今回もお楽しみください!
三人称side
「ふぅ...帰って来たな...」
ダークネスドラゴンW、煉獄騎士団本部前。
自分の世界と繋がっているゲートから出て来た一夏は、そう言葉を零した。
一夏の背後でゲートが閉じ、それと同じタイミングで少し風が吹く。
ディザスターフォースの影響で伸びた髪と真紅のマントが風にたなびく。
そして、遠くの方からモンスターの咆哮が聞こえて来る。
「...うん、相変わらずだな」
夏休みは直ぐにヒーローWに向かったため、余り長い時間ダークネスドラゴンWに滞在していなかった一夏は自然とそんな感想が漏れる。
一夏は黄金に輝く両目でチラッと隣を見て、そこにディミオスがいない事に思わず俯いてしまう。
[マスター...]
「白式...いや、大丈夫だ」
そんな一夏に白式が声を掛けるが、一夏は頭を振ってからそう返事をする。
「ディザスターフォース、解除」
一夏がそう呟くと、煉獄騎士の鎧はエネルギー体に戻り一夏の左手に集まる。
そしてそのままダークコアデッキケースとなる。
それに伴い伸びていた髪は元の長さに戻り、同時に瞬きをする事で両目の色も元に戻す。
一夏はダークコアデッキケースを仕舞うと、それと同時に穴の開いたディミオスのバディカードを取り出す。
「ディミオス、帰って来たんだよ。ダークネスドラゴンWに」
そう呟く一夏の表情は何とも痛々しくて、悲しいものだった。
暫くそのままディミオスのバディカードを眺めていた一夏だが、ずっとこうしている訳にはいかないと意識を切り替え、煉獄騎士団本部に入っていった。
「...ただいま」
正面入り口から入った一夏は、そうポツリとこぼす。
煉獄騎士団本部はそこそこ大きく、全竜を集めるならかなりの大声を出さないといけない。
だが、今回一夏はそんな大声を出していない。
だけれども、一夏のその声に応じて煉獄騎士団が続々と集まって来た。
《一夏、大丈夫か?》
「あ、ああ、オルコス。俺は、大丈夫だ」
1番最初に来たオルコスが一夏に声を掛け、一夏はそう返答する。
一夏はそのまま入り口近くのベンチに腰掛ける。
そうして、煉獄騎士団全団員が揃った事を確認した一夏は、口を開く。
「...全員分かってると思うけど、この間のIS学園学園祭で、ディミオスが、死んだ」
一夏は軽く俯きながらそう言葉を発した。
《.....》
そんな一夏を見て、オルコスは何も言わない。
オルコスだけでは無く、デスシックルを始めとした他の団員達も、何も言わない。
そして、一夏は学園祭の時に起こった出来事を最初から説明した。
先ず、自身が吐血をして倒れ、気を失った事。
その後にIS学園が襲撃を受け、倒れていた自身以外の専用機持ちが対処の為に出撃し、それと同時にディミオスも襲撃者と戦い始めた事。
ダークコアデッキケースを通してのコールをしていなかったので、ディミオスは刺されても破壊されずに流血し、そのまま死亡した事を。
「これが、学園祭で起こった事...ディミオスが死んだ経緯だ」
全ての説明がし終わった後、一夏はそう呟いた。
「俺が倒れていなかったら、俺がもう少し早く戦いに参加出来ていたら、ディミオスは死なずに済んだんだ。だから、だから...」
一夏は身体を震わせながら、口を開く。
「ディミオスが死んだのは、俺が原因だ...」
その一夏の言葉は、消えるような、それこそ今こうやって全員が注目していなかったら聞き取れないくらいのボリュームだった。
一夏は俯いたまま何も言葉を発しない。
《一夏、顔を上げろ》
そんな一夏に向かってオルコスがそう声を掛ける。
一夏がそのまま顔を上げると、この場に集まっている全竜が真面目な表情を浮かべていた。
《ディミオス様が死んだ原因が一夏?そんなわけが無いだろう》
「デスシックル...」
《原因は襲撃者、違うか?》
「サタンフォース...」
そんな中、煉獄騎士団の中で2竜しかいないサイズ3のデスシックルとサタンフォースがそう一夏に言う。
それに続くように、煉獄騎士団の全竜が一夏に声を掛けていく。
《団長が今の一夏を見たらどんな反応をするか、分かっているだろ》
《今のお前に必要なのは悔やむことでは無い》
