無限の成層圏と煉獄騎士   作:ZZZ777

107 / 155
前回の続き。

今回もお楽しみください!


別れ

三人称side

 

 

「マドカちゃん、行くよ!」

 

 

「はい!シャルさん!」

 

 

IS学園の学園祭当日。

一夏が原因不明の吐血をして倒れた後、医務室勤務の医師エミリーから説明を受けた千冬がその説明をそのまま1組の生徒全員とマドカに説明をした。

そして、1組の出し物を中止し解散しようした直後に突如としての爆発音。

ISだと思われる集団を確認したため襲撃と判断し、ダウンしている一夏以外の専用機持ちは全員襲撃者への対応を任せられた。

 

 

「シャルさん!2時の方向に2機確認!」

 

 

「了解!そこから行くよ!」

 

 

マドカとシャルロットはそう声を掛け合うとマドカが確認した襲撃者と思われる2機のISに向かっていく。

専用機持ちは、基本2人1ペアでの行動となっている。

マドカとシャルロット、セシリアとラウラ、鈴と簪、楯無とサラ、ダリルとフォルテ、深夜だけが1人での行動である。

 

 

2機のISに近付いたシャルロットとマドカはアイコンタクトで意思疎通をすると、シャルロットがアサルトライフルを展開し、威嚇射撃を行う。

だが、襲撃者2人はそれに気付いているようで、その射撃を避け、視線をシャルロットとマドカの方に向ける。

 

 

「そこの2人!今すぐISを解除しろ!」

 

 

マドカは襲撃者に向かってそう声を発する。

だが、襲撃者2人は

 

 

「邪魔をしないでもらうわ!」

 

 

「織斑一夏を差し出しなさい!」

 

 

そう言うと、マドカとシャルに向かって射撃をする。

 

 

「お兄ちゃんが目的か!」

 

 

「そんな事させない!捕えて情報を吐いて貰うよ!」

 

 

マドカとシャルは射撃を避けながらそう言葉を発し、襲撃者を睨む。

そうしてマドカは特殊アサルトライフル、ガレッド・シューターを展開して構える。

それと同時にシャルロットも先程のアサルトライフルを構えなおす。

 

 

「シャルさん、行きましょう!」

 

 

「うん、マドカちゃん!」

 

 

そうして、マドカとシャルロットは、襲撃者との交戦を開始した。

 

 

交戦を開始したのは、マドカとシャルロットだけでは無い。

 

 

「フォルテ、行くぞ!」

 

 

「分かってるっスよ!」

 

 

「「私達の弟分は、私達が守る!」」

 

 

ダリルとフォルテを始めとした、他の専用機持ち達も交戦を開始していた。

 

 

「ラウラさん!」

 

 

「任せろ!」

 

 

「く、この!」

 

 

「鬱陶しい!とっとと織斑一夏を渡せ!」

 

 

セシリアとラウラはお互いの専用機の特徴であるビットとAICを使い、襲撃者の事を攻撃する。

 

 

「サラちゃん!専用機貰ったばっかりだけど、実践よ!大丈夫!?」

 

 

「楯無...うん、大丈夫!」

 

 

「分かったわ!でも無理しないでね!」

 

 

楯無は、まだ専用機持ちになって日が浅いサラの事をサポートしながら襲撃者を探し出し、交戦を開始する。

 

 

「簪!飛ばしてくわよ!」

 

 

「うん!山嵐、全弾発射準備!」

 

 

鈴は龍砲の即時発射準備を、簪も山嵐全弾発射準備をする。

そうして、襲撃者に向かって行く。

 

 

「.....」

 

 

深夜は、1人で飛んでいた。

他の専用機持ちとは異なり、襲撃者の元に向かって交戦していない。

 

 

(クソ!如何なってるんだよ!演劇の途中で襲ってくるんじゃないのかよ!)

 

 

深夜は1人でそんな事を考えている。

 

 

(一夏がぶっ倒れたのは、俺にとってプラスだ。だから、ここで俺が活躍して俺が主人公だと証明するんだ!)

