前回後書きを書いて無いのはわざとです。
今回もお楽しみください!
三人称side
ピ、ピ、ピ、ピ
IS学園、医務室。
此処は通常の保健室とは異なり、大学病院の様な最先端の医療機器が備わっている場所。
世界で唯一ISを学ぶための学園であるIS学園だからこそ存在する場所である。
そんな場所に、1人の男子生徒...一夏が、ベッドの上にいた。
一夏がここにいるのは、今現在も行われているIS学園の学園祭で1年1組が行っていたメイド喫茶にて、突然血を吐き倒れたからだ。
一夏が倒れた教室は、一気にパニックに陥った。
それは当然だろう。
目の前で一夏が吐血して倒れたのだ。
しかし、そんなパニックな状況でも何とか冷静だったラウラがクラリッサ、胸ポケットからSDで出て来たディミオスと共に応急処置。
チェルシーが近くにいた教員に連絡。
連絡を受けた教員はそのまま他教員に担架を持って来てもらい、一夏を医務室に運んだ。
そして、今も一夏は意識を取り戻さず眠っている。
顔についていた血はしっかりと拭かれていて、服装も血まみれの執事服から入院着になっている。
そして口には酸素マスクを付けられていて、腕には点滴用の針が刺さっていて、身体には電極が貼られている。
そんな一夏が眠っているベッドの横で一夏の事を見守っている1人と1竜。
「一夏...」
《.....》
千冬とディミオスである。
ディミオスは医務室に一夏が運ばれるときにそのまま付き添い、千冬は運び込まれた後一夏が倒れたという事を聞き、担任であるという事と姉であるという事で入室を許可されたのだ。
「ディミオスソード...一夏は、何故...」
《それは我にも分からない。だが、休憩中は我や友人と笑顔で会話できるほどに体力はあった。だが、倒れる前、やけに息が荒かったのを覚えている》
千冬の問いに、ディミオスは冷静にそう返す。
「そ、そうか...」
(一夏...お前は無茶をし過ぎなんだ)
千冬は物凄く一夏の事を心配していた。
何年も前から...それこそ、織斑計画で生み出された時から、千冬は一夏と暮らしてきた。
今はマドカという新しい家族も出来てはいるが、それまではずっと2人で暮らしてきたのだ。
そんな大事な弟が吐血して倒れて、心配しない姉などいない。
《一夏...》
そして、それはディミオスも同様だった。
ディミオスはあの日から、一夏と初めて会話したあの時からずっと一夏のバディとして共に過ごしてきた。
基本的にSDで一夏の隣にいるか、カードで一夏のポケットに入っているかなので、常に一緒にいるのだ。
一夏が倒れて心配しないわけが無い。
そうして大体10分が立った時、医務室の扉が開き
「織斑君の身体検査の結果が出ました」
と言いながら医務室に勤務している医師、エミリー・シエントが入って来た。
「シエント先生!一夏は、一夏は大丈夫なんですか!?」
「織斑先生、織斑君が心配なのは分かりますが落ち着いて下さい」
「す、すみません」
千冬はエミリーに思わず詰め寄るが、エミリーに宥められ落ち着く。
そうして、千冬が落ち着いたことを確認したエミリーは言葉を発する。
「織斑君はまだ意識が戻っていないものの取り敢えず命に支障は無いです」
その言葉を聞き、千冬とディミオスは同時にホッと安心したように息を吐く。
それを確認したエミリーは、口を開き言葉を発する。
「それで織斑君が倒れた原因なのですが.....先ず、過労では無いです」
「な!?」
《やはりな》
エミリーの言った事に、千冬は驚きの声を発し、ディミオスは納得したように頷く。
「な、何で納得して...」
《過労というだけだったら、吐血するまで身体にダメージは入らないだろう。過労だけだったら内臓へのダメージは無いのだからな》
「た、確かに...」
千冬はディミオスが直ぐに納得していたことに疑問を感じていたが、ディミオスの説明で納得をした。
《それで、一夏の身体の何処に異常があった?》
ディミオスは、エミリーに向かってそう質問をする。
それに合わせて千冬もエミリーに視線を向ける。
だが、視線を向けられたエミリーは表情を曇らせている。
「それが、その...織斑君の身体には、
「《な!?》」
その衝撃的な言葉に、今度はディミオスまでもが驚きの声を発する。
だが、それは当然だろう。
吐血をして倒れたというのに、内臓を含め異常がないというのだから、驚かない方がおかしい。
「そ、それは本当なのですか!?」
「はい。内臓や骨へのダメージも無く、血液にも異常な数値は無し。ウイルス等の検査でも陽性反応は無く、吐血してしまった事で多少は血圧等の数値が平常時と差がありますが、これくらいなら異常とは言えないです」
エミリーのその説明を受けて、ディミオスはチラッと一夏が眠っているベッドの横に置いてあるダークコアデッキケースに視線を向ける。
(...この間のように、また白式と白騎士が治療したのか?だが、一夏は煉獄騎士を身に纏っていないどころか直接ダークコアデッキケースに触っていない...それでも治療できるのか?)