《今の一夏に必要なのは、前を向く事だと分かっているだろう?》
《我ら煉獄騎士団は、1度の過ちや敗北では立ち止まらない》
《それは、煉獄騎士である一夏も同様だろう》
《お前がここで前を向かなかったら何も変わらないぞ》
「マッドハルバード、ブラッドアックス、スクラップドリル、クルーエル・コマンド、ガイラムランス、ヴァイキングアックス...」
サイズ2のモンスター達が、一夏にそう声を掛ける。
《一夏...貴方が前を向くのなら、私達はあなたを支える》
《貴方が前を向けないと言ったら、前を向かせる》
《団長も、言っていたでしょう?》
《共に戦うと》
《だったら、我らが共に戦わない訳がない》
《私たちは、今まで一夏の世界でも共に戦ってきただろう》
《それはこれからも変わらない》
《それは、既に定められているも同然》
《我らは、これまでもこれからも》
《一夏、お前と共に戦おう》
《我らは戦い以外では死なぬ不死の竜》
《今まで生きて来た年数は、一夏よりはるかに上だ》
《ならば、既に覚悟は済ませている》
《我らが行くは血濡れの魔道》
《煉獄の炎をその身に宿し》
《煉獄騎士よ、永遠なれ》
《一夏も知っているだろう?》
《オレらの魔法でもあり、信念でもあるんだからな》
《それは団長も承知のはず》
《そして、それに倣うように、団長の魂も永遠であろう》
《だから、お前が前を向かないで如何する?》
《団長の事を想うのならば、前に進んで見せろ》
「リングブレード、ルナシーワンド、ペンデュラム、ペインダガー、ブラックナイフ、ネクロパーム、トルバデゥール、デモンズレイピア、チェインソード、ソードブレイカー、シルバースタッフ、ジャイアントシザー、シーフタン、グラッジアロー、カースファルクス、エヴィルグレイブ、ウチガタナ、ヴェノムスパイク、イレイザーハンド、アンダーブレイド、アイアンゲルド...」
サイズ1のモンスター22体が次々と一夏に言葉を掛けていく。
《一夏、お前が気に病む必要などない》
《そして、俺達も過去を振り返ったりはしない》
《俺達は、戦って進むだけだ》
「クロスボウ、ナックルダスター、ニードルクロー...」
サイズ0のモンスター3竜が一夏にそう声を掛ける。
《一夏》
そうして、最後にオルコスが一夏に呼びかけると、一夏はオルコスの方に顔を向ける。
一夏がオルコスの目を見つめると、オルコスは口を開いた。
《我々は常に戦い続けて来た。故郷を守るために。一夏、お前にも戦う理由はあるはずだ》
「...っ!」
オルコスにそう言われ、一夏は上げていた顔を再び俯かせる。
そして、暫くそのままでいたがやがて顔を上げた。
その表情は、覚悟が決まったものだった。
「...煉獄騎士団が、故郷の為に戦ってきたように、俺にも戦う理由は、ある」
一夏は、そう話し始める。
「俺には、守りたい大切な恋人が出来た。俺には、戦わないといけない相手が出来た」
そう語る一夏の事を、煉獄騎士団全員がしっかりと見ている。
「そして、俺には、俺には...応えないといけないことが出来た!だから...!!」
一夏はそう言って、一度大きく息を吸って、吐いた。
「俺と一緒に、また戦ってくれ!」
そうして、一夏がそう言うと
《当然だ!》
と、全員が返答した。
それを見て、一夏は久しぶりの笑みを浮かべた。
そして一夏は立ち上がると、オルコスの前に歩いて行く。
「ディミオスがいなくなった今、煉獄騎士団の団長はオルコスだ」
《...ああ、そうなるな》
一夏が言った事に、オルコスが頷く。
「だから言わせてもらう。煉獄騎士団の解放者 オルコスソード・ドラゴン」
一夏はそう言うと右手を上げ、オルコスの前に突き出す。
そして、一夏はオルコスの目を見ながら言葉を発する。
「俺とバディになってくれ」
《.....!!》
一夏の言葉を聞いたオルコスは、驚いたように両目を見開いた。
だが、やがてオルコスは笑みを浮かべると
《当然だ。ディミオス様に応えるために、我も共に戦おう》
その言葉を述べた後、一夏の拳に自身の拳を打ち付けた。
そして、一夏とオルコスは笑い合う。