 

 

そうして、深夜は口元に笑みを浮かべる。

何でこういう状況になってまでもそんな事を考えるのかは到底理解が出来ない。

だが、深夜は愚かにもその考えを持ったまま襲撃者の事を探し始めるのだった。

 

 

襲撃者と交戦しているのは、専用機持ちだけではない。

 

 

《フン!ハァ!》

 

 

医務室近くで、ディミオスもまた襲撃者2人と戦闘を行っていた。

 

 

(音から察するに、他の専用機持ち達も戦闘しているな。という事は、こいつらはそれだけのISを所有しているという事...それなりに巨大な組織だな)

 

 

襲撃者からの射撃を避けながら、ディミオスはそう考える。

 

 

「コイツ、情報にあった織斑一夏のサポートロボットよ!」

 

 

「なら、織斑一夏の情報を聞き出す!」

 

 

(何!?一夏の吐血の原因はこいつらか!?いや、だが、ウイルス反応も無かったのに、こいつらに如何にか出来るのか?)

 

 

ディミオスは襲撃者の会話を聞いて一夏の吐血の原因ではないかと一瞬考えるも、エミリーから聞いた説明を思い出してすぐさま否定する。

 

 

《貴様らの目的はなんだ!》

 

 

ディミオスは取り敢えず襲撃者の目的を探ろうと、そう疑問を投げかける。

その言葉を聞いた襲撃者たちは

 

 

「ハン!教えるわけが無いでしょ!さっさと織斑一夏が何処で戦ってるか教えなさい!」

 

 

と言い、ディミオスに対する射撃を続ける。

その射撃を避けながら、ディミオスは

 

 

(()()()()()()()()()()()、か。つまり、一夏が倒れたことを知らない...一夏の吐血原因はコイツらでは無いようだ)

 

 

そう考える。

 

 

《ハァア!!》

 

ガキィ!

 

ディミオスは弾丸を弾きながら襲撃者に接近し、切り付ける。

 

 

「ぐっ!この...!」

 

 

《ふっ!》

 

 

ディミオスは切り付けた襲撃者の事を蹴り飛ばし、いったん離脱する。

 

 

「くらいなさい!」

 

 

《そう簡単にくらうか!》

 

 

もう1人の襲撃者がディミオスに向かってサブマシンガンを連射するが、ディミオスは避け、弾丸を捌き、その襲撃者に向かっていく。

 

 

《ハァ!》

 

 

「くぅ!?」

 

 

そして、ディミオスはその襲撃者も切り付ける。

 

 

(はぁ、はぁ、コイツら...IS学園に襲撃してくるだけあって実力が高い...)

 

 

「よくもやってくれたわね!」

 

 

《ちっ...》

 

 

襲撃者はディミオスに向かって射撃を行う。

 

バババババ!!

 

先程までと違い、正確性を捨てゴリ押しをしてきた襲撃者に対してディミオスは舌打ちをする。

そうして、最低限の動きで弾丸を避ける。

 

 

(クソ、如何する?医務室に流れ弾が行くのは...)

 

 

ディミオスは医務室に流れ弾が行かないように避け、弾く。

 

 

《はぁ、はぁ》

 

 

何時もの戦闘は、一夏が指示をし、他モンスターや一夏と共に連携しながら戦っている。

その為、本来ならこうやって単独で戦う事など無いのだ。

だが、ディミオスも煉獄騎士団団長として、一夏と出会う前は煉獄騎士団に指示を出して戦っていた。

それに加え攻撃力や防御力や打撃力を含めた基本スペック、それにISと戦う際に必要となる身体能力も十分にありすぎるディミオスだからこそ、こうやって戦えているのだ。

 

 

《うぉおおお!!》

 

 

ディミオスはそう咆哮を上げると、多少の被弾は覚悟のうえで襲撃者の1人に突っ込んでいく。

急な咆哮に驚いた襲撃者たちは反応が遅れる。

そうして、ディミオスが襲撃者に切り掛かろうと大剣を振り上げる。

だが

 

 

《っ!》

 

 

ディミオスは直前になって急遽身体を捻る。

 

バァン!

 

その直後、ディミオスが今まで交戦していた襲撃者2人がいる方向とは違う方向から、ディミオスに対しての発砲が行われた。

ディミオスが発砲された方向を確認すると、そこにはISを身に纏った()()()()()()()()()()()()()()がいた。

 

 

《な、貴様は...》

 

 

ディミオスはその顔を見て驚き、動きを止めてしまう。

その一瞬の隙を付き、さっきまでディミオスと交戦していた襲撃者がディミオスに接近する。

そして...