そうして、ディミオスはそう考える。
だが、自分で考えても分かるわけが無いし、今ここでは白式と白騎士と会話出来ないので取り敢えず後でと意識を切り替える。
「そ、それじゃあ一夏が倒れた原因は、分からないんですか?」
「はい、残念ながら...」
千冬の問いに対して、エミリーは悔しそうな表情を浮かべながらそう言う。
この医務室に勤めている医師であるのに、患者が倒れた原因が分からないのが悔しいんだろう。
《...何か、どんなものに症状が似ているとかは無いのか?》
ディミオスのその質問に対して、エミリーは考えるように顎に手を置く。
そうして大体5分後。
エミリーは顎から手を離して言葉を発する。
「正直に言いますと、心あたりがありません。こんなに異常が無いのに症状が出るというのは、もうアレルギーか拒絶反応くらいしか...」
「アレルギーか、拒絶反応?」
「はい。ウイルスもない、内臓も問題ない、ならもうこの2つくらいしか...」
《だが、一夏はアレルギーを持っていない。それに、拒絶反応とは?》
「例えば、体質が合わない人からの臓器を提供されるときにおこるあれです」
《.....それにも心当たりはないな》
結果的に、本当に原因が分からないという事を再認識した。
千冬とエミリーは同時にため息をつく。
だがディミオスは一夏に視線を向けて
(拒絶反応...仮にそうだとして、いったい、何が...)
そんな事を考える。
「ではシエント先生、私は取り敢えずこの事をクラスに説明してきます」
「分かりました。私も学園長などに報告、容態悪化の際の準備もしておきます」
《では我はこのまま様子を見ているとする》
このような会話の後、千冬とエミリーは医務室から出てそのまま千冬は1年1組の教室に、エミリーは学園長室に向かって歩き出す。
そうしてこの場にはディミオスと未だに眠ったままの一夏だけになった。
《お前に、何があったんだ》
ディミオスは、一夏の顔を見ながらそう呟くのだった...
