無限の成層圏と煉獄騎士   作:ZZZ777

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前回の続き。

超久々の一夏視点…というより1人称視点が久々。
違和感があるかもしれませんが、許してください。


宇宙への旅立ち

一夏side

 

 

デュノア社でISの調整だの武装の追加だの、シャルのISがまさかの融合だのした数時間後。

俺達はフランスを出国し、イギリスへと向かっている。

 

 

日本からフランスに比べ、フランスからイギリスへはそんなに時間は掛からない。

物理的に近いからな。

と、いう訳でさっきデュノア社に向かった時とは違い全員が起きて列車に乗っている。

 

 

だが、此処で1つ問題が。

 

 

「……暇だ」

 

 

そう、滅茶苦茶やる事が無い。

寝ようかとも考えたのだが、俺は滅茶苦茶眠くない。

 

他のみんなはさっき寝てたし、起きてた千冬姉と束さんもイギリスに着いてからの仮眠時間で寝れは十分体力を回復出来るだろう。

なんならあの2人の事だ…寝ずにじっとしてるだけで十分かもしれない。

いや、まぁ、万が一という事もあるから無理矢理にでも寝かすけどさ。

 

 

「確かに暇だね…」

 

 

俺のさっきの呟きに同調するかのように、少し遠くからマドカが反応を返してくる。

 

 

「一夏、なんか面白い事しなさいよ」

 

 

「ふざけんな鈴。お前がやれ」

 

 

「はぁっ!?なんでアタシがしないといけないのよ!」

 

 

「てめぇが言い出したからだろうが!」

 

 

たっく、鈴は相変わらずだな。

 

 

……この後宇宙に行って滅茶苦茶危険な事しないといけないのに、なんか緊張感が無い。

俺の暇発言が原因なんだが、まさか鈴がこんなアホな返答がしてくるとは思わなかった。

 

 

「…変に気負いし過ぎてないのは素晴らしいが、流石に多少の緊張感は持っておいてくれ」

 

 

「「すみません」」

 

 

なんかここ最近駄目姉の印象しか無かったのに、急に威厳のある織斑先生の姿を見た気がする。

1学期の始めの方が懐かしい。

なんならダークネスドラゴンWに行く前の織斑教官も懐かしい。

 

あの頃みたいに、常にビシッとしてもらいたいところ……

いや、するか流石に。

 

 

「一夏、最近私に対する評価が下の下過ぎないか?」

 

 

何故考えている事がバレた。

バディファイトを始めてからポーカーフェイスを鍛えたはずだったんだが。

 

 

「そんな事無いですよ。そういった風に感じてるなら、自分の評判が下がる行動をしてるって自覚があるんじゃないですか?」

 

 

取り敢えず反射的に出て来た言葉をそのまま返しながら、思考を再開する。

……いや、よくよく振り返ると考えている事がバレるのはちょこちょこあったな。

それに、この前は可愛すぎる恋人2人に手玉に取られたし…

駄目だな、もっと精進しないと。

 

 

「プークスクス、ちーちゃん適当にあしらわれてるじゃん」

 

 

「黙れ束。それ以上言うのだったら貴様の頭を破裂させる」

 

 

「マジトーンはやめてくれないかな!?流石の束さんでも頭が破裂したら死んじゃうよ!?」

 

 

「えっ、束さん頭が破裂したとしても、飛び散った細胞が蠢いて再生するんじゃないんですか?」

 

 

やっべ、なんかついついツッコミを入れたくなった。

 

 

「しないよ!?いっくんとちーちゃんは束さんの事なんだと思ってるの!?」

 

 

「限りなく人間に近いモンスターじゃないんですか?」

 

 

「エイリアンじゃないのか?」

 

 

「違うよ!ホモ・サピエンスだよ!」

 

 

「……自分で『普通の』とかは付けない感じなんだね」

 

 

お、マドカも我慢できなくなって参戦してきた。

このまま束さんで遊んでれば暇は潰せるだろ。

因みに、束さんと織斑先生がプロレスし始めた時からずっと呆けた表情を浮かべている我が恋人や友人達は気にしない事とする。

 

 

「マドちゃん、束さんが普通な訳無いじゃないか!」

 

 

「それを把握しているのなら修正しろ」

 

 

「普通の言動は難しいと思うので求めません。ですので、出来るだけ滅茶苦茶な言動を控えてください」

 

 

「っていうか、世界各国から逃げ回ってたんだから、表面だけでも大人しくできませんか?」

 

 

久々の織斑姉兄妹の連携攻撃に、束さんは力が抜けたかのように深く椅子に座り込んだ。

 

 

「束さんに舌戦で勝ったぞぉ!!」

 

 

別にこんな喜ぶ事じゃないんだけどね。

 

 

「……多少の緊張感がどうのっていう話から始まったのに、何だか余計緊張感が無くなってません?」

 

 

「「「はっ!?」」」

 

 