 

 

《しまっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

 

時刻は少し遡り、専用機持ちやディミオスが襲撃者と交戦を始めた直後。

人が避難をし無人になったIS学園の廊下を、1人の男子が歩いていた。

その人物は、黒と金のカラーリングで真紅のマントが付いた鎧を着ていて、ヘッドパーツの前を開け顔が見える状態にしていた。

そう、一夏である。

一夏はディミオスが医務室を飛び出した直後に目を覚ましたのだ。

目を覚ました一夏は最初は吐血をしたため大人しくしようとしていたが、外から聞こえてくる戦闘音で学園が襲撃されている事を察し、ダークコアデッキケースを手に取り医務室を抜け出したのだ。

 

 

「はぁ、はぁ」

 

ガシャ、ガシャ

 

 

医務室を抜け出した一夏は煉獄騎士の鎧を身に纏い、廊下の壁に身体を思いっ切り預けながら昇降口を目指して歩いている。

 

 

[マスター!今からでも遅くありません!避難を!]

 

 

[そうだよ!吐血しちゃったんだよ!?その状態で戦場に出ても戦えないよ!]

 

 

白騎士と白式は一夏の事を止めようと説得する。

 

 

「白式、白騎士...臨海学校の時みたいに、治療は出来ないのか...?」

 

 

[[っ!]]

 

 

一夏のその言葉に、白式と白騎士は反応する。

そうして、暫く白式と白騎士は黙っていたがやがて言葉を発する。

 

 

[それが、その...やろうと思えば出来るんだけど、マスターの身体に問題があって..いや、問題が無くて...]

 

 

「如何いう、事だ?」

 

 

[マスターの身体には、何処にも異常が無いんです]

 

 

「...異常が無い?何を言ってるんだ。吐血したんだぞ」

 

 

白騎士の言葉を聞いた一夏はそう言葉を発する。

 

 

[それが本当なの。マスターの身体にはウイルス反応もないし、内臓にも異常は無いの]

 

 

「...その情報、真偽は?」

 

 

[間違いありません。マスターの身体を検査した医務室勤務の医師の方もそうおっしゃってましたし、マスターが鎧を展開してから私達で調べ直しましたが、やはり異常は発見されませんでした]

 

 

そこまで聞いて、一夏は歩いていた足を止める。

そうして、壁に背を預けてその場に座り込む。

その時にヘッドパーツを外し、ヘッドパーツの中から伸びた髪が出て来る。

 

 

「それでも、やろうと思えば出来るんだよな?頼む、白式、白騎士。出来る範囲で良い!治療してくれ!」

 

 

[マスター、何でそこまで...]

 

 

「...ここにはクラリッサとチェルシーがいるんだ。危険にさらすわけにはいかないんだ!それに...」

 

 

一夏は一度大きく息を吸い、吐く。

 

 

「ディミオスが、バディが戦ってんのに俺が行かない訳無いだろ!」

 

 

一夏がそう言い切ると、白式と白騎士は暫く考えるように黙る。

そして

 

 

[分かったよ、マスター]

 

 

[出来る範囲で治療しますので、暫く意識が飛びます]

 

 

そう言った。

それを聞いた一夏は笑みを浮かべて

 

 

「分かった。よろしく頼む」

 

 

そう白式と白騎士に伝えた後、両目を閉じた。

 

 

そこから暫くたち、一夏は唐突に両目を開いた。

その両目は、黄金に輝いていた。

 

 

「ふぅ.....いける」

 

 

そうして一夏は立ち上がり、再び外に向かって歩き始める。

その足取りは、先程までとは違いとても滑らかなものだった。

暫く歩いた一夏は、

 

 

「...問題ない」

 

 

そう呟くと、今度は走り出した。

マントと伸びた髪がたなびく。

 

ガシャ、ガシャ

 

廊下を蹴るたびに、そのような音があたりに響く。

普段なら絶対にしない行動をしている事で、一夏は思わず苦笑いを浮かべる。

だが、直ぐに真面目な表情に戻るとそのまま走り続ける。

 

 

「ディミオスは何処だ!?」

 

 

そうして、昇降口から外に出た一夏はそう言い、辺りを見回す。

だが、昇降口から見える範囲では、ディミオスも専用機持ちも戦闘していなかった。

 

 

《うぉおおお!!》

 

 

「っ!ディミオス!」

 

 

ここで、一夏はディミオスの咆哮を聞き取った。

聞こえて来た方に身体を向け、走り出そうとする。

その瞬間

 

 

ガザッ!ガザザザ!!

