無限の成層圏と煉獄騎士   作:ZZZ777

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アレの再登場です!

今回もお楽しみください!


銀の翼の再生

三人称side

 

 

一夏が発展途上国支援プロジェクトの視察でアフリカの『PurgatoryKnights』運営の難民キャンプを訪れ、子供たちと遊び始めた1時間後。

 

 

「あぁ~~、久しぶりにトレーニング以外で動いたけど、偶にはこういうのも良いなぁ~~」

 

 

一夏は身体を伸ばしながらそう呟いた。

1時間ぶっ通しで身体を動かしながら遊び続けたので子供たちは疲れたようで肩で息をしていたが、一夏の息はきれていないし、疲労感もそこまで感じていない。

 

 

「W、Why are you so fine?(な、何でそんなに元気なの?)」

 

 

「I've been training(鍛えてるから)」

 

 

子供の1人が肩で息をしながら一夏に質問をすると、一夏は涼しい表情のままそう返答をする。

 

 

(.....さて、明日は遠くの村を周る予定だし、そろそろ本当に渡さないと渡すタイミングが無くなる。)

 

 

一夏は明日からの予定をザッと頭の中で確認し、そう判断をした。

 

 

「I still have something to do, so let's stop playing(まだやる事があるから、遊ぶのはもうやめよう」

 

 

一夏がそう言うと、子供たちは不満そうな表情を浮かべる。

疲れているとはいえ、5歳くらいの子供たちは性別関係なくまだまだ遊びたいお年頃だ。

だから、一夏に急にそんな事を言われたらそんな反応をしてしまうのも仕方が無い。

一夏もそれを分かってるので、苦笑いを浮かべながら頬をかいた。

 

 

「I'm sorry, I'll play again next time(ごめんね、また今度遊んであげるから)」

 

 

一夏はそう言うと、笑顔を浮かべて近くにいる子供の頭を撫でた。

 

 

「Promise me!(約束して!)」

 

 

「Of course(勿論)」

 

 

一夏はそう言うと、テント近くにいるオルコスの元へ走り出す。

その際に1度振り返って

 

 

「let's play again!(また遊ぼう!)」

 

 

と手を振りながら笑顔で言った。

子供たちの返事を聞きながら、一夏はオルコスの元に走っていく。

 

 

(チェルシーの為に覚えた英語だけど、役に立って良かった...)

 

 

その道中で一夏はそんな事を考えて、思わずフッと笑みを浮かべる。

一夏が普通に英語を喋っているので忘れるかもしれないが、一夏はチェルシーと付き合い始めてから英語を勉強し始めたのだ。

だから、今英語の大切さを実感しているのだ。

 

 

「オルコス!」

 

 

《来たか》

 

 

一夏がオルコスに声を掛けると、オルコスはそう返事をする。

 

 

「荷物ありがとうな」

 

 

《気にするな》

 

 

オルコスから荷物を受け取りながら一夏はお礼を言う。

荷物を受け取った一夏は鞄からメモ帳を取り出すと

 

『子供たちが思いっ切り遊べる環境』

 

 

とメモをすると、そのまま仕舞った。

 

 

《...律義だな》

 

 

「大事だろ、こういうのは」

 

 

《確かにな》

 

 

一夏はオルコスとそう会話しながら鞄を荷物置き場に置きに行く。

そして、そのままアタッシュケースを手に持つと、

 

 

「遅れてごめんな。でも、しっかり今から届けるから」

 

 

と、アタッシュケース...というよりも、その中に入っているモノに対してそう声を掛ける。

一夏は暫くそのままアタッシュケースの事を見ていたが、やがて立ち上がると、

 

 

「さて、ナターシャさんは...」

 

 

そう呟きナターシャを探すようにあたりを見回した。

 

 

「...いた」

 

 

ナターシャを見つけた一夏は、そのままアタッシュケースを手に持ちながら向かっていく。

そんな一夏の後を追うようにオルコスもナターシャに向かって飛んでいく。

 

 

「ナターシャ!チョッと良いか?」

 

 

「はい、どうかしましたか?」

 

 

一夏がナターシャに声を掛けると、ナターシャは振り返りながらそう返答する。

 