そんな一夏とオルコスの事を、他の煉獄騎士団の面々は穏やかな表情で見守っていた。
「......そうだ、ディミオスのお墓作らないと」
そんな中、一夏は少し俯きながらそう呟く。
その瞬間にオルコスを含めた煉獄騎士団も少し顔を俯かせた。
ディミオスに2度と会うことは出来ない。
そんな事、頭では分かっているが心の何処かではまた会えると考えてしまうのは仕方が無い。
そんな中でお墓を作るというのなら、会えない事を突き付けられるのと同様だ。
《...そうだな。ディミオス様の事をしっかりと弔わないといけない》
一夏の言った事に同調する様に、オルコスがそう頷く。
そして、一夏と煉獄騎士団全竜は暫くディミオスのお墓の場所を話し合った。
そうして大体20分後、じっくりと話し合った一夏と煉獄騎士団全竜は煉獄騎士団本部を出て、話し合って決めた場所に向かって歩き出す。
《...一夏、1つ聞いておきたい事がある》
その道中、オルコスが不意にそう言葉を零した。
一夏は立ち止まり、オルコスに視線を向ける。
「何かあったか、オルコス?」
《一夏、今日は如何やってダークネスドラゴンWに来た?》
「いや、如何って...普通にゲートを開けてだけど...」
一夏がそう言った瞬間、オルコスは信じられないものを見たように両目を見開いた。
いや、オルコスだけではない。
一夏とオルコスの後ろにいた煉獄騎士団の面々も同じ様な表情を浮かべていた。
「ど、如何した?」
《一夏、お前...何でゲートを開けた?今まではディミオス様に開けてもらっていたではないか》
「え...?」
オルコスのその言葉で、一夏は思い返した。
ディミオスと共に初めてダークネスドラゴンWに来たその日を。
その日は当然、ディミオスが開いたゲートを通って来た。
そして、ダークネスドラゴンWから他のWに行くときも、帰って来る時も、自分の世界との行き来も、全てディミオスがゲートを開けていた。
そう、一夏は
それなのにも関わらず、一夏は今回自力でゲートを開けた。
それも、
「あ、れ?何で俺、今日自分で...そもそも、何で開けれるって理解していたんだ...?」
オルコスに言われた一夏は、自分でも訳が分からないという感じでそう呟く。
すると
ガザッ!ガザッガザザッ!ザザザザザ!!
「あ、がぁ...!」
一夏の視界にノイズがはしり、見える景色の色が赤黒く染まる。
一夏は思わず頭を押さえ、地面に膝をつく。
《っ!一夏!》
オルコスが一夏の側に駆け寄る。
「あ、ぐぅ、あがぁ!!」
一夏は空を見上げるように身体を起こすとそう叫ぶ。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ...」
一夏は地面に両手をつき思いっ切り肩で呼吸をする。
額には汗も出ていて、明らかに異常がある事が分かる。
《一夏!大丈夫か!》
「オルコス...ああ、大丈夫だ...」
オルコスが一夏に声を掛け、一夏はまだ荒い呼吸でそう返す。
「はぁ、はぁ...取り敢えず、行こう。時間は有限だ。俺には仕事が待っている!」
[社長に没収されたじゃないですか]
(...そうでした)
白騎士に突っ込まれ、一夏はそんな反応をする。
それと同時に、自身が普段から仕事しかしていなかったという事実を改めて認識した。
一夏が再び歩けるようになるまで回復してから、再び全員で歩き始める。
そうして、暫く移動をする。
《ああ、懐かしいな.....》
目的地に着いたとき、不意に煉獄騎士団の誰かがそう呟いた。
《本当に、久しぶりだ...》
「俺は初めてだな。此処が...」
《ああ、此処が...》
オルコスと一夏は、その目的地の事を見つめながら言葉を発する。
「《旧煉獄騎士団本部》」
オルコスと一夏の言葉が重なる。
そう、ディミオスのお墓として選んだ場所。
そこは、ディミオス達煉獄騎士団のかつての故郷であるドラゴンWにある、旧煉獄騎士団本部。
「ディザスターフォース、発動」
一夏はダークコアデッキケースを取り出すと、煉獄騎士の鎧を身に纏う。
「装備、煉獄騎士団団長の剣 ディミオスソード」
そうして、一夏はディミオスソードを装備すると、
グサッ!