 

 

「あ、うぇあ...?」

 

 

一夏は足を止め、頭を抑える。

 

 

[マスター、如何しました!?]

 

 

「いや、今、視界にノイズがはしって、何かこう、赤黒く見えて...」

 

 

頭を抑えながら白騎士の質問に一夏はそう返答する。

だが、頭を振って意識を切り替えるとさっきの方向に向かって走り出す。

バディスキルが発動できず、飛べないので走るしかないのである。

 

 

「多分、第2アリーナを曲がった先...!」

 

 

一夏はそう言い、走る。

そうして、第2アリーナの先を曲がる。

 

 

そして、曲がった先で、一夏が見たものは...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ぐ、がぁあああ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダークネスドラゴンWのモンスター特有の青白い血を、ブレードが突き刺された腹部から周囲に撒き散らしているディミオスだった。

そして、ディミオスの周囲には、ISを身に纏っている女が3人。

その内の1人が持つ接近用ブレードが、ディミオスの事を突き刺していた。

接近ブレードがディミオスの腹部から抜かれる。

 

本来、バディモンスターがバディファイトで破壊される時に血は流れない。

攻撃を受けたところが黒くなり、その後身体がオレンジに発光して無数の長方形に弾け飛び、そのまま消滅する。

それは、この世界でISと戦闘するときも同じだった。

煉獄騎士団はその戦い方の関係上、ディミオス以外は自分で破壊するため、他人からの攻撃を受けるのは一夏かディミオスという事になる。

普段の模擬戦は基本一夏が攻撃を受けているが、臨海学校の銀の福音暴走事件の際にはディミオスも攻撃を受け、そのまま破壊された。

だが、それもすべて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

今回ディミオスは、コールを受けずにそのまま戦いに赴いた。

つまりどういうことか。

 

 

ドシャ!

 

 

「ディミオス!!」

 

 

ディミオスは、そのまま地面に落下した。

一夏はそうディミオスの名前を叫ぶ。

 

 

《い、一夏、何で、此処に...》

 

 

「ディミオス!」

 

 

地面に倒れたディミオスは、腹部からの血を抑えながら一夏に視線を向ける。

一夏はディミオスに駆け寄りたい衝動をグッと堪えて、空中のISを身に纏っている3人に視線を向ける。

 

 

「織斑一夏よ!」

 

 

「丁度いい!ここで倒して、連れ帰るわよ!」

 

 

3人の内、2人は一夏の事を見てそう言葉を発する。

だが、一夏はその2人の事など気にしていなかった。

 

 

「何でお前がここにいる...」

 

 

一夏は最後の1人...黒髪ポニーテールの日本人女子の事を睨みながら、言葉を発する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「篠ノ之箒ィ!!」

 

 

そう。

先程ディミオスに向かって発砲した黒髪ポニーテルの第三者。

それは、捕まっているはずの箒だった。

 

 

「一夏...漸くあえたな!あの時に不当に捕まってから、お前に会うために私は色々な事をしたのだぞ!」

 

 

箒が、此処だけ聞くと感動的かもしれない言葉を紡ぐ。

 

 

「篠ノ之箒、取り敢えず織斑一夏を捕えるわよ」

 

 

「会話は後でいいでしょ」

 

 

「フン!そんな事分かっている!」

 

 

箒と襲撃者2人はそう短く会話した後、アサルトライフルを展開、一夏に銃口を向け発砲する。

 

 

「キャスト、ドラゴンシールド 黒竜の盾」

 

 

一夏は冷静に黒竜の盾を発動し、射撃を遮る。

 

 

「お前らが、ディミオスを...」

 

 

一夏はそう呟くと、俯く。

そして、

 

 

「ブッ飛ばす...」

 

 

そう声を発する。

その表情は、感情というものが全く感じられないものだった。

 

 

「ハン!そんな事出来る訳無いでしょ!」

 

 

「装備、煉獄騎士団団長の剣 ディミオスソード」

 