 

「作業を中断させて悪いな。ナターシャに渡すものがあるんだ」

 

 

「渡すもの...ですか?」

 

 

「ああ」

 

 

ナターシャは首を傾げる。

急に上司に当たる人物から渡すものがあると言われたら疑問を覚えるに決まっている。

 

 

「ナタル!まだ残ってるぞ!」

 

 

「イーリ!ごめん、今...!」

 

 

「いや、あっちを早く終わらせよう。俺も手伝うから」

 

 

「分かりました!」

 

 

一夏はナターシャとそう会話した後、オルコスにアタッシュケースを預けイーリスと合流し作業を進めていく。

段ボール箱に入っている荷物を運んだり、水道管のフィルター交換用のパーツを準備したり...

『PurgatoryKnights』運営の難民キャンプなので、『PurgatoryKnights』のスタッフが全てを行わないといけないのだ。

 

 

「ふぅ、これでいったん休憩だな」

 

 

「はい、そうですね...」

 

 

「つ、疲れたぁ...」

 

 

作業が終わった一夏が言った事に、ナターシャとイーリスがそう反応する。

 

 

「い、一夏さんはそこまで疲労を感じて、無いんですね...」

 

 

「鍛えてるから」

 

 

(さっきも同じ様な事を言った気がする)

 

 

イーリスの言葉に一夏は間髪入れずにそう返答した一夏は、内心でそんな事を考える。

こんなに特撮ヒーローのセリフに似たような事をネタ以外で何度も言うのは違和感があるのだろう。

でも、それは事実なのでどうしようもない。

 

 

「き、鍛えてるって...私達は腐っても元軍人なんですが?」

 

 

「それは......現役との違いって事で」

 

 

「...辞めてから半年も経っていないんですが」

 

 

「じゃあもう俺にも分からない」

 

 

一夏がそう言うと、3人は同時に苦笑いを浮かべた。

 

 

「さて、じゃあ改めて渡すものがあるんだ」

 

 

「分かりました」

 

 

「ん?なんかあるんですか?」

 

 

「イーリスには言ってなかったな。ナターシャに渡すものがあるんだ」

 

 

一夏の説明を聞いたイーリスも先程のナターシャと同じような表情を浮かべた。

その事に一夏は微笑を浮かべる。

 

 

「じゃあ、チョッと移動して良いか?」

 

 

「分かりました」

 

 

「私もいて良いんですか?」

 

 

「イーリスなら問題ない」

 

 

そんな会話をした後、3人とオルコスは物陰に移動する。

移動した一夏はオルコスからアタッシュケースを受け取る。

 

 

「じゃあ、早速渡そうか」

 

 

一夏はそう言うと、アタッシュケースの持ち手部分にある指紋認識プレートに親指を押し付ける。

 

ピ――――――――

 

『ロック解除』

 

甲高いロック解除音と共に、システム音が解除したことを伝える。

 

 

「ず、随分厳重なんですね...」

 

 

「これでも保管していた時に比べれば軽い方だ」

 

 

一夏は視線をナターシャに向ける。

 

 

「ナターシャ、受け取れ」

 

 

一夏はそう言うとアタッシュケースを開き、中に入っているモノをナターシャに見せる。

 

 

「......え?」

 

 

「これは...」

 

 

それを見たナターシャは呆けた表情を浮かべ、一緒に見たイーリスは驚いたような表情を浮かべる。

 

 

「い、一夏さん、これは...」

 

 

ナターシャは信じられないといった表情でナターシャが一夏にそう質問する。

一夏は穏やかな表情を浮かべながら、言葉を発する。

 

 

「ああ。本物だよ」

 

 

一夏がそう言うと、ナターシャは目元に涙を浮かべながら口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「銀の福音.....!!」

 

 

ナターシャは震える右手でアタッシュケースの中に入っている待機形態の銀の福音を手に取る。

 

 

「あ、あ、あ...」

 

 

銀の福音の事を握りしめたナターシャは、

 

 

「お帰りなさい...!!」

 

 

泣きながらそう言うと、銀の福音の事を胸元に引き寄せた。

そのまま地面に膝をつき、声を出しながら泣き続ける。

 

 

「ナタル...!」

 

 

イーリスも泣きそうになりながらも、銀の福音の事を抱きしめるナターシャの事を抱きしめた。

 

 

「お帰り、お帰り...!」

 

 

銀の福音に話し掛けるナターシャを、一夏は微笑ましく見ていた。

 

 

(届けて良かった...)