やべぇ、今のクラリッサの指摘で気が付いた。

確かにさっきの俺と鈴の会話以上に緊張感というものが無くなっていた。

あ、さっきまで格好良かった織斑先生が、一気に気まずくなったのか千冬姉の顔になると視線を逸らした。

 

 

「なんともしまらない空気ですけど、そろそろ降車する駅です」

 

 

すると、丁度いい(?)事にチェルシーが降車するタイミングだと教えてくれる。

それに従い、全員が降車の準備を始める。

 

 

「ふぁあぁああ……」

 

 

「どうしたシャル、眠いか?」

 

 

「ああ、一夏…うん、この子について、色々と考えちゃって」

 

 

そう言ってシャルは、リィン・カーネーションの待機形態を見せてくれる。

 

 

「ああ、まぁそうだよな」

 

 

今まで自分が使っていた相棒と、新しい自分用の専用機が融合したんだ。

そりゃあいろいろ考えたくもなる。

 

 

……でも、シャルは幸せだよ。

以前からの相棒とも一緒に、戦えるんだからさ。

 

 

って、こんな事考えてちゃオルコスに失礼だ。

オルコスは、こんなに不安定な俺を支えてくれる大事な相棒だ。

今とか前とか、そんなの関係ない。

 

 

「「……」」

 

 

謎に我が恋人からの視線を感じる。

 

 

「クラリッサ、チェルシー、どうかしたか?」

 

 

2人に視線を向けながらそう言うと、少し慌てたような反応をする。

可愛い。

なんて可愛いんだ。

しかも、俺の事をしっかりと想ってくれてるんだ。

俺の恋人は最高だな!

 

 

そんな感じで、大量ドローできた時と同じくらいかそれ以上のテンションで1人エキサイトしていると、2人が若干もごもごしながら言葉を発する。

 

 

「え、いや、その……なにかがあったという訳では無いのだが……」

 

 

「ただちょっと、気になっちゃって」

 

 

「何が?」

 

 

「一夏の様子かな?」

 

 

はて、そんな気にさせちゃうほど変な行動を取っただろうか。

いや、まぁ、そりゃあさっきは織斑と束さんの4人が変なテンションで騒いでいたが…

 

 

そんな事を考えている俺の表情が滑稽だったのだろうか。

2人はクスリと笑みを浮かべると、降車準備をいったん中断して近付いてきた。

 

 

「……?」

 

 

思わず首を傾げると、クラリッサが俺の右頬に手を添えてきて、チェルシーは俺の両手を握って来た。

ああ、2人の綺麗な手が……

やる事やってんのに緊張するのは何故なのだろうか。

 

 

呆然とそんな事を考えていると、2人はそのまま続きを話し始める。

 

 

「一夏、無理してないか?大丈夫か?」

 

 

「え、大丈夫だよ。さっきはヤバかったけど、今はすこぶる快調。どうした?」

 

 

「……今、一夏が辛そうな表情を浮かべてたから」

 

 

「っ……」

 

 

チェルシーのその言葉を聞き、思わず開いている左の頬に自分の手を持っていく。

もしかしなくても、さっきシャルと会話してた時だろう。

自分でも、表情が動いているだなんて分からなかった。

 

 

…いや、実はもっと前からなのかもしれない。

クソ。

もっとちゃんと隠せるようにしないと……

 

 

俺がそのまま黙っていると、2人はより一層笑みを濃いものにする。

綺麗な笑顔だ。

 

 

「一夏、私達にはいつでも頼って良いからな」

 

 

「絶対に、1人で抱え込まないでね」

 

 

「………今は、大丈夫だから。でも、本当にきつかったら、頼らさせてもらおうかな?」

 

 

「ああ、何時でもこい」

 

 

「一夏だったら、絶対に拒まないからね?」

 

 

「ははははは…ありがとう」

 

 

なんて愛おしい恋人なのだろうか。

思わず抱きしめたくなるが、今はそんな場合じゃないのでグッと堪える。

え、なんでそんな場合じゃないのかって?

 

 

『…………』

 

 

俺とクラリッサとチェルシー以外の、この場に居る全員が視線を向けて来ているからさ。

 

 

「何があった?」

 

 

特に深い事も考えず、そう発言する。

 

 

「いや、別に?」

 

 

「相も変わらずラブラブイチャイチャだなって」

 

 

「言葉に棘がある気がするんだが?」

 

 

「気のせいじゃない?一夏君ったら被害妄想が過ぎるわよ」

 

 

「そうですかねぇ……?」

 

 

絶対に気のせいじゃない。

絶対に棘を作って刺しに来てる。

 

そういえばクラリッサとチェルシーは……

 

 

「た、隊長?何か気に障る事がありましたか……?」

 

 

「お嬢様?いったい如何なさいましたか……?」

 

 

ふむ、各々の上司や主人からジト目を向けられているようだ。

そんな感じで降車準備を再開し、丁度終わらせた時に電車が駅に到着した。

みんなで降り、駅の外へと向かう。

 