 

襲撃者は鼻で笑うが、一夏はそれを無視してディミオスソードを装備する。

 

 

「先ずは貴様からだ」

 

 

一夏はそう言うと、地面を思いっ切り蹴り跳躍する。

その先にいるのは先程までディミオスに向かって接近ブレードを突き刺していた襲撃者。

 

 

「な!?」

 

 

「沈め」

 

 

そうして、一夏はディミオスソードをその襲撃者に叩き付ける。

 

 

「ぎゃあ!!」

 

 

そうして、その襲撃者は地面にうつ伏せで墜ちる。

一夏は襲撃者の上に着地すると、そのままその頭を踏みつける。

 

 

「この!」

 

 

もう1人の襲撃者が一夏に向かって銃を構えるが、一夏が女の上に乗っているため発砲できない。

 

 

「一夏!お前は何時からそう卑怯になったのだ!」

 

 

箒が接近ブレードを展開し、そう言いながら一夏に突っ込んでいく。

 

 

「五月蠅い...」

 

ガキィン!

 

一夏に向かって振るわれたブレードを、一夏はディミオスソードで受ける。

 

 

「ぐ!?この!?」

 

 

「篠ノ之箒、貴様は捕えて情報を引き出した後警察に突き出す」

 

 

一夏はそう言うと、腕に力を籠めて箒の持つブレードをを弾く。

 

 

「なぁ!?」

 

 

「フン!」

 

 

ブレードが弾かれたことに驚いた箒は、一夏の斬撃を避けることが出来ずそのまま攻撃を受け、大きく吹き飛ぶ。

 

 

「がぁ!?」

 

 

「ちっ!使えないわね!」

 

 

さっきから銃を構えている女がそう舌打ちをしてから言葉を発する。

 

 

「ゲージ2を払いライトにコール、煉獄騎士団 サタンフォース・ドラゴン。レフトにコール、煉獄騎士団 ナックルダスター・ドラゴン」

 

 

そんな女の事を見ながら一夏は右手を上げ、そうコール宣言を行う。

 

 

 

《うぉおおお!!》

 

 

《うぉらぁ!!》

 

 

コールされたサタンフォースとナックルダスターは雄叫びを挙げながら地面に降り立つ。

 

 

「こ、コイツは!?」

 

 

「サタンフォース・ドラゴンはアイツに。ナックルダスター・ドラゴンはコイツだ」

 

 

一夏は銃を構えた女の事を見ながらサタンフォースに、自分が乗っている女の事を蹴りながらナックルダスターに指示を出す。

 

 

《任せろぉ!》

 

 

《団長に手を出したこと、後悔させてやる!》

 

 

サタンフォースとナックルダスターの返事を聞いた一夏は頷くと、女の事を思いっ切り踏んづけてから箒に接近する。

 

 

「さっさと捕まれ」

 

 

一夏はそう言いながら箒に向かってディミオスソードを振るう。

 

 

「がぁ!」

 

 

箒はその攻撃も受け、再び吹き飛ぶ。

 

 

「ぐ、このぉ!」

 

 

箒は予備だと思われる接近ブレードを展開しながら立ち上がる。

立ち上がった箒はブレードを両手で構えながら一夏の事を睨む。

そんな箒の事を一夏は変わらない無表情のまま見ている。

 

 

「一夏!私はお前を取り戻したいだけなんだ!私に付いて来てくれ!」

 

 

「俺は元々貴様のものではない。俺は、自分自身と俺の恋人のものだ」

 

 

こんな状況になっても身勝手な事を言う箒に対して、一夏はそう言い切る。

その言葉を聞いた箒は驚愕の表情を浮かべる。

 

 

「こ、恋人だと!?」

 

 

「そうだ。だが今関係は無い。貴様を拘束する」

 

 

一夏はそう言うと箒に接近しディミオスソードを振るう。

箒は接近ブレードで応戦する。

 

ガキィン!カギィイン!!