 

 

そう、一夏が思った時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[うん!ただいま!]

 

 

そんな声が、一夏には聞こえた。

 

 

「ッ!い、今...」

 

 

《如何かしたか?》

 

 

一夏が驚いた声を発したため、オルコスがそう反応する。

 

 

「今、何か...いや、声が聞こえなかったか?」

 

 

《聞こえなかったが...》

 

 

オルコスの言葉を聞いた一夏は、考えるように顎に手を置く。

 

 

(前から、俺は偶に何処からか声が聞こえる事があった。で、それは全部ISの近く...もしかして、俺って白式と白騎士以外のISの声も聞こえるのか...?)

 

 

《一夏、どうかしたか?》

 

 

「...いや、何でもない」

 

 

オルコスの疑問に一夏はそう返答する。

 

 

「グスッ...一夏さん、この子を、私の元に返してくれて、ありがとうございました...!!」

 

 

「気にしないで。銀の福音も、ナターシャと一緒に居るほうが良いだろう。大切にしてやってくれよ」

 

 

「はい!」

 

 

一夏の言葉に、ナターシャがそう返事をする。

そうして暫くの間、ナターシャは銀の福音との再会した喜びの涙を流しているのだった。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

一夏side

 

 

ナターシャに専用機である銀の福音を返してから大体4時間後。

これから夕食だ。

今日は物資補給の日なので夕食はチョッと豪華にカレーライスだ。

日本とかの先進国での暮らしになれちゃうとカレーはそこまで豪華に感じないかもしれないが、此処はアフリカ...それも、難民キャンプ。

『PurgatoryKnights』から送られてくる物資しか食料が無いので、カレーのように少し手の込んだ料理ってだけで超豪華なのだ。

 

 

「さて、もう直ぐ完成だな」

 

 

そんなカレーの調理を任された俺。

20分ほど前から煮込んだカレーは、もうすぐ完成する。

本格的なものを作ろうとすれば、何日も仕込みをしないといけないので、日本でも市販しているカレールゥを使ったものだから簡単にできる。

因みに、小さい子も食べるので甘口。

正直甘口のカレーは甘ったるくて好きじゃ無いのだが、それは仕方が無い。

 

 

「ご飯炊けましたか?」

 

 

「もうバッチリ」

 

 

「じゃあお皿によそって下さい。カレーも出来たので」

 

 

「分かったわ」

 

 

もう業務時間外なので俺はナターシャさん達に敬語だし、逆にため口を使われている。

うん、立場的には問題があるかもしれないけど、やっぱり俺が年下なんだからこうじゃないと。

 

 

「はい、どうぞ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

ナターシャさんから受け取ったご飯が盛られたお皿に、カレーをよそう。

そうして全てのお皿にカレーをよそい終わった。

人数が人数なので準備するだけでも1苦労だ。

最後に俺の分のカレーを手に持ってみんなが集まっている所に行くと、子供たちがキラッキラした目でカレーを見つめていた。

そんな子供たちを見て、俺は笑みを浮かべる。

 

 

「おう一夏、来たか」

 

 

「はいイーリスさん、来ました」

 

 

「ほら、スプーンだ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

イーリスさんからスプーンを受け取ったので、俺は開いている椅子に座る。

 

 

「じゃあ、一夏も来たので食べましょう!」

 

 

「一夏、挨拶だ!」

 

 

「俺ですか?良いですけど...」

 

 

英語が良いかな?

