんの命を救うことに成功したと言えます。」
鮫島「…………なるほど。つまり、医学的手術で治せない怪我を治す為に、肉体を女性化--すなわち、再構成した。
そう言いたいのですね?」
ヒカリ「そのとおりです。冴島師範。
敵に操られていたからこそ、カラダは動いてはいましたが、人間は首をやられては生きてなどいけません。
それを助けるためには、翔護さんがチカラを使う以外の方法がなかったんです。
だから、クロノス教諭、翔護さんはイタズラに三沢さんを女性に変えたわけではないんです。」
クロノス「そう、ナノーネ。事情は分かりましたーノ。
そういうことナーラ、ワタクシからはこれ以上は言いませんノーネ。」
鮫島「ふむ。となると、問題は、三沢くんの気持ちですね。
急に本人の意思とは関係ないところで、性別が変わってしまったわけですが……」
三沢「そうですね…いきなり女性に変わったのは、ともかく。言ってみれば、彼は命の恩人ですから。オレからは、特には。
鳴海。助けてもらって、ありがとう。」
翔護「お、おう。ずいぶん切り替え早いんだな……。」
三沢「死んでしまったら、元も子もないからな。
こうなってしまったからには、折り合いをつけて生きていくさ。」
翔護「そうか。なら、いい。」
少しだけ肩の力を抜いて、翔護は座っていたソファに深く腰を落ち着けなおした。
ヒカリ「三沢さん。改めまして、彩華ヒカリです。
ヒカリもあなたと同じ境遇の人間なので、困ったらいつでも言ってくださいね。」
三沢「ああ。ありがとう。彩華。たすかるよ」
ヒカリ「いえいえ。
それと、昨夜はボロ負けしちゃいましたけど、次は勝ちますからね!」
三沢「ああ。」
ロリロリと幼女と、艷やかな黒髪の、やはり背が小さめの少女が熱のこもった眼差しで視線を交わしあう目に優しい光景もそこそこに、代紋閻魔は無粋にもそこに割り込み、話を変えていった。
閻魔「では話が纏まったところで、三沢大地さん。
あなたは精霊界にいたんですよね?
唐突ですが、その時のお話を聞かせてもらえませんか?」
三沢「精霊界について?それは構わないが、いったい何を聞きたいんだい?」
閻魔「ずばり、私達はとある人物を探しているんです。と言っても、会ったこともなければ、どんな人物なのかも情報がなくて、
ただ【王の残滓】っていう名称だけで探している状態で……無理を承知でお聞きしますが、精霊界ではそのような名前に該当するデュエリストに心当たりはないでしょうか?」
三沢「王…………王の…残滓……か」
閻魔「心当たりがあるんですか!?」
三沢「すまない。そういうデュエリストに心当たりは……無いな。」
過去に、友人が覇王を名乗り世界を恐怖で支配しようとしていたことがある三沢大地としては、引っかかることが無いでもないが。
そこから残滓と呼べるものに結び付けられる情報は、思いつかなかった。
閻魔「そうですかー……やっぱりそうですよねぇ…」
心の底からガックリした閻魔をよそに、翔護は特に気にせず、話題の主軸を三沢大地に戻す。
翔護「………んで、三沢よぉ。アンタこれからどうするんだ?
精霊界にいたはいいが、還れるのか……いや、そもそも還りたいのか?」
三沢「そう、だな。向こうで共に過ごした仲間もいる。
方法が有れば、もう一度行きたいと思うよ。」
翔護「……そうか。
なら、オカッパマン。アンタにも聞いておきたいことがある」
クロノス「オカッパマンとはまさかワタクシのことではないデショーネ!?」
翔護「アンタ、精霊界とやらに行ったことがあるみたいな口振りだったが、どうやって行ったんだ?」
歯茎むき出しでギリギリ威嚇していたクロノスだったが、途端に真顔になり、大人の表情を見せた。
その変化に、クロノスの授業を一年受けていただけのヒカリは勿論、実はかなり節穴である鮫島も驚いたような仕草をしている。
クロノス「…………シニョール翔護。
まさか、精霊界に行くつもりでは、無いデスーネ?」
翔護「今の所、その予定は無いな」
クロノス「…………………そうデスーカ。なら、ワタクシから精霊界について教えることは何もありまセン。」
翔護「………教師としての責任か?」
クロノス「その通りデスーノ。
ワタシは、あそこでこの世の地獄を。何より、人の心の闇を見てきたノーネ。
アレから、2年。月日が経って、元凶だった存在も学園を去り、一度たりとも精霊界の扉は開いていませンーノ。
ただの一般人なら、それでおしまいデスーガ、アナタには不思議なチカラがありマース。
万が一にも、再び精霊界の扉が開き、あの時の事件が繰り返されることだけは、あってはなりませんノーネ。
……シニョール三沢。アナタも、くれぐれもその件は他言しないで下サーイ。
あの時の一年生。今の三年生は、誰一人として……あの時をまだ過去だとは、思っていないのですカーラ。」
三沢「…………分かりました。」
クロノス「シニョール翔護。貴方にもくれぐれも注意しておきますーノ。
精霊界に関する事は、我が校で一切の行動が許容出来ませン。
もし、貴方の行動で精霊界の扉が開いたその時は………一人の人間として、貴方に責任を取って頂きますノーデ、そのつもりでいてくだサーイ。」
真剣な瞳が、翔護を直視する。
その目は、名誉や金、権力に弱い平常時のことなど感じさせない。
アニメ本編中でも屈指の、大人としてのクロノス・デ・メディチそのものだった。
翔護「………………それだけマジな目で言われちまうと、な……」
それだけ言うと、鳴海翔護は校長室を去っていった。
ヒカリ「あ、待ってくださいよ翔護さん!!
失礼しました。」
そして、自分の服装の関係で翔護から離れるのは都合が悪いヒカリも、急いであとを追う。
残ったのは
鮫島とクロノス。そして、閻魔と三沢の4人だ。
鮫島「…………唐突ですが、三沢くん。キミはしばらくこの学園にいるのはどうですか?キミのカラダのことも突然でしたし、何より定期便は暫く出ません。
不幸中の幸いとして、先程の彼女。彩華ヒカリも、キミと同じ境遇だ。
気持ちの整理が付くまで、仲間がいるだけでも、心は楽になるでしょう。」
三沢「………ありがとうございます。お言葉に甘えて、暫くお世話になります。」
クロノス「シニョール三沢。ここは貴方の母校ナノーネ。
それに貴方のかつての成績なら、仮にアカデミアの実技担当教師としても充分やっていけるハズですノーネ。
デスカラ、ゆっくり気持ちの整理をつけると良いノーネ。」
三沢「……はい。ありがとうございます。クロノス教諭。」
コクリとうなずくクロノス。その表情は、教師として愛する生徒を見守るものだ。
クロノス「シニョーラ閻魔。
彼
閻魔「……はい。三沢さんも。ヒカリさんも。もちろん翔護さんも。
しっかり私が見ておきます。
これでも、閻魔ですから。」
代紋閻魔、こう見えて一番年上です。
あんだけぞんざいな扱いをされてて年上で美人のお姉さん。
興奮しますね。ドンドンぞんざいにしなければ!