 

その様な音があたりに響く。

 

 

「ぐ、このぉ!」

 

 

箒はそう表情を歪ませながら言う。

一応先程までとは異なり吹き飛ばされる事は無いが、それでも箒は防戦一方だった。

 

 

「一夏!お前が変わってしまったのはその煩わしい女のせいなのだな!心配はいらないぞ!私がその女を始末してやるからな!」

 

 

「寝言は寝ても言うな。煩わしい」

 

 

箒が言った言葉に対し、一夏はそう反応すると箒の顔目掛けて左足で蹴り上げる。

 

 

「っ!」

 

 

箒はそれを防ごうとブレードを構えるが

 

 

「単純だな」

 

 

一夏は右足だけで跳躍するとそのまま空中で身体ごと回転させディミオスソードで箒の事を切り裂く。

 

 

「がぁ!?」

 

 

咄嗟の事で反応出来なかった箒はそのまま攻撃を受け吹き飛ぶ。

 

 

《フン!》

 

 

「ぎゃあ!」

 

 

《オラァ!》

 

 

「グフッ!」

 

 

サタンフォースとナックルダスターが交戦していた2人も吹き飛ばされ、3人は1つの場所に集められる。

そして、その3人を囲むように一夏、サタンフォース、ナックルダスターが立つ。

 

 

「貴様らを拘束する。逃げるなよ」

 

 

一夏がそう言うと、

 

 

「そ、そう簡単に捕まる訳無いでしょ!」

 

 

「くらいなさい!」

 

 

箒以外の襲撃者2人はサブマシンガンを展開し、辺りに滅茶苦茶に発砲する。

滅茶苦茶なので一夏達に当たりはしないが、一夏達も襲撃者たちに近付けない。

その一瞬の隙を付き、襲撃者たちは一気に飛翔する。

 

 

「く、まだだ!まだ、私は一夏を!」

 

 

「我儘いうな!今は撤退よ!」

 

 

箒がごねるが、一蹴されそのまま飛んでいく。

一夏はサタンフォースとナックルダスターに追いかけるように指示を出そうとしたが

 

 

ガザッ!ガザザザ!!

 

 

「あ、ぐぅ、がぁ!」

 

 

再び一夏の視界にノイズがはしり、一瞬あたりが赤黒く見え、一夏は頭を抑える。

その瞬間に、煉獄騎士の鎧はエネルギー体になり、ダークコアデッキケースに戻る。

それに伴い伸びていた髪は元の長さに戻り、両目の色も元に戻る。

サタンフォースとナックルダスターはその影響で身体を維持できなくなり、オレンジに発光した後無数の長方形に弾け飛び、そのまま消滅した。

一夏は思わず膝を地面に着くが、

 

 

「っ!ディミ、オス!」

 

 

直ぐにダークコアデッキケースを回収してから立ち上がると、ディミオスの元に向かっていった。

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

「一夏!何処だ!一夏!」

 

 

「一夏!聞こえているなら返事をしてくれ!」

 

 

「何処にいるの、一夏!?お願い、返事をして!」

 

 

IS学園の校舎周辺を、一夏の名前を呼びながら走り回っている女性が3人。

千冬とクラリッサとチェルシーである。

一般生徒や来賓の避難誘導が終わったタイミングで、真耶から千冬に一夏が医務室からいなくなったという情報を聞いた。

それを知った千冬は、まだ学園敷地内にいる可能性があるから探しに出て、クラリッサとチェルシーがそれに同行したのだ。

最初は千冬は2人の事を止めたものの、人数は多い方が良いという事、クラリッサは軍人であり、チェルシーも多少武術の心得があるという事で、同行を許可された。

 

 

「教官!やはりここら辺では無いようです!」

 

 

「そうか...アリーナの方に向かおう!」

 

 

「了解!」

 

 

「はい!」

 

 

そう会話した後、3人はアリーナの方に向い走り出す。

その途中に

 

 

「お姉ちゃん!」

 

 

と声を掛けられる。

3人がその方向を見ると、ISを展開したマドカとシャルロットがいた。

双方、ISに多少のダメージはありそうだが本人に怪我は無い。

その事に千冬は安堵の息を漏らすが直ぐに切り替える。

 

 

「マドカ!状況は!?」

 

 

「専用機持ちは、橘以外は襲撃者の拘束が完了してるよ!それで、お姉ちゃんと、えっと...お2人は何を?」

 

 

「それが、一夏が医務室からいなくなったの!」

 

 

「「え!?」」

 

 

チェルシーのその言葉に、マドカとシャルロットは同時にそんな声を発する。

それは当然だろう。

吐血して倒れた人物が何処かに行ったと聞いたら心配もする。

それが一夏なら尚更だ。

 

