無限の成層圏と煉獄騎士   作:ZZZ777

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遂に!学園祭が!スタート!
長かった...

今回もお楽しみください!


開幕、学園祭!

一夏side

 

 

今日は、いよいよ学園祭当日だ。

朝から開幕を知らせる花火が打ちあがっている。

そして、IS学園の生徒は全員テンションが物凄く高い。

それは当然だ。

俺は準備に参加していないからあまり思い入れというのが発生していないが、みんなここ最近はこの学園祭に向けて精一杯準備をしてきたのだ。

そりゃあテンションが上がって当然だ。

それは我々1年1組も同様だ。

現在は、メイド喫茶開店約15分前。

メイド喫茶の開店時刻と学園祭の開催、つまり外部からのお客さんの来場は同時なのでIS学園正門前やモノレール駅には様々な来賓の方が来ている事だろう。

 

 

「さぁみんな。あとちょっとで学園祭が始まる!」

 

 

そして、俺は執事服を着用し、完全にメイド喫茶仕様になった教室でみんなの前に立っている。

執事服を着るのは衣装合わせの時以来2回目だから違和感がるけど、何となくチェルシーとお似合いなようで嬉しい。

そうして、目の前に集まっている深夜は執事服、それ以外のみんなはメイド服、調理班のみんなはエプロンを着用している。

こうなってみて感じるのは、やっぱりメイド服はチェルシーが1番似合ってる。

って、今はそれ関係ないか。

 

 

「初日の話し合いと衣装合わせ以外準備に参加してない俺がこうやって仕切っている事にふざけんなと思うかもしれないが、まぁ許して欲しい」

 

 

俺がそう言うと、深夜以外のみんなは笑みを浮かべながら首を横に振る。

おお、許してくれたようで良かった。

 

 

「さて、このメンバーで、IS学園1年生としての学園祭は今回しか無いんだ!楽しんでいこう!!」

 

 

『おおー!!』

 

 

俺の言葉に応じて、みんながやる気の籠った声を発する。

 

 

「良し!開店するぞ!準備!」

 

 

『おおー!!』

 

 

そうして、俺の掛け声に応じてみんなが開店に向けた最終準備を開始する。

テーブルの確認だったり、お冷の準備。

そして、調理班は直ぐに調理が開始出来るようにフライパン等を準備をし、調理室に向かっていく。。

 

 

「じゃあ、呼び込み行ってくるね!」

 

 

「行ってらっしゃい!」

 

 

清香やさゆか、そして深夜を始めとした何人かのみんなは呼び込み用のチラシやプレートを持って教室を出ていった。

さて、俺も準備しないとな。

俺は雰囲気づくりの為にお盆を持って、メイド喫茶の入り口にスタンバイする。

俺の仕事は席への案内と単品メニューの運搬だから、取り敢えず最初は席案内だけだな。

 

 

「ん、んん」

 

 

俺は営業スマイルの準備をしながら喉の調子を整える。

そうして、暫く待機していると遂に開店の時間になった。

その瞬間に入り口が開き、3人の女子生徒が入って来る。

 

 

「いらっしゃいませ、お嬢様方」

 

 

その入って来た女子生徒達に対して営業スマイルを浮かべながらそう声を発する。

すると、その生徒達は

 

 

「「「/////」」」

 

 

何故か一斉に顔を赤くする。

本当に何でだ。

だが、今の俺は執事だ。

顔や声に出してはいけない。

 

 

「では、お席にご案内いたします。どうぞ」

 

 

そうして、俺は生徒達を席に案内する。

 

 

「では、ごゆっくりと」

 

 

俺は最後にそう声を掛け、次のお客様の元に向かう。

 

 

「いらっしゃいませ、お嬢様」

 

 

「///」

 

 

だから何で顔を赤くするんだ?