いや、日本語で行こう。

そう判断した俺は両手を合わせる。

俺の真似をしてか子供たちも両手を合わせ、それに続くように大人の方たちも両手を合わせる。

 

 

「いただきます!」

 

 

『イタダキマス!』

 

 

『いただきます』

 

 

そうして、全員で一斉に食べ始める。

やっぱり甘口カレーは甘ったるしく感じるが、

 

 

「Delicious!(美味しい!)」

 

 

「Eat for the first time!It's really delicious!(初めて食べる!すっごく美味しい!)」

 

 

こんな子供たちの笑顔を見ると、なんかもうどうでも良くなってくる。

俺はそんな事を考えながらカレーを食べ進める。

 

 

「甘口カレーなんて久しぶりに食べたけど、やっぱりなんか甘いわね」

 

 

「まぁまぁ、甘口ですし」

 

 

「辛口になれてると、刺激が欲しくなってくるな...」

 

 

「分かりますけど」

 

 

確かに刺激は欲しい。

でも、まぁ今日くらいは良いだろう。

 

 

「Refill!(おかわり!)」

 

 

そんな事を考えていると、1人の子供が空になったお皿を突き出しながらそう言った。

早い。

 

 

「Wait a minute(ちょっと待ってて)」

 

 

俺はそう言いながらそのお皿を受け取ると、おかわりのご飯とカレーをよそう。

う~ん、と...半分くらいで良いか。

 

 

「Here you are(はい、どうぞ)」

 

 

「Thank you!(ありがとう!)」

 

 

俺からお皿を受け取った子供は、そのままガツガツとカレーを食べ始める。

 

 

そうしてご飯も食べ終わって、現在時刻は23:30。

ご飯を食べて満腹になった子供たちは、もう19:00にはもう寝てしまった。

ひっさしぶりに小さい子供の寝顔見たけど、なんか、かわいい。

俺も子供欲しい...

いや、まだまだ早いな。

俺高校生だし、そもそも国籍無いし。

 

 

「う~ん...なんか、眠気が出て来たなぁ~」

 

 

《時差ボケでの眠気を無視していろいろしてきたんだ。疲れたんだろう》

 

 

俺はテントから少し離れたところにある腰掛が出来る岩に腰を掛けてそう呟いた。

隣にはオルコスがSDのまま浮いており、俺の呟きにそう返答する。

上を見上げると、IS学園では絶対に見れない星空。

 

 

「綺麗だなぁ~」

 

 

《そうだな》

 

 

「いろいろ大変だけど、此処は平和だなぁ~」

 

 

《ああ、こんな平和な空間が、全世界に広がれば良いんだが...》

 

 

本当にそうだ。

だけれども、そうはいかないのだ。

IS学園への襲撃者はテロリストだったし、これからも戦闘はあるだろう。

でも...

 

 

「バディファイトは、フューチャーカードだからな。未来は、守る」

 

 

《そうだ。我らには、守るものがあるのだ。その為に...》

 

 

「ああ、その為に...」

 

 

「《俺ら/我らは戦う》」

 

 

俺とオルコスがそう声を重ねる。

そうして、再び空を見上げる。

星座の見え方は日本とは違うけど、それでも同じ星たちが輝いていた。

...こんなの、俺には似合わないかな?

そんな事を考えて、思わず笑みを浮かべてしまう。

さて、そろそろテントに戻って寝よう。

そう、考えた時だった。

 

 

ガザッ!ガザ、ガザザザザッ!ガザザザザッ!

 

 

「あ、がぁ!?」

 

 

《っ!一夏!》

 

 

視界にノイズがはしって、星空が一瞬赤黒く見えた。

思わず膝をつき、頭を押さえる。

 

 

「あ、ぐぅ!?が、がぁ!!」

 

 

《一夏!大丈夫か!?》

 

 

オルコスが何か言ってるが、全然分からない。

頭が痛い。

気持ち悪い。

吐き気がする。

 

 

「う、ガハッ!ゴホッ!おぇ!」

 

 

びちゃ!

 

 

咳き込んだ際に何かが胃の中から出て来た。。

分かる、嘔吐だ。

胃液のせいで喉と口が焼けるように痛いし、変な味がする。

 

 

「っう、はぁー、はぁー」

 

 

《一夏!口をゆすげ!》

 

 

オルコスが水の入ったペットボトルを差し出しながらそう言ってくれる。

俺はそのまま受け取り、水を口に含んでうがいをする。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ...」

 

 

《大丈夫か!?》

 

 

「...じゃないかもしれない。取り敢えず寝る。明日、神田さんに診てもらおう。オルコス、悪いけど処理頼んだ...」

 

 

《分かった、取り敢えずゆっくりしろ》

 

 

オルコスに嘔吐物の処理を頼んで、俺は寝る事にした。

......俺は、いったいどうなってるんだ?