 

「ど、如何するの!?」

 

 

「可能な限り探す!マドカ、手伝ってくれ!デュノアは襲撃者を拘束室に運んでくれ!他の専用機持ちにも伝えて、拘束室だ!」

 

 

「分かった!」

 

 

「了解です!」

 

 

千冬の指示を受けたシャルロットは、そのまま飛んでいく。

マドカは、銃騎士を展開したまま少し高い位置から一夏を探し始める。

 

 

「マドカ!ハイパーセンサーで一夏の反応を!」

 

 

「もうしてる!...っ!いた!第2アリーナの近く!」

 

 

「良し、行くぞ!」

 

 

マドカの報告を聞いた千冬は直ぐに第2アリーナに向かって走り出す。

その後を付いて行くように、クラリッサとチェルシーも走り出す。

マドカもSEが限界近かったのか銃騎士を解除し走り出す。

 

 

「ディミオス!しっかりしろ!おい!」

 

 

第2アリーナに近付いてきたとき、そんな声が聞こえて来た。

 

 

「間違いない!お兄ちゃんの声!」

 

 

マドカがそう言うと、千冬たちの表情がさらに引き締まり、心なしか走るスピードが更に上がる。

そうして、4人は第2アリーナを曲がる。

そこにいたのは...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ディミオス!おい!」

 

 

ディミオスに必死になって呼びかける入院着の一夏と

 

 

《ぐ、うう》

 

 

その一夏に抱えられる形で横たわっていて、腹部からは青白い液体をあたりに撒き散らしているディミオスだった。

衝撃的な光景に、クラリッサも、チェルシーも、千冬も、マドカも。

何も声が出せなかった。

 

 

「おい!ディミオス!!」

 

 

《一夏...我はもう、限界のようだ...》

 

 

一夏の呼びかけにディミオスはそう反応する。

ディミオスの身体からは、紫の粒子状のエネルギーが発生していて、ドンドンと身体が薄くなっていっている。

 

 

「ディミオス、何言ってるんだ!」

 

 

《一夏...お前と出会った、あの日から、お前が煉獄騎士になったあの日から。我は、バディとしてお前と共にいた。その期間、様々な事があった》

 

 

「ディミオス...!」

 

 

ディミオスの言葉を、一夏は聞いている。

一夏の表情は、悔しそうな、悲しそうな、色々な感情が混ざっているものだった。

 

 

《一夏、お前と、過ごした、日々は、楽しかった》

 

 

「っ...」

 

 

ディミオスは、弱々しく一夏にそう声を掛ける。

それを聞いた一夏は、奥歯をギリッと噛み締めてから言葉を発する。

 

 

「ディミオス...俺からも、言わせてくれ。あの日にお前が俺にこの、煉獄騎士の力をくれたから、俺はこうやって今ここにいれるんだ。ディミオス、お前と一緒に過ごせた時間は、凄い楽しかった」

 

 

《.....》

 

 

一夏の言葉を、ディミオスは黙って聞いている。

 

 

「ディミオスの意思は俺やオルコス、煉獄騎士団が引き継ぐ。だから...」

 

 

一夏はそう言うと、ディミオスの顔を見て、笑顔を浮かべる。

 

 

「今までありがとう。おやすみ、相棒」

 

 

《.....ああ。おやすみ、相棒》

 

 

ディミオスは笑みを浮かべながらそう言うと、身体が紫の粒子となり、消滅した。

 

 

「あ、あ、あぁ...」

 

 

一夏の手の中には、穴が開いたディミオスのバディカード。

 

 

「う、ああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

一夏は、地面に拳を打ち付けてそう叫び声をあげる。

 

 

「一夏...」

 

 

「一夏...」

 

 

「一夏...」

 

 

「お兄ちゃん...」

 

 

千冬たちは、一夏の名前を呟く事しか出来なかった。

 

 

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

一夏の悲痛な叫びが、IS学園に響いていた。

 

 

 

 




アビゲールがガイトと初対面の時に、右目を負傷していてそこから青白い液体が流れていたので、ディミオスの血の色も同じものにしました。

次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていてください。

評価や感想、誤字報告何時もありがとうございます。
今回もよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。