俺はそんな事を考えながらお客様を席に案内する。

 

 

そうしてすぐさま満席になる。

満席になった後は俺は単品メニューを席に運ぶ。

 

 

ふぅ、かなりの大盛況だな。

お客様が途切れない。

 

 

「4番テーブル!オムライスとメロンクリームソーダ!」

 

 

「はい!」

 

 

「これ、3番に持って行って!」

 

 

「分かった!」

 

 

ドンドンと調理班が作っておいたストックが減っていき、ドンドンとストックが運ばれてくる。

そうして運び込んでおいたカセットコンロや電子レンジで温めて、お客様に出す。

それの繰り返しだ。

そうして食事などを終わらせたお客様は帰って行き、新たなお客様が入って来る。

 

 

「いらっしゃいませ、お嬢様方」

 

 

そのお客様を席に案内する。

 

 

そうして、開店してから約1時間。

お客様が途切れたことは1度もない。

そしてIS学園生徒以外の来賓のお客様もちらほらと来店されるようになってきた。

まぁ、殆どが俺目当てかな。

 

 

「いらっしゃいませ、お嬢さ...」

 

 

「はぁい一夏。頑張ってるわね」

 

 

「一夏さん、お疲れ様です」

 

 

「社長!蓮子さん!」

 

 

やべぇ!

急に羞恥心が!

そして、俺が社長と言ってしまったため店内の視線がこっちに集中する。

 

 

「あ、あれが『PurgatoryKnights』の社長...」

 

 

「す、すごい美人...」

 

 

そして他のお客様やクラスメイトがそんな事を呟く。

だが、社長はそんな事を気にしていないようで、笑顔で俺に言葉を掛けて下さる。

 

 

「一夏、似合ってるわよ」

 

 

「フフ、そうですか。ありがたいお言葉です」

 

 

俺は社長の言葉に笑みを浮かべながら返事をする。

例え相手が社長でも、今は執事を止める事は許されない。

 

 

「では、お席にお案内いたします」

 

 

「ええ、お願いね」

 

 

そうして、俺は社長と蓮子さんを席に案内する。

 

 

「では、ごゆっくりお楽しみください」

 

 

そして、俺は社長と蓮子さんに頭を下げてから席の近くを離れる。

 

 

「一夏君!これ5番!」

 

 

「了解!」

 

 

その瞬間にメロンクリームソーダ単品を渡されたため、俺は指示された5番テーブルに持っていく。

 

 

「お待たせいたしました。メロンクリームソーダ単品でございます」

 

 

「あ、ありがとうございます///」

 

 

だから、何で顔を赤くするんだ?

っと、新しいお客様が...

 

 

「いらっしゃいませ、ご主人様」

 

 

おお、男の来賓の方だ。

...男にご主人様って言われるのって如何なんだろう?

まぁ、考えなくていいか。

 

 

そこから更に1時間、社長と蓮子さんはもう既に退店している。

だが、お客様は本当に途切れない。

他のクラスがどうなってるのか知らないが、他のクラスまでこうだったらやっぱり来賓が多い事になる。

 

 

「いらっしゃいませ、ご主人さ」

 

 

新しいお客様が入って来たので、俺はそっちの方向を見ながら来店の挨拶を言う。

だが、その人物の顔を見た瞬間思わず固まってしまう。

金髪の髪にスーツを着用した男性。

俺は最低限の身だしなみを整えて改めて言葉を発する。

 

 

「初めましてですね、アルベール・デュノア社長」

 

 

そうして、俺は笑みを浮かべる。

そう、この人はデュノア社社長でありシャルの父親の、アルベール社長だ。

 

 

「ああ、初めましてだ。織斑一夏君」

 

 

そして、アルベール社長はそう言って微笑みを浮かべる。

 

 

「あ、あの人!リヴァイブのデュノアの社長じゃない!?」

 

 

「ほ、本当だ!でも、今確かデュノア社って『PurgatoryKnights』の傘下だったよね!?」

 

 

「って事は、織斑君とどっちが偉いんだろう...」

 

 

こらこら、そんな事を言うんじゃないよ。

 

 

「織斑一夏君、本当にあの時はありがとう」

 

 

「いえいえ、気にしないで下さい。それでは、お席にお案内します」

 

 

俺がアルベール社長と短くそう会話した後、席に案内する。

...部下の父親で、所属企業の傘下企業の社長との初対面が執事服って如何なんだろう...?