そのまま、ディミオスソードを墓標のように地面に突き刺す。
「ディザスターフォース、解除」
ディザスターフォースを解除した一夏は、突き刺したディミオスソードの前を軽く掘る。
そして、穴の開いたディミオスのバディカードを取り出すと、
「ディミオス、しっかり休めよ」
少し悲しそうな、でも穏やかな表情でそう声を掛けると、掘った穴にバディカードを入れた。
その上に土を掛けてバディカードを埋めると、少し土をならす。
そして、そのまま一夏は両手を合わせ、目をつむる。
「ディミオス、安らかに...」
そんな一夏の後ろでは、煉獄騎士団全竜が敬礼をしていた。
《ディミオス様、如何か安らかに》
煉獄騎士団を代表するように、オルコスがそう言葉を発する。
それから暫くの間、全員でディミオスに対して黙祷を捧げていた。
大体5分後、一夏は目を開くとそのまま立ち上がった。
「ディミオス、また会いに来るから」
一夏はディミオスソードを撫でながらそう言うと、背を向ける。
「じゃあ、そろそろ戻ろうか」
《そうだな。ディミオス様も、故郷でゆっくりしたいだろう。我らがそれを邪魔してはいけない》
そうして、一夏と煉獄騎士団全竜はディミオスのお墓を後にし、ダークネスドラゴンWに帰るのだった...
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一夏が新たにオルコスとバディを組み、ディミオスのお墓を作ってから1週間が経過した。
明日からは一夏が学園に復帰するため、今日の内に学園に戻っておかないといけない。
この1週間で、一夏はかなり心の治療は出来た。
そして、一夏とオルコスの間には新たな絆が確かに芽生えていた。
《...全員注目!》
煉獄騎士団本部ロビーで。
オルコスが腕を組みながらそう呼びかける。
その瞬間、ロビーに集まっている全団員がオルコスに視線を向ける。
《我ら煉獄騎士団は、今1度大きく変わる時が来た!》
オルコスは全員の視線を感じながら話し始める。
そんなオルコスの隣には当然のように一夏が立っており、一夏もオルコスに視線を向け、話を聞いていた。
《これから我らが戦うのは、一夏の世界のテロリストだ!今までの戦いとは、全く違うものになるだろう!》
そんなオルコスの言葉に、一夏を含めた全員の表情が少し厳しいものになる。
そもそも、バディモンスターとISの戦闘が本来ならば起こりえなかったイレギュラー。
その上で人間のテロリストとの戦闘となると、オルコスの言う通り今までとは全く違うものになるだろう。
《その上で、戦おうではないか!ディミオス様に応えるためにも!一夏の守りたいものを、我らでも守るために!》
《おおお!!!》
オルコスの言葉に応じて、煉獄騎士団の団員が雄叫びを上げる。
そんな光景を確認してから、今度は一夏が1歩前に出る。
「...これからの戦いは、本来だったら煉獄騎士団には関係ないものだ。でも!俺には戦う必要があるんだ!大切なものを守るために!だからっ...!!」
一夏はそこまで言うと、一度大きく息を吸って、吐いた。
そして、決意の籠った表情で言葉を発する。
「俺と一緒に、戦ってくれ!」
《当然だ!》
そんな一夏の言葉に、また団員たちは一斉にそう返事をする。
それを確認した一夏は
「今日から!新生煉獄騎士団の幕開けだ!!」
右手を上げながらそう宣言する。
《おお!!》
オルコスを含め、全団員がそう返事をする。
そして、それを見て一夏は頷く。
「それじゃあ、行ってくる」
一夏はそう言うと、ダークコアデッキケースを取り出し、そのまま煉獄騎士の鎧を身に纏う。
そして、ヘッドパーツを外し、両目を黄金に光らせる。
「オープン・ザ・ゲート。ヒューマンW」
左手を前にあげた一夏は、そう呟く。
すると、一夏の前にゲートが開く。
「オルコス、行こう」
《ああ、そうだな》
《一夏、頑張れよ!》
「ああ!」
そんな会話をした後、一夏とオルコスは...煉獄騎士と、新生煉獄騎士団団長は、一夏の世界に戻っていくのだった...
フレーバテキスト無いと口調が分からん。
あってもモンスターが喋ってないと口調が分からない。
今回、煉獄騎士団には全竜に喋って貰いました。
省略しようかとも思ったけど、しっかりと喋る事が大事だと思いました。
次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
評価や感想、何時もありがとうございます!
今回もよろしくお願いします。