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

三人称side

 

 

9月26日。

キャノンボール・ファストの前日。

 

 

「ふぁぁあああ...着いたぁ...」

 

 

日本で1番大きい国際空港の到着口から、作業服を着た一夏が周りの邪魔にならない程度に伸びをしながら出て来た。

 

 

一夏は嘔吐をしてしまった翌日、神田に診てもらったが、原因は分からなかった。

神田曰く

 

 

「原因は分からない。でも...何かはあるはずなんだ。何かは」

 

 

との事だ。

 

 

一夏はその日以外は特に体調を崩すことも無く、現地での仕事をこなしていた。

難民キャンプ以外の村に周って食料品を支給したり、水道管工事の準備をしたり...

現地の人の生活を守るために、いろいろな仕事をした。

そうして仕事をこなしていくうちに帰ってくる日になったので、こうして戻って来たのだ。

一夏と一緒に現地に向かった涼子を含む3人は、もう1ヶ月残る予定なので、今回帰国したのは一夏1人だ。

 

 

「あ~、眠い。さっさと帰って寝よう」

 

 

一夏はそう呟くと荷物受け取り口から鞄を受け取り、そのまま到着ロビーに出る。

 

 

「さて、電車の時間は、と...」

 

 

「一夏!」

 

 

「ん?」

 

 

一夏はスマホを取り出して電車を時間を確認しようとした時、一夏の名前を呼ぶ声が聞こえた。

一夏がそっちの方向に視線を向けると、そこにいたのは...

 

 

「アレ?千冬姉、何でいるんだ?授業は?」

 

 

そう、姉である千冬だった。

 

 

「明日のキャノンボールに向け、今日は午前授業だからな。もう終わっている」

 

 

「なるほど。でも、疲れてるだろうし無理に来なくても良かったのに」

 

 

「疲れているのはお前もだろう。モノレール駅まで車を運転してやるから」

 

 

「ありがと、千冬姉」

 

 

一夏と千冬はそう会話すると、2人で移動する。

駐車場に停まっている千冬が借りたレンタカーに鞄を仕舞うと、千冬は運転席に、一夏は助手席に座る。

 

 

「こうやって姉弟で揃うのも久しぶりだな」

 

 

「そうだな。昔は、2人の時間の方が長かったのだが...」

 

 

「俺も千冬姉も変わったな」

 

 

一夏の言葉に、2人は同時に微笑を浮かべる。

そうして、千冬はギアをニュートラルにして車を進ませる。

 

 

「それで、その...一夏、聞きたい事があるのだが...」

 

 

「ん?なんかあった?」

 

 

「その...一夏!お前の恋人の事について詳しく教えろ!」

 

 

「え、嫌だけど」

 

 

一夏がそう言うと、千冬は驚いたような表情を浮かべる。

 

 

「な、何でだ!?」

 

 

「俺や相手のプライベートだ」

 

 

「家族にプライベートは無いだろう!」

 

 

「あるわ!第一、アンタには俺の恋愛なんて関係ないだろ!」

 

 

「いや、私の可愛い弟だぞ!関係あるに決まっている!」

 

 

「ブラコンがぁ...」

 

 

一夏は若干引いた眼で千冬の事を見る。

暫くそうしていたが、

 

 

「.....半年の禁酒で考えてやらん事も無い」

 

 

「なっ!?私から酒を取ったら何が残るというのだ!」

 

 

「ブリュンヒルデや教師としての威厳くらい残ってろ!」

 

 

「う、それは...」

 

 

そうして、モノレール駅の近くに着くまで、そうした姉弟漫才が車の中では行われていたのだった。

それでも、一夏も千冬も。

浮かべている表情は笑顔だった...

 

 

 

 




時差ボケを感じさせない男、一夏。
でも、内心滅茶苦茶眠い。
それでよくカレー作れたな...

次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていてください!

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