 

この後向かうのは、オルコット家の屋敷だ。

ぶっちゃけイギリスの土地勘があるのはセシリアとチェルシー、あと一応1回来た俺だけで、3人全員がオルコット付近を1番良く知ってる(というか、俺はそこしか知らない)ので、仮眠を屋敷で取らせてもらう事にしたのだ。

 

 

まぁ、あの城みたいに無茶苦茶広い屋敷ならば、こんだけの人数も簡単に仮眠出来るだろう。

そんな短絡的な思考でアポを取ってみたら、2つ返事でOKが出たのはちょっとビックリしたけど。

 

 

そんな事を考えていると、なにやら周囲がザワザワしている事に気が付いた。

 

 

「セシリア、今日って何かイベントあったっけ?」

 

 

「いえ、そんな事無い筈ですが……」

 

 

フム、ならば何故こんなに騒がしいのだろうか。

元々騒がしい場所って感じじゃないって聞いてたんだけどな……

 

 

そんな事を考えながら駅の外に出る。

すると、その瞬間に少し騒がしい理由が判明した。

 

 

バァアアアアアアン!!

 

 

そんな効果音が自然と脳内再生されてしまうくらいに存在感のある、黒塗りのリムジンがそこにあったからだ。

 

 

「な、長いっスね……」

 

 

「こりゃとんでもねぇ値段するだろうな……」

 

 

そのリムジンを見て、フォルテ姉とダリル姉がそう呟いた。

まぁ、代表候補生ではあってもこんなにスゲェ高級車は見慣れてるって訳じゃ無いのだろう。

 

 

「「……」」

 

 

ん?

なんでセシリアとチェルシーはそこまで絶句してるんだ?

 

 

「なぁ、2人ともどうしt」

 

 

俺のその質問は、そこで途切れた。

何故なら。

 

 

「お嬢様方、お待ちしておりました!」

 

 

リムジンの運転席から降りてきた運転手さんが、俺達に…というより、セシリアに向かって頭を下げて来たからだ。

マドカ達が驚いた表情でセシリアと運転手さんの顔を交互に見ているのを確認しながら、俺も運転手さんの顔をマジマジとみる。

この人、何処かで見たことあるような……

 

 

「あ、夏休みに運転してくれた、オルコット家専属の運転手さんか」

 

 

思い出した思い出した。

あの時も駐車場の中でひときわ目立つ、リムジンのような豪華な車だったが、このリムジンはその比じゃない。

 

 

「はい、左様でございます。お久しぶりです」

 

 

「あ、お久しぶりです」

 

 

さっきの俺の発言に反応してくれたので、俺も反射的に返事をする。

 

 

そして、この場に居る全員が気が付いた。

オルコット家の専属運転手さんが、このリムジンから降りて来たって事は……

 

 

「セシリア!こ、このリムジンアンタのとこのなの!?」

 

 

「え、ええ。このリムジンは、私たちオルコット家のものですわ」

 

 

流石貴族家。

所有しているモノがとても豪華だ。

 

 

「ええ!?セシリア、わざわざ呼んだの!?」

 

 

「だったらこんなに驚いてませんわ!」

 

 

「少し静かにしろ。一般の方の迷惑だ」

 

 

「「ご、ごめんなさい」」

 

 

織斑先生に注意され、2人は大人しく黙る。

まぁ、世界最強を怒らせると怖いっていうのはまだ1年も経ってない学園生活で身に染みてるだろうからな。

そんなセシリアは直ぐに再起動すると、運転手さんに詰め寄っていく。

 

 

「な、なんで此処にいるんですの!?」

 

 

「旦那様に、お嬢様をお迎えするように依頼されましたので。みなさん、どうぞ」

 

 

運転手さんは仰々しい動作で、リムジンの扉を開く。

その瞬間に見える、もう信じられないくらい豪華な車内。

マドカ達が固まってるのが、見なくても分かる。

 

 

「…素直に、ご厚意に甘える事にしよう」

 

 

「ああ、もうこうなったら、甘えない方が手間が掛かってしまうからな」

 

 

俺の言葉に、クラリッサがそう反応する。

それを聞き他の面々も覚悟を決めたようで、荷物を乗せてからリムジンに乗車していく。

うわ、滅茶苦茶柔らかい座席。

これは走ったとしても振動なんて微塵も感じなさそうだ。

 

 

全員が乗車した事を確認した運転手さんは扉を閉めると、運転席に移動し、そのままリムジンを発進させる。

思った通り、全くと言って良いほどに振動を感じない。

そして、俺の両隣は当然だと言わんばかりの表情でクラリッサとチェルシーが座っている。

とても幸せ。

 

 

そんなこんなで、車内に何故かあったお酒を束さんが発見し、マドカとシャルが飲むのを必死に制止するという一幕もあったが、それ以外は特に問題無く時間は過ぎ、オルコット家の屋敷に到着した。

 

 