ま、まぁ仕方ないよね。

 

 

「では、ごゆっくりお楽しみください。そして」

 

 

ここで、俺は1回4番テーブルで接客しているシャルに視線を向ける。

それにつられて、アルベール社長もシャルに視線を向ける。

 

 

「何かありましたら、何なりとお申し付けくださいませ」

 

 

「...ああ、そうさせてもらおう」

 

 

「では」

 

 

俺は頭を下げてから席から離れる。

 

 

そうして、そこから30分後。

さっきまで全くという程途切れなかったお客様がチョッとずつ減って来て、とうとう空席が目立つようになってきた。

 

 

「一夏さん、少々休憩しませんか?」

 

 

すると、セシリアがそう声を掛けてくれた。

セシリアも当然ながらメイド服を着用しているのだが...多分クラスメイトの中で1番違和感がある。

セシリアは普段、メイドを雇っている側の人間だ。

そんな人間がメイド服を着ているのだ。

違和感がありまくるのは当然である。

いや、待て。

今日チェルシーは私服で来るんだよな。

セシリアがそう言ってたから間違いない。

って事はだよ。

ここに来たら普段の立場逆転って事か。

 

 

「一夏さん?如何しました?」

 

 

「あ、ああ。大丈夫だよ。それよりも、良いのか?休憩貰って」

 

 

俺が1人で考えていると、セシリアがそう声を発した。

今後1人で考え込むのは止めよう。

 

 

「はい、今はお客様も減っていますので」

 

 

「分かった。じゃあ休憩貰おう。お昼時には帰って来る」

 

 

こうして、俺は休憩を貰った。

さて、クラリッサとチェルシーに合流したい!

会えると良いんだけどなぁ...

 

 

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三人称side

 

 

「.....クラリッサとチェルシーに会えない!」

 

 

《仕方が無いだろ、この人数だ》

 

 

休憩を貰った一夏は、海老カツサンドを職員室近くの廊下で食べながらそう不満気な声を発していた。

職員室近くはIS学園生徒並び関係者以外立ち入り禁止で、この近くでの出し物も無い。

そして教員の殆どは警備に出払っているため、今現在ここは一夏とディミオス以外いないのである。

 

 

「だって!折角同じ空間にいるのに会えないだなんて!」

 

 

《まぁ、それはな...》

 

 

「確かに、しょうがないけどさ...」

 

 

ディミオスと会話した一夏はため息をつく。

そうしてそのまま海老カツサンドを食べ終わる。

 

 

「ご馳走様でした」

 

 

一夏はそう呟くと、ゴミをしっかりと片付ける。

 

 

「此処は静かでいい...」

 

 

《如何考えたって高校生の感想ではないな》

 

 

ディミオスにそう言われて、一夏は苦笑いを浮かべる。

学園祭に参加している高校生で、こんなにもテンションが高くないのは一夏くらいだ。

その事を一夏も思ったからだ。

 

 

「まぁ、元々私生活が高校生じゃないからな」

 

 

《それが問題なんだ》

 

 

「ははは...如何にかなんないかねぇ」

 

 

《少なくとも、日本政府と国際IS委員会と女性権利団体が変わらないと如何にもならないな》

 

 

「そうなんだよなぁ」

 

 

「《はぁ...》」

 

 

一夏とディミオスは同時にため息をつく。

 

 

「まぁいいや。それよりもディミオス、今度煉獄騎士団でピクニック行かない?」

 

 

《何処にだ?》

 

 

「うーん...楽園天国?」

 

 

《確かに、息抜きという面ではこれ以上ない場所だな》

 

 

一夏が提案したピクニックという案と場所を聞いて、ディミオスは暫く考える。

 

 

《我としては構わないが、お前にその時間はあるのか?確か、学園祭が終わったら会議まみれじゃなかったか?》

 

 

「そうなんだよ。だから、行くとしたら仕事が落ち着いてからだ」

 

 

《果たして、何年先になるかな》

 