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医務室を出た千冬が1年1組の教室に戻ると、そこには1組の生徒全員とマドカが集合していた。
一夏が吐血をして倒れたという事を聞き、休憩中だったり呼び込みをしていた生徒は一斉に教室に戻って待機していたのだ。
マドカも同様で、クラスメイトから1組に行けと言われたため、この場で千冬が来るのを待っていたのだ。
そして、1組生徒とマドカ以外は既に教室から出ており、現在は別の所で待機している。
クラリッサとチェルシーは医務室に行くか残ってたいと思っていたが、こんな混乱している状況で我儘を言える状況じゃないと判断したため、大人しく移動をして、それぞれラウラとセシリアからの連絡を待っている。
そして、教室内はメイド喫茶仕様のままだったが、机などは壁際にずらしてあり、床に付着していた一夏が吐いた血も綺麗に拭きと取られている。
「お、お姉ちゃん!お兄ちゃんは、お兄ちゃんは!?」
千冬が教室に入って来た途端、マドカが焦りながら千冬に近付きそう聞いてくる。
そんなマドカの後ろでは、深夜を除く1組の生徒全員がマドカと同じような表情を浮かべている。
「一夏は、取り敢えず命に支障は無いとの事だ」
千冬のその言葉で、全員が一斉に安心したように息を吐く。
マドカがお姉ちゃんと呼んでも怒らない事、そして一夏の事を名前で呼んでいる事から千冬も一夏の事を大分心配している事が分かる。
「よ、良かったぁ...本当に良かったぁ...」
そう呟くマドカは、目元に涙を浮かべている。
「織斑先生、一夏が倒れた血を吐いた原因って...?」
マドカと同じく目元に涙を浮かべているシャルロットが千冬にそう質問をする。
その質問に応じて、深夜以外の生徒の視線が千冬に集まる。
「あ、ああ。それが...」
だが、千冬は表情を曇らせてからさっきエミリーからされた説明をそのまま全員にする。
千冬の説明を聞いた生徒達は、驚いた表情を浮かべる。
「げ、原因不明の吐血...という事ですか?」
「そうだ」
ラウラが口にした疑問に、千冬はそう返事をする。
千冬が肯定したことにより全員が混乱するが、やがて考えても分からないという事に気付き、いったん考察を止めた。
「織斑先生、取り敢えず会社に連絡を入れていいですか?」
「あ、ああ。問題ない。一夏が倒れた時教室内にいた1組生徒以外の人に連絡が取れるのなら説明をしても構わん」
シャルロットが会社への連絡の可否の確認を千冬にし、千冬はそう返答する。
それを確認したシャルロットはスコールに、マドカはクロエに、ラウラはクラリッサに、セシリアはチェルシーに連絡を入れる。
『そう...取り敢えず一夏は無事なのね?』
「はい、そうです」
『...分かったわ。一夏が目を覚ましたら改めて連絡を頂戴』
「分かりました」
ここで、シャルロットはスコールとの会話を終了させ、通信端末を仕舞う。
「そうなんだ、お兄ちゃんが...」
『そうなのですね...ですが、一夏様に命の危険は無いのですね』
「うん、一応は...」
『なるほど...束様には私から伝えておきます。一夏様に後で束様から連絡があると伝えておいてください』
「分かった」
マドカとクロエもここで会話を終了させる。
『隊長!一夏は、一夏は大丈夫なのですか!!』
「あ、ああ、命に支障は無いとの事だ」
『よ、よがっだぁ...』
「ただ、原因不明だとの事だ」
『わがりまじだ...失礼します...』
クラリッサは泣きながらラウラとの通話を終了した。
『お嬢様!一夏は、一夏は!?』
「チェルシー、落ち着いて下さい。それで一夏さんですが、吐血の原因は分からないものの、取り敢えず無事だそうです」
『そ、それは良かったです...では、失礼します...』
チェルシーははぁはぁと完全に焦っていたように息を吐きながら通話を終了する。
クラリッサとチェルシーがここまで焦っているのは仕方が無いだろう。
最愛の恋人が目の前で血を吐いて倒れて意識を失ったのだ。
しかも、吐血する前には自分たちと普通に会話が出来ていたのだからなおさらだ。
だからこそ、吐血の原因は不明だとは言え取り敢えずの命に支障は無いと聞いたら泣いたりもしてしまうだろう。
通話をしていた4人が通話を終了したのを確認した千冬は頷くと
「では、学園祭の途中だが1年1組の出し物は中断する」
と、発言をする。
その瞬間に、マドカを含めたクラスにいる全員の視線が千冬に集まる。
「異論はあるか?」
千冬はそうクラスに尋ねるが、誰も言葉を発しなかった。
それを確認した千冬は、息を吐く。
「それでは、今から軽く教室を片付けたら今日はこれで終了だ。その後は学園祭の他の出し物に行っても、寮に戻っても構わん」
千冬がそう言うと、全員が力のない返事をして頷く。
「では、早速片づけを...
ドガァアアアアン!!