夏休み以来に来たけど、何度見ても滅茶苦茶豪華。

こんな場所に住んでたら、多分だけど疲れる。

そんな思考になる俺は、やはり庶民なのだろう。

 

 

「はぁ…すっごい…」

 

 

「これは…」

 

 

簪と織斑先生がそう感想を漏らす。

流石の織斑先生でも、こんなに大きくて豪華な屋敷には慣れていないらしい。

 

 

「さぁ、入りましょう」

 

 

セシリアに先導させる形で、屋敷の中に入っていく。

 

 

『お帰りなさいませ、お嬢様』

 

 

その瞬間に、玄関に並んでいた従者のみなさんがセシリアに向かって頭を下げる。

日本ではメイド喫茶でしか聞かないであろうセリフを聞いたマドカ達が本日何度目か分からない驚きの表情を浮かべていると、並んでいる従者の方が1人こっちに近付いてきた。

 

 

「お久しぶりです、お嬢様。奥で旦那様がお待ちです」

 

 

「分かりましたわ、直ぐに向かいます。ですがその前に、みなさんの荷物を仮眠室においてもよろしくて?」

 

 

「それは勿論です。では、私はお客様方をご案内いたします」

 

 

「ええ、よろしくお願いいたします」

 

 

「では、お嬢様は私が…」

 

 

「いえ、私は1人で問題ありません。チェルシー、あなたは自分の部屋に行きなさいな」

 

 

「お嬢様……分かりました。お言葉に甘えさせていただきます」

 

 

そんな会話の後。

セシリアは自分の部屋に向かって歩き出し、マドカ達は従者さんに連れられて仮眠を取らせてもらう部屋に向かって行く。

さて、この場に置いて唯一の男の俺はどないしたものか。

荷物だけでもマドカ達と一緒に置かせてもらおうかな、

そう思い後を付いて行こうとすると……

 

 

「一夏は私達と一緒」

 

 

チェルシーに肩を掴まれた。

 

 

え、マジですか?

どんなご褒美?

それに、『私達』ですと?

って事はつまり……

 

 

振り返ると、そこには俺の肩を掴んだままのチェルシーと、その隣に立つクラリッサ。

 

 

「クラリッサもなんだな」

 

 

「ああ、そうだぞ一夏」

 

 

「さ、早く行きましょう」

 

 

チェルシーに先導される形で、俺達も部屋に向かって行く。

なんだかんだで、IS学園に入学する前と夏休み、2回此処で生活させてもらってる。

模様替えが行われていたら流石に無理だが、そうじゃ無かったら部屋の位置くらいは大体覚えてる。

 

 

「そういえばさ、今はもうチェルシーとエクシアって別部屋なんだっけ?」

 

 

「ええ。だから、少しスペースが空いてるのよ。だから、そこでクラリッサと一夏に寝てもらおうと思って」

 

 

「なるほど」

 

 

そんな訳で、チェルシーの部屋に荷物を置かせてもらう。

その後、セシリアやマドカ達と合流し、改めて屋敷の奥に向かって行く。

相も変わらず大きいこの屋敷。

移動するのもやっぱり少々時間がかかる。

 

 

そんなこんなで数分後。

目的の部屋に到着した。

マドカ達を案内してくれた従者さんは、頭を下げてから何処かへ移動する。

まぁ、多分別の仕事があるんだろう。

 

 

セシリアが扉を3回ノックする。

 

 

「お父様、IS学園作戦班、到着しました」

 

 

『入って来なさい』

 

 

扉の向こうから、そんな返事が返って来た。

それを確認し、セシリアが扉を開く。

 

 

「みなさん、長旅お疲れ様です」

 

 

「セシリア、チェルシー、お帰りなさい。一夏君、お久しぶり。そしてみなさん、初めまして」

 

 

部屋の中にいた、ロバートさんとロザリーさんが立ち上がる。

 

 

「お久しぶりです、ロバートさん、ロザリーさん。おかわり無いようで何よりです」

 

 

「ああ、久しぶりだ一夏君。本当だったら、こういった状況ではなく、もっと穏やかに再会したかったのだが」

 

 

「まぁ、それは仕方が無いですよ」

 

 

俺とロバートさんは取り敢えず握手をする。

さっきおかわり無いとは言ったが、ここまで接近すると以前よりも幾分か痩せたような印象だ。

この間の作戦会議の際にエクスカリバーに関する情報を聞いたが、やはりそれ関連で休めていないのだろうか。

心配になる。

 

 

「織斑千冬殿、この度は我々オルコットの尻ぬぐいを任せてしまって申し訳ない。本来ならば、オルコットで全てを終わらせることが出来るのが1番だったのだが、そこまでの戦力が我々に揃っていなかった」

 

 

「エクスカリバーの暴走の顛末は聞いています。私に言う権利は無いかもしれませんが、そこまで気負わないで下さい。確かに責任は生じますが、それを考えるのは全てが終わってからで問題は無い筈です」

 

 