 

ディミオスのその言葉に、一夏は苦笑いを浮かべる。

そうした後、軽く伸びをしてから

 

 

「じゃあ、そろそろ行こう。折角の学園祭だ!楽しまないとな!」

 

 

と言葉を発する。

そうして、一夏はディミオスと共に出店が出ているエリアに移動する。

そこには当然生徒や来賓の人が集まっている訳であり、一夏は執事服を着用し隣にディミオスがいる事も相まって物凄く注目されている。

 

 

「さて、休憩も長いようで短いからな。何しようか...」

 

 

そうして周りをぐるっと見ていると、一夏はとある人物を見つける。

 

 

「お~い!蘭!」

 

 

そうしてその人物...蘭に声を掛ける。

声を掛けられた蘭は身体をビクっと震わせてから一夏の方に身体の向きを回転させる。

そんな蘭に一夏は苦笑いを浮かべながら近付く。

 

 

「蘭、如何だIS学園は?」

 

 

「あ、はい!凄いですね!学園祭なのに、床とかが綺麗に保たれたままですし、チラッと見えた施設も高そうなものばかりですし」

 

 

「実際高いからな。因みに、IS学園の備品の70%が『PurgatoryKnights』製だ」

 

 

「そうなんですか!?やっぱり凄いですね...」

 

 

そんな感じで、一夏と蘭は軽く会話をする。

一夏が来賓の中学生と仲良く会話しているという光景に、周りは驚いたような表情を浮かべている。

 

 

「それにしても、一夏さん、その恰好...」

 

 

「ん?ああ、クラスの出し物がメイド喫茶なんだ。だから、男の俺は執事の格好をね。似合ってないか?」

 

 

「いや!似合ってると思います!」

 

 

「そりゃあ良かった」

 

 

一夏はそう言って笑みを浮かべる。

そんな一夏の笑顔に、蘭と周りで2人のやり取りを見ていた生徒達は顔を赤くする。

その光景を見た一夏は首を傾げる。

 

 

《一夏、そろそろ戻らないとまずいかもしれない》

 

 

「もうそんな時間か?」

 

 

ここで、ディミオスが一夏にそう声を掛け、一夏は腕時計で時間を確認する。

蘭はディミオスを見たことで驚いている。

 

 

「えっと...一夏さん、これは...」

 

 

「ああ、俺のバディのディミオスだ」

 

 

《一夏のバディ、『PurgatoryKnights』製ロボットのディミオスソードだ》

 

 

蘭に聞かれたため、ディミオスは咄嗟に自己紹介をする。

どんな時でもロボット設定を忘れないようにしているので、違和感等は生じさせない。

 

 

「じゃあ蘭、俺そろそろ戻らないといけないから。楽しんで行ってくれよ!」

 

 

「はい!」

 

 

最後に一夏は蘭に向かってそう言うと、足早に自分の教室に戻っていく。

そうして、自分の教室前に来た一夏が見たのは、途轍もない大行列だった。

 

 

「マジか」

 

 

《頑張れよ》

 

 

ディミオスはそう言うとカードに戻り執事服の胸ポケットに入る。

それを確認した一夏は教室内に戻る。

 

 

「織斑一夏、戻りました!」

 

 

「一夏!早く次のお客を席に案内した後これを3番!」

 

 

「了解!」

 

 

戻ったとたんに一夏はラウラから指示を飛ばされる。

そのまま一夏は指示に従い、客を席に案内する。

 

 

「では、私はこれで」

 

 

そうして頭を下げて席から離れ、単品のドリンクを3番に運ぶ。

 

 

「お待たせいたしました」

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

ドリンクを運んだ一夏は、そのまま入り口の方に向かい次の客に営業スマイルで話し掛ける。

 

 

「いらっしゃいませ、お嬢様方。お席にお案内します」

 

 

「は、はい///」

 

 

(だから何で、顔を赤くするんだよ)

 

 

それから約40分後。

お昼時のピークを乗り越え、漸く余裕が出て来た。

 

 

「はぁ、はぁ」

 

 

[マスター、どうかしましたか?呼吸が荒いですが]

 

 

(白騎士...いや、普通に疲れたんだよ)

 

 

[そうなの?でも、何時もより格段に呼吸は荒いよ?大丈夫?]