千冬の言葉の途中で、突如としてその音は鳴り響いた。
その音の一瞬後に校舎全体がガタガタと揺れる。
「キャアアアア!?」
「何!?何!?」
「落ち着け!!!」
一瞬で混乱に陥った教室内を、千冬は一喝で静かにさせると同時に教室の窓際に移動し、外の様子を確認する。
すると、アリーナの方から黒煙、そして何機かのISと思わしきシルエットを確認した。
「っ!襲撃だ!専用機持ちはすぐさま他クラスの専用機持ちと連絡を取り合い対応!一般生徒は避難だ!」
『緊急事態!今現在、IS学園は襲撃を受けています!生徒や来賓の方は教員の指示に従い、焦らず避難してください!』
千冬が指示を出した直後に、放送でも避難指示が出される。
「こんな時に...!!」
千冬はギリッと奥歯を噛み締めながらそう言葉を零す。
ドカァアアアアン!!
「緊急時の為ISの使用を許可する!早く行動しろ!」
再びの爆発音と同時に、千冬はそう指示を飛ばす。
「「「「分かりました!!」」」」
「分かりました...」
その瞬間に、専用機持ちが一斉に教室の窓に走っていき、ISを展開して窓から出ていく。
「行きますわよ、ブルー・ティアーズ!」
「シュヴァルツェア・レーゲン!」
「行こう、リヴァイヴ!」
「お願い、銃騎士!」
「....」
そうしてISを身に纏った5人はアリーナに向かいながらプライベートチャネルを開き、セシリアがサラに、ラウラが鈴と簪に、シャルがダリルとフォルテに、マドカが楯無に連絡を入れる。
だが、深夜だけは連絡をせず口元に笑みを浮かべていた。
「全員、落ち着いて私についてくるんだ!」
『は、はい!』
専用機持ちが出撃したのを確認した千冬はそのままクラスに指示を出し、クラスメイトを安全な場所に誘導していく。
その間に廊下にいた来賓の人などもしっかりと誘導していく。
(い、一夏はまだ医務室に...いや、駄目だ。私は私の仕事を全うする!一夏はディミオスソードかシエント先生が避難させてくれる!)
その道中に、そんな事を考えながら。
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時は少し戻り1度目の爆発音の直後、医務室。
《今の爆発は...》
ディミオスも当然ながら気が付いていた。
慌てて窓に近寄り外を確認する。
だが、医務室の窓からは何も分からない。
ここで、放送が入る。
『緊急事態!今現在、IS学園は襲撃を受けています!生徒や来賓の方は教員の指示に従い、焦らず避難してください!』
《襲撃...!》
それを聞いたディミオスは一夏の近くに戻る。
《直ぐに一夏を連れて避難を...》
ドカァアアアアン!!
ディミオスが一夏を連れて避難しようとした時、また再び爆発音が響く。
ディミオスが再び窓の外に視線を向けると、今度はチラッとだが遠くにISだと思われるシルエットを確認した。
《.....仕方が無い、一夏は教員に任せる!》
ディミオスはそう覚悟を決めると窓から飛び出て
《うぉおおおおおお!!》
SDを解除し、シルエットに向かって飛んでいく。
《
そうして、ディミオスが医務室を飛び出てから約7分後。
「山田先生、急ぎましょう!」
「はい!シエスタ先生!」
医務室に向かって真耶とエミリーが急いで向かっていた。
その手には担架を抱えている。
「織斑君が倒れているっていうのに!」
「何で、こんな時に!」
2人は走りながらそう言葉を口にする。
だが、自分たちで何を言っても変わらない事は分かり切っているので、2人ともそれ以上の事は言わなかった。
そうして走って約2分後。
2人は医務室前に着いた。
「織斑君!」
エミリーが一夏の事を呼びながら医務室の扉を開ける。
だが、そのままエミリーは固まってしまう。
「シエント先生?いったい如何し...」
そんなエミリーの様子がおかしいと思った真耶はエミリーの後ろから医務室を覗き込み、同じように動きを止めてしまう。
「「お、織斑君が、いない!?」」
そうして、同時に驚愕の声を発する。
そう、2人の視線の先には一夏はおらず、一夏が使っていたベッドの上に酸素マスクや電極、点滴の針が散らばっているだけだった...
大変なことになって来た。
次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
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