「……今は、その言葉に甘えさせて頂こう」

 

 

織斑先生の言葉に、ロバートさんは苦笑を浮かべながらそう返す。

さて、一先ずずっと固まっているマドカ達を起こさないと。

 

 

「おい、マドカ、シャル、起きろ」

 

 

「え、だってお兄ちゃん、流石にこんなに豪華な場所緊張しちゃうよ」

 

 

「逆に何で一夏は緊張して無いの?」

 

 

「まぁ、俺は前来たことがあるし、ロバートさんとも会ったことがあるし、目上の人と会話するのは仕事で慣れてるから」

 

 

「「あぁ……」」

 

 

なんだその目は。

学園祭で吐血してからは結構マシになってるんだぞ。

まぁ、それ以外で色々起こり過ぎて全然休めて無いんだけど。

 

 

「みなさん、危険な事を頼んでしまって、申し訳ありません」

 

 

「ですが、みなさんにしか頼めない事なんです。どうか、お力を貸してください」

 

 

ロバートさんとロザリーさんは同時に頭を下げる。

それを見た俺達専用機持ち生徒は一斉に視線を合わせる。

それだけで、全員の考えている事が略一致している事が簡単に分かった。

頷き合い、なんとなく

 

(お前行け!!)

 

との視線を感じたので、俺が1歩前に出る。

 

 

「力を貸す覚悟が無ければ、此処に集まってませんよ。そして、まぁ、高校生のガキですけど、いろいろ戦いだのは潜っては来ているので」

 

 

大変だったなぁ。

臨海学校で深夜に刺されたり。

学園祭で吐血したり。

京都でも倒れたり。

 

 

……なんだろう。

俺基本負傷してない?

やっぱり、俺は、もう……

 

 

って、それは今は関係なくて。

 

 

「だから、俺達に任せてください」

 

 

俺のその言葉と同時に、俺の後ろにいるみんなが一斉に頷く。

それを見て、ロバートさんとロザリーさんは微笑を浮かべる。

 

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 

「私達に出来る事ならば、なんでもサポートします。不満があったら、近くにいる従者に言って下さいね」

 

 

『はい!』

 

 

その言葉に全員で頷き、部屋から退室する。

 

 

「じゃあ、仮眠!俺以外は思いっ切り寝ろ!寝飽きるほど寝ろ!!」

 

 

「飽きたら起きちゃうんだけど?」

 

 

「問題無い。最悪無理矢理気絶させてでも寝かせてやる」

 

 

「怖いよお兄ちゃん」

 

 

「そうか?」

 

 

そんなに変な事言ったかなぁ。

と、かなりテキトーな会話の後、別れるタイミングとなった。

そうしてセシリアは自分の部屋に、俺達はチェルシーの部屋に、その他のメンバーがさっき与えられた部屋に向かおうとした時

 

 

「あ、みなさんもう到着されていたのですね。遅れてしまってすみません」

 

 

そんな声が聞こえてきた。

その方向を向くと、そこにいたのはメイド服を着用したエクシアだ。

両手に掃除道具を持っているあたり、今の今まで掃除の業務をしていたんだろう。

 

 

「エクシア、ただいま」

 

 

「エクシア、久しぶりだな。元気にしてたか?体調に問題は?」

 

 

「お姉様、お兄様、お帰りなさい!体調はとても万全です!あの時から、1回も風邪をひいていないくらいにはすこぶる元気です」

 

 

「それは良かった。人間元気が1番だからな」

 

 

取り敢えず反射的にエクシアの頭を撫でる。

エクシアは、本当だったら心臓の病気で、今も入院していたかもしれないんだ。

元気ならとても良かった。

 

 

「ふぁ…お兄様はやっぱり頭を撫でるのが上手ですねぇ」

 

 

「なんだ?褒めてもお小遣いしか出ないぞ」

 

 

「あ、お小遣いは出るんですね……」

 

 

「どれくらい欲しい?5万くらい?」

 

 

「……因みに単位は?」

 

 

「イギリスに居るのにポンドじゃないことある?」

 

 

「そんなにもらえないですよ!?」

 

 

別にそれくらいだったら全然出せるけどな。

社畜なめんな。

あ、まだ高校生だ俺。

それに社長から仕事の制限を受けてるんだった。

 

 

「一夏一夏」

 

 

「ん?どうしたチェルシー」

 

 

そんな事を考えていると、チェルシーに数度肩を叩かれた。

 

 

「みんなが物凄く混乱してるし、マドカに至っては一夏を睨んでる」

 

 

「へ?」

 

 

そんな馬鹿な。

混乱したり睨まれるような会話は絶対にしてない……

 

 

そう思いながら振り返るも、チェルシーの言葉の通りセシリアとクラリッサ、そして織斑先生と束さんを除く全員が混乱しているかのような表情を浮かべており、マドカに至ってはマジで怖い表情を浮かべていた。

 

 

「お兄ちゃん?」

 

 

ゴゴゴゴゴ!!