 

 

(ああ、大丈夫...だと思う)

 

 

一夏は白式と白騎士と軽くそう会話する。

 

 

[マスター、辛かったら保健室に行った方が良いよ]

 

 

(白式、そこまでじゃないから大丈夫だ)

 

 

一夏はここで会話を終了させる。

その時に、丁度新しい客が教室前に来たことを一夏は察した。

その為入り口付近にスタンバイする。

 

 

「いらっしゃい、ま、せ...」

 

 

そうして、一夏は入って来た客に向かって挨拶をしようと口を開いて、思わず固まってしまう。

何故なら

 

 

「「一夏!」」

 

 

「クラリッサ、チェルシー...」

 

 

そう、その客がクラリッサとチェルシーだったからだ。

2人とも私服を着用し、一夏に向かって笑顔で声を掛ける。

そんな2人を見た一夏はというと、少し顔を逸らしてしまう。

だが、それも仕方が無いだろう。

一夏は休憩時間の間ずっと2人の事を考えていて、漸く2人にあえて、しかも笑顔を見ることが出来たのだ。

それだけじゃない。

クラリッサもチェルシーも、夏休みに一夏がプレゼントしたアクセサリーを身に着けていたのだ。

逸らした顔の口元には確かな笑みを浮かべていた。

 

 

(ヤバい!2人とも可愛い!俺のプレゼントしたアクセサリーも身に着けてるし!)

 

 

(一夏、執事服似合ってる!)

 

 

(一夏、カッコいい!)

 

 

3人とも恋人が大好きなので同時にそんな事を考える。

だが、一夏は勤務中であることを思い出し、のどの調子を整える。

そして、

 

 

「いらっしゃいませ、お嬢様方」

 

 

と、今までの営業スマイルとは異なる、ニコッとした心からの笑みを浮かべる。

それを見たクラリッサとチェルシーは顔を若干赤くするが、直ぐに笑みを浮かべる。

 

 

「では、お席にお案内いたします」

 

 

そうして、一夏は2人の事を席に案内する。

席に座ったクラリッサとチェルシーに、ラウラとセシリアが視線を向ける。

その時、2人が少し驚いたのは仕方が無いだろう。

ラウラとセシリアは、2人が関わっている事を知らないのだ。

それなのにも関わらず相席しているのだから、驚かない方がおかしい。

 

 

(さて、次に...)

 

 

「では、ごゆっく」

 

 

一夏の、その言葉は、途中で途切れた。

いや、途切れざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がはっ!」

 

 

 

 

 

 

 

びちゃ!

 

 

 

 

 

その音は、突然教室内に鳴り響いた。

全員一斉に、その音の発生源に目を向ける。

そこには、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あ...?」

 

 

口元を抑えている、一夏がいた。

一夏の足元には、赤い水たまりの様なもの...血だまりがある。

その足は、ガクガクと震えている。

一夏は口元から手を離す。

その手には

 

 

 

 

 

 

 

べっとりと血が付着していた。

一夏はそれを視認した瞬間、足から力が抜け、血だまりへと倒れ込む。

 

 

 

びちゃ!

 

 

 

また、そのような音が教室内に響く。

 

 

 

「がはっ!ごふっ!う、おぇ!はぁ、がはっ!」

 

 

 

「「一夏ぁ!!」」

 

 

倒れ込んだ一夏は、口から大量の血を吐き出す。

1番近くにいたクラリッサとチェルシーが慌てて席から立ち上がり一夏に駆け寄る。

 

 

「あ、あ、ぁ...」

 

 

傾いて、朧げな視界で駆け寄って来る2人を見た一夏は、

 

 

「一夏!」

 

 

「一夏ぁ!」

 

 

[マスター!]

 

 

[何で、急に!マスター!]

 

 

そんな声を僅かに認識しながら、意識を失った...

 

 

 

 


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