 

 

そんな効果音が聞こえて来ると錯覚するほどの威圧感を放ち、マドカがズンズンと近付いて来る。

 

 

「その人、誰?」

 

 

「あ、お初にお目にかかります、チェルシー・ブランケットの妹のエクシア・ブランケットです。よろしくお願いいたします」

 

 

両手に掃除道具を持ったまま、ペコリと頭を下げるエクシア。

身体の軸は全くと言って良いほどブレていない。

とても器用だ。

 

 

そして、その自己紹介を聞いた瞬間、マドカは全身から放っていた威圧感を一瞬にして霧散させる。

 

 

「そうなんですね!私は、織斑一夏の妹の織斑マドカです!よろしくお願いします!」

 

 

マドカは笑顔を浮かべると、エクシアにそう自己紹介をする。

 

 

あー、なるほど。

さっき睨まれてた理由が大体わかった。

 

 

大方、会ったことも無い人に、俺が兄と呼ばれていたのが気に食わなかったのだろう。

だけれども、エクシアがチェルシーの妹だと知った事で、エクシアが俺を『お兄様』と呼ぶのが、マドカがチェルシーの事を『チェル姉』と呼ぶようにしたのと一緒の理由だと直感で分かったから、威圧感を無くしたのだろう。

 

 

……なんだろう。

自分で考察してて恥ずかしくなってくる。

止めだ止めだ。

 

 

「さて、そこのきゃいきゃい話している妹2人」

 

 

「どうしました?」

 

 

「どうかした?」

 

 

「その辺で終わらせてくれ。そろそろ簪とかの限界が近い」

 

 

このままだと立ったまま舟をこぎそうだ。

まぁ、結構な弾丸日程で来てるんだ。

俺は全然眠くないが、あの織斑先生でさえも少し眠そうにし始めたのだ。

出来るだけ早くベッドに放り込んだ方が良い。

 

 

「分かりました。では、また後程」

 

 

エクシアはもう1度頭を下げると、そのまま何処かに向かって行った。

掃除道具を持ったままだったが、別の所を掃除するのか、それとも仕舞って別の業務をするのか…まぁ、それは俺達にとってはそこまで重要なことでは無い。

 

 

そんな訳で、今度こそ俺らは別れ、各々の部屋で仮眠を取るのだった。

 

 


 

 

三人称side

 

 

仮眠を初めてから5時間後。

もはや仮眠という時間ではないというツッコミは受け付けない。

 

 

全然眠くなく、尚且つこの後宇宙に行かずにIS学園に帰るつもりである一夏は、クラリッサとチェルシーの寝顔を見ながらデッキの調整でもしようと考えていたのだが、

 

 

「「一夏ぁ……一緒に寝よう……?」」

 

 

と恋人2人に上目遣いで言われたら、断れる訳もなく。

2人に挟まれ、抱き枕にされた。

 

やる事やってるとは言え、やはり一夏も思春期真っただ中の男子高校生。

ただでさえ眠くないのに、こんな状況になって興奮してしまい、余計に寝れず。

結局時間が来るまでずっと抱き枕になったまま、横になっていただけだった。

 

 

そして、仮眠時間の終了後は食事時間だ。

オルコット専属シェフが腕によりをかけて作った料理だ。

因みに、作ったメニューはイギリス料理…ではなく和食が中心である。

 

 

というのも、イギリス料理は正直微妙な物が多いのだ。

その為、以前一夏が滞在していた時に作った野菜炒めに感銘を受け、和食を中心にいろいろと作れる料理を増やしていったのだ。

 

 

そんな訳で全員が料理を食べている中、他とは違う料理を食べている人物が1人。

篠ノ之束である。

 

 

実を言うと、一夏は束に『今度飯作る』という約束を何回かしているが、今の今までタイミングが合わなかったり、一夏が死にかけていたりとその約束を実行できていなかった。

その為、都合が良いとの事で一夏はクラリッサとチェルシーに抱き着かれている状態から、2人を起こさないようになんとか抜け出し、シェフに混ざって自分のまかないを作りつつ、束専用の料理を作ったのだ。

 

 

因みに、滞納していたのは1回分では無かったため、一夏はいろいろな料理を作る事にした。

変なところで律義なのである。

 

 

その結果として、料理国籍バラバラの超フリーダムなコース料理の様になった。

だが、束は何処の国の料理だとかそういったものには全くと言って良いほど興味が無いので、

 

 

「久々のいっくんのご飯うめぇ!!」

 

 

と叫びながら貪り食っていた。

あまりにも勢いが凄かったので、一夏に叱られはしたが久々に一夏の手料理が食べれて束は幸せそうだった。

 

 

そんな愉快な時間を過ごし、とうとう宇宙へと旅立つ時間がやって来た。

屋敷から、事前に決めていた打ち上げポイントに到着した。

 

 

此処が目的地でもない限り、絶対に辿り着かないようなところ。

周囲にはこれと言ってものも無く、つまりは他人が絶対にやってこない場所。

このミッションにうってつけという訳である。

 

 

「……とうとう、この時間が来たな」

 

 

《ああ。このあまりにも危険なミッションがな》

 

 

他のメンバーよりも、一足早くやって来た一夏はオルコスSDとそんな会話をしていた。

一夏はその身に煉獄騎士の鎧を纏っている。

頭の甲冑を外しており、伸びた髪の真紅のマントが風にたなびく。

 

 

「……あの束さんも行くのに、俺だけ何もしないって言うのは……悔しいな」

 

 

《仕方が無いだろう。お前はお前で重要な仕事がある》

 

 

「まぁ、そうだけどさ」

 

 

オルコスの言葉に、一夏はため息をつきながらそう返答する。

その後、一夏は空を見上げ、それにつられてオルコスも見上げる。

 

 

何処までも青く澄んでいる空。

そして、その先に広がっているのは、無限ともいえる宇宙。

 

 

「でもさ、タスクさんは自分も乗り込んでたじゃん」

 

 

《それはそれ、これはこれだ。龍炎寺タスクの時と比べ、運搬する人数はこっちの方が多い。それに、行って帰って来るまで維持する必要がある。お前の消耗はかなり大きい。残る事になるのは当然だ》

 

 

オルコスに諭され、一夏は苦笑を浮かべる。

自分だけが地上に残るというのに負い目を感じない訳では無いが、せめて自分に出来る精一杯の事をしよう。

そう思った一夏だった。

 

 

ちょうどそのタイミングで、ISスーツに着替えた千冬たち、そしていろいろな機材を持った束がやって来た。

 

 

「ん、来たか」

 

 

「ああ、来たぞ」

 

 

「……流石に、緊張してるか?」

 

 

「そりゃあ、流石にね」

 

 

「ちょっとは緊張する」

 

 

「そうか」

 

 

まるで、なんでもない日常化のようなテンションで会話する一夏達。

だが、その表情は全員が固い。

束くらいは何時もと変わらないテンションでもおかしくは無いが、宇宙空間で、ISのみでの活動は流石の束でもやった事が無い。

理論上は完璧なのだが、やはりパイロットが自分が気に入っている人達という事もあり、不安が拭いきれないのだ。

 

 

暫くの間、この場を静寂が支配する。

危険なミッションの直前だから。

言葉が出てこない。

 

 

ビュオオオオオオオオ!!

 

 

「ん?」

 

 

「きゃあ!?」

 

 

すると、まるで空気をリセットするかのような、強烈な風が吹き抜ける。

髪やマントが、バタバタと音を立てる。

風が止み、折角手入れをしている女性陣の髪が少々ぼさぼさになる。

 

 

「はははは……」

 

 

その光景を見て、一夏は思わず苦笑を漏らす。

そして、1度深呼吸をしてから言葉を発する。

 

 

「……みんな、これからISで宇宙に行くとかいう、前人未到の事をしないといけない訳だ。その上で、エクスカリバーを破壊しないといけない……かなり危険なミッションだ」

 

 

一夏のその言葉に、改めて全員が表情を固いものにする。

言われなくても分かっている事ではあったが、やはり他人から言葉をされるとより一層緊張してしまう。

 

 

「だから、難しい事は言わない。全員、無事に帰って来てくれ。特に、束さんは夢が叶う瞬間だから、なんなら楽しんでも良いんじゃない?」

 

 

「あっははは!いっくん言うようになったねぇ?」

 

 

「これくらい言えるようにならないと、社畜なんてやってらんないんですよ」

 

 

「遂に自分で言うようになったんだね……あれ、一夏って高校生だよね?」

 

 

「当たり前だ、俺は高校生で社畜の男性IS操縦者だ」

 

 

肩書が渋滞している。

そして一夏が無表情なのが地味だが面白い。

マドカ達は思わず苦笑を浮かべてしまう。

 

 

「此処で笑えるなら、もう心構えは大丈夫だな」

 

 

一夏も笑みを浮かべると、懐から1枚のカードを横向きで取り出す。

 

 

(あの時、牙王さんに貰っておいて本当に助かった……牙王さん、天武様、ありがとうございます)

 

 

心の中で、牙王と天武への礼を述べた一夏は、改めて視線をマドカ達に向ける。

 

 

「大事な事を何度も確認するのは、カードゲーマ―()の性だからな……みんな、どうか無事に帰って来てくれ」

 

 

そして、一夏は笑顔を浮かべる。

 

 

「いってらっしゃい」

 

 

『いってきます』

 

 

一夏のその言葉に、千冬たちも笑顔でそう返答する。

 

 

それを確認した一夏はカードを天に掲げる。

 

 

「ディザスターフォース、出力全開!!」

 

 

宣言した瞬間に、一夏の身体を紫色のオーラが包み込む。

 

 

「五角竜王から受け継ぎし、この必殺技!!」

 

 

掲げたカードが青白い粒子となり、千冬たちの周りを囲むように漂い始める。

 

 

《我と共に轟け!竜王の雄叫びよ!!》

 

 

オルコスがSDを解除し、一夏の隣に立つ。

その瞬間に千冬たちの周りに漂っていた粒子が、竜の顔のようなグローブを装着した機械仕掛けの巨大な腕に姿を変え、千冬たちを包んでいく。

 

 

「わ、わわわ!」

 

 

「す、すっげぇ……」

 

 

「キャストォオ!!」

 

 

一夏は左の掌を天に向け、右手を握りしめ腰の横に持ってくる。

オルコスも一夏と鏡映しのポーズを取る。

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

 

背面に付いているスラスターが点火する。

 

 

「竜王、直伝! ギガ、ハウリングゥゥゥゥゥ・クラッシャァアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 

一夏の咆哮と共に、一夏とオルコスが天に向けていた方の手を腰の横に持っていき、逆に腰の横に置いてあった手を勢いよく突き出す。

 

 

ゴォオオオオオオオオオオオオ!!

 

 

バタバタバタバタバタ!!

 

 

一夏のマントや髪が先程の風とは比べ物にならない暴れっぷりを見せる。

千冬たちが乗り込んでいるギガハウリング・クラッシャーは、遥かな宇宙に向かって飛んでいった。

 

 

「う、ぐぅ……がぁあああああ!!」

 

 

一夏は頭を押さえ、苦悶の声を漏らすと同時にその場に蹲る。

 

 

《一夏!》

 

 

「あ、ああ、大丈夫……うっ!?」

 

 

《無理するな!》

 

 

オルコスに支えられ、一夏は立ち上がる。

視線の先には、空に向かって伸びる1本の煙。

 

 

「みんな……絶対に、無事に帰ってこい。上手い飯でも用意してるからさ」

 

 

《一夏、お前は途中から教員みたいだったな》

 

 

「……かも、な」

 

 

一夏は苦笑を浮かべると、オルコスに支えられながらオルコットの屋敷に向かって歩き出すのだった。

 

 

(…嫌な、予感がするなぁ。理屈はなんもないけど、さ。クラリッサ、チェルシー……)

 

 


 

 

???

 

 

何処かの国の、何処かのホテル。

金さえ払えば匿名で泊まる事も出来る、プライバシーが厳重に確保されている……つまり、反社会組織にとって格好の密会場所となっているこのホテルの、最上階のスイートルーム。

 

 

1泊するのだけでも、とんでもない値段がするこの部屋には、今現在2人の男性がいた。

高級なソファーに座り、机を挟んで向かい合っている。

 

 

1人は、杖を側に置いている、白髪と白髭を蓄えた老人。

目の前にいる、もう1人の事をジッと見ている。

 

 

もう1人は、まだ30代後半といった風貌。

白衣を着用しており、目の前からの視線など気にならないように、足を組み紅茶を飲んでいた。

 

 

「……して、あの2人目はいまどうなっている?」

 

 

暫くの無言の後、老人がそう切り出した。

白衣が紅茶の入ったカップを置く。

 

 

「調整は完了しましたよ。いつでも再出撃は可能です」

 

 

「そうか……あれが、ISを動かせた理由は?」

 

 

「それはもう何も。神があの人物を贔屓したとしか考えられないですね」

 

 

「神か……根っからの科学者である、お前からその言葉を聞くとは、思わなかったな……何処の宗教にも、入っていないのだろう?」

 

 

「そうですよ。ただ、調べても調べても、何も情報が得られないのでね」

 

 

まるでおどけるかのような調子でそう返答する。

以前までと変わらない報告内容に、老人はため息をつく。

 

 

ピピピ!ピピピ!ピピピ!

 

 

「ん?この端末は……」

 

 

目の前に老人がいるのにも関わらず、特に断りをせずに端末を取り出し、通話に出る。

 

 

「私だ。何かあった?」

 

 

『報告です。IS学園の専用機持ちが、イギリスに向かいました』

 

 

「そうかそうか……ハハハハハ!我々の計画通りだ……準備は?」

 

 

『今現在、30部隊分の装備の点検業務が行われています。他準備は完了です』

 

 

「ならば、それが終わり次第作戦を決行する……IS学園を落とす!!」

 

 

『了解しました』

 

 

ここで通話は終了し、白衣は通信端末を仕舞う。

 

 

「そういう事ですので。私はこれで失礼します」

 

 

「ああ。精々しくじるなよ……」

 

 

「私を舐めないでいただきたい。化け物の創造主ですよ?」

 

 

「そうだったな……織斑」

 

 

老人のその言葉を聞き、部屋の外に出た白衣はにやりと口元を歪ませると、扉をパタリと閉じた。

 

 

 




さてさて、大変な事になって来た……
もうとっくのとうに大変な事か。

次回も何時になるか分かりませんが、楽しみにしていてください!

評価や感想もよろしくお